中学受験算数の中でも、「水量とグラフ」は
- グラフが出てきた瞬間に手が止まる
- 計算はできるのに、なぜか間違える
- 親が見ても説明しづらい
と感じるご家庭が非常に多い単元です。
しかし実はこの単元、「才能」や「センス」ではなく、考え方の順番」を知っているかどうかで結果が大きく分かれます。
この記事では、
- 水量とグラフの正体
- 多くの子がつまずくポイント
- 家庭でできる正しい勉強法
を、中学受験指導の視点から分かりやすく解説します。
水量とグラフとはどんな問題か?
「水の量」+「時間」+「変化」を同時に扱う問題
水量とグラフの問題では、主に次の要素が組み合わされます。
- 容器に水を入れる・出す
- 水が一定の速さで増える・減る
- 途中で条件が変わる
- その様子をグラフで表す、または読み取る
なぜ「水量とグラフ」は難しく感じるのか?
理由① グラフで何を表現しているのか分からない
多くの子は、グラフを
- なんとなくの形
- 上がっている・下がっている
と「雰囲気」で見てしまいます。
しかし水量グラフは、1マス1マスに意味がある“数の集まり”です。
理由② 「変わっていない時間」が理解できない
水が入っても出てもいない時間帯 (=水量が変わらない時間) を正しく理解できないと、
- 横一直線の意味が分からない
- 面積や量がズレる
といったミスにつながります。
理由③ 式を立てる前にグラフを書いてしまう
本来は、
- 何が一定で
- 何が変わるのか
を整理してからグラフを書くべきですが、いきなりグラフを書き始めてしまう子が非常に多いです。
水量とグラフを解くときの正しい考え方
ステップ① 「増える」「減る」「止まる」を言葉で整理する
まずはグラフを書かせる前に、こう問いかけます。
- この時間、水はどうなっている?
- 入っている?
- 出ている?
- 何も起きていない?
👉 言葉で説明できてから、初めてグラフ
ステップ② グラフは「水量の変化」を描くもの
水量グラフの基本ルールは次の通りです。
- 右上がり:水が増えている
- 右下がり:水が減っている
- 横ばい:水量が変わらない
ここを丸暗記ではなく、意味で理解させることが重要です。
ステップ③ 「1分あたりの変化量」を必ず確認する
水量とグラフで最重要なのは、1分で何リットル増える(減る)のか。
この確認を飛ばすと、
- グラフの傾きがズレる
- 計算が合わない
という状態になります。
よくある間違いパターンと対策
間違い① グラフの高さ=水の量だと思っていない
👉 対策
「この点の高さは、水が何Lあるってこと?」と、毎回言葉にさせる。
間違い② 途中で条件が変わることに気づかない
👉 対策
- 「ここから何が変わった?」
- 「速さは同じ?」
と、条件の変化をチェックリスト化する。
間違い③ 計算は合っているのに答えが違う
👉 対策
答えを出した後に、「この答え、グラフと一致してる?」と必ず照らし合わせる。
家庭でできるおすすめ勉強法
① グラフを書かせる前に説明させる
紙に描かせる前に、
- 口で説明
- 指で空中にグラフをなぞる
これだけでも理解度が大きく変わります。
② 簡単すぎる問題を丁寧に
難問よりも、
- 条件がシンプル
- 変化が1〜2回だけ
の問題を、図・言葉・式すべてで説明できるまで繰り返すことが大切です。
③ 親は「教える」より「確認役」
親が解き方を説明するよりも、
- 「今は増えてる?」
- 「ここは止まってる?」
と質問役に回る方が、理解は深まります。
まとめ
- 水量とグラフは「複合問題」だが、才能は不要
- 苦手の原因は「グラフの意味理解不足」
- 言葉 → 数 → グラフの順で考える
- 家庭では“説明させる”ことが最大の対策
水量とグラフは、
正しく理解できれば得点源になりやすい単元です。
もし
- 何度やっても同じところでつまずく
- 親が説明しても伝わらない
という場合は、考え方の順番そのものを見直すサポートが必要かもしれません。
