単位量あたりの大きさの重要例題とその解き方

こんにちは。鈴木です。

中学受験をお考えの方や、まさに受験生の生徒さん、中学生になったけど、宿題に追われている生徒さんは、この夏もたくさん勉強されたのではないでしょうか。

今日は、単位量あたりの大きさに関する重要な例題について、書いていきますね。

単位量あたりの大きさに関する授業を行っていると、こんな声をよく聞くのですが、このブログの読者さんも、思い当たるところはないでしょうか。

・問題文を読んだけど、式を立てられない

・〇〇を求めなさいと書いてあるけれど、何をはじめに求めるのか分からない

・解説を読んだけど、なぜそう考えるのか知りたい

・本当のことを言うと、考えるのがめんどくさい

・1回解き方を教われば分かるけれど、自分一人ではもう一度やれと言われたらできない

この記事では、そんな人たちに向けて、まずはこの記事に出ている例題からやってみてほしい! というものを中心に、問題の考え方や解き方について、お話していきます。

例題1. 1平方メートルあたり何kgとれるのかを考える問題

ある面積あたり、どのくらいの野菜がとれるのかを問う問題は、どの問題集にも載っているので、重要な例題の一つです。

以下の例題を考えていきますね。

例題1. たろうさんの畑500平方メートルからじゃがいもが675kgとれ、じろうさんの畑600平方メートルから780kgのじゃがいもがとれました。どちらの畑の方が、多くとれたと言えますか?

もしも均等にじゃがいもが埋まっていたら・・・

問題文には、500平方メートルの畑から、675kgとれたとあります。

1平方メートルあたり、どのくらいとれたのかを考えていくのですが、その前に、問題文には書いていないけれど、大事な仮定が一つあります。

それは、畑の中に、均等にじゃがいもが埋まっているということです。

実際には、土の中を掘り起こしてみて、大量にじゃがいもがとれる場所もあれば、あまりとれない場所もありますよね。(じゃがいも掘りをやったことがある方なら、お分かりだと思います)

しかし、均等にじゃがいもが埋まっていると考えることで、同じ面積の畑であっても、じゃがいもとじゃがいもの間隔がせまいほど、よくとれたと言えるのではないか? と期待され、その期待を分かりやすく、計算として出そうというのが、この問題のねらいでもあるのです。

半分の面積あたりどれだけ取れるのかを考える

じゃがいもが畑の中で、等間隔に並んでいるところを、思い浮かべられたでしょうか。

500平方メートルで675kg、600平方メートルで780kgとれたとありますが、半分の面積では、どのくらいとれたことになるのでしょうか。

じゃがいもが、等間隔に並んでいるので、面積が1/2になれば、とれるじゃがいもの量も1/2になりますよね。

たろうさんの畑では、250平方メートルで337.5kg、じろうさんの畑では、300平方メートルで390kgとれたことになります。

さて、これからさらに、面積を半分にしていきましょう。

たろうさんの畑では、125平方メートルあたり168.75kg、じろうさんの畑では、150平方メートルあたり、195kgとれたことになりますよね。

面白そうなので、この記事を読んでおられる方は、面積をどんどん1/2にしていき、そこでとれるじゃがいもの量も、1/2にしてみて下さい。

かけ算か? それともわり算か?

ここから問題の具体的な解き方につながる部分を、解説していきますね。

じゃがいもが等間隔に並んでいるということから、面積を1/2にすると、とれるじゃがいもの量も1/2になるということがお分かりいただけたところで、同じように

・面積が1/3になると、とれる量も1/3になる

・面積が1/10になると、とれる量も1/10になる

・・・

という考え方を、一般化していきます。

上で述べた例だと、面積を1/4にして考えたところで、125平方メートルで168.75kg、150平方メートルで195kgとなって、面積が違っていることから、どちらの畑の方がよくできているのかが分からない! という声も聞こえてきそうですよね。

そこで出てくるアイディアが、面積を1平方メートルとして考えると、分かりやすいのではないか? というものです。

500平方メートルの畑は、1/2にすると250平方メートル、1/4にすると125平方メートル、1/10にすると50平方メートル、・・・、1/100にすると5平方メートルとなりますよね。

逆に、1平方メートルにするには、1/500にしてあげれば良いのです。

畑を1/500にすると、とれるじゃがいもも1/500になるわけですので、たろうさんの畑では、1平方メートルあたり、675kgの1/500の量だけ、じゃがいもがとれるのです。

ここで確認しておきたいのが、675kgの1/500と言われたら、その答ははかけ算で求められるのか、わり算で求められるのか? ということです。

答えは、どちらも正解なのですが、かけ算になるのであれば

・675×(1/500)

