倍数と約数の苦手をなくす 倍数と約数の基本問題の解き方まとめ

こんにちは。数学学習コンサルタントの鈴木です。

今回は、倍数と約数についての基本的な問題について、その考え方や注意すべきポイントをまとめてみました。

・割る数、割られる数の違いがあいまい

・問題の解き方は分かるけれど、今いち何をしているのか分からない

・問題の見直しの仕方がよく分からない

など、この分野はただただ計算しているだけになってしまうと、上に書いたような問題が起きてきます。

問題の解き方だけではなく、振り返りのポイントについても、以下で解説していきます。

倍数と約数に関する基本問題

まずは倍数に関する問題の解き方から見ていきます。

2けた(10~99)の整数について、次の問いに答えなさい。

(1) 6の倍数は何個あるでしょうか。

(2) 96の約数をすべて答えなさい。

倍数とは何だったか、説明できることが大事です。

Aの倍数と言われたら

A×1、A×2、A×3、・・・、といった具合に、Aに数えられる数(自然数)をかけて得られる数全体のことです。

これから、問題を解く上での注意点について、見ていくことにします。

問題文に注意する

問題文を読むと、「2けたの整数」とあります。

倍数という言葉のみに振り回されずに、問題文に書いてあったことを常に意識しながら解くことが大事です。

問題文の中には、ムダなことは一つも書いていない! と心得ることが大事です。

具体的に数を書きだす

倍数や約数の問題でポイントとなるのは、「例えばどんな数があるのか?」について、自分で調べてみることです。

解き方を意識するのは、その後で十分です。

この問題では、6の倍数とあるので、実際に

6×1、6×2、6×3、・・・、と計算してみて下さい。

ただ問題文には、2けたの整数とあるので、あてはまるのは

6×2、6×3、・・・、6×15、6×16

です。

全部で何個あるのかを調べるときの注意

上に書いた数に注目すると、×2、×3、×4、・・・、×15、×16 とあります。

もし、×1からはじまったら、並んでいる数は全部で16個あることになりますが、×2からはじまっていますよね。

つまり、並んでいる数は全部で15個あることにります。

この15という数字は、出し方としては

16−2+1

となります。

はじめからおわりまで、数が全部で何個並んでいるのかを調べることについては

(はじめの番号)−(おわりの番号)+1

といった具合に、+1をすることを忘れないで下さいね。

約数は対(つい)になるものを順次書き出す

96だけではなく、ある数Aの約数を考えるときには、「約数同士をかけてAになるような約数の対」を順番に考えていくことが大事です。

例えば、12の約数を調べるときに

2、6、4、3、・・・

など、数の並びとしてバラバラに考えるよりも

(1、12)、(2、6)、(3、4)

という風に考える方が、ミスもほぼなく書き出せます。

というわけで、96の約数は

(1、96)、(2、48)、(3、32)、(4、24)、(6、16)、(8、12)

