こんにちは。数学専門家庭教師の鈴木です。
今日は法政大学の数学入試問題のうち、大問1について解説し、今後の対策についてもお話していきたいと思います。
実は2年前に、法政大学高校に合格された生徒さんがいまして、そのときに過去問などもよく見ていた記憶があります。
2020年の入試について解説し、それをもとに今後受験される方のために、どんな対策をしていけば良いのかについても、お話ができればと思います。
問題がこちらです。
正負の数の四則計算は、発展レベルの問題までできるようにしておく
四則全てが式の中にあるタイプの計算問題が、必ず出題されます。
四則計算の優先順位について、知っている生徒さんはいると思いますが、ここでの問題レベルになると、「負の数の累乗」でミスをしない力が求められます。
例えば (-2)^6 と、(-2^6) の違いを知っていることはもちろん、このような式が出てきたとき、もしミスをしたとしても、何がいけなかったのか、自分で気づける力が必要です。
文字式の計算は「指数法則」まで使えるようにする
指数法則というのは、高校の数学で詳細を学ぶことになっていますが、中学で習う文字式の考え方で理解できます。
この問題では、式の中に (ab^2)^3が出てきますね。
このような式の式変形の仕方が分からないという生徒さんもいますが、このときに大事なのは、「ある数の3乗とは、数をどうすることだったのか」を思い出すことです。
これができれば「指数法則」というものを知らなくても、具体的に式を「累乗を使わない形」で書いてみると、答に辿り着けます。
文字式と方程式の違いを理解しておく
ここでは分数の一次式が出題されていますね。
分数の一次式には、当然「分母となる数」があるのですが、結論から言うと、文字式と方程式の違いを理解できていない人は「分母の数を勝手に消す」という傾向にあります。
この問題では分母が「6、3、2」となっていますが、違いを理解できていない人は、これらの数を消して「分子だけ何倍かして、分子だけの式を計算する」といった間違いをしてしまうことがあります。
文字式というのは、ただ単に「数の代わりに文字を使って四則計算を行う」ということをしています。
公式に頼らない因数分解を学ぶ必要がある
「因数分解」というと、公式に当てはめて式変形をするというイメージを持つ生徒さんもいますが、法政の過去問を何年分か見る限り、そのようなイメージが通じないものがほぼ毎年出題されます。
因数分解の基本は「同じ項でくくる (つまり同じ形の式をカッコの前に持ってきて、同じ形の式×カッコという表し方で式を表現する)」という考え方です。
この考え方を使えるようにすることが、法政で出題される因数分解の問題では必要なのですが、大事なのは「1文字だけを文字として見る」という捉え方です。
2xy-3x+8y−12を因数分解するのであれば、まずxだけを文字と捉えることで、x(2y-3) という式ができ上り、残りの8y-12を見ると、この式は4でくくれて4(2y-3) となります。
ここで上に出てきた「同じ項でくくる」という考え方が使えるのですが、こうした「考え方を使う」という練習は、問題集に載っている「基本例題」を解くことで身に付けていくものです。
「体系数学」「チャート式」などの、「中高一貫校生向けの教科書」か「難関高校の入試に特化した問題集」を見ると「基礎例題の解説を読み、その後類題を解く」という練習ができるようになっています。
そうした練習ができると、考え方が身に付いてきますので、ぜひ試してみて下さいね。
方程式を解くために「どんな式変形をすれば良いのか」が問われる
連立方程式と2次方程式が出題されていますが、いずれも式の形を変えないと、解けないようなものになっています。
連立方程式は「ax+by=c、dx+ey=f」の形に、2次方程式は「ax^2+bx+c=0」の形に、自分で直すことが必要です。
これらの問題も、上に出てきた「体系数学」のような教科書などで学ぶことができます。
整数に関する問題が出るのも特徴
法政高校に限らず、有名な大学の付属校では、公立の中学生だと習わない「整数の発展問題」が出題されることが多いです。
難関校対策をしてくれる集団塾さんなどで、こうした問題も教えてくれるところはありますが、一般的に整数の問題は、高校受験生にとっては難しいものになりがちです。
というのも、まず習う機会が少ないのはもちろん、どんな問題が出るのかの予測も立てづらいという側面があるからです。
「この年はこういう問題が出たけど、来年はこの問題を解くときに出てきた考え方を使えるものが出るかどうか分からない」という意味で、整数の問題は難しさを感じる人も多いです。
整数に関しては、「よく出る問題」が収録されている問題集があるので、それを自分で買うのも対策の一つです。
場合の数は必ず樹形図を描く
「何種類できるか」「何通りあるか」と問われたら、その問題は「場合の数」に関する問題です。
中学生だと「確率」の単元で問題演習をすることになりますが、ここで大事なのは「樹形図を描くこと」です。
もう少し付け加えると「並べ方と選び方の違い」「複数ある同じものを、別のもの扱いして良いかどうか」を意識して、樹形図を描くことになります。
この問題だと「aabbc」とありますが、「ここにある2つのaはお互いに同じとみなせるのか」「aabとabaは選び方としては同じだけど、並び方が違う」といった考えを、意識できることが大事です。
「2つのサイコロ・・・」ときたら迷わずに表を作る
サイコロが2つ出てくる問題がありますが、そのような問題の正解を出すときに必要なことは、「表を書く」ということです。
試合の勝敗表のように、「縦に大きなサイコロの目の数」「横に小さいサイコロの目の数」を書き、問題文に書いてあることと一致している枠に「〇」、そうでないところに「✖」を書くのが良いです。
むしろ、「2つのサイコロ」に関する問題は、「表を書いて考えて下さい」という、出題者からのメッセージが込められているように思えます。
まとめ
いかがだったでしょうか、以下手書きで、私の作成した解答を載せます。
この記事でお伝えしたような考え方は、他の難関校を受験する際にも役に立つものです。
受験のためになるだけではなく、高校の数学を理解するためにも必要な要素も含んでいますので、この記事も参考に、それらを身に付けていただけると嬉しいです。