・675×500

のどちらが正解なのかを、確認しておきたいところです。

わり算の場合も

・675÷(1/500)

・675÷500

のどちらが合っているのか、考えるべきポイントです。

この問題の正解は、たろうさんの畑では、1平方メートルあたり675÷500=1.35kg、じろうさんの畑では、1平方メートルあたり780÷600=1.3kgとなって、たろうさんの畑の方が、少しだけよくとれたと言えます。

本当に、僅差でしたね。

例題2. 人口密度を求める問題

人口密度の問題は、単位量あたりの大きさを学んでいく上で、必ず出てくるものの一つです。

こんな例題から考えていきますね。

例題2.あかりさんの住んでいるA県は、人口が1930000人で、面積が7100平方キロメートルです。おばあさんの住んでいるB県は、人口が790000人で、面積が6630平方キロメートルです。それぞれの人口みつ度を求めて、どちらが何人多いか調べなさい。

そもそも人口密度とは?

人口密度とは何かを、少しお話しておきますね。

人口密度とは、単位面積(普通は1平方キロメートル)の中に、何人の人が住んでいるのかを、数値として表したものです。

先に出てきたじゃがいもの問題と同じく、人が等間隔に並んでいることを仮定して、一つの町にどれだけ人口が密集しているのかを、計算して求めるわけです。

町全体がもしも正方形だったら・・・

町や県がどんな形をしているのかを考えたとき、普通はいびつな形をしていることが多いですよね。

ところが、それではどのくらいの面積の町に、人がどの程度住んでいるのかということを、考えにくいわけです。

ですので、町全体を正方形として考えて、その正方形の上に、何人の人が立っているのかをイメージして、人口密度を求めていくのです。

1平方キロメートルの正方形の上に何人立っているのかを考える

問題文には、人口1930000人で、面積7100平方キロメートルとあります。

ここでは、じゃがいもの問題と同じく、7100平方キロメートルの正方形の中に、人が等間隔に、1930000人立っていることを仮定します。

この問題も、はじめは面積を1/2にしたときのことを考えてみると、後で人口密度の求め方や、それに関する式の立て方などが、理解しやすくなっていきます。

面積を1/2にすると、3550平方キロメートル、人口は965000人となります。

次々に、面積を1/4、1/10、・・・としていったときのことを考えて、面積が1/100になれば、人口もそれにつられて1/100になるということがイメージできてくると、1平方キロメートルあたりの人口を求めるには、どんな計算をするのかが、分かってくるはずです。

人口密度は(人口)÷(面積)で求める

ということで、人口密度(つまり1平方キロメートルあたり何人の人が住んでいるのか)を求めるためには、上に書いた考え方から、(人口)÷(面積)を計算すれば良いことになります。

これまでのアイディアを振り返ると

・町や県全体を、一つの正方形として考える

・一つの正方形の中に、人が等間隔に並んでいると考える

・面積を何分の1かすれば、それにともなって、人口も同じ割合で何分の1かになる

ということになります。

こうした考えのもとで、問題を解いていくと、A県の人口密度は

1930000÷7100=271.830・・・

B県の人口密度は

790000÷6630=119.155・・・

となります。

この問題の場合、どちらも面積が約7000平方キロメートルと考えることもできて、A県はB県よりも2倍近く人が住んでいるので、人口密度も約2倍となっていることが分かります。

(人口)÷(面積)を計算することで、同じ面積の土地に、ぎっしりと人が住んでいるのか、そうでないのかが、はっきりと分かる形になるのです。

1人あたり何平方キロメートル?

ちなみにですが、逆に(面積)÷(人口)を計算することで、1人あたり何平方キロメートル占めているのかを計算する考え方もあります。

もう少しイメージしやすい例だと、床に人が座るときに、一人あたりどのくらいの面積をとることができるのかを考えることと、全く同じことです。

例えば、たてもよこも15mの正方形の形をした床に、30人の人が座るときに、一人あたりどれくらいの面積を確保できるのかを考えてみます。

床の面積は225平方メートルとなり、ここに30人が座るとなると、ここでもやはり

人数が1/3の10人だったら、何平方メートル確保できるのか?

