「うちの子、計算が遅くて入試本番が心配…」
中学受験をご検討されている親御さんから、よくこの相談を頂きます。
ですが結論から言うと、計算スピードは“後から伸ばせる能力”であり、受験序盤〜中盤で本当に重視すべきは“正確性”です。
むしろ、早さばかり追ってしまうと
・ミスが増えて点数が安定しない
・計算に対する自信を失う
・応用問題への時間配分が崩れる
など、成績に悪影響を与えることすらあります。
この記事では、「なぜ正確性が先なのか?」「どのように家庭で練習すべきか?」を算数の専門家として、わかりやすく解説していきます。
なぜ計算スピードより正確性が大切なのか?
① 入試で求められるのは“安定した得点”だから
中学受験の算数では、まず“落とさない問題を確実に取ること”が合格への第一歩です。
そのために必要なのは「速さ」ではなく、確実に正解できる“安定感”。
・計算が遅くても、ミスが少ない子は得点が安定する
・速いけれどミスが多い子は、点数が乱高下する
入試本番は緊張もあるので、スピード型の子ほどミスで崩れやすいという特徴があります。
② スピードは“基礎が固まったあと”に初めて伸びる
計算スピードは、「正しい手順 × 正しい書き方 × 正しいクセ」が身についたあとに自然と伸びていきます。
正確性が不十分な状態でスピード練習をしても、
・数字の書き方が雑
・式を飛ばす
・小数・分数の仕組みが曖昧
など、悪いクセが固まってしまいます。
正確性 → 速さ、この順番が最短ルートです。
③ スピード重視は“自信を失わせる”危険がある
親御さんの「もっと早く!」という声かけは悪気がなくても、子どもにとってはプレッシャーになりやすいです。
その結果、
・焦ってミス
・叱られる
・さらに焦る
という悪循環に入り、算数が嫌いになることも。
まずは「丁寧にやればできる経験を積むこと」のほうが、長期的には圧倒的に重要です。
正確性を高めるための家庭学習のポイント
① “見直しの癖”を必ずつける
正確性の9割は見直しで決まります。
特に以下の3つは鉄則です。
- □を書いて「再計算」する
- 途中式を指で追いながらチェック
- 小数・分数は桁と分母を重点確認
「見直しをして点が上がった」という成功体験を積むと、子どもは丁寧に取り組むようになります。
② 途中式・筆算を“必ず書く”ことを徹底する
「頭だけで解く」「筆算を省略する」はミスの最大要因です。
途中式を書くことで
・考えが整理される
・数値のズレに気づける
・見直しがしやすい
というメリットがあります。
家庭での声かけは「ゆっくりでいいよ。丁寧に書こう」が効果的です。
③ 1日5分でいいので“同じ種類の計算”を繰り返す
スピードを上げるには、種類を固定した反復が最も効率的。
例えば
・小数の筆算だけの日
・分数のたし算だけの日
・逆算だけの日
のように、テーマをしぼって短時間で回すと“正確性 → 自動化 → スピード”の順でスムーズに上がります。
④「時間制限」は正確性が安定してから導入する
最初からタイマーを使う必要はありません。
むしろ正確性が安定するまではプレッシャーになることも。
基礎が固まってきたタイミングで「今日の問題、5分で解けるか挑戦してみる?」とゲーム感覚で取り入れると、子どもは喜んで取り組みます。
子どもが焦らず取り組める“親の声かけ”のコツ
①「早く」より「丁寧にできたね」を増やす
子どもは親御さんの言葉を非常に敏感に受け取ります。
NGワード:
- 「もっと早くしなさい」
- 「なんでこんなに遅いの?」
OKワード:
- 「丁寧にやれてえらいね」
- 「その書き方、とても見やすい!」
- 「落ち着いてやるとできるね」
正確性を褒めるほうが、結果的にスピードも伸びます。
② ミスは“叱る対象ではなく、改善のヒント”
ミスがあっても、「どうしてこうなったか」を一緒に確認する姿勢が大切です。
・写し間違い
・途中式の抜け
・桁のズレ
など、原因を見つけて直すだけで正確性は格段に上がります。
よくある質問
Q1:計算が遅い子は合格が難しいですか?
→ いいえ。正確性が高ければ十分に戦えます。入試本番の合格者の中にも、「計算が特別速いわけではないけれど、ミスが非常に少ない子」は多くいます。
Q2:スピード練習はいつから始めれば良いですか?
→ 正確性が安定してきたらでOKです。「間違えずに10問中9問以上できる」状態が目安です。
Q3:計算ドリルは毎日やるべき?
→ 毎日5〜10分の“短い習慣化”が効果的。長時間やるより、少しずつ続けるほうがスピードも正確性も伸びます。
まとめ:計算スピードは“後からついてくる”。まずは正確性を身につけよう
中学受験の算数で最優先すべきは「速さ」ではなく「ミスなく解き切る力」です。
正確性を磨くことで
✔ 得点が安定する
✔ 自信がつく
✔ 応用問題・図形問題に時間を回せる
✔ 結果としてスピードも上がる
という良い循環が生まれます。
そして何より、丁寧に考えて正しく解く経験は、算数を好きになる最大のきっかけ。
お子さんの成長を焦らず見守りながら、ぜひ“正確性重視”の学習を家庭で取り入れてみてください。
