「cm と m がごちゃごちゃになる」「単位換算がいつまで経っても覚えられない…」
こうした悩みは、小学生の算数で最も多いつまずきポイントの一つです。
しかし、単位の理解は“暗記だけ”では絶対に伸びません。
この記事では、プロ家庭教師として300人以上の指導経験から、子どもが単位をスッと理解できるようになる最短ルートを解説します。
なぜ子どもは「単位」を苦手にするのか
①実物のイメージがないから
多くの子が「1m=100cm」を“文字”だけで覚えています。
イメージがないため、問題のたびに暗記を引っ張り出すので混乱します。
例:
- 1mは大体どれくらい? → イメージできない
- 1Lは牛乳パック1本分? → 結びついていない
分数・小数とリンクした瞬間に崩れる
「0.2m=20cm」など、単位 × 小数 × 比例が絡むと一気に理解が曖昧になります。
練習量が“部分的”で、体系化されていない
長さだけ、重さだけ、容量だけ…とバラバラに学ぶため、「単位という仕組み」そのものが理解できない状態になります。
単位を理解できるようになるための5つのステップ
ステップ① 実物で体感する(必須)
最初から式や問題集に入ると、ほぼ100%つまずきます。
おすすめは以下。
- ものさしで「10cm」「30cm」を測らせる
- 親の身長の近くに“約1mのひも”を貼って見せる
- 牛乳パックで1Lを確認する
- ペットボトルで500mLを触る
- 1kg=砂糖1袋で実感させる
体感 → 言葉 → 数字の順で学ぶと、理解の定着が桁違いに早いです。
ステップ② 「単位どうしの関係」を図でまとめる
単位換算は、まず表で可視化するのが鉄則。
長さの例
mm → cm → m → km
×10 ×100 ×1000
/10 /100 /1000
重さの例
g → kg → t
×1000 ×1000
/1000 /1000
矢印の方向が一定なので、子どもは “右は大きく、左は小さく”という感覚をつかめます。
ステップ③ “規則”を理解させる
単位は暗記ではなく規則性で覚えます。
- 「大きい単位 → 小さい単位」= 増える(×)
- 「小さい単位 → 大きい単位」= 減る(÷)
この“考え方”が定着すると小数・分数が入っても崩れなくなるのが最大のメリットです。
ステップ④ 10問×3セットの小テスト形式で反復
小学生は「短い問題をテンポよく」行うのが最も伸びます。
例:
1)150cm=( )m
2)0.3m=( )cm
3)2.5L=( )mL
4)4500g=( )kg
→ こうした“基礎換算”を10問×3セットで行うと劇的に伸びます。
ステップ⑤ 図形・速さ・割合の問題にリンクさせる
単位がわかっても、応用問題で単位ミスする子は多いです。
- 面積:cm² / m²
- 体積:cm³ / m³
- 速さ:m/s、km/h
- 割合:百分率(%)、小数
応用問題のたびに「まず単位を書き出す習慣」をつけるのが最大の対策になります。
単位換算を得意にするためのおすすめ練習法
「単位カード」を作って並べ替え
小学生に圧倒的に効果あり。
- mm / cm / m / km
- mg / g / kg
- mL / L
これらをカード化して、「大きい順に並べてみて」「隣の単位との関係を説明して」など、遊び感覚で理解が深まります。
「家の中で単位探しゲーム」
生活に算数を結びつけると、理解が一気に安定します。
例:
- キッチン → 500mL, 1L
- お風呂 → 200L前後
- ランドセル → 1kg前後
- 歩幅 → 40〜50cm
実体験による学びは最強です。
ミスしやすいパターンだけを集中練習
単位で多いミスは以下の3つ。
- 0.5m → 50cm の小数換算
- 1.2kg → 1200g の整数化
- 面積・体積で cm と cm² が混ざる
これをテーマ別に5分練習するだけで見違えるほど安定します。
「速さ」「割合」「体積」など応用単位のつまずき対策
◆ 速さ(m/s・km/h)
「1秒でどれだけ進む?」「1時間だと?」
→ “時間が変わると進む距離も変わる”という比例を体感させる。
◆ 割合(%)
%は「100あたりの量」。
例えば40%は「100のうち40」「1のうち0.4」というイメージが作れると、計算は自然と簡単になります。
◆ 面積・体積
もっとも混乱しやすい単位。
対策は一つだけ。
“最後に必ず単位を書く”
これは習慣化するとミスが激減します。
よくある質問
Q1. 暗記だけではダメですか?
→ ダメです。短期的には覚えてもすぐ混乱します。単位は「関係性」と「実体験」をセットで理解することで長期的に安定します。
Q2. 小3・小4でも応用問題から練習させるべき?
→ 基礎換算が固まってから。基礎が弱いまま応用に入ると“単位ミスだらけ”になります。
Q3. 「cm と cm²」を間違える子の対策は?
→ 図を描かせて「線(1次元)=cm」「面(2次元)=cm²」と整理すると改善します。
Q4. 家で親が教えるとケンカになります…
→ 測る遊び・単位探しゲームなど、
“教える” のではなく “一緒にやる” に変えると驚くほどスムーズになります。
まとめ
- 単位が苦手な原因は「実物のイメージ不足」「バラバラ学習」「規則性の理解不足」
- 最初は必ず 実物で体感 → 図で整理 → 規則理解 → 反復練習 → 応用へ
- 単位は“暗記科目”ではなく“仕組み理解の科目”
- 家の中の物を使った遊び感覚の学習が最も効果的
単位がわかるようになると、図形・速さ・割合・体積すべての成績が上がるので、算数全体の底力が一気に強くなります。
