中学受験の算数において、「平均」の問題は一見すると簡単そうに見えます。
しかし、実際には入試本番で差がつく単元の一つ。
単なる計算だけでなく、平均=全体量 ÷ 個数という本質的な理解、和の考え方(全体の合計)、さらに文章読解力まで必要になるためです。
この記事では、
- 「平均の問題が苦手な理由」
- 「得意になるための本質理解」
- 「今日からできる勉強方法」
- 「入試レベルの応用問題に勝つための視点」
をわかりやすく解説します。
中学受験で「平均の問題」ができない理由
平均の問題でつまずく子には、共通した原因があります。
①「平均=合計÷個数」が表面的な理解で止まっている
平均を“計算の手順”としてしか覚えていないと、文章問題で対応できません。
本来の平均は、全員が同じ量になる“そろえ”の考え方です。
■例
5人の平均点が80点
→ 全員が80点持っているのと同じ(=合計400点)
この「そろえる」イメージを持てないと、合計が動く問題で混乱します。
②「合計」を軸に考える習慣がない
平均の問題の大半は、合計がいくらかを先に出すことが必要です。
ところが、「平均」「人数」だけに注目してしまい、合計の議論を忘れます。
③平均の“増減”を理解していない
よく出る問題の一つが
- ある人が入ると平均が〇点上がった
- ある人が抜けると平均が下がった
などの平均の変化。
このタイプは、「増えた平均 × 人数 = 合計の増加分」という関係を知らないと難しく感じてしまいます。
平均の問題を得意にするために必要な3つの力
①「平均=そろえる」のイメージ理解
平均とは「ばらつきを平均値にそろえたときの1人分の量」。
これは入試レベルでも超重要な発想です。
●そろえる練習
例えば、
- 5人の平均が70点
- Aさんが80点
Aさんは“平均より10点多い” → グラフや図でそろえると理解が深まります。
②「合計」「差の合計」で考える習慣をつける
平均の問題は、合計の推移を追うだけで解ける問題がほとんどです。
●例題イメージ
- 平均が2点上がった
- 人数は30人
→ 2×30=60点、合計が60点増えたとわかる
(入ってきた生徒が平均より60点多く点を持っている、など)
この“合計ベースの思考”ができると、複雑な問題でも一気に整理できます。
③「増減」の考え方を立式できること
合格者は、平均の増減を聞かれたらすぐに次の式を使います:
●増減の公式
- 平均がA上がった
- 人数がN人
⇒ 合計の増加分=A×N
文章問題にすると複雑に見えますが、実際はこの1本で解けるケースが多いです。
今日からできる「平均の問題」を得意にする勉強法
①計算問題で「合計」を優先して求める練習
塾のテキストの基礎レベルで、
- 平均×人数=合計
の関係を徹底して練習します。
②図や表を必ず使って整理する
平均が苦手な子は、
- 頭の中だけで考える
- 文章だけ追う
という特徴があります。
視覚化することで、
- どれだけ増えたか
- 誰が平均より何点多いか
- 全体の合計がどう変化するか
が一目でわかります。
③「増減パターン」を10問だけ完璧にする
平均の応用問題は、実はパターン数が少ないです。
特に必須は以下の3つ:
- ある人が入る/抜ける
- グループを合体する/分ける
- 平均が一定のまま合計や人数だけ動く
この3つのパターンを練習すると、ほぼ全ての応用問題に対応できます。
入試で点が取れる「平均」攻略のコツ
①平均ではなく“合計”を主役にする
まず合計、次に平均。
これを逆にすると解けなくなります。
②「何が変わったのか」を一行で書く
合計?人数?平均?
どれがどう変わったのかを書く癖をつければ、文章量が多い問題でも迷いません。
③複雑な問題ほど“図”が効く
難関校ほど「図の有無」で決まります。
特に棒グラフ的な“そろえる図”は即効性があります。
よくある質問
Q1:子どもが「平均はわかる」と言うのに文章題になるとできません
A:それは「平均=手順」になっている証拠です。図で“そろえる”ことをやらせると理解が一気に深まります。
Q2:「増減」の問題が特にできません
A:「平均の変化 × 人数 = 合計の変化」を覚えるだけで劇的に解けるようになります。特に、入った人/抜けた人の点数を求める問題で効果的です。
Q3:どのテキストで鍛えられますか?
A:四谷大塚・予習シリーズの例題レベル、サピックス基礎教材、塾の計算問題集で十分です。重要なのは「図を書く」「合計に注目する」習慣です。
まとめ
平均の問題を得意にするには、
- 平均=そろえるの本質理解
- 合計ベースで考える力
- 平均の増減を数式でとらえる力
が必須です。
平均は「一度コツをつかむと、ほぼ落とさなくなる単元」。
逆に苦手のまま進むと、入試本番で大きく点を落とします。
今日から
- 図を書き
- 合計を意識し
- パターン練習
をするだけで、確実に得点源になります。
