中1数学を勉強する前に復習しておきたい算数の単元35選

こんにちは。世田谷区のプロ家庭教師、数学学習コンサルタントの鈴木です。

このブログを書いていて、あることに気がつきました。

中学1、2年生の数学に関する記事が多い!

ということです。

特に、数学苦手を直す方法に関する記事は、本当に中学数学に関することが多いです。

自分でも、何でかなと考えてみたのですが、その答は明白です。

中学1、2年生の数学が、その後の人生を決める

からです。

大げさに聞こえますが、これは間違いないと思っています。

よく、受験生になってから塾を探したり、苦手な教科だけ家庭教師をつけたいといったご家庭もあるのですが、数学に関しては、受験生になってから得意にしていこうと思っても、なかなか追いつくのは至難の業なのです。

長年生徒さんと接していると、数学が苦手な生徒さんは、どの子も同じところでつまづいてしまっているのです。

当然、私から

こんなところが苦手なんでしょ?

などと言うことはありません。

生徒さんには問題を解いてもらって、できたところとそうでないところを振り返って、どこでミスをしたのか、生徒さんが自分で気付けるまで、私は待っていることが多いのですが、ミスを見つけてくれたとき、生徒さんには

「よく見つけてくれた!」

と思う反面

「いつの時代も、ここはつまづきやすいから、繰り返し練習しなければいけないポイントなんだな・・・」

と、しみじみと感じることがよくあります。

今回は、この春中学1年生、あるいは中学2年生になるお子さんがいらっしゃる方に向けて

学年が上がってから数学の成績を気にすることなく、お子さんに楽しく学校生活を送ってもらいたい

そして、自分が希望する進路を「数学が苦手」という理由であきらめてほしくない!

という気持ちを込めて、算数と中学1年の数学の学習ポイントをお伝えしていきます。

・新学年も近いので、塾を探している

・塾に通っているけれど、数学の成績が全く伸びていない

・学校の授業進度が速く、どこでつまづいたのか分からない

・テストでもっと高い点数を取りたいのに、70点台の壁が越えられない

・数学だけは本当に苦手なので、家庭教師に指導を依頼したい

などなど、新学期を目前に控えた今、塾や家庭教師を探していらっしゃるご家庭も多いかと思います。

まずはこの記事もご覧いただき、つまづきの原因を明らかにしつつ、良い先生に出逢えることを祈ります。

中学で数学が苦手になる原因は何か?

塾や家庭教師に数学の指導を依頼するとなったときに、まずはじめに考えなければいけないのが、なぜ数学が苦手になってしまったのかということです。

現在中学1年生の生徒さんが、数学が苦手だとしましょう。

中学1年生の時点で数学が苦手となると、ここに書ききれるだけで、以下の単元においてつまづいてしまった可能性が考えられます。

小学4年生の範囲から!?

と驚かれる方もいると思いますが、中学1年生の数学は、正負の数の概念を除いては、小学校の学習事項がベースになっているので、このくらいまで遡っていくと、本当のつまづきポイントが見つかることは間違いありません。

全部を復習する必要もないのですが、ここはやり直す価値があると思ったところを、もう一度やってみると良いかと思います。

中学の数学苦手克服のためにチェックすべき小学4年生の算数の範囲

1.分母が同じ分数の計算

計算だけではなく、文章問題も大丈夫でしょうか。

問題文から、分数のたし算なのか、ひき算なのかを、正しく判断できることがポイントです。

2.加減乗除混合の計算

かけ算やわり算、カッコの中から計算することが分かっていても、計算式を見て、計算式中のどの部分がかけ算なのか、わり算なのかを見抜くことが大切です。

3.割る数、割られる数の関係を理解すること

特に余りが出る計算の場合、商と余りから、もとの割られる数を求める仕組みが理解できていますか?

