速さの問題を「は・じ・き」で考えても良いの?この疑問を徹底解説

「速さの問題は は・じ・き で解きましょう」

算数の学習でよく聞く言葉ですが、中学受験レベルになると急につまずく子が多いのも速さの単元です。

  • は・じ・きは使っているのに、応用問題が解けない
  • 途中で速さが変わると混乱する
  • 計算は合っているのに、意味が分かっていない

その原因の多くは、「速さ」を数式としてしか捉えていないことにあります。

この記事では、
✔ 速さを「単位時間あたりに進む(と思われる)距離」として捉える重要性
✔ は・じ・きの正しい使い方と危険な使い方
✔ 中学受験で本当に通用する速さの考え方
を、算数が苦手な子にも分かる形で丁寧に解説します。

結論:は・じ・きは使ってよい。ただし「速さの意味」を理解していることが絶対条件

結論から言うと、は・じ・きを使って考えても問題ありません。

しかしそれは、速さを「単位時間あたりに進む距離」として理解している場合に限るという、大きな前提があります。

この理解がないまま使う は・じ・き は、公式暗記ツールになり、応用問題で必ず破綻します。

そもそも「速さ」とは何か?

速さは、式で書くと

  • 速さ = 距離 ÷ 時間

ですが、この式を丸暗記することが目的ではありません。

本質は次の一文です。

速さとは、「単位時間(1時間・1分・1秒)あたりに進む(と考えられる)距離」である

たとえば、

  • 時速60km
    →「1時間あたりに60km進む と考えられる
  • 分速80m
    →「1分あたりに80m進む と考えられる

この
👉 「単位時間あたり」
👉 「進むと考える」
という感覚が、速さのすべての土台になります。

なぜ「と思われる」が重要なのか?

実際には、

  • 人は常に一定の速さで歩いているわけではありません
  • 車も加速・減速しています

それでも算数では、平均的に見て「このくらいの速さで進んだ」と考えるという約束で問題を解いています。

この「実際の動き」ではなく「単位時間あたりに換算した距離」として速さを捉えられるかどうかが、理解の分かれ目になります。

は・じ・きの正体は「単位時間あたり」の整理図

は・じ・きは、

  • は(速さ)
  • じ(時間)
  • き(距離)

を整理した図ですが、本質はこうです。

速さ × 時間 = 距離「単位時間あたりの距離」を、何時間分(何分分)積み重ねたか

つまり、は・じ・きは「単位時間あたりにどれだけ進むか」を確認するための補助図にすぎません。

は・じ・きを使ってよいケース

① 一定の速さで進む基本問題

時速4kmで3時間歩きました。何km進みましたか?

