【中学受験算数】小学5年生の成績が下がる理由と解決策

こんにちは。算数・数学専門プロ家庭教師の鈴木です。

「5年生になって、算数の成績が下がってきた・・・」

「成績が落ちた理由は何となく理由は分かるけれど、具体的な対策は・・・?」

などなど、学年が上がるにつれて、成績のお悩みも増えてきますよね。

中学受験の集団塾に通われているお子さんとその親御さんからよくあるご相談のうちの一つが、「5年生になって算数ができなくなってきた」というものです。

今日はそんなお悩みにお応えすることを目指して、「算数が苦手になる原因」とその解決策について、書いていきたいと思います。

この記事をお読みになることで、「どの単元を復習すれば良いのか」「どうすれば成績が上がるのか」などなど、算数の成績を上げるのに必要な考え方が、お分かりいただけるかと思います。

小学5年生向けの中学受験算数カリキュラムとは?

四谷大塚さんの「予習シリーズ」、サピックスさんの「デイリーサピックス」などの教材を見る限り、どの塾さんも、「小学5年生の2学期」には「小学6年分で習う全ての単元」をお子さんに習得させます。

「習得させます」と書きましたが、実際には授業進度も速く、理解しきれないままのお子さんも多いです。

具体的には「小学校で通常2週間かけて習う単元」を、中学受験カリキュラムでは「たった1回」で解説されるようなケースも珍しくないことから、お子さんにとっては「問題演習不足」の状態になってしまっています。

主にこのことが原因で、お子さんはその日授業で解説されたことを「できるように」なっていないことがよくあります。

予習シリーズをもとにカリキュラムを簡単に解説

私の手元には改訂前の予習シリーズがありますが、それをもとにお話しすると、5年生の1学期には主に、以下のような単元を習います。

・円とおうぎ形の面積など (非受験の小学生は6年生で習う)

・食塩水の濃さ (非受験生は中学で初めて習う)

・場合の数の和・積の法則 (高校数学の範囲です)

これらを見ても分かる通り、少しおおざっぱな言い方をすると、小学5年生のお子さんであれば「多くの時間をかけないと理解できない単元」が5年生のカリキュラムに組み込まれています。

ですのでそもそも、「成績が落ちた」とみなさんおっしゃるのですが、「落ちても不思議ではない」ということだけ、まずはお伝えしておきます。

5年生で算数の成績が落ちる原因は間違いなくコレ!

とは言え、今までせっかく「できれば難関の中学にチャレンジしたい」と思って勉強されてきたご家庭もありますし、何よりこれらのカリキュラムを「難なく理解しているお子さん」もいらっしゃるのですよね。

それはいつも色んなお子さんを見ていて、「本当にすごいな」を思うばかりです。

ここでは簡単に、「理解できなくなってしまうお子さんに当てはまること」を解説していきます。

小学校カリキュラムの習得不足

少し専門的にいうと「文科省の指導要領」を理解できていないことも多いです。

中学受験カリキュラムに沿って勉強する場合、例えば「分数のかけ算・割り算」は4年生で習うことになりますが、これ本来は「6年生の1学期」に習うことなんですよね。

非受験のお子さんも指導した経験がありますが、分数の計算はどんなに短かくても約2週間ほどかけて、小学校の授業では扱われるイメージです。

しかし、中学受験のカリキュラムでは「1回90分の授業」で習うだけということもよくあります。

このような背景もあり、お子さんを見ていると「約分できないまま答える」「分数と割り算の関係を知らない」ということが浮き掘りになることもあります。

各単元を融合されるから難しくなる

例え「小学校のカリキュラム」「4年生で習った中学受験カリキュラムの基本」を習得できていたとしても、中学受験の算数を難しく感じはじめるのが5年生の2学期頃です。

この頃になると「各単元の融合問題」という側面をもつ問題を習うことが多くなります。

例えば以下の単元に出てくる問題は、「小学校で習う単元同士の融合問題」であると言えます。

・速さと比 (「速さ」と「比例」、「単位量あたりの大きさ」の融合)

