「塾に通っているのに、なかなか算数の成績が上がらない」
「テストでは計算ミスやケアレスミスばかり…」
そんなお悩みを持つご家庭は多いでしょう。
実は、その原因の多くは“難問の理解不足”ではなく、“小学校内容の基礎理解不足”にあります。
中学受験の算数は、教科書レベルの内容を「深く・正確に使いこなす力」が問われる科目です。
つまり、基礎の土台が抜けていると、どんなに応用問題を練習しても伸びにくいのです。
この記事では、
- 成績が上がらない根本原因
- 家庭でできる基礎補強のやり方
- 苦手単元の洗い出しリスト
- 1週間の復習スケジュール表
をすべてまとめて解説します。
なぜ「小学校内容の理解不足」が成績に直結するのか
算数は“積み上げ型の教科”
算数は、「前の単元を理解していること」が次の学習に必ず必要になります。
たとえば――
- 分数の仕組みを理解していないと「割合」や「比」でつまずく
- 小数や単位の理解があいまいだと「速さ」や「図形」で混乱する
- 四則計算の手順を覚えていないと「文章題の式」が立てられない
このように、一つの理解不足が次の単元をすべて崩すのです。
よくある「小学校内容の抜け」3選
① 計算の意味を理解していない
「なぜ割るのか」「なぜかけるのか」を説明できないまま、機械的に計算しているケース。
→ 式の意味を考える練習をしないと、文章題で混乱します。
② 単位・量のイメージがない
「1m=100cm」「1L=1000mL」などを覚えていても、実際の大きさや重さの感覚が伴っていないと応用ができません。
③ 図や表を使って考えられない
「図を書いて整理する」習慣がないと、思考を可視化できません。
線分図・面積図・表を使う練習を小学校内容から身につけましょう。
塾で頑張っても伸びない子の共通点
- 新しい単元は理解できても、「前の内容」をすぐ忘れる
- 問題を「覚えて解く」だけで、「考え方」を理解していない
- 家庭学習で「丸つけ→やり直し」までできていない
つまり、“理解の土台”がないまま応用に入っている状態です。
塾で学ぶ内容は、基礎が固まっていれば吸収できるスピードがまったく違います。
家庭でできる基礎補強の方法
① 小学校内容を確認する時間を週1回つくる
「小学校の教科書」や「教科書ワーク」でOKです。
特に重要な3分野:
- 分数・小数・整数の計算
- 割合・比・単位量あたり
- 面積・体積・角度などの図形
② 「どうしてそうなるの?」を問いかける
親が答えを教えるよりも、「なぜそう思ったの?」と質問する方が効果的。
子ども自身が考えを言語化することで、本当の理解につながります。
③ 苦手単元を“見える化”する
漠然と「苦手」と思っている状態から、「何が・どのレベルで苦手か」を整理しましょう。
そのためのテンプレートを次で紹介します。
苦手単元リスト テンプレート
単元 | 理解度(◎〇△×) | よくあるミス・苦手ポイント | 対策・練習方法 | 再確認日 |
---|---|---|---|---|
分数のたし算・ひき算 | △ | 通分を忘れる、分母をそのまま足す | 同じ分母にして計算する練習を繰り返す | 10/25 |
割合 | × | 何を「もとにする量」とするか混乱 | 面積図で整理して練習 | 10/27 |
速さ | △ | 単位をそろえずに計算してしまう | 速さ=距離÷時間の整理練習 | 10/29 |
図形の角度 | ○ | 線対称・補角を忘れる | 図を描いて確認 | 11/1 |
小数のかけ算 | ◎ | 特になし | 維持練習のみ | ー |
🔸 使い方ポイント
- 「理解度」を△や×でつけるだけでも現状が明確になります。
- 苦手項目は週末にもう一度解き直し、「再確認日」で記録。
- リストを1か月単位で更新すると、成長が目に見えて実感できます。
家庭で使える基礎復習スケジュール表(1週間モデル)
曜日 | 復習内容 | 目的・ポイント | 使用教材例 |
---|---|---|---|
月 | 計算の基礎(整数・小数・分数) | 筆算の手順・式の意味を言語化 | 教科書ワーク・計算ドリル |
火 | 単位・長さ・重さ・かさ | 実感で理解。ペットボトル等で確認 | 家庭実験・プリント |
水 | 図形(面積・体積・角度) | 図を描く・公式の意味を確認 | 「図形の極」など |
木 | 割合・比・百分率 | 面積図で整理・文章題の意味理解 | 「割合・比ドリル」 |
金 | 文章題(線分図) | 式を立てる前に考える練習 | 塾プリント・算数文章題集 |
土 | 苦手単元復習 | 「苦手リスト」を見て補強 | 自作プリント・類題 |
日 | 小テスト+振り返り | 保護者と一緒に確認・承認 | ノート・確認テスト |
保護者ができる3つのサポート
- 「正解よりも過程」をほめる
→ 考え方・図の書き方・工夫を具体的に承認する - 「復習の時間」をスケジュール化
→ “時間があったらやる”ではなく、固定枠を設ける - 「先週よりできたこと」を共有する
→ 成長を見える形でフィードバックすることで継続力が上がる
よくある質問
Q1. 小学校内容の復習はいつから始めるのがベスト?
A. 小4〜小5のうちにスタートするのが理想です。受験直前になるほど時間が取りづらくなります。
Q2. 塾の勉強と両立できますか?
A. 1日15〜30分の基礎確認なら十分両立可能です。塾の宿題でわからなかった部分を「教科書に戻る」形で復習しましょう。
Q3. 苦手が多すぎて手が回りません…
A. まずは「最重要3単元(分数・割合・速さ)」に絞ってOKです。
ここを押さえるだけでも算数全体の理解度が格段に上がります。
まとめ
中学受験の算数は、「難しい問題が解けるか」よりも、小学校で学んだ内容を深く理解しているかが勝負の分かれ目です。
家庭学習では、
1️⃣ 苦手単元をリスト化して見える化
2️⃣ 毎週少しずつ基礎を復習
3️⃣ 「できた!」を親子で共有
この3ステップを繰り返すことで、算数の成績は確実に伸びていきます。
焦らず、確実に“理解の積み重ね”を続けていきましょう。