といった具合に、人が等間隔に座ることを考えて、少しずつ面積を狭めていきます。

10人が座るとなったら、225÷3=75平方メートル分は、確保できることになります。

6人が座るとなったら、225÷5=45平方メートル確保できるのです。

つまり、1人が座るとなったら、225÷30(面積÷人数)を計算することで、1人分の面積が求められます。

(面積)÷(人口)を計算することで、感覚的には人と人がどれだけ離れているのかということが分かるのです。

1人分の面積が広ければ、他の人との間隔が広くなっているということですし、逆にせまければ、他の人との間隔が、そこまであいていないことを意味します。

例題3. 車の燃料に関わる問題

単位量あたりの大きさは、上に出てきた問題からも分かる通り、1平方メートルあたりいくらか、1平方キロメートルあたり何人いるのか、といったことを考える場面が多く出てきます。

こうした例をもとに、今度はこんな問題を考えてみたいと思います。

例題3.30L(リットル)のガソリンで480km走るA自動車と、50Lのガソリンで700km走るB自動車があります。より少ないガソリンで、多く走ることができるのは、どちらの自動車ですか。

1Lがどれだけかを思い浮かべる

1Lと聞いて、どのくらいの量なのかが、すぐに分かる方も多いと思います。

牛乳1本分ですよね。

つまりA自動車は、牛乳30本分のガソリンで、480km走ることができるのです。

それに対してB自動車は、牛乳50本分のガソリンで、700km走れるのです。

記事をここまで読んでいただいた方は、もう分かってきたと思うのですが、この問題では、牛乳1本分のガソリンでは、どのくらい走れるのか? を考えることになるのです。

半分の燃料でどれだけ走れるのかを考える

毎回同じことを考えていますが、ここでも、ガソリンの量を1/2にしたらどうなるのか? 1/10にしたらどうなるのか? ということを考えていき、1Lのガソリンで走る距離の計算の仕方を、探っていくわけです。

A自動車は、15Lのガソリンで240km、B自動車は25Lのガソリンで、350km走ります。

A自動車は、10Lのガソリンで160km、B自動車は10Lのガソリンで140km走るのです。

実はこの時点で、A自動車の方がB自動車よりも、同じ量のガソリンで、長い距離走れることが分かります。

まとめると、1Lあたりどれくらい走れるのかを求めるには、距離をガソリンの量で割れば良いことになります。

この問題の場合は、A自動車の方は1Lあたり16km、B自動車の方は1Lあたり14kmとなって、A自動車の方が長く走れることが分かります。

1000km走るための燃料はどれだけか?

さて、これまでは1Lあたり何km走れるのかを考えてきたわけですが、今度は逆に、このくらいの距離を走るには、ガソリンはどれくらい必要なのか? という問題を考えていくことにします。

まずは、A自動車の方から考えてみます。

30Lで480km走れるということから、15Lで240km、10Lで160km、・・・、と考えてきた結果、1Lで走れる距離は480÷30=16(km)という答が出てきたのです。

この関係を、もう少し注意して見ていくと、あることに気がつきます。

240÷15=16、160÷10=16となって、30Lで480km走れるA自動車は、距離とガソリンの量について、常に(距離)÷(ガソリンの量)=16になることが分かります。(他の数値でも試してみて下さい)

この関係から、1000km走るためのガソリンの量をxとでも置けば

1000÷x=16

となって、この式の中に出てきたxの値を求めることになります。

答えは、x=1000÷16=62.5となり、1000km走るためには、62.5Lあれば良いことが分かります。

例題4. 重さと長さが分かるはり金の問題

鉄の棒などは、ある長さあたりの重さが分かれば、1mあたりの重さが分かります。

こうした問題を解いていく上では、同じものに対して「長さは何m」、「重さは何kg」という風に、2通りの見方をすることがポイントになります。

以下の例題を見ていきますね。

例題4.あるはり金は、5mで240gの重さがあります。また、このはり金のねだんは、100gが50円です。

(1)このはり金36mの重さは、何gですか。

(2)このはり金240mのねだんは、何円ですか。

 はり金は重さが一様

これまでに見てきた例題もそうですが、問題を解く前に、あることを仮定した上で、解き方を考えていく場面が多くありました。

例えば、野菜が等間隔に並んでいたり、町全体を正方形として考えることなどが、解き方を考えるための仮定にあたります。

はり金や、鉄の棒の重さに関する問題も、以下に示す仮定がポイントになります。

・はり金や鉄の棒はどこも重さが同じ

・つまり、はり金や鉄の棒を持ったときに、極端に重い部分や、軽い部分はない

・はり金や鉄の棒を、等間隔にカットした場合、カットされたものは、全て重さが同じ

まずは半分の長さの重さから

毎度のことですが、長さを1/2にした場合のことを、まずは考えて下さい。

重さがどこも同じですので、はり金を2本ずつにカットすると、この問題の場合、2本で240gとなります。

つまり、1本(2.5m)あたり120gです。

問題では5mとあるので、1mあたりの重を出したいときは、5本にカットすれば良いのです。

というわけで、1mあたりの重さは、240÷5=48(g)となります。

問題文をもう一度読む!