割り算では検算の方法も理解しておくことが大切です。

4.立体図形の展開図や立方体、直方体など空間把握の概念

面同士の平行、垂直の概念が分かりにくいと感じている生徒さんもいます。

平行とは、直線や面がお互いにどうなることを言うのか、垂直になるとはどういうことなのか、自分の言葉としてだけではなく、数学的な言い方で説明できるかどうかが鍵です。

5.比例反比例のもととなる「伴って変わる量」の考え方

ある量が増えると、それに伴って増える量があるという現象を、日常の中で見つけていくことが大切です。

この単元で出てくるのが、料金と個数の関係、水槽に入れる水の量と、水の深さの関係などです。

火をつけたローソクと時間の関係など、時間が経つごとに減る量もあることなどが理解できると、更に良いです。

中学の数学苦手克服のための小学5年生の算数範囲

6.小数同士のかけ算、割り算の計算

計算練習を繰り返し行っていくことが大切です。

かけ算の計算を行うときに意識しておくポイントは、小数点がトータルで、左にいくつ動くのかということです。

割り算では、とにかく小数÷整数の形に直していくこと、そのためには、わる数と割られる数のうち、どちらの数の小数点に注目して、お互いの数を何倍すれば良いのかが分からなくてはいけません。

7.公約数や公倍数、あるいはその求め方

公約数や公倍数を理解するにあたって、やはり割る数と割られる数の考え方が習得できているかどうかが鍵です。

最大公約数と最小公倍数の求め方を覚えることも大事ですが、これら2つの概念を、具体的な文章問題を通じて理解できると良いです。

典型的な問題がこちらです。

[問題1] たての長さが8cm、よこの長さが12cmの長方形をたて方向とよこ方向に、すきまなく並べて正方形を作りたい。作った正方形の中で、最も小さい正方形の1辺の長さは何cmになるか求めなさい。

[問題2] たての長さが12cm、よこの長さが42cmの長方形を切り分けて、同じ形の正方形を作りたい。作った正方形の中で、最も大きい正方形の1辺の長さは何cmになるか求めなさい。

上の2つの問題のうち、どちらが最大公約数を求めるものなのか、どちらが最小公倍数を求めるものなのかが分かれば大丈夫です。

8.分数の約分や通分の概念

約分については、1つのケーキを6等分して、そのうちの3つ分を食べることと、同じケーキを2等分して、半分全て食べることは同じことであるという説明が伝統的ですね。

こうした具体例でもって、約分のイメージを持てることは良いことなのですが、色んな生徒さんを見ていて分かったのが、数学が苦手な子は、2や3といった小さい数で約分することしか知らない場合が多いということです。

例えば、12/24という数について、6/12や4/8のままで終わらせてしまっているのです。

後から1/2という答を知って

まだ約分できたんだ

と気づかされることがあるのです。

上の例で言えば、本当は12でそのまま約分できるということに気付けるだけの計算力や、6/12という分数は、まだあと2や3で約分できるということが、経験として定着するまで練習しておかなければいけません。

9.三角形の面積を求める際の底辺、高さの考え方

三角形の面積を求める公式が、底辺×高さ÷2であることは、昔からクイズ番組でも散々取り上げられています。

しかし、中学や高校に入ってから、公式は知っていても、実際に面積を求められないという子を何人も見てきました。

これはなぜかというと、そもそも問題の中で三角形が与えられたときに、どの辺を底辺としたら、どこからどこの長さが高さになるのかが分からないからなのです。

このことは特に、鈍角三角形の面積を求める問題で顕著です。

底辺の延長線上に、頂点から垂線を下ろすという考え方まで習得しておくことが、後々役に立ちます。

10.平均の求め方と文章問題

平均では、均す(ならす)という考え方が理解できるかどうかがポイントです。

上の棒グラフで言うと、ピンク色のグラフが他よりも一番長いことが分かりますが、水色と黄色のグラフに、ピンク色のグラフの出っぱた部分をそれぞれ足してあげて、どのグラフの長さも同じ長さにすることが、平均を求める考え方の根本です。

平均=全体÷個数という式で求められることは、知っている子も多いですが、上に載せたグラフにおいて、全体とは何のことを言っているのか、平均とはどの値を指すのかが分かると良いです。

