【中学受験算数】かけ算とわり算における基礎固め

こんにちは。算数・数学プロ家庭教師の鈴木です。

今日は、中学受験算数の中でも、4年生の一番初めあたりに習う「かけ算・わり算」における基礎堅めについて、書いていきたいと思います。

中学受験算数のカリキュラムは、「小学校で習う単元の先取り」という側面がありますが、ここで出てくる「かけ算・わり算」は、小学校のカリキュラムとほぼ同時に習うところです。

「基礎堅めそれ自体が難しい」というお声もよく聴きますが、中学受験の算数は、当然ですが、「小学校で習う算数」こそが基礎となります。

ですので、小学校で習う基礎が身に付いていなければ、中学受験の勉強は理解できません。

ここからは、基礎がなかなか身に付かなくて困っているという親御さんに向けて、かけ算とわり算の基礎を身に付けるために必要な勉強法について、お伝えします。

この記事をお読みいただくことで、かけ算とわり算の基礎堅めのお役に立てるはずです。

基礎が身に付かない理由

まずはそもそもお子さんの様子を見ていて、「基礎が身に付いていない」と思われる方のために、以下のチェックリストを作成しました。

4年生以降、かけ算とわり算が分からなくなってしまう原因となるものについて、まとめました。

かけ算九九でミスする

「九九を言い間違える」「九九の答を書き間違える」という間違いに代表されるように、4年生以降の学習において、かけ算でつまずきが見られる場合、そもそも九九を正確に答えられないことがあります。

私が見ていた生徒さんにも「7の段でいつも間違える」「6×4=26としていた」などなど、「正しい答は知っていても、解答を書くときに間違っていた」という子がいました。

中学受験をするレベルのお子さんだと、「九九が全く分からない」という子は、ほとんどいません。

しかし、上に書いたように、「正しい答を知っていても、手が勝手に違うことをする」というタイプのお子さんもいたことは事実です。

まずはこうしたタイプのミスを、九九においてしていないかどうかを知ることが大事です。

暗算に頼りすぎ

九九までは暗算でできても、「2桁×2桁」以上の計算になると、暗算でやるのは、あまりおすすめできません。

というのも、例えば「2桁×2桁」の計算問題で間違いがあった場合に、暗算でやることにより「計算した証拠」が残らなくなってしまい、「どこで間違ったのか」が見えなくなってしまうからです。

以前、私の生徒さんでも、そろばんを習っているおかげで、暗算で2桁以上のかけ算ができる子もいましたが、間違った答を出してしまったとき、もう一度暗算で答を出していましたが「同じ答を出してしまう」という事態がありました。

これは何を意味するかというと、その生徒さんの中で、「間違った答を、頭の中で正しいと思い込んでいる」といった状況が生まれてしまっていたのです。

こうした事態を避けるためにも、ひっ算の練習を必ずしておきたいところです。

ひっ算を正しく書けていない

ひっ算で答を出そうとしていても、ひっ算の書き方を正しく身に付けていないと、間違った答を出してしまうことがあります。

特に3桁×2桁のかけ算になってくると、ひっ算の際に「どの数の下に、何の数を書いたのか」が分からなくなってしまうような書き方も、時々見かけます。

わり算についても同じで、意外とよくあるのが、「わる数とわられる数」を逆にしたままひっ算を書いているというタイプの間違いが、わり算のひっ算において見られることがあります。

商を書く位置が正しくない

わり算をするときに大事なのは、「商の位置を正しく書くこと」です。

150÷30をひっ算で計算するときに、「150」の0の上に、商の「5」を書きますが、0以外の数字の上に5を書いてしまう子もいます。

答は合っているのですが、こうしたことを続けてしまうと、「50÷8=6.25」のような「割り切れるまでするタイプの割り算」で、間違える可能性が高くなります。

問題文を最後まで読んでいない

計算はできても、文章問題でミスをしてしまうお子さんが、いらっしゃるのではないでしょうか。

かつて、私もそうだった記憶があります。

もしお子さんが、問題文を最後まで読まずに、数字のみに注目して「このページの問題は、全てかけ算の問題なのだから、問題文を読まなくても答は出せる」などと思って解いていたら、注意が必要です。

