算数の勉強を見ていると、子どもがすぐにこう言うことがあります。
「あ、分かった!」
親としては「良かった」「じゃあ次に進もう」と思いたくなりますよね。
しかし実際には、この「分かった」は、かなりの確率で“本当の理解”ではありません。
この記事では、算数指導の現場・家庭学習の両方でよく起こる「分かったつもり問題」について、
- なぜ起きるのか
- 親がどう確認すればよいのか
- 家庭でできる具体的チェック方法
を分かりやすく解説します。
子どもの「分かった」は嘘なのか?
まず大前提として、子どもはウソをついているわけではありません。
多くの場合、子どもの「分かった」は次のどれかです。
- 途中まで理解できた気がする
- 解説を見て「なんとなく分かった気」になった
- 答えの流れを覚えただけ
- 早く終わらせたい
特に算数では、
- 手順を真似できる
- 答えが合った
だけで「理解した」と錯覚しやすいのです。
「本当に分かったか」を確かめる5つの方法
① 途中式・考え方を「言葉で説明させる」
一番確実な方法です。
✔ チェック方法
- 「どうしてそう考えたの?」
- 「最初に何を考えた?」
- 「この式は何を表しているの?」
ここで大事なのは、正しい言葉でなくてOKという点。
- 自分の言葉で
- 途中の思考を
- 順番に
説明できれば、理解はかなり本物です。
逆に、「えっと…」「なんとなく…」が続く場合は、まだ定着していません。
② 数字を変えた“類題”をその場で出す
「分かったつもり」を一瞬で見抜ける方法です。
例)
「12個のあめを3人で分ける」
↓
「15個だったらどうなる?」
✔ 本当に理解している子
→ 少し考えて自力で解ける
✔ 手順暗記の子
→ 手が止まる/最初から聞いてくる
数字だけ変えるのがポイントです。
③ 図・絵を描かせてみる
算数が本当に分かっている子は、頭の中にイメージがあります。
✔ チェック方法
- 「図で表すとどうなる?」
- 「絵にしてみようか」
図が多少汚くても問題ありません。
- 何と何の関係か
- 数量の対応
- 比較・増減
が表現できていれば、理解は進んでいます。
④「答えを隠して」最初から解かせる
解説を見ながらの「分かった」は危険です。
✔ チェック方法
- 解説・答えを閉じる
- 何も見ずに最初から解かせる
途中で詰まるなら、理解はまだ途中段階。
これは失敗ではなく、「今どこが分かっていないか」が見えた、とても良い状態です。
⑤ 別の日にもう一度やらせる
時間を置くと、理解の本物度が分かります。
- その日はできた
- 翌日は全くできない
これはよくある話です。
✔ 本当に理解できている
→ 日を空けても再現できる
✔ 一時的理解
→ ほぼ忘れている
算数は「その場理解」より再現性が重要です。
親がやってはいけないNG対応
- ❌「分かったなら次行こう」とすぐ進む
- ❌ 解けないとすぐ教える
- ❌「さっき説明したでしょ!」と責める
これらはすべて
分かったつもり量産スイッチです。
正しい声かけテンプレート(そのまま使えます)
- 「じゃあ、どう考えたか教えてくれる?」
- 「数字を変えたらどうなると思う?」
- 「図にするとどうなるかな?」
- 「今日はここまででOK。明日もう一回やろう」
確認=テストではありません。
理解を深めるための会話です。
まずは偏差値50前後を目指す理解チェック・質問集
算数「理解チェック表」
目的:
「正解=理解」と勘違いしないために、最低限ここを通過していればOKという基準を明確にすること。
理解チェック表(保存版)
| チェック項目 | できていればOK | できていなければ |
|---|---|---|
| 問題文を自分で読める | 最後まで読める | 途中で止まる・読み飛ばす |
| 何を聞かれているか言える | 「○○を求める問題」 | 「分からない」 |
| 図・絵で表せる | 雑でもOK | 図が描けない |
| 途中式の意味を説明できる | 言葉が拙くてもOK | 式だけ書く |
| 数字を変えた類題が解ける | 少し時間がかかってもOK | 手が止まる |
| 翌日もう一度できる | 大体再現できる | 全く思い出せない |
👉 6項目中4つ以上できていれば「理解している」判定
👉 3つ以下なら「まだ途中」
※ 「全部できる」必要はありません。
単元別|「分かったか確認用」親の質問例集
① 計算(四則計算・分数・小数)
- 「この計算、何をしているの?」
- 「もし数字が大きくなったら、答えはどうなる?」
- 「暗算できる?筆算が必要?」
👉 手順暗記か、意味理解かを見抜く質問
② 文章題(たし算・ひき算・割合・速さなど)
- 「まず何を求める問題?」
- 「この数は何を表している?」
- 「図にすると、どこがポイント?」
👉 問題文を読めているか確認
③ 図形(面積・体積・角度)
- 「この形、どこが同じでどこが違う?」
- 「分けるとしたら、どう分ける?」
- 「この線、なんで引いた?」
👉 感覚ではなく構造理解を確認
④ 規則性・周期算
- 「どこから同じ形がくり返されてる?」
- 「1セット分は何個?」
- 「30番目じゃなくて31番目だったら?」
👉 暗記では解けない質問が鍵
算数が苦手な子向け|家庭学習テンプレ
目標:
「分からないまま進む」を防ぎ、分かるところを確実に積み上げる
平日用テンプレ(例)
① ウォーミングアップ(5分)
- 簡単な計算3〜5問
- 前日にできた問題のみ
② 今日のメイン(10〜15分)
- 新しい問題は 最大2問まで
- 解説を読む → 親と会話 → 自力で解く
③ 理解チェック(5分)
- 「どう考えた?」
- 数字を1つ変えた類題を1問
④ 終わりの一言(1分)
- 「今日はここが分かったね」
- 点数・量より 理解ポイントを言語化
NGな家庭学習パターン(要注意)
- ❌ 毎日大量の問題
- ❌ 分からなくても次へ
- ❌ 解説を写して終わり
特にまだ偏差値30〜40台の子にとっては、量=逆効果になることが多いです。
よくある質問集
Q1. 子どもが「分かった!」と言い張ります…
A. 否定せず、「じゃあ教えてくれる?」と確認型の質問に変えましょう。
Q2. 説明させると黙ってしまいます
A. それは失敗ではありません。「言語化できていない=理解途中」というだけです。
Q3. 親が教えるとケンカになります
A. 「教える」のではなく「質問係」に徹してください。
Q4. テストではできないのはなぜ?
A. 家では
- 答えを見ている
- ヒントがある
本番では自力再現が必要だからです。
Q5. どこまで理解させれば次に進んでいい?
A.
- 図が描ける
- 類題が1問解ける
この2つができれば、次へ進んでOKです。
まとめ
算数の学習において、
- 「分かった」と言わせること
- 正解を出させること
よりも大切なのは、
同じ考え方を、別の問題でも使えるかです。
- 説明できる
- 図にできる
- 類題が解ける
- 時間が経っても再現できる
この4つが揃って、初めて「本当に分かった」と言えます。
「分かった?」と聞くより、「どう考えた?」と聞く。
それだけで、算数の理解度は大きく変わります。