11.単位量あたりの大きさと割合

単位量あたりの大きさを理解するには、実際に問題を解いてみることがますます重要になってきます。

問題を解くことに加えて、問題文に書いてあることを想像して、自分のノートに絵や図を描いて考えていけるかどうかで、6年生の算数が攻略できるかどうかが決まります。

単位量あたりの大きさを理解するために、人口密度の問題や1m^2あたり生産される作物などが主題となっている問題を解いておくのが良いでしょう。

こうした問題を解いていく中で、具体的に、「混んでいる」や「空いている」といった表現が、数学的、あるいは数値的にどう解釈されるのかを学んでいくことに、意味があります。

割合については、単位量あたりの大きさを理解していることにプラスして、問題文からもとにする量と比べる量が何なのかを見抜く力が求められます。

参考までに、以前にこんな記事も書いたので、こちらもご覧下さい。

http://suugaku1ban.wpblog.jp/math-teacher/20171102/

12.10倍や1/10倍などの小数と分数の関係

小数点が動くということと、直接的に関係があるところです。

この単元においては、例えば2.71は0.0271を何倍した数なのかを答えることなど、どちらの数がどちらの何倍になっているのか、という表現の仕方に慣れて、それがかけ算を意味するのか、割り算を意味するのかを判断できることが大切です。

小学6年生の範囲

13.対称な図形、線対称や特に点対称の概念

対称な図形は、やがて三角形の合同を理解する上で必要になってきます。

というのも、ここでは「対応する点や辺」といった表現が出てくるのですが、「対応する」とは数学の表現としてはどうなることなのかを、定義として理解することが求められるからです。

この単元では直感も大事ですが、直感で終わらせずに、分かったことを正確に言語化しなければいけません。

14.分数同士のかけ算や割り算における計算途中の約分

先に書いた分数の約分の仕方とほぼ同じことですが、分数のかけ算はなぜ分母、分子同士をかけるのに、割り算ではかける方の分数をひっくり返すのか、その理由を知ることも大事なのですが、数学が苦手な子はみな、計算の途中で約分することを知らないことが多いです。

(15/56)×(49/30)という計算が出てきたとき、数学が苦手な子は、(15×49)/(56×30)ということを、平気でやることも珍しくないのです。

これはまさに、小さい数で約分することしか知らない、あるいは、約分できる数の組み合わせにすぐに反応できるくらいまで、計算練習をした経験がないということです。

もしお子さんが、上に書いたやり方で分数のかけ算をしていたら、すぐに直していく必要があります。

15.文字を使って量を表わす考え方

この単元は、小学6年生の段階ではそこまで詳しくやらなくても良いところではありますが、文章に書いてあることを式に直していく練習になるので、教科書の基本や計算ドリルに載っている問題が一通りできることが望ましいです。

個数と料金の関係や、使ったテープと残りのテープの長さの関係など、日常にあるものと数の結びつきが、一般的にはどう書けるのかが分かれば問題はありません。

16.比の考え方、特に文章問題を通して比の概念を理解すること

比の考え方は、中学では関数のグラフの傾きや図形の相似比、面積比といったところで顔を出します。

必ず習得しておくべき単元です。

比の概念を理解するためには、前の学年で習った単位量あたりの大きさや、割合を理解できていなければいけません。

逆に言うと、比でつまづいてしまうのは間違いなく、上に書いた2つの単元が理解できていないからです。

比率を表現するために(:)という記号を使いますが、これは一方を1として見たときに、他方はどれだけの数値になるのかを表わしているわけです。

これはまさに、単位量あたりの大きさの考え方です。

比の概念で大事なのは、2:3と6:9が同じであるということが、具体例を通して、想像しながら理解できることです。

確かに、分数の約分を知っていれば、当たり前だと言われても、それはそれで問題はないのですが、何をもって比が同じなのかということが分からないといけません。

一番良いのは、食塩水の問題で、水100gに食塩2gを混ぜるのと、水200gに食塩4gまぜたときに、これら2つは同じ味がする、つまり、水と食塩を混ぜた比率が同じであると、感覚的に分かることです。

