「規則性」は、中学受験算数の中でも合否を左右する“思考力系”の代表単元です。
しかし多くの子が、「最初はわかるのに途中でわからなくなる」「何を整理すれば良いかわからない」という状態に陥ります。
実はこれ、センス不足ではなく“勉強の順番”が間違っているだけです。
規則性は、図と表の描き方・考え方の整理・典型パターンの理解という3つを正しく積み上げれば、どんな子でも確実に得意分野になります。
本記事では、プロ家庭教師の視点から伸びる子が必ず守っている勉強の型と、家庭でできる具体的トレーニングを完全ガイドします。
なぜ「規則性」が苦手になるのか|つまずきポイントと原因分析
① 図と表を省略してしまう
規則性は、頭の中だけで考えた瞬間に迷子になります。
特に、「増え方」「並び方」「周期」などの情報は文章だけでは整理しきれません。
「図や表を作らない=途中で詰まる」という方程式が成り立つ単元です。
② 部分的な理解で先に進んでしまう
規則性は「例(第1図、第2図…)」を正確に押さえることで規則が見えてきます。
ところが苦手な子ほど、
- 大事な部分を飛ばす
- 「たぶんこうだろう」で一般化する
- 「早く式にしたい」と焦る
といった行動に走ります。
結果として“自分が何を求めているか”が途中でわからなくなるという状態が起きます。
③ 規則の“種類”を知らないまま挑む
規則性には出題されやすい典型パターンが存在します。
これを知らずに問題に取り組むと、「初めての問題」に見えてしまい、必要以上に難しく感じます。
規則性を得意にする「考え方の型」|全ての問題に使える5ステップ
規則性は公式ではなく、考え方の型(思考手順)を身につける科目です。
どの問題でも使える万能ステップは次の通り。
① 条件を短くメモする
問題文を読んだ直後の最初の作業です。
・何が増える?
・何が並ぶ?
・どこで繰り返す?
を3行以内にメモします。
② 図・表に“機械的に”落とし込む
ここは手を止めず、作業として淡々と行うのがポイントです。
- 並び方 → 必ず図を書く
- 増え方 → 必ず表を書く
- 周期 → 周期表(〇→△→□→〇…)を書く
これができるだけで規則性の問題は半分解けます。
③「何が、どのくらいの間隔で、どう変わるか」を言語化
規則性は、変化の仕組みさえ言葉で整理できれば必ず一般化できます。
例:
「前の数に+3ずつ増える」
「3つの記号が順番に繰り返す」
「1段増えると玉が4個増える」
④ 具体例(第1図〜第3図)から規則を読み取る
いきなり第n図を描ける必要はありません。
むしろ第1〜3図を丁寧に描けないと一般化もできません。
重要なのは「例をバカにしないこと」です。
⑤ 一般化して式に落とし込む
最後に、整理した規則を式・関係式に落とします。
- 等差型:初項 +(増える量 ×(n−1))
- 周期型:n÷周期 → あまりを見る
- 並び方型:「段」「行」「列」の関係を式化
- 増え方型:増分を累積する表で計算
全てここに帰着できます。
規則性の典型パターンと攻略ポイント|“どこで差がつくか”を明確化
① 等差・等比に似た「数の増え方」
規則性の中でも頻度が高い王道パターン。
◎攻略ポイント
- 「前との差」を必ず書く
- 表に入れる数字を飛ばさない
- n番目を求めるときは
スタート → 増える量 → 何回増えたか
の3点に分解
② 周期のある並び(色・記号・動きの繰り返し)
周期性が見抜けると一気に時間短縮できます。
◎攻略ポイント
- 周期表を作る(例:A→B→C→A…)
- 「何番目?」の問題は**“周期で割ったあまり”**を使いこなす
- 長い並びの問題は、最初の10〜20個だけ丁寧に書くと規則が浮かぶ
③ 図形の並び方・点の移動(視覚系)
図を書くことで一気に理解が深まるタイプ。
◎攻略ポイント
- 「第n図の形」を文章ではなく図に描けることが決定的に重要
- “1段増えると何が何個増えるか”を言語化
- 可能なら線・角・点を色分けし、変化を見える化する
④ フィボナッチ型(前2つを足して増える)
頻出ではないが、ハマると面白いタイプ。
◎攻略ポイント
- 表を作り「2つ前との関係」を明記
- 仕組みを理解すれば深追い不要
- 志望校に出る場合のみ追加演習
規則性が“確実に伸びる”家庭学習法|親子でできるトレーニング
① 問題を解かず「表づくりだけ」を10分やる
表の作り方がうまい子は、規則性全般が強くなります。
短時間ででき、効果が非常に高いトレーニング。
② 「第1図〜第3図」を描く練習を習慣化
図を書くのが苦手な子ほど急成長します。
図の上手い下手は関係ありません。大事なのは構造をつかむこと。
③ どうしてそう思ったのか“説明させる習慣”
説明できる=理解できている証拠。
説明できないところが、お子さんの伸びしろです。
④ 学校・塾の過去問で「その学校らしさ」をつかむ
規則性は学校ごとの“クセ”が非常に強い単元です。
早めに傾向を知ることで、無駄な演習を減らせます。
1か月で規則性の基礎を固める学習プラン(モデル)
1週目:図・表だけの練習
表づくり・図示トレーニングで基礎体力をつける。
2週目:典型パターンを一通り押さえる
等差・周期・並び方の3大パターンを集中的に練習。
3週目:レベル別問題集+塾のテキストに取り組む
ここで「考え方の型」が習得され始める。
4週目:志望校の過去問で実戦力UP
本番形式で思考の切り替えを鍛える。
まとめ|規則性は“正しい順番”で学べば誰でも伸びる単元
- 規則性はセンスではなく思考の型
- 図と表の作り方が点数を分ける
- 典型パターンを知れば初見問題にも強くなる
- 家庭では「図・表・説明」の3つを習慣化
- 1か月で基礎を固めることは十分可能
規則性を得意にした子は、カレンダー問題・場合の数・点の移動など、他単元の成績も一気に上がります。
ぜひこの記事を参考に、今日から実践してみてください。
