「中学受験の志望校、偏差値で決めていいの?」「子どもに合う学校がわからない…」
そんな悩みを持つご家庭は多いです。
確かに偏差値は大切な指標のひとつですが、偏差値だけで決めると、入学後に“合わない”と感じることもあります。
この記事では、偏差値を活かしながら「お子さんに本当に合う志望校を見つける方法」を、家庭教師・受験指導の専門家が解説します。
中学受験の「志望校決め」で失敗するパターン
偏差値だけを基準にしてしまう
「模試の偏差値が60だからこの学校」「友達が目指しているから」という決め方は要注意。
偏差値は学力の目安であり、「合格しやすさ」を示すだけで、学校の校風や教育方針までは反映されません。
学校の教育方針を見落としている
学校によって、「自由な校風」「規律重視」「探究型」など教育スタイルは大きく異なります。
偏差値だけで選ぶと、子どもの性格や学び方と合わずに苦労するケースもあります。
偏差値は「3つのゾーン」で考えるのが基本
偏差値を活かして志望校を決めるときは、次の3ゾーンでバランスを取るのがコツです。
ゾーン | 学校の位置づけ | 偏差値の目安 |
---|---|---|
チャレンジ校 | 今の実力より少し上 | +3〜5 |
実力校 | 合格可能性が50〜60% | ±0 |
安全校 | 合格可能性が高い | −3〜5 |
ポイント:
・チャレンジ校は「夢」
・実力校は「現実」
・安全校は「安心」
の3つを揃えると、受験当日も精神的に安定します。
偏差値以外に見るべき「5つの志望校選び基準」
教育方針・校風が子どもに合うか
・自主性重視か、管理型か
・探究型か、知識重視か
・宗教教育・国際教育の有無
→ 学校説明会・文化祭で「生徒の雰囲気」「先生の言葉」を感じ取るのが大切です。
通学時間・通学経路の安全性
通学時間は片道1時間以内が目安。
朝早く夜遅い生活になると、体力的にも精神的にも負担が大きくなります。
入試傾向と得意科目の相性
同じ偏差値でも「算数重視」「国語重視」「総合型」など出題傾向が異なります。
算数が得意なら算数配点の高い学校、記述が得意なら国語重視校など、科目特性と合う学校を選ぶと成功率が上がります。
学校生活・部活動・校風
6年間通う場所だからこそ、学業以外の面も重視しましょう。
・制服や持ち物の自由度
・部活動や行事の活発さ
・人間関係の雰囲気
将来の進学実績・出口
中高一貫校では大学受験への進学実績も重要です。
ただし「東大〇人合格」といった数字だけでなく、学校がどういう進路サポートをしているかにも注目しましょう。
親子で話し合う「志望校決定の流れ」
ステップ | 内容 | 時期の目安 |
---|---|---|
① | 模試の成績・得意科目を分析 | 小5冬〜小6春 |
② | 家族で価値観・校風の希望を共有 | 小6春 |
③ | 学校説明会・文化祭に参加 | 小6春〜秋 |
④ | 模試偏差値と合格判定を参考に併願を組む | 小6秋 |
⑤ | 志望理由・通学計画を整理 | 小6冬 |
このプロセスを踏むと、「なんとなく選んだ」ではなく「納得して選んだ」志望校が見えてきます。
偏差値を超える「合格力」は、相性とモチベーション
偏差値が足りないように見えても、その学校を強く望む子ほど伸びることは珍しくありません。
「この学校に行きたい」という明確な理由があると、学習の質も格段に上がります。
模試の数字に一喜一憂せず、「志望校への想い」を軸に学習を続けることが、最終的な合格力になります。
よくある質問
Q1:偏差値が足りない学校を第一志望にしてもいい?
A:問題ありません。現時点の偏差値は“現状”を示すだけで、秋以降の追い込みで大きく変わります。目標を持つことが成長につながります。
Q2:塾の先生の勧める学校と子どもの希望が違うときは?
A:両方の意見を聞いた上で、最終判断は「子どもが6年間通う意欲を持てるか」で決めるのがベストです。
Q3:模試によって偏差値が違うのはなぜ?
A:模試ごとに受験者層や出題傾向が違うためです。必ず同じ模試での推移を比較しましょう。
まとめ:偏差値+子どもの“合う”で選ぶのが正解
中学受験の志望校選びは、偏差値だけを基準にしてはいけません。
大切なのは、偏差値(数字)と校風・価値観(感覚)の両方から判断すること。
この2つをバランスよく見極めることで、入学後も「この学校で良かった」と心から思える結果につながります。