この場合、

  • 1時間で4km
  • それが3時間分

と考えられるので、

4 × 3 = 12km

ここでは、は・じ・きを使っても問題ありません。

考え方と図が一致しているからです。

② 速さの意味を確認する段階

学習初期では、

  • なぜ掛け算になるのか
  • なぜ割り算になるのか

を説明するために、は・じ・きはとても有効です。

ただし、「速さ=単位時間あたりの距離」を必ずセットで理解させる必要があります。

は・じ・きが危険になる瞬間

① 応用問題になると破綻する

中学受験では、

  • 途中で速さが変わる
  • 行きと帰りで条件が違う
  • 2人・2台が同時に動く
  • 速さの比が出てくる

といった問題が頻出します。

これらはすべて、「単位時間あたりにどれだけ進むか」をどう揃えるかが問われています。

は・じ・きに数字を当てはめるだけでは、この構造が見えません。

② 「とりあえず割る・掛ける」思考になる

は・じ・き依存の子に多いのが、

  • 問題文を最後まで読まない
  • 図を描かない
  • なぜその計算か説明できない

という状態です。

これは、速さを「数式」としてしか理解していない証拠です。

中学受験で通用する速さの考え方

中学受験で本当に必要なのは「速さ = 単位時間あたりの距」という視点で、

  • 時間をそろえる
  • 距離をそろえる
  • 面積図・線分図で考える

ことです。

速さの問題は、「単位時間をそろえたとき、どれだけ進むか」「同じ時間で比べたらどうなるか」を考える問題だと分かると、一気に見通しが良くなります。

家庭でできる正しい使い分けルール

ルール①

まず「1時間(1分)でどれだけ進む?」と口で説明させる

→ 単位時間あたりの感覚を言語化

ルール②

図を書いてから計算する

→ は・じ・きは最後の確認用

ルール③

応用問題では、は・じ・きを使わせない

→ 構造理解を優先

偏差値30〜40台向け「速さの超基礎ステップ」

速さが苦手な子の多くは、いきなり問題演習に入ってしまっていることが原因です。

まずは、次の超基礎ステップを踏んでください。

STEP①「1時間でどれだけ進む?」を言葉で言えるようにする

最初にやるべきことは、計算ではありません。

たとえば、

  • 時速6km
    →「1時間で6km進む
  • 分速80m
    →「1分で80m進む

これを
✔ 声に出して
✔ 毎回言わせる

ここがすべての出発点です。

この説明ができないうちは、問題を解かせないでOKです。

STEP②「単位時間」をそろえる練習だけをする

次にやるのは、距離を求めることではありません

  • 1時間
  • 1分
  • 1秒

といった単位時間を意識する練習だけを行います。

例)

時速4kmは、30分だとどれくらい?

このとき、

  • いきなり式を書く → ❌
  • 「30分は1時間の半分」と言う → ⭕

単位時間の変換が、速さ理解の核心です。

STEP③「速さ × 時間 = 距離」を“積み重ね”で考える

ここで初めて計算に入ります。

  • 1時間で4km
  • それが3時間分

同じ距離を3回積み重ねる

このイメージを持たせてから、

4 × 3 = 12km

と計算します。

※ は・じ・きはこの確認用として最後に使うだけで十分です。

STEP④「途中で変わる速さ」は絶対に後回し

偏差値30〜40台の段階では、

  • 途中で速さが変わる
  • 2人同時に動く

といった問題は、今は不要です。

まずは、

✔ 一定の速さ
✔ 単位時間がそろっている

問題だけを完璧にしてください。

図が描けない子専用の指導法

「図を描きなさい」と言っても、描けない子はどう描けばいいか分かっていません

そこで、次の順番で指導します。

① いきなり図を描かせない

まずやるのは、文章を図に変えない代わりに、

  • 「1時間でどれくらい進むの?」
  • 「それが何時間分?」

言葉だけで確認します。

② 図ではなく「区切り」を描かせる

いきなり立派な図は不要です。

まずは、

|——|——|——|

のように、時間の分だけ区切るだけでOK。

  • 1時間ごとに1区切り
  • 各区切りが同じ長さ

これが、速さの図の正体です。

③ 距離を書かせる前に「単位時間」を書かせる

多くの子は、いきなり「km」「m」を書こうとして止まります。

そうではなく、

  • ① 1時間
  • ② 1時間
  • ③ 1時間

時間を書く → 後から距離を書く順番にします。

👉 図が描けないのではなく、
👉 描く順番を知らないだけのケースがほとんどです。

④ 面積図・線分図は「答え合わせ用」

最初から完成図を目指さなくてOKです。

  • 計算後に
  • 「今の考え、図にするとこうなるね」

後づけで図を完成させる方が、理解が定着しやすいです。

よくある質問集(FAQ)

Q1. は・じ・きを完全に禁止した方がいいですか?

A. 禁止する必要はありません。ただし、
👉 最初に使わせない
👉 考えたあとに使う
というルールは必要です。

Q2. 図を描かせると嫌がります。どうすれば?

A. 正式な図を求めすぎです。

  • 線を引くだけ
  • 区切るだけ

で十分です。「きれいに描く」必要はありません。

Q3. 速さの公式を覚えさせた方が早くないですか?

A. 短期的には早いですが、必ず伸び悩みます。

公式は、「単位時間あたりに進む距離」が分かったあとに使うものです。

Q4. いつから応用問題に進めばいいですか?

A. 次の2つが言えたらOKです。

  • 「速さって何?」→ 単位時間あたりの距離
  • 「なぜこの式?」→ 言葉で説明できる

これが言えないうちは、基礎に戻りましょう。

Q5. 家庭学習では何を一番意識すべきですか?

A. 毎回これを聞いてください。

「1時間(1分)で、どれくらい進むの?」この一言だけで、速さの理解は大きく変わります。

まとめ|速さが苦手な子ほど「超基礎」に価値がある

  • 速さの本質は
    👉 単位時間あたりに進む(と考えられる)距離
  • は・じ・きは確認用
  • 図は「区切る」ことから
  • 偏差値30〜40台では、応用より基礎が最優先

速さは、正しい順序で学び直せば、必ず伸びる単元です。

もし今、

  • 何度教えても速さが定着しない
  • 図を描けずに止まってしまう
  • 公式だけで解こうとしている

のであれば、今日から「単位時間あたり」の視点に立ち返ってください。

それだけで、速さの見え方は大きく変わります。

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