となって、この中で2けたのものは

12、16、24、32、48、96

となることが分かります。

約数はバラバラではなく、対になるものを順番に考えていって下さいね。

最大公約数の問題

次はこんな問題です。

144を割っても、198を割っても割りきれる整数Aを全て求めなさい。

「割る数」「割られる数」の違い

割る数、割られる数について理解しておくことが大切です。

この問題の場合、144「を」割るとあるので、144は割る数か、割られる数のどちらか、すぐに分かるでしょうか。

144は、「割られる数」なのです。

144と198を割りきる数は、例えばどんなものがあるかというと、2はすぐに分かります。

次は3もあてはまります。

ということはこの時点で、6もあてはまることが分かります。

この問題では、ひたすら144と198の公約数(どちらの数も割りきる数)を探すのですが、その中で最大のもの(最大公約数)を、まずは先に探します。

144と198の最大公約数は、18となります。

最大公約数の約数を求める

あとは18の約数を求めれば良いわけですが、このことについて、少し説明をしていきます。

144=18×8、198=18×11

となるわけですが、18という数字は

1×18、2×9、3×6

と書くことができます。

これらを使って

144=2×9×8、198=2×9×11

という風に書いてあげても良いわけです。

この式を見ると、144と198は、2でも3でも6でも9でも割り切れる ことがお分かりかと思います。

こんな感じに、式を少し変えて書いてあげるだけで、144と198は18の約数で割り切れる ことが分かるのです。

というわけで、整数Aは1、2、3、6、9、18 となります。

最小公倍数の問題

次は公倍数に関する問題です。

8で割っても12で割っても割りきれる整数のうち、小さい方から数えて4番目の数はいくつですか。

「割る数」「割られる数」に再度注意

お次は8「で」割る数とあるますよね。

つまり、8は割る数となります。

8で割り切れる数とは、どんなものがあるでしょうか。

数を書き出してみる

ここでもやはり、数を書き出すことが大事です。

8で割り切れる数は

8、16、24、32、40、・・・

といった具合に、言い換えると8の倍数になっていることが分かります。

12で割り切れる数は

12、24、36、・・・

といった具合に、12の倍数となります。

上に書き出した数を見比べてみると、まずは24が共通しています。

この24という数字は、具体的にどんな意味を持つ数かお分かりでしょうか。

そうです。

8と12の最小公倍数です。

最小公倍数の倍数を考える

さて、この問題は、24の倍数を考えれば良いことになるのですが、このことについても、お話します。

24=8×3、24=12×2

と書いてみると、見えてくるものがあります。

例えば、24=8×3という式の左と右に、さらに×2をしてみると

24×2=8×3×2=(48)

となって、48も8で割り切れることが分かります。

一方で、24=12×2という式に同じことをしてみても

24×2=12×2×2=48 となって、やはり48も12で割り切れることが分かります。

24×3、24×4、・・・という具合に、24の倍数を順次作っていくと、上でお話した考え方から、24の倍数は全て、8でも12でも割り切れることが分かるのです。

問題文を振り返る

問題では、小さい方から数えて4番目の数を求めなさい とありました。

つまり、上で考えたことから24×4を計算しさえすれば良くて、答は96となります。

余りが出る数に関する問題

まずはこんな典型的な問題をこなせることを、目指して下さい。

4で割ると1あまり、6で割ると3あまる2けたの数のうち、最も大きい数を求めなさい。

数を具体的に書き出す

4で割ると1あまる数を考えてみます。

1、5、9、13、17、21、・・・

がそれにあてはまります。

このとき、みなさん注意すべきは、1もあてはまるということです。

というのも、1÷4=0あまり1 となるからです。

6で割ると3あまる数は

3、9、15、21、27、33、・・・

となっています。

このときも、3を忘れないで下さいね。

規則性を見い出す

上に書いた数の並びを見ると

1、5、9、13、17、21、25、・・・

3、9、15、21、27、33、39、・・・

となっています。

上と下の数の並びで共通しているのは、9と21ですよね。

もう少し数の並びを見ていくと

25、29、33、37、41、45、・・・(4で割ると1あまる数)

33、39、45、51、57、63、69、・・・(6で割ると3あまる数)

という並びが出てきて、上と下でさらに共通するのは33、45となっていることが分かります。

さて、(4で割ると1あまる数)と、(6で割ると3あまる数)の中で共通する数は、今のところ

9、21、33、45

であることが分かります。

この数の並びを見て、何か規則性に気づくでしょうか。

これは、最初の数が9で、あとは12ずつ増えていく数の並び(等差数列)となっています。

つまりこの数の並びは

9、21、33、45、57、69、・・・という風に増えていきます。

なるべく公式や解き方を覚えないで解く力を付ける

ここまでのことをまとめると

4で割ると1あまる数、6で割ると3あまる数の中で、どちらにも共通するものは、9に12を次々に足して得られる数の並び全体である

ということです。

問題文では、そうした2けたの数の中で一番大きい数を求めなさいとあります。

問題集などでは、等差数列の公式も使って解いているものを見かけますが、習いたてのうちは、数の規則性に関する考え方を身につけるためにも、以下のやり方も知っておくと良いです。

① 9=9+12×0

② 21=9+12×1

③ 33=9+12×2

④ 45=9+12×3

⑤ 57=9+12×4

⑥ 69=9+12×5

・・・・・・

となって、常に、〇番目の数は、9に12×(〇−1)を足したものになっています。

こうして作った数のうち、一番大きい2けたの数は、9+12×7=93 であることが分かります。

倍数と約数の問題の解き方まとめ

改めて、この記事のポイントをまとめると

・問題文を最後まで読み飛ばさずに読む

・Aの倍数ときたら「例えばどんな数があるのか」を気にしながら、数を書き出す

・「割る数」「割られる数」を意識して計算する

・Aの約数はバラバラに書かずに、お互いかけてAになる「対」を順番に書く

・答を出す前にもう一度必ず問題文を振り返る

・自分で規則性を見つける

ということが大事になってきます。

解き方だけではなくて、いろんな問題の解き方に共通する「考え方」の部分に注目できると、問題を解くのも楽になってくるはずです。

1問1問、自分でできるまで練習していって下さいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です