【中学受験を目指す小4向け】和差算の解き方とコツ

こんにちは。算数・数学プロ家庭教師の鈴木稔です。

今回は「和差算」について解説します。

和差算は、中学受験算数の問題を解く上で必須の考え方である「線分図を描いて解く」という方法を身に付けるための題材でもあります。

中学受験の算数において和差算とは、ものの個数や年齢など「一方が他方よりも、いくつ少ない (または多い) 」という条件を、「線分の長さ」で表現してから式を作って解く文章問題のことを言います。

ちなみに、線分の長さで表現した図のことを「線分図」と言います。

量を線分図で表すことは、「割合」「比の値」をテーマとした文章問題を解く上では必須になることから、「和差算を題材として線分図の描き方を習得する」という姿勢が、中学受験の算数の勉強では大事になります。

中学受験の算数が、全く分からなくなってきたというお子さんは、今一度、上に書いたような姿勢が身に付いているかどうかを、今一度確かめていただく必要があります。

もし中学受験をされる方の中で、お子さんの様子を見て「文章問題に苦手意識を持っている」とお感じになった方は、この「和差算」の復習をしていくこともお勧めです。

この記事では、和差算の解き方はもちろん、文章問題を見て「どの文章を読んで和差算であることが分かるのか」ということについても、解説をしております。

ですので、ここで解説していることをお読みいただくだけでなく、何度も実践していただくことを通して身に付けていただければと思います。

和差算を解く上での大事なポイント

中学受験算数の基礎とも言えるのが和差算です。

「和差算」という名前がついていますが、中学数学の「方程式の文章問題」として出題される問題を、「文字などを使わずに、小学生が習う知識だけで解く」というものの一つです。

中学数学であれば、文字xなどを用いて方程式を作り、式変形を行いながら方程式を解いて答を出せるのですが、中学受験算数では、それができません。

そのような状況下において、和差算をはじめ、中学受験算数の文章問題を解くためのキーワードとも言えるのが「線分図」という概念です。

ものの個数を「線分の長さ」として表現する

和差算においては、以下のような問題が典型的ですので、問題文を読む上での注意点などいついてもお伝えしながら、線分図の描き方を解説していきます。

花子さんは、計算のテストを受けました。問題は全部で26問あり、1問できると3点です。花子さんはこのテストで、できた問題がまちがえた問題よりも、16問多くなりました。これについて、次の問いに答えなさい。

(1) 花子さんがまちがえた問題は何問ですか。

(2) 花子さんの得点は何点ですか。

ここで注意しなければいけないのは「できた問題が16問で、できなかった問題が10問ではない」ということです。

こうした「間違った問題文の読み方」をしないようにしていくためにも、お子さんは「問題文の読み方が正しいかどうか」を振り返るクセを身に付けていく必要があります。

お子さんが「問題文をそもそも読めていない」という懸念がある方、「子どもがもともと文章問題苦手」という方は、こちらの記事でその原因と対策を解説しております。

https://sugaku1bann.com/2021/11/22/bunnshoumonndainotaisaku/

問題文を正しい読み方で読むことができたら、文章中の「できた問題数とできなかった問題数」を、線分図に表していきます。

線分図を書いて「和と差」に注目する

上の図では、長い線分の長さが「できた問題の数」、短い線分の長さが「できなかった問題の数」を表し、点線は「できた問題の数と、できなかった問題の数の差」を表しています。

ここで「長い線分の長さ」と「短い線分の長さ」の合計が何かを理解することが、問題を解く上では重要なのですが、お分かりでしょうか。

実は線分の長さの合計を意味する「線分の長さの和」は、全ての問題数の合計を表しています。

つまり「長い線分の長さ」と「短い線分の長さ」を合わせて、問題数が合計で「26問あること」を示しているのです。

問題文から分かる「和差算の判定法」

和差算の問題は、ものの個数を線分図で表すことなどがお分かりいただけたと思うのですが、更に大事なのは、問題文を読み「文章中のどの条件から和差算だと判断できるのか」を理解することです。

