「塾の算数についていけていない気がする」
「このままでは中学受験に間に合わないのでは…」
中学受験を目指す中で、算数に苦手意識を持つお子さんを見て、こうした不安を感じている親御さんは少なくありません。
しかし、はっきりお伝えします。
算数が苦手な場合、塾のカリキュラムに無理についていく必要はありません。
算数は、積み上げ型の教科です。
分からないまま進めば進むほど、苦しさは増えていきます。
逆に言えば、「その子が理解できる単元からやり直す」ことで、必ず立て直すことができる教科でもあります。
この記事では、
- 塾の進度に合わせなくてよい理由
- 理解できる単元から学ぶことの重要性
- 「今は分からなくてもいい」という考え方
を、親御さん向けに分かりやすく解説します。
算数が苦手なら、塾のカリキュラムに無理についていかなくていい
塾の進度は「平均的な子」に合わせて作られている
多くの集団塾のカリキュラムは、「ある程度理解できる子」を前提に設計されています。
そのため、
- 1回の授業で理解できない
- 宿題をこなすだけで精一杯
- 解説を聞いてもピンとこない
という状態になるのは、決して珍しいことではありません。
ついていこうとするほど、算数が嫌いになる
算数が苦手な子にとって一番避けたいのは「分からないまま先へ進み続けること」です。
これを続けると、
- 「算数=分からない教科」という固定観念
- 自信の喪失
- 勉強そのものへの拒否感
につながりやすくなります。
その子が「理解できる単元」から学ぶことが最優先
学年を下げて学び直すことは「後退」ではない
算数の学習で重要なのは、今どの学年かではありません。
重要なのは、その子が「理解できているかどうか」です。
小4・小5・小6であっても、
- 小3レベルの計算
- 割合や分数の基礎
- 図を使った簡単な文章題
からやり直すことは、むしろ最短ルートです。
「分かる」経験を積み重ねることが最大の近道
理解できる単元から学ぶと、
- 問題が解ける
- 正解できる
- 自信がつく
という好循環が生まれます。
算数は、できるようになると一気に伸びる教科です。
そのきっかけを作ることが、何より大切です。
算数が苦手な子向け|学び直しチェックリスト
以下は、「今どこから学び直すべきか」を判断するためのチェックリストです。
3つ以上当てはまる場合は、塾の進度よりも学び直しを優先することをおすすめします。
基礎理解チェック
- ☐ 四則計算(+−×÷)で計算ミスが頻発する
- ☐ 分数・小数の意味を説明できない
- ☐ 途中式を書かず、暗算で処理しようとする
- ☐ 計算問題だけでも時間が足りなくなる
文章題チェック
- ☐ 問題文を読んでも「何を聞かれているか」分からない
- ☐ 図や線分図を自分から描かない
- ☐ 解説を見ても「なぜその式になるか」理解できない
- ☐ 同じような問題を何度も間違える
学習態度・心理面チェック
- ☐ 算数の宿題に強い拒否反応がある
- ☐ 「どうせ無理」「分からない」が口癖になっている
- ☐ テスト前でも算数を避けたがる
- ☐ 正解しても自信なさそう
👉 チェックが多いほど、「今のレベルが合っていない」サインです。
偏差値40台の子向け|算数の具体的学習ロードマップ
ここでは、算数が苦手な子が“現実的に伸びる”ための段階別ロードマップを示します。
「学年」ではなく「理解度」基準です。
STEP① 学年を下げて「計算の土台」を作る(1〜2か月)
目標
- 計算に対する不安をなくす
- 「考えれば解ける」という感覚を取り戻す
学習内容
- 四則計算(繰り上がり・繰り下がり含む)
- 分数・小数の意味と計算
- 毎日5〜10分の計算練習(量より正確さ)
ポイント
✔ 制限時間を設けない
✔ 必ず途中式を書く
✔ 正解体験を最優先
STEP② 図を使った超基本の文章題に集中(1〜2か月)
目標
- 文章題への拒否感をなくす
- 「図にすると分かる」を体感する
学習内容
- 足し算・引き算の文章題
- 線分図を使う問題
- 「何が分かっていて、何を求めるか」を言語化
ポイント
✔ 難問・応用は一切不要
✔ 図を描いたら半分成功
✔ 解説を“読むだけ”で終わらせない
STEP③ 入試頻出単元の「基礎だけ」を拾う(2〜3か月)
目標
- 中学受験算数への橋渡し
- 偏差値40台に乗せる土台作り
学習内容(基礎限定)
- 割合
- 速さ
- 図形(面積・角度の基本)
- 規則性の簡単な問題
ポイント
✔ 1単元につき「基本問題のみ」
✔ 正答率7〜8割で次へ
✔ 難しい問題はやらない勇気
STEP④ 塾教材・過去問に戻るかを判断する
この段階で、
- 基本問題が自力で解ける
- 解説を読めば納得できる
- 算数への拒否感が減っている
のであれば、塾教材への復帰や過去問演習を検討します。
今分からなくても、理解できる学年で学び直せばいい
脳の発達には「理解できるタイミング」がある
抽象的な内容(割合・速さ・比・図形など)は、
- 低学年では理解が難しい
- 成長とともに急に分かるようになる
ということがよくあります。
「今分からない=能力がない」ではありません。
焦らせるより、「待つ」勇気が必要なこともある
無理に詰め込むよりも、
- 一度距離を置く
- 基礎を固める
- 時期を待って再挑戦する
こうした判断が、結果的に合格につながるケースは非常に多いです。
④ 親ができる一番大切なサポートとは
「塾についていけない=ダメ」ではないと伝える
親御さんの声かけ一つで、子どもの受け取り方は大きく変わります。
❌「なんでこんなことも分からないの?」
⭕「今は難しいだけ。分かるところからやろう」
この違いが、算数への向き合い方を左右します。
勉強の方向性を「整理」してあげる
親がすべて教える必要はありません。
大切なのは、
- どこからやるか
- 何をやらなくていいか
を整理してあげることです。
よくある質問集
Q1. 塾の進度を無視しても大丈夫でしょうか?
A. 大丈夫です。算数は積み上げ教科なので、理解できていない状態で進む方がリスクが高いです。
Q2. 学年を下げて勉強すると受験に間に合いませんか?
A. 間に合わないどころか、結果的に伸びるケースが多いです。基礎が固まると応用は一気に理解できます。
Q3. 子どもが「もう算数は無理」と言っています。
A. 多くの場合、「内容が難しすぎる」だけです。レベルを下げて成功体験を積ませてください。
まとめ
中学受験の算数が苦手な場合、
- 塾のカリキュラムに無理についていかなくていい
- その子が理解できる単元から学べばいい
- 今分からなくても、理解できる時期に学び直せばいい
この考え方を持つことが、算数を立て直す第一歩です。
算数は、「早く進んだ子」が勝つ教科ではありません。
「分かった子」が、最後に伸びる教科です。
どうか焦らず、比べず、その子の理解できる一歩から、もう一度始めてあげてください。