今後中学入試向けの勉強を進めていく際に、まず大事なのが「どの問題がかけ算で、どの問題がわり算か」を正確に判断できることです。

問題文を絵として描き表せない

文章問題で大事なことは、「問題文に書いてある状況を、絵で描けること」です。

「何が、いつ、どこで、どうなったのか」「そのときに、何を求めたいのか」を把握するという意味での「文章問題を解くのに必要な読解力」を身に付けるためにも、絵を描くことは大事です。

なぜ「図」ではなく「絵」かというと、まずは「絵」という具体的なものを描けることで、ゆくゆくは「正確な絵ではなく、抽象的な図でも考えられる」という状態を目指すからです。

例えば、ものの個数を考えるときに、「実際のもの」を描かなくても、「ものの個数を線分に例える」といった思考ができることを、中学受験では求められます。

解き直しができていない

問題を解き、〇つけをして、✖になってしまった問題を、そのままにしていないでしょうか。

お子さんの様子を見ていて、もしこれまでに、「✖が付いた問題をそのままにしたいる」といったことがあれば、それは間違いなく、「つまずきを作ってしまう大きな原因の一つ」です。

というのも、✖が付いた問題には大きく分けて2種類あり、一つは「正しい思考ができていたのに、書き間違いなどによって、ミスをしてしまった問題」が考えられます。

もう一つは、お子さん自身「間違った考え方を、正しと思い込んだまま解き進めていた問題」が考えられます。

例えば文章問題では、「文章の読み方そのものを間違っている」ことも、小学生の段階だと珍しくありません。

このように、問題の解き直しをしないとなると、「ミスをした原因」「見直しの仕方」「正しい読み方など」が身に付かないまま、次の単元を習うことになります。

正解を最後まで自分で出せていない

解き直しをすることを、言い換えただけのような気もしますが、「最後まで、ヒントなど何も見ずに、自分で正解を出すこと」が大事です。

もう少し補足すると、「たまたま答を出せた」というだけでは、正解を出せたとは言えません。

「問題文には、何が書いてあったのか」「考えていることは正しいかどうか」を振り返りながら、「このように考えることで、正解がでる」と思えることで、「予想通り正解できること」が大事です。

かけ算・わり算に限らず、このプロセスがないとどうしても、「前までは算数ができたのに・・・」という状況になってしまいます。

かけ算・わり算の理解に必要なこと

ここまでお読みいただき、もし、これらのうちのどれか一つでも当てはまる場合は、以下のような思考や行動を取り入れることで、かけ算・わり算の基礎堅めができるようになります。

計算する前にイメージを持つ

そもそもよく「計算力」という言葉を耳にしますが、実はこの言葉は「各学年・各単元」で意味するものが違います。

小学4年生のかけ算・わり算においては、例えば「350×11」という計算一つとっても、「350円のお菓子を11袋買うのに必要な値段」などと、具体的な実例を思い出せることが大事です。

小学生の段階においては、「数」とうい抽象的なものよりもまず、「量」という具体的なものを思い浮かべられることが大事です。

小学生の段階では「数同士を正確に加減乗除できる力」よりもまず先に、「数と量を対応させて考える力」を身に付けることで、「加減乗除の意味」も受け入れやすくなります。

数字は大きく書く

式を書くときに、ノートのマス目よりも小さく書いていることなどがあれば、ミスの原因にもつながります。

よく親御さんから、「字がきたなくて困っています」というご相談もありますが、実際にお子さんの書いた字を見てみると、非常に小さな数字を書いていることがあります。

数字を大きく書くことで、「ひっ算の際に、どの数字の下に、どの数字がくるのか」といった目からの情報も、ひと目で分かるようになります。

ここで「大きく」と書きましたが、すくなくとも、マス目入りのノートを使っている場合は、マス目1個分と同じ大きさの数字を書くことが大事です。

ひっ算するクセをつける

「ひっ算でしなさい」と言われていなくてもできるようにすることが大事です。

算数の計算問題で「ひっ算でしなさい」と書いてあると、必ずひっ算でしなければいけないように思いますよね。

しかし大事なのは、文章問題にてケタ数が大きい数が出てきたときに、「ひっ算しないと正解できないな・・・」と思えることです。

ひっ算を必ずやり、「確実に正解できるを経験」を持つことができると、自分からひっ算しようという気持ちも出てきます。

わり算では2桁×1桁のかけ算を自分で思い出す

わり算が苦手というお子さんは、見ていると「2桁×1桁のかけ算」を自分で考えることが苦手と感じていることも多いです。

割り算とはいえ、「割る数に何をかけたら割られる数になるのか」を考える以上、「かけ算をどれだけ練習してきたか」が、割り算の理解を左右するとも言えます。

もし、かけ算でもよく間違いがあるという状況であれば、日々の学習にかけ算の計算練習を取り入れることをおすすめします。

問題文を声に出して読む

文章問題を解くとき、すぐに「分からない」という声が、お子さんから上がることはありませんか?