和差算の場合、それを理解していくことは割と簡単で、問題文の中に、注目すべき文章が入っています。

それは「Aより〇〇だけBの方が多い」という文章です。

ここで紹介した問題も、「できた問題がまちがえた問題より16問多い」という文章があります。

これ以外に「Aより少ない」「…だけ加えると等しくなる」などの文章も、和差算の考え方を使う問題の問題文に含まれています。

和差算における基本的な解き方

問題文の読み方、線分図の描き方など一通りお伝えしてきましたので、和差算の「解き方」について解説していきます。

和差算をはじめ、線分図を描いて解くタイプの問題で大事なのは、「あるはずのない数を足す」という考え方と「線分の本数で割る」という考え方です。

以下で、詳しく見ていきます。

あるはずのない数を付け足す

上の図で、できた問題の数 (赤線の長さ) と、できなかった問題の数 (青線の長さ) の合計は26問です。

ここから、和差算特有の「あるはずのない数を足す」という考え方を使って、問題を解いていくことになります。

何に「あるはずのない数 (上の図でいう点線を示す数) 」を足すかというと、「できなかった問題の数]」に足します。

上の図にも書きましたが、実際は赤線の長さと青線の長さの分だけしか問題数がないのですが、あえて点線の長さを「青線の長さ」に付け加えてしまうのです。

そうすると、青線と点線は1本でつながれるのですが、この線の長さは何と等しくなるかお分かりでしょうか。

赤線の長さと等しくなるのです。

つまり、上の図の中に書いた式は、赤線と青線と点線の長さを全て足すと「赤線の長さ2つ分になります」ということを意味します。

線分の本数で割る

赤線と青線と点線の長さの和は「赤線の長さ2つ分」であることが分かりました。

このことから「赤線1本分の長さ」が分かります。

上の式における「42÷2=21」の部分が、赤線1本分の長さを表していることになります。

「何の数を求めているのか」を振り返る

多くのお子さんを見ていて、注意しなければいけないなと思うのが、「そもそも何の値、何の数を求めているのか」を振り返りながら解くということです。

上で求めた「赤線の長さ」は「できた問題の数」を表していましたね。

問題文で聞かれているのは「まちがえた問題」の数でした。

問題は全部で26問あり、できた問題の数が赤線の長さ (21問) を表していたので、まちがえた問題の数は5問であることが分かります。

(2)では得点が聞かれていますが、21×3で63点と求められます。

ぜひ解いておきたい和差算の類題

上に書いた問題以外にも、和差算の考え方で解ける問題は多くあります。

年齢に関する問題

お母さんとはるかさんの年齢の差は32歳で、7年後には、2人の年齢の和は66歳になります。現在のはるかさんの年齢を求めなさい。

①年齢を線分図で表す

年齢に関する問題を解く際の考え方で大事なのは、「年月が経っても年齢の差は変わらないこと」に注目するところです。

7年後であっても「2人の年齢差は32歳」ということに注目します。

②線分の長さをそろえて÷2をする

和が66歳となっているので、年齢差の32歳を足して「お母さんの年齢を表す線分の長さの2本分が98(歳)を表す」と捉えます。

そうすると、7年後のお母さんの年齢は「98÷2=49(歳)」であることが分かります。

よって、はるかさんの7年後の年齢は17歳であることが分かり、現在の年齢は10歳であることも分かります。

合計金額の問題

ゆかさんとあきさんの持っているお金を合計すると900円になります。もし、ゆかさんがあきさんに180円あげると、2人の持っているお金は等しくなります。ゆかさんの持っているお金は何円ですか。

①2人の金額の差を求める

問題文から、ゆかさんがあきさんに180円あげたところ、2人の所持金が等しくなっているので「ゆかさんがあげた分としての180円」と「あきさんがもらった分としての180円」との合計が、2人の所持金の差となります。

つまり、2人の所持金の差は360円です。

②和差算の解き方で解く

和が900、差が360を線分図として表します。

あとは今までと同じ解き方で、900+360=1260を2で割ると630 (円) という金額が出てきますが、この金額は「ゆかさんがはじめに持っていた金額」を表します。

登場人物が3人出てくる場合

とし君、まさき君、ただし君の3人は、合わせて50冊の本を持っています。とし君とまさき君が持っている本の合計は、ただし君が持っている本よりも6冊少ないです。また、とし君はまさき君より本を2冊多く持っています。これについて、次の問いに答えなさい。

(1) ただし君が持っている本は何冊ですか。

(2) まさき君が持っている本は何冊ですか。

問題文通りに線分図を描く

登場人物が3人出てきたとしても、問題文通りに、一つ一つ線分図を描いていくことが大切です。

まずやることは、とし君とまさき君が持っている本の合計は、ただし君が持っている本よりも6冊少ないという文章を線分図に表すことです。

実はこの1文だけで、ただし君が持っている本の冊数は「(50+6)÷2=28(冊)」と求められます。

得られた結果を、問題解決へと結びつく形に言い換える

「ただし君は、28冊の本を持っている」ということが、問題(2)を解いていく上で大事なポイントになります。

というのもこの結果をもとに、とし君とまさき君が持っている本の冊数の合計を求めていくことになるからです。

3人が持っている本の合計は50冊なので、とし君とまさき君が持っている本の合計は22冊であることが分かります。

こうした「問題文の言い換え」が、問題を解くことができるきっかけにつながります。

問題文には「とし君とまさき君が持っている本の冊数の差は2冊」とあるので、「合計22冊、差が2冊」を線分図で表して、あとは解くだけです。

和差算のまとめ

中学受験の問題を解くプロセスにおいて、線分図を描くという場面が多く出てきます。

算数の問題では、和差算の解き方で解ける問題は多く、年齢を答える問題や、数の性質に関する問題など、線分図を描くことで、簡単に解ける問題もあります。

問題文を読んだときに「…より〇〇だけ~の方が多い(少ない)」などの文章があったら、必ず線分図を描くことをおすすめします。

線分図に限らず、中学受験の算数の問題は、図を描くことで簡単に式が立つような問題が数多くあります。

和差算の学習を通して、線分図の描き方を習得できてくると、算数の問題が面白くなってくると思います!

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