この問題では、36mの重さが聞かれています。

1mあたりの重さを出して、それで終わりにしてしまう生徒さんもいますので、問題を解くときは、必ず問題文を繰り返し読むことを意識して下さい。

1m48gでしたので、36mの場合は、48×36=1728(g)となります。

いきなり、36mのときの答を出すのが難しいと感じるときは

・2mだったら重さはいくら?

・3mだったら重さはいくら?

・・・

・36mのときの重さを出すには、かけ算かな?それともわり算かな?

という具合に考えていくことができると、分かりやすく、理解していくことができます。

自分で長さと値段の関係を見つける

(2)では、はり金240mの値段を聞かれています。

問題文に出てきた条件をまとめると

・はり金5mの重さは240g

・はり金100gの値段は50円

ということが分かっています。

これらから、まずは長さと値段の関係を見つけていくことが求められます。

2つの条件をつなぐものに注目する

問題文では、「長さと重さ」、「重さと値段」の関係について書かれています。

5mの重さが240g、100gの値段が50円とありますが、実はこのとき、5mの値段が分かります。

というのも、240gの値段を出すことができるからです。

100gの2.4倍が240gなので、値段も2.4倍して、50×2.4=120(円)と求めることができます。

つまり、長さ5mの値段が、120円であることが分かりました。

この問題では、「長さと重さ」、「重さと値段」の2つの条件があったとき、重さをそろえることで、2つの条件を結びつけることができ、長さと値段の関係が分かったのです。

1mの値段は24円となるので、240mの値段は24×240=5760(円)となります。

例題5. 1個あたりの重さを求める問題

これまでに見てきた問題以外にも、「1個あたりの値段や重さ」や、「一人あたりの料金」などを求める問題があります。

こうした問題は、上に出てきた4つの例題を解くときの考え方をもとにして

あの問題を解くときには、こんな風に解いたから、ここでもそのやり方で解ける!

ということを考えられるようになると、問題を解くのが楽しくなってくると思います。

次は、こんな問題です。

例題5.ある大きさの消しゴムは、50個で335gの重さがありました。この消しゴム134gでは、何個ありますか?

まずは1個あたりの重さを求める

50個の消しゴムを全て描くのはおすすめできないですが、実際に消しゴムの絵を描いてみたりすると、問題文のイメージがつかめてくると思います。

これまでにも、1平方キロメートルあたりの人数、ガソリン1Lで走れる距離などを求める問題において、問題文に書いてある数値の半分だったときのことなどを考えて、問題を考えてきましたよね。

ここでも、そんな考え方をマネして解けると良いのですが、少し数学の考え方も取り入れて

問題を解いてみます。

1個あたりの重さを〇とおく

消しゴム1個あたりの重さを〇とでもおくと、50個あったときの全体の重さは、どんな式になるでしょうか。

2個あったら、〇+〇で、〇×2、3個あったら〇×3、・・・ と考えていくと、50個あったときの全体の重さは、〇×50となります。

そして、いま〇×50が、335になっています。

式でかくと、〇×50=335 となるのです。

これを解いて、〇=335÷50=6.7 と1個あたりの重さを求めることができます。

単位を気にしながら解くとよく分かる!

問題では、134gでは何個あるのかを問われています。

上に出てきた〇×50 という式を、単位という観点から見直してみたいと思います。

1個あたりの重さを〇とおき、結果として〇=6.7(g)という答が出てきました。

6.7×50 という式をよく見てみると

(1個あたりの重さ)×(個数)=(全体の重さ)・・・(*)

となっているわけです。

いまここでは、全体の重さが134gのときの個数を求めなさいと言われています。

上の (*) の式に、全体の重さ134g、1個あたりの重さ6.7gをあてはめてみると

6.7×(個数)=134

となるわけです。

ここまでくると、話は分かりやすく

(個数)=134÷6.7=20

という風に、答が出てきてくれます。

この記事のまとめ

単位量あたりの大きさに関する例題の中でも、これは必ず練習しておきたい! というものを中心に解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

多くの生徒さん(特に女子生徒)を見てきて、ここ最近、中学の数学、ひいては高校の数学までを学ぶにあたって、どこからつまづきやすくなってしまうのかを考えたときに、単位量あたりの大きさに関する苦手意識が関係しているなと感じます。

特に算数から苦手意識を持ってしまうと、その後数学に対しても、あまり良いイメージを持てなくなってしまうので、なるべくなら、早いうちから、算数とは仲良く(?)しておいた方が良いですよね。

ここに出てきた例題を自分で解いてみて、その後にその類題を解いてみると、必ず力はついてきます!

この記事の読者さんや、そのお子さんは、ぜひともゆっくりで良いので、この記事を何度も読み、問題演習を繰り返してみて下さい。

算数が楽しくなってくると思います!

「単位量あたりの大きさの重要例題とその解き方」へのコメント1件

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