そうした感覚まで含めて、比が理解できると良いですね。

17.単位量あたりの大きさとして速さを理解すること

速さとは何か、説明できるでしょうか。

よく生徒さんに質問をすると、ときどき

1時間あたりに動いた速さ

などという答えが返ってきますが、これの何がいけないのかお分かりでしょうか。

「速さとは何か?」

という質に対して

「・・・となる速さ」

という答え方をしてしまっているところが、問題なのです。

速さというのは、単位時間(つまり1時間でも1分でも良い)の間に動いた距離でもって定義される量のことです。

ただし、細かいことを言えば、例えば1時間の間に走ったり歩いたりして、トータルでどれだけの速さになっているのかということも、問題になるときもありますが、速さを定義するときは、こういったことは考えないことにします。

難しい中学受験レベルの問題が解けることまでは、要求しなくても良いのですが、例えば時間を分に直す問題(1/3時間は何分か?)などを理解することに始まり、できればグラフなどを読み取る問題ができると良いでしょう。

18.円の面積の求め方、おうぎ形の面積を求めること

円の面積を求めることだけは、公式を覚えて使うというのが一番正しいやり方です。

円の面積だけではなく、おうぎ形の面積を求めることも大事です。

数学が苦手な中学生は、そもそもおうぎ形とは円を分割してできた図形であるということからして、分からないことも少なくありません。

言われれば分かるという子も多いですが、自分で気づけるまで問題演習をしていなかった生徒さんもたくさんいます。

特に、おうぎ形の中心角とは何なのかが分からないことも、問題が解けない原因の一つです。

中心角が90度のおうぎ形であれば面積を求められるものの、50度になったとたんに分からなくなる生徒さんもいましたが、これは円全体を考えたときに、中心角が90度ということは円の1/4だから、円の面積÷4で、おうぎ形の面積が求められることは分かるのに、50度となったときに、円の何分のいくつなのかを考えることができていなかったのです。

この生徒さんは割合も苦手だったので、おうぎ形の面積を求めるときに、円全体、あるいは360度を1として見たときに、中心角の値に注目して、その値が1に対してどんな割合なのかを計算して、面積を求めることが理解できていなかったのです。

この生徒さんは、簡単な割合の計算、特にもとにする量と比べる量、円グラフの問題なども復習していくことで、きちんとおうぎ形の面積も求められる力がついてきました。

19.逆におうぎ形の面積からおうぎ形の中心角を求める計算式を作ること

「半径が2cm、面積が3.14cm^2のおうぎ形の中心角を求めなさい」

といった問題を、中心角をxなどの文字で置いてから方程式を作り、自分で解くことができるかどうかチェックしてみて下さい。

この問題を解くことで、以下のことが理解できているかどうかが、すぐに分かります。

・円の面積を求める公式を覚えている

・おうぎ形の中心角が何なのかを説明できる

・式をイコールで結ぶことが何を意味するのか分かる

・なぜ360度を全体と捉えて計算するのか分かる

・かけ算と割り算が割合の計算とどう関係あるのかが分かる

中学以降、方程式や他の単元を学ぶときに、自分で式を作ることができるかどうかが問われるので、ここが苦手というお子さんは、今のうちに練習しておくことが大切です。

20.比例と反比例について、表やグラフを用いて正しい概念を習得すること

伴って変わる量、単位量あたりの大きさ、割合、比の考え方の集大成、そして中学数学を学ぶ上での土台とも言えるのが比例・反比例です。

表が与えられたときに、どんな増え方、あるいは減り方をしているのが比例なのか、反比例なのかが分かること、それらの考え方を使って、問題を解けることが大切になってきます。

グラフの描き方も重要で、方眼紙を使って、最初は丁寧すぎるくらいで良いので、方眼紙への点の取り方、座標の読み取り方を習得していくことが、この単元の理解には必須です。

