比の問題が苦手になるには理由がある! 比を克服する対策まとめ

こんにちは。鈴木です。

今日は比が苦手になる理由と、その対策について、書いていこうと思います。

比・割合というと、苦手な単元として挙げる生徒さんが、増えてくるところです。

・今まではそこそこ算数はできていたけれど、比に入ってからテストの点数が落ちた

・計算は分かるけれど、文章問題に苦手意識を持つことが多くなった

・図を描いて考えて! と言われたけれど、何でそう考えるのが分からない

などなど、今まで習ってきたことと、どういったつながりがあるのかが、少し見えにくくなってきた結果、比の考え方を理解することを難しく感じている生徒さんが多くなってきます。

そうした生徒さんを見ると、比の単元からいきなり苦手になっているわけではないということが、分かってきました。

比の単元を習う以前に習った分数や小数などの計算や、問題の解き方は分かっているけれども、なぜ比でつまづいてしまうのか?

その理由と、苦手をなくす対策について、考えてみたいと思います。

なぜ比が苦手になるのか?

比というのはそもそも、「AがBの何倍か?」という問題や、「AのBに対する割合はいくらか?」という問題と、深く関わっています。

特に、割合や比の考え方は、「AがBの何倍か?」という表現を言い換えて生まれたものです。

ですので、比が苦手という生徒さんは、「2つの数量があったときに、どちらがどちらの何倍か?」という見方でもって問題を考えていくことに、苦手意識を持っていることが考えられます。

こうしたことに加えて、以下で説明することも、苦手を作る理由の一つになると考えられます。

テキストの説明が難しい

教科書や問題集を開くと、比の説明について書かれていると思うのですが、その説明を読んでみて、難しいことが書かれているという印象を持つ生徒さんもいます。

実際のテキストでは、「AのBに対する割合」のことを、比の表し方と関連させて説明する立場もありますが、この場合まずは、「AのBに対する割合」が何を意味するのかが分かることが大事です。

具体例を挙げられない

例えば「AのBに対する割合」という説明一つとっても、身のまわりにはどんな例があるのか? ということを思い出すことができなければ、その説明を理解できたことにはなりません。

もし例えば、割合との関連について、具体的な例が分からないということであれば、もう一度割合の問題を解いてみて、問題文の文章表現に慣れ、「比の説明の中で言っているのは、割合の中で出てきたこのことだったのか!」ということが分かるまで、割合を復習をすることも大事です。

そうしたことに加えて、比の表し方について、身のまわりにある具体例を、挙げられるかどうかがポイントです。

具体例があまり出てこない場合は、身のまわりにあるもので、「何対何」と表現するものがどれだけあるのかについて、調べてみることが大事です。

単位量あたりの大きさが分からない

比の問題を解く際にはどうしても、単位量あたりの大きさについて考える場面が出てきます。

単位量あたりの大きさというのは、簡単に言うと「一つの入れものの中に、何がどれだけ入っているのか」を求める考え方です。

比の問題を解く際には、一方の量を①とおくと、他方の量は③になるなど、「①の量が分かると、③の量は3倍することで得られる」といった考え方が出てきます。

こうした考え方を、自分で式に直す力が求められるのですが、このことを苦手とする生徒さんは、比の問題そのものに苦手意識を持つことが多いです。

単位量あたりの大きさに苦手意識がある場合は、まずはこちらの記事も読んでいただくことをおすすめします。

単位量あたりの大きさが苦手! 苦手を作る3つの理由とその対策

割合との関連が分からない

先ほどお話したこととも関係がありますが、割合に関する問題に苦手意識を持っているだけではなく、「割合とは一方が他方の何倍なのか? を考えることと同じである」という意識が持てていないことも、比の単元が苦手になってしまう原因の一つです。

もう少し具体的な例を使って説明すると

「3000円の服が2割引きで売っている」

という文章があったとき、3000円の2割引きを、3000円の8割と言い換えて、さらに3000円の0.8倍と言い換えることが、すぐにできるかどうかがポイントです。

またさらに、比の問題としてこの文章を言い換えて

「3000円の8割」

という言い方から

「3000円を10等分した値段、つまり300円を①」

としたときに、今聞かれているのは

「3000円を0.8倍したものの値段だから、3000を⑩としたときの、⑧にあたる値段を求めれば良い」

という考え方を使えるようになることが求められます。

線分で考えることに慣れていない

今まで解説した割合の考え方は、もとはと言えば「何倍か?」を考えることと同じことでした。

さらに、「何倍か?」を考えることは、線分の図を使って、「一方が他方の線分何本分か?」 を考えることに、結局のところ帰着されます。

割合や比の問題を解く際に、線分の図を描いて解くことに苦手意識を持っている生徒さんは、「AがBの何倍か?」を考えるときに、「Aの線分を何本集めたらBの線分と等しくなるのか?」ということと関連させて、問題を考えることが苦手であることが多いです。

比を苦手にしないための対策

これまで、苦手になってしまう理由として、考えられることをお話してきました。

ここからは、苦手を作ってしまう理由をもとに、どうすれば苦手を作らずに済むのかについて、考えていきたいと思います。

割合とは簡単に言うと何か? について理解する

割合に対して苦手意識を持っていて、そのことが原因で、比の単元が苦手になっていることが考えられる場合、割合とは何か? ということが、自分の口で説明できるかどうかを、まずは確かめておきたいところです。