・旅人算 (「速さと比」、「和差算」などの融合)

・仕事算 (「割合」「比」「最小公倍数」の融合)

・ほかにも「割合とつるかめ算」などなど

これらから分かることは、5年生以降の中学受験の算数では「この問題はこんな側面もあるし、一方であんな側面もある」というような見方が大事になるということです。

しかし、これまで「この問題はこう解く」といった感覚で「勉強してきたつもり」になってしまっているお子さんにとっては、このような見方をするのが難しいと感じる場面も多いです。

中学・高校数学の視点が必要になる

小学5年の2学期以降は、「中学・高校数学の先取り」も習います。

具体的には、以下の単元があてはまります。

・平面図形と面積比 (中学3年生で習う内容)

・いろいろな数列 (高校2年で習う内容も含む)

・いもづる算 (高校で習う「不定方程式」というもの)

これらをご覧になっていかがでしょうか。

確かに中学受験のカリキュラムに「つまずくことなく」ついていければ、「所々で中学1年の内容を含む考え方」も「知らず知らずの間」に習得できている場合もあります。

そのお陰で、上に書いたような「中学3年~高校2年の内容」を理解できるという、「中学受験カリキュラムの思惑」も、理論的には私は分かります。

ただ、「本当に理解して、問題を解くときに考え方を使えるようになる」には、単純に考えてぼう大な時間がかかります。

なのでそうした単元のうち、「小学生にも理解できる側面」のみ取り出して「中学受験の場合はこうして解きますよ!」と教わるのが、中学受験のカリキュラムなのです。

「勉強時間」にこだわりすぎている

これまで「カリキュラム」の理解が難しいことをお伝えしてきましたが、ここからは「勉強の仕方」に関する問題点について、書いていきますね。

まずよく「1日何時間勉強すれば良いのか」というご質問がありますが、ここまで難しい内容のものを理解するためには、結論からいうと「何時間でも勉強した方が良い」と言えます。

というのも、算数においては「解説を聴き、それが正しいかどうか判断して、なぜ正解できたのかを振り返る」という行動を通して、「考え方を身につけ、似た問題を解く際にそれを使う」ということが大事になるからです。

詳細は、こちらにも書いてありますので、ぜひご一読いただけると嬉しいです。

https://sugaku1bann.com/sidouhousin/

「2時間算数を勉強しています」と言われたところで、上に書いたようなことができていないのであれば、習ったことを理解できていない可能性も十分考えられます。

そもそも例えば「1時間勉強して理解できる」のであれば、それまで習ってきたことも、よく理解できているわけですし、逆に「どれだけ時間をかけても理解できない」のであれば、それまで習ったことも理解できていません。

算数の勉強では、「何時間やる」ではなく「理解するのにこれだけ時間かかった」と思えること、「いつ、何を、どの程度の時間やるか」ではなく「何をどのように学ぶか」という視点が大事です。

目標の成績を取るために大事なこと

成績が落ちてしまった以上、「次は高成績を取る」と思っても、算数の場合は「すぐに手をうたないと、成績が下がり続ける」という怖い一面があります。

ですので、一度成績が落ちてしまったときは、まずは「現状維持すべきところ」「確実にテストでできるところ」を把握し、「少しずつもとの成績に戻こと」「目標を明確にすること」が大事です。

そのために何が必要なのかについて、以下に書いていきますね。

まずは「ミス」をなくす

返ってきたテストを見て、「できたはずなのに✖がついている」という問題はありませんか?

そのような問題は、「ミス」によって点を落としてしまっていると考えられます。

「ミスがあったとしても、ケアレスミスで済まさない」という考え方が大事ですので、具体的に「どのようなタイミングで、どんなミスがあったのか」を振り返ってみて下さい。

ミスの種類については、こちらの記事でも詳しく書いていますので、ミスをなくすための参考にして下さい。

https://sugaku1bann.com/2021/11/20/minaosinosikata/

できない問題はやらない

「習ってきたこと全て」をやろうとしてはいませんか?