こちらの記事でも詳しく解説しているので、お読み下さい。

http://suugaku1ban.wpblog.jp/mathlearning/20180108-2/

中学1年生の範囲

21.正負の数の概念について、数直線と関連させて理解すること

数直線という概念について理解することが必須です。

最初は定規を想像するだけでも良いので、数と直線が結びついたものを使って、数の概念を理解する練習を行っていくことが求められます。

負の数の概念を理解するためには、温度計を用いるのも良いのではないかと思います。

ここで大事なのは、何を基準として0という値を定めるのかということです。

22.正負の数の加法と減法において、減法を加法に直して計算すること

実は中学以降の数学では、この考え方が全てといっても過言ではないくらい、引き算も足し算のうちに入るという考え方は必須です。

8-2=6というのは、引き算として捉えられますが、見方を変えて

プラス8にマイナス2を加える

ということが理解できるかどうかで、後の計算力には影響が出てきます。

23.マイナスの符号の数で、計算結果が正になるのか負になるのか判断できること

例としては

(-5)×(-3)×(-2)×(-1/2)×(-2/3)×(+8/5)

などという式が出てきたときに

先にマイナスの符号のみに注目して、答えがプラスとマイナスのどちらになるのかを判断してから計算を行っていく

というやり方で、計算していくことができているかどうかです。

24.累乗の計算が正しくできるかどうか

(-3)^2と-3^2とでは、何が違うのかを、自分の言葉で説明できることが大切です。

累乗計算については、表記の仕方を正しく覚えるという力が求められます。

ここでつまづく生徒さんは多くいますが、式の書き方を正しく身につけなければならない以上は、とにかく文章を書く力も必須なのです。

数学を得意にしていきたいと思ったとき、数学だけをやっていても、なかなか成績が上がらないというのは、そもそも問題文を正しく読む力であったり、文章を記述する力に課題があることも多いのです。

25.文字式の計算、特にカッコがついた計算式を分配法則を使って正しく計算できるかどうか

文字式の計算については、以前こんな記事も書いているので、ぜひお読み下さい。

http://suugaku1ban.wpblog.jp/math-teacher/20180310/

文字式の計算では、多くの生徒さんがつまづくポイントというのは決まっています。

中でも典型的なのが

-3(a-b)=-3a-3b

としてしまうことです。

このミスを放置しておくと、その先習う数学では、まず計算ミスをしないことはありません。

このミスをしないためにも、自分は式の中のどの部分に注目して、何気を付けて計算していけば良いのかを、考えていく必要があります。

26.文字式の文章問題を通して、具体的な量を文字を使って表わすこと

ものの値段と個数といった、日常にあるものだけではなく、図形の面積や体積といった、数学的にも抽象化された量が問題になることがあります。

特に、円錐や三角錐の体積を求める際に、×1/3をつけ忘れたりといったことが、忘れかけた頃に出てくることもあるので、注意が必要です。

27.方程式の計算における、両辺に同じ数をかけるという考え方

5x=15

を解きなさいと言われたとき、中学生以降では、5に何をかけたら15になるのかといった逆算的な考え方では、計算力は身につきません。

7x=33

といった、分数で答えが出てくるものの方が増えるからです。

求められるのは、両辺にどんな数をかければ、左辺の文字xだけが残り、「x=・・・」の形で答えが出るのかが理解できることです。

ここで大事になってくるのは、逆数(ぎゃくすう)の概念です。

28.方程式の計算における移項の考え方

そもそもなぜ移項の考え方が必要になるのかが、分からない生徒さんもいます。

先に結論を言うと、方程式があったときに、左辺にxだけを残して、「x=・・・」の形にするためです。

しかし、そのためにどうすれば良いのかを考えた上で、移項という技を習得するという意識のもとで方程式を学んでいる生徒さんは、多くはいません。

この記事の次のパートで、移項について詳しく解説しているので、最後までお読みいただければと思います。

29.文章問題において「何についての方程式を立てれば良いのか」が分かるかどうか

例題を出します。

花子さんは1個130円のクッキーと、1個200円のグミを合計何個か買ったところ、クッキーの個数は、グミの個数よりも1個多く、合計金額が1、780円になりました。クッキーとグミをそれぞれ何個買ったのか求めなさい。