この記事でもお話した通り、割合とは、「一方が他方の何倍になっているのか?」ということを、言い換えたものです。

割合の問題が解ける、あるいは問題の解き方が分かるというだけではなく、割合そのものに対して、どういった解釈でもって理解をしていくのかがポイントです。

「1000円の50%」→「1000円の1/2倍」

「500gの3割」→「500gの3/10倍」

「定員70人の120%の乗車率」→「70×1.2」

など、こうした計算式をすぐに思いつけるかどうかがカギです。

単位量あたりの大きさとは簡単に言うと何か? を理解する

比の問題を解くときには、一方を①としたとき、他方は〇いくつ分になるのか? を考える場面が多く出てきます。

あるいはもっと、①ではなく一方が②だったら、他方は⑤になるなど、「1つの入れものに、”何が何個入ったもの”がいくつ分あるのか?」を考えることがあります。

一例を挙げると、人数の問題で、男子と女子の人数の比が3:5で、男子15人のとき、女子は何人かを考える問題があります。

この問題を解くときには、「男子のある一定人数の組が3組あるとき、3組分の人数全員合わせたら15人になった」という考えから、「1組分の人数は何人になるのか?」を考えるプロセスがあります。

そして、1組分の人数を①としたときに、この問題では⑤にあたる人数が問われているということを、理解する必要があります。

問題を解くプロセスにおける、①にあたる人数を求めることはまさに、単位量あたりの大きさを求めることと同じです。

単位量あたりの大きさに関しては、こうした具体例を通して、その考え方を理解していくことが大事です。

以下の記事では、単位量あたりの大きさを理解していくために、解いておくと良い5つの例題について解説してあります。

ぜひご参考にしていただければと思います。

単位量あたりの大きさの重要問題 5つの例題とその解き方まとめ

身のまわりの具体例を積極的に考える

比の単元に限らず、算数は身のまわりにあるものを、1つの量量として捉えて、計算をすすめていく力が求められます。

比に関しては、料理の話題を持ち出すのが、一番分かりやすいです。

しょう油大さじ2杯と、みりん大さじ3杯混ぜてできる味は、しょう油大さじ6杯と、みりん何杯を混ぜたときと同じ味か? を考えることは、立派な比の問題です。

上の例のごとく、「2つの味が同じ」とは、「2つの調味料を混ぜたとき、作る量が違っても、味が同じになるように作ること」と全く一緒のことです。

こうした実例に加えて、日頃からあえて、会話の中で比の式を使ってみることもも、おすすめします。

「今日は勉強した時間と遊んだ時間の比が3:1だった」

「ミルクティーの量とタピオカの量の比は、5:2くらいだった」

「赤色と青色を、2:3の割合で混ぜる」

などなど、量や重さ、時間や値段が関係するものを2つ比べるときには必ず、比の式で考える場面があると思います。

常に比の値を気にしながら、日常にあるものを捉えられると、比の問題が分かってくるはずです。

線分の図を積極的に使う

先にもお話した通り、比の単元からいきなり算数が苦手になるとは考えにくく、比や割合を考える前の段階で、「一方が他方の何倍なのか?」を考えることに対して苦手意識があると、比の単元が苦手になると考えられます。

このことはつまり、問題文の中に出てくる2つの量について、それらを線分の長さに例えて、「短い方の線分を何本集めたら長い方の線分の長さと等しくなるのか?」

あるいは

「長い方の線分を何等分かしたものを、いくつ集めると、短い方の線分の長さと等しくなるのか?」

を自分で考えていくことに、課題があるということです。

もともと絵や図を描いて問題を考えていくことに、慣れていない生徒さんもいますが、そうした生徒さんの場合は、まずは文章を絵に直すことからはじめると良いのではないかと思います。

文章を絵に直すことができてきたら、その次の段階として、その絵を線分の長さとして例えることを、繰り返し練習していくと良いです。

絵や図を描くことに慣れていない生徒さんにとって、「どの問題で線分の図を描くのかが分からない」といった声を聞くこともありますが、どの問題で線分の図を描けば良いということはないのです。

比に関する問題は、どんな問題であっても、線分の図を描いてから、それらを式に直すという場面が出てくることがほとんどです。

とにかく例題の考え方をマネしてみて、線分の図を描いて問題を考えていく練習を、やってみてほしいと思います。

小数や分数の計算でミスをしない

問題文をうまく線分の図として表すことができたら、次はそれを式に直す場面が出てきます。

式を計算していくときに、比の問題では、小数や分数が出てくることも多いです。

特に分数が出てきたときに、分数のかけ算になるのか、わり算になるのか、どちらの計算になるのかを考える場面において、理由をもって答えられることが大切です。

算数に苦手意識を持っている生徒さんを見ていると、こうした判断を自分で行っていくことに対して、苦手意識があることが多いです。

式を立てるときに

・本当にかけ算で良いのかな?

・本当にわり算で良いのかな?

という振り返りをすることや、線分の図とも照らし合わた上で、立てた式が正しいのかどうかを考えることで、立式の時点でのミスを防ぐことができてきます。

それらができてきたら、次は約分のし忘れにも意識を向けることで、ミスは減ってきます。

計算ミスをしてしまうという人は、計算を行っていく上で、どの時点でミスをしているのかを、振り返ることができると良いです。

比の苦手対策まとめ

いかがだったでしょうか。

比の問題に苦手意識を持っている場合、やはり

・一方が他方の何倍か?

を考えることに慣れていないことがよくあります。

「何倍か?」を考える際には、線分の図を持ち出して考える場面が出てくる以上、そもそもその考え方に対して、疑問を持ったままにしてしまうと、割合や比が分からなくなってしまいます。

また、比の問題は特に、日常身のまわりにあるものに対して、本来は分かりやすく考えるために生まれた概念です。

「算数の問題」として捉えるのではなく、日頃から身のまわりにある問題として捉えられると、比に対する見方や感じ方も、変わってくるのではないでしょうか。

問題の解き方だけではなくて、いかにしていつも考えていることから、数の考え方が生まれてくるのかを理解できると良いです。

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