中学受験算数では、「仕入れ・売値・利益」に関する文章題が頻出です。
この記事では、仕入れ値に対して異なる利益率を設定したときの売上金額の差をもとに、仕入れ値を求める問題を解説します。
計算手順をしっかり理解すれば、類似問題にも対応できるようになります。
問題の確認
今回は、雙葉中学の入試問題の改題を題材として、以下のような問題を解きます。
「ある商品を48個仕入れました。すべて売ったときの売り上げの目標金額を決めました。仕入れ値の3割の利益を見込んだ売り値ですべて売ると、その売り上げは目標金額より2156円高くなり、仕入れ値の16%の利益を見込んだ売り値ですべて売ると、目標金額より1540円低くなります。この商品の仕入れ値は1個何円ですか。」
解き方の手順
仕入れ値を①とおく
1個あたりの仕入れ値を ①円 とおきます。
すると、48個仕入れた総額は 〇48円 となります。
3割利益の売上金額
仕入れ値に30%の利益をのせた場合: 〇48×1.3=〇62.4
これが「目標金額より2156円高い」売上です。
16%利益の売上金額
仕入れ値に16%の利益をのせた場合: 〇48×1.16=〇55.68
これは「目標金額より1540円低い」売上です。
差を利用する
両者の差をとると: 〇62.4−〇55.68=〇6.72
一方で文章から、売上金額の差は 2156+1540=3696
であることが分かります。
仕入れ値を求める
よって 〇6.72=3696なので
①=36966.72=550
したがって、仕入れ値は1個550円 となります。
この問題のポイント
- 利益率をかけ算で表す(「1+0.3」「1+0.16」)
- 「目標金額との差」を正確に式に反映させる
- 両者の差を利用して仕入れ値を導く
難関校では「利益率」と「基準との差」を同時に扱う問題がよく出題されます。文字式を使って整理すると解きやすくなります。
よくある質問集(FAQ)
Q1. 利益率をかけ算に直すのはなぜですか?
A. 利益率は「仕入れ値を基準に上乗せする割合」なので、必ず「仕入れ値 × (1+利益率)」の形にします。
Q2. 差を利用する発想はどうすれば思いつけますか?
A. 問題文に「目標金額より高い」「目標金額より低い」と2種類の情報がある場合、それらの差をとるのが定石です。
Q3. 目標金額自体を求めることはできますか?
A. はい。仕入れ値が分かったら、いずれかの式に代入して「目標金額」を出すことも可能です。
まとめ
今回の問題は、仕入れ値を文字でおき、利益率による売上の差を利用して解く典型的な「売買損益と差の問題」です。
- 利益率を「1+利益率」で表す
- 目標との差を整理する
- 差から逆算して仕入れ値を出す
この流れを身につければ、入試本番で応用問題が出ても対応できます。
難関校を目指す受験生は、必ず押さえておきたい解法です。