こうした文章問題を解くときに、大事なことは2つあります。

1つは、何をxと置いて式を作るのかということ

2つ目は、何についての方程式を立てるのかということ

です。

何をxと置いて式を作るのかについては、「〇〇を求めなさい」という文言が問題文中にあるので、その〇〇の量をxと置いて、式を作れば良いのです。

しかし、〇〇をxと置いたところで、何についての量に注目して、2つの式を作ってイコールで結べば良いのかが分からないということがあります。

上の例で言えば、例えばグミの個数をxと置いたところで、個数についてのイコール関係ではなく、代金についてのイコール関係に注目するということが理解できなければ、仮に問題を解けたとしても、本当にできたとは言いづらい部分もあります。

「何について式を立てるのか」ということは特に、速さや濃度の問題でも言えることなので、詳しく理解度を見ていくことが大切です。

30.負の数まで含めた比例・反比例の考え方の理解

小学校のときに習った比例・反比例では、負の数までは考えられてはいませんでした。

しかし、負の数まで含めて考えることで、グラフに描き表わしたとき、マイナスの数同士をかけるとプラスになることも分かりやすくなります。

31.比例・反比例を学ぶことから、グラフの描き方が理解できているかどうか

グラフの描き方を理解できている生徒さんは、意外にも少ないです。

y=-2x

という比例の式のグラフの描き方を例にとって、お話していきます。

まず大事なことは、グラフとは、点と点を連続的につなげて描かれたもの

であることを覚えなければいけません。

y=-2xという式であれば、例えばx=-3のときに、y=6になり、x=-2のときにy=4、x=-1のときにy=2・・・

という計算を行っていき、そこで得られたxとyの数の組を座標に直して表現し(この例で言うと(-3,6)、(-2,4)・・・)座標が表わす点をとり、得られた点同士を結んでいくことで、グラフができ上がるのです。

以下に、グラフの描き方をまとめます。

1.式の中にあるxに具体的な値をいくつか代入して、yの値を出す

2.xとそれに対するyの値同士で組を作り、座標に直してその点を取る

3.とった点と点を連続的に結び、一つの直線(または曲線)を作る

32.問題文や与えられた表から、比例なのか反比例なのか判断できるかどうか

速さの問題を例として、比例なのか反比例なのかを考えていくことにします。

[問題1] Aさんが時速3kmでx分間進むときの距離をykmとするとき、yをxの式で表わしなさい

[問題2] Bさんが10kmの距離を時速xで進むとき、かかった時間をy時間とするとき、yをxの式で表わしなさい

問題1の場合は、y=3xで表わされるので比例、問題2の場合はy=10/xで表わされるので反比例です。

どんな問題でも、まずは式を正しく作れることが大事です。

33.円の面積だけではなく、球の体積の求め方が分かるかどうか

球の体積を求める公式を、忘れてしまう生徒さんは意外にも多いです。

というのも、中学1年生のときに習ってからは、高校で図形の問題をやるまでほとんど出てこないからです。

円の面積と同じく、公式を覚えて、正しく使いこなすことが求められます。

34.円錐の展開図を理解し、おうぎ形の面積や弧の長さとの関係を考えて、表面積などを求める

円錐も、多くの生徒さんが苦手とする分野の一つです。

過去にこんな記事を書いているので、ぜひご覧下さい。

http://suugaku1ban.wpblog.jp/mathlearning/20170224/

大事なことは、円錐はおうぎ形と円から作られるということです。

改めて、大切なポイントを書きます。

・実際に問題を解くときには、必ず図を自分で描く

・円周の求め方、円の面積の求め方が分かる

・おうぎ形の中心角の求め方が分かる

・円錐の展開図を描き、側面のおうぎ形の弧の長さは、底面の円の円周と長さが等しいことが分かる

・問題文から、円錐のどの部分の長さが分かっていて、それらから何を求めれば良いのかが分かる

35.作図をするにあたり、垂直や平行といった概念が、自分なりの解釈ではなく数学的な表現として理解できているかどうか

「平行」と一言に言っても、何と何がお互いに、どういった関係になることが平行になることなのかを、自分だけが分かる言葉ではなく、数学的な表現で説明できるかどうかが問題です。

垂直についても、全く同じことが言えます。

図形については、中学2年生で証明問題を解くことを考えると、図形と言葉がどうつながって、何がどう定義された上で論理が展開されるのかを理解することが求められます。

今のうちから、こういった考え方には慣れていく必要があるのです。

家庭学習の仕方についても、今一度見直しを!

