「場合の数」は中学受験算数の中でも得点差がつきやすい単元です。
図形や計算が得意でも、「どう数えればいいか分からない」「抜け漏れがある」と悩む子が多くいます。
しかし、正しい手順と考え方を身につければ、短期間で大きく伸ばせる単元でもあります。
今回は、「場合の数」を得意にするための具体的な勉強法と家庭でのサポート方法を解説します。
なぜ「場合の数」が苦手になりやすいのか
計算より「思考力」が求められる単元だから
「場合の数」は、公式を当てはめるだけでは解けません。
「順列」「組み合わせ」「並べ方」「選び方」など、条件を整理して数を漏れなく数える力が必要です。
つまり、「理解→整理→図に表す→数える」という思考の流れがポイントになります。
「順序」「条件整理」があいまいなまま進む
たとえば「赤・青・黄のカードを並べる場合」などで、順序を区別するのか、同じものをまとめるのかがあいまいなまま数えてしまうと、間違えやすくなります。
条件を言葉で整理できるかどうかが、苦手克服の第一歩です。
「場合の数」を得意にする3つのステップ
絵や表を使って「すべて書き出す」
最初のうちは、「全部書く」ことが大切です。
カード・コイン・サイコロなど、具体的なイメージをもとに書き出すことで、「数え方のルール」を自分の目で確認できます。
例:「赤・青・黄」3枚のカードを並べる場合
→ 全ての並びをノートに書き出し、「順序を変えると別の並びになる」ことを体感します。樹形図を使って整理する
次に「抜けや重なり」を防ぐために、樹形図(じゅけいず)を使って整理します。
最初の選択肢から順に枝を伸ばしていくと、どんな条件下でも確実に全パターンを網羅できます。
例えば「じゃんけん」や「サイコロの出方」を樹形図で整理すると、「数え間違いが減る」「条件を視覚的に理解できる」ようになります。
公式やパターンで整理する
最後に、書き出しや樹形図で得たパターンを「公式」や「ルール」にあてはめてみます。
- 並べ方:順列(例:3×2×1= 6通り)
- 選び方:組み合わせ(例:(3×2)÷(2×1) = 3通り)
- 条件つき:「固定」「除外」を使う
これを「考え方のテンプレート」にすると、どんな問題でも落ち着いて整理できます。
家庭でできる「場合の数」練習法
日常の中に“数え方”を取り入れる
- 洋服の組み合わせ(シャツ3枚×ズボン2本=6通り)
- アイスのトッピング(3種類から2つ選ぶ)
- 席順(家族3人の並び替え)
こうした身近な事例で遊びながら考えると、自然と「順列・組み合わせ」の感覚が身につきます。
ノートに「条件整理」を書く練習
問題文を読んだら、いきなり数えずに次のように整理しましょう。
- 「何を選ぶ/並べる問題か」
- 「順番を区別するのか」
- 「同じものはあるのか」
- 「条件(使えない・重複OKなど)」
これを毎回書くクセをつけるだけで、正答率が劇的に上がります。
塾の例題→類題→節末問題の循環演習
場合の数は、「同じ構造を繰り返す練習」が最も効果的です。
塾教材では、例題で考え方を確認したあと、類題や節末問題を3日以内に復習しましょう。
時間を空けると、思考の流れを忘れてしまうため、短期の反復が大切です。
保護者ができるサポート法
- 子どもが立ち止まったら、「順序を区別する?」「表にしてみようか?」と声かけする
- ノートの整理を一緒に見て、「書き出し方・樹形図の正しさ」をチェック
- 正解よりも「数え方の手順」を褒める
- 家族で「並べ替えクイズ」などをして、楽しく復習する
「結果」よりも「考え方を整理する姿勢」を認めてあげることが、長期的な得意化につながります。
よくある質問
Q1. 場合の数の公式を覚えるだけではダメですか?
A. 覚えるだけでは応用問題に対応できません。まずは「全部書き出す」→「整理する」→「ルール化する」順番を大切にしましょう。
Q2. 樹形図を描くのが面倒で途中でやめてしまいます。
A. 最初のうちは描く量を減らして構いません。3つまでの選択で確実に整理できればOK。徐々に頭の中で展開できるようになります。
Q3. 苦手な子にどれくらいの期間で得意になりますか?
A. 正しい手順で毎日15〜20分の練習を続ければ、2〜3週間で「整理の型」が身につくことが多いです。
まとめ
- 場合の数は「書き出し」「樹形図」「ルール化」で得意になる
- 公式暗記ではなく、「条件整理」がカギ
- 家庭でも「組み合わせ」「順列」を意識した会話や遊びを取り入れる
- 「考え方を言葉で説明できる」ようになれば、受験本番でも安定して得点できる