内容が難しい以上、「自分一人でできること」「自分一人ではできないこと」が必ずあります。

まずは家庭学習においては、「自分一人でできることを毎日やる」が基本です。

授業を聴いても理解できなかったことがあれば、「できたつもり」にせずに、後回しにするのも一つの作戦です。

家庭学習では「自分一人でできること」を「解説など何も見ずに正解できる状態」を作るようにすることが、優先順位としては高いです。

「一人でできないこと」は、もし家庭教師の先生などがついていれば、その先生と一緒に「定期的に復習しながら理解を深める!」程度の気持ちで勉強して問題ありません。

週一回必ず小テスト

予習シリーズの「総合回のページ」などを活用して、「どの問題がどの単元のものなのか」を判断できる力を身につけることが大事です。

よく「日々の単元テストはできるのに、公開模試はできない」というタイプのお子さんもいます。

そのような意味で、成績が下がってしまっているお子さんは、「テストの練習」ができていないことが多いです。

「テストの練習」とは、結局のところ「どの問題がどの単元のものなのか」を判断する練習です。

これができてくると、成績が上がること間違いなしです!

成績を上げるためにご家庭で必要なこと

親御さんが勉強を教えているご家庭もありますが、教えられなくても、「お子さんを応援する」という行動だけでも、お子さんは嬉しいものです。

「応援する」とは何を意味するのか、以下で簡単に書いていきますね。

まずは健康管理

例えば夜遅くまで勉強しているなど、それがお子さんの負担になっているのであれば、「勉強時間はここまで」と決めることが必要です。

私が見ている生徒さんは、みなさん元気なのですが、その秘訣は聞くところによると「勉強時間と遊びの時間をきっちり区別する」だそうです。

他にも「朝ごはんを食べる」「運動を適度にする」などなど、小学生のお子さんに必要なことは欠かすことないようにすることが大事です。

「その日できるようになったこと」をお子さんから聴く

親御さんが教えなくても、お子さんから「その日習ってきたこと」を聴き出せると良いですね。

「どんな問題を習ったのか」「どのようにしたらできたのか」などを一通り聴き、できたことを承認してあげて下さい。

勉強スケジュールは基本「お子さんが考える」

塾の宿題だけでも、ぼう大な量ですよね。

それらは「目標達成のために必要なこと」なので、しなければいけないことは確かなのですが、「どのように進めていくか」は、お子さん自身がまずは考えることが大事です。

お子さん自身が決めることで、「こんな計画だとなかなか進まなかったな」「逆にこうするとどの教科も無理なくできるな」などなど、「自分で決めてうまくいくこと・いかないこと」が分かります。

困ったときは「一緒に考える」というスタンスを取る

これが一番大事だと、個人的には思います。

困ったときに、一緒に解決策を考えてあげることで、「お子さん自身が、何をどのように考えているのか」「その結果、どんな課題がでてくるのか」がすぐに分かります。

今お子さんにとって何が大事なのかを知るには、話を聴き、お子さん自身が答えられるように会話することが大事だと、私も常に思います。

まとめ

5年生になり、算数の成績が下がってしまったとき、まず考えるべきことは「中学受験カリキュラムの難しさがどこにあるのか」「勉強の仕方に問題点がないかどうか」の2つです。

これらにおける問題点を把握した上で、「お子さんにとって、自分で解決できること (できないこと) 」「ご家庭全体で解決できること (できないこと) 」を明確にできることが大事になってきます。

解決できないことが見つかったときに、そこでようやく「個別の塾に行くのか、家庭教師の先生に来てもらうのか」「オンラインのサービスで解決できるのか」などの選択肢が見えてきます。

ぜひこの記事も参考にしていただき、何かお困事がありましたら、いつでもお問合わせいただけると嬉しいです。

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