そのようなときに効果的なのが、「問題文を実際に声に出して読むこと」です。

そうすることで、お子さんから「最後まで読めばできた」など、いかにも「自分が問題文を読んでいなかったか」が分かるような受け応えが返ってくることもあります。

「読み間違い」「読み飛ばし」を防ぐためにも、「声に出して読むこと」をおすすめします。

書き間違いがないか振り返る

式を書き間違えたり、出した答は合っていたのに、「解答欄に書いた答が違う」などの間違いはありませんか?

そのような間違いは、「書き間違い」のカテゴリーに含まれることがあります。

「文章を式に直すタイミング」「途中式の計算をしているとき」などなど、書き間違いが起きるポイントというものがありますので、気になる方は「書き間違っているとしたら、どのタイミングか」を調べてみて下さい。

見間違いがないか振り返る

お子さんに、どこでミスをしていたかなどを聞くことがありますが、よくあるのは「数を見間違っていた」というものです。

計算問題であれば、自分が書いた数字を「本来認識すべきものではない数字」と見てしまっていたなどの間違いもあります。

そのようなことがないように、「自分が見たものは本当にその数字を表しているのか」を気にしながら、「問題に何が書いてあったのか」なども振り返ることが大事です。

理解を確かなものにするための勉強法

最後に、家庭学習をどのように進めていけば理解が深まるのかについて書いていきます。

以下に書くようなことができるだけでも、十分な理解を得られることは間違いないです。

計算問題は時間を決めて毎日やる

朝の15分など、多くの時間を取らなくても良いので「この時間にこれだけ計算練習をする」というノルマを設けることができると良いですね。

確実に正解を出せるように練習することが目的ですが、毎日練習することで、自分がどういったミスをする傾向にあるのかなども分かります。

その度に、「こうすればミスしなくなる」という見直し方法を考えることもできます。

解いたらまず見直しをする

見直し方法を考えるだけではなく、実際にその方法で「ミスが防げるのか」を確かめておく必要があります。

文章を読み、式を立てたら「本当にその式で合っているのか」を確かめたり、式を計算して答を出した後に、「本当にこれで良かったか」などを確かめたりすることが大事です。

確かめる際に大事なのは「以前こんな確かめ方をしたらミスなくできた」という一つの経験を思い出すことです。

「合っているかどうか」を確かめる際に役に立つのは、「正解できた経験を思い出すこと」です。

かけ算とわり算がランダムに出題されたページを活用する

簡単な例ですが「15個のみかんを3人に同じ数ずつあまりなく分けました」という問題があったときに、このような問題に対して「15×3」としてしまうタイプのお子さんもいらっしゃいます。

理由は様々ありますが、一つ確実に言えるのは、そのようなタイプのお子さんは「かけ算と割り算を同時に出題されたような経験がほぼない」ということです。

なにかというと、上に書いたような問題と同時に「15個入りのみかんを3人に配りました」というタイプの問題を同時に与えたときに、「どちらがかけ算で、どちらが割り算なのか」を判断した経験が少ないと言えます。

「かけ算の練習プリント」に文章問題が載っていたら、それは間違いなくかけ算かもしれません。

しかし、「かけ算と割り算の総合テスト」などでは、文章を読んで「これはかけ算・割り算」であると自分で決めることが求められます。

そのような練習ができる問題集の使い方が大事です。

まとめ

かけ算・割り算は、計算の仕方だけではなく、問題文を読み「何がかけ算か」「何が割り算か」を判断できるような読み方を習得する必要があります。

算数が苦手になってしまう原因の一つに、上に書いたような読み方が習得できていないことが、間違いなく挙げられます。

算数においては、「同じ数ずつ増やす」「同じ数ずつ分ける」という考え方ができることで、どんな問題もできるようになります。

この記事をお読みいただいた方で、なにか気になることがありましたら、いつでもご相談いただけますと嬉しいです。

成績UPのために必要な勉強法や、日々の学習に取り入れると良いことなど、お子さんにとって最適なご提案をさせていただきます。

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