いかがだったでしょうか。

ここに書いたことを全て理解できている、理解できたことを使って問題を解くことができているのであれば、これから先、数学で困ることはほぼないと考えても良いのではないでしょうか。

しかし、不安なところの方が多いというお子さんは、家庭学習の仕方にも課題がある可能性が高いです。

数学が苦手というお子さんは、ご家庭でどんな方法で勉強していますか?

教科書を読むだけ、あるいは公式を覚えるだけという生徒さんも、これまでに多く見てきましたが、こういった勉強法では、明かに成績は上がりません。

その理由を、方程式の解き方を例にとって、お話しましょう。

教科書の説明はテストに出ない!?

学校の定期テストで、何が問題として出るのかについては、当然学校ごとに違いますが、少なくとも教科書に書いてあることがそのままテストに出るわけではありせん。

例えば方程式を解くための移項という考え方について、教科書では左辺にあるものを右辺に持ってくるときには、符号が変わってしまう旨が記述されていることでしょう。

しかし、これをそのまま覚えたところで、テストのときに問題を解けるのかと言われたら、必ずしもそうではありません。

2x+1=-3x-9

という方程式があったとしましょう。

移項でつまづく生徒さんは、上の計算問題の例で言えば、以下に書いたことが分かっていないのです。

・3xの前にあるマイナスの符号、9の前にあるマイナスの符号に気付くことができていない

・その結果「マイナス3x」「マイナス9」という読み方ではなく「プラス3x」「プラス9」として計算を進めてしまう

・つまり負の数は計算式の中にあるどの数なのかが理解できていない

数や項を移項するときに、その符号が変わるということが、教科書に書いてあったこととして覚えられてはいても、符号が変わる可能性があるものは何かということを、自分で見抜けていないということなのです。

教科書に書いてあったことを覚えてはいるものの、実際に問題を解くとなったときに、そもそも問題を解く練習が足りていないことや、習っている単元以外のところに課題があることが原因で、こうしたミスが露呈してしまうことが考えられます。

テストで点数が取れないことと、勉強法やどの単元を理解することに課題があるのかといった、正しい因果関係を知ることが、数学を得意にするための第一歩なのです。

この記事のまとめ

まずこれだけはお伝えしたいのが、すぐにいきなり、数学の成績は上がらないということです。

中学1年生で数学が苦手な生徒さんは、ここに書いたことはもちろん、それ以外に課題があることも考えられるからです。

数学が苦手になってしまうのは、たった一つの単元が理解できていないからではなく、一つ単元を通して、いくつかの分野・単元において理解不足になってしまったところがあることが原因です。

また、例えば文章を正しく読むことや、文章を書くことに苦手意識を持っていたり、覚えるべきことがあっても、自分の思い込みなどが先に出てしまって、正確に覚えられないなど、数学以外の科目の勉強の仕方に課題があることも少なくありません。

以下の記事で、基礎基本の身に付け方についても解説していますので、ぜひご一読下さいませ。

https://sugaku1bann.com/2021/12/14/kihonnnominitukekata/

数学を理解するために求められるのは、論理的な思考力もそうですが、中学生のうちは計算力の方です。

ここでいう計算力とは、具体的には、文字式や方程式に自信を持って取り組めるだけの土台のことで、問題文を図式化したりする力まで含むと考えられます。

数学が苦手になってきたと感じたら、すぐに学び直す環境を作り、とにかく、希望の進路をあきらめない気持ちを持つことが大切です。

私もそのためのお力になれたら幸いです。

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