小学4年生の秋ごろになると、「算数がわからない」「塾の宿題が難しい」と言いはじめる子が増えます。
実は、ここが中学受験算数の最初の分かれ道です。
この時期に保護者がどんな声かけやサポートをするかで、「算数が好き」か「算数が苦手」かが大きく変わります。
この記事では、図解を交えて「4年生の算数の壁」をどう乗り越えるか、そして家庭教師を上手に使って支える方法を詳しく紹介します。
図解でわかる「4年生が算数を苦手と感じる流れ」
▼図:算数の苦手意識が生まれる流れ
3年生まで:具体的な操作中心(できる!楽しい!)
↓
4年生前半:抽象的な単元が増える(割合・速さ・角度)
↓
4年生後半:思考量が増え、理解と定着にギャップ
↓
自信をなくす → 苦手意識 → 勉強を避ける
4年生は、算数が「具体から抽象」に変わる転換期です。
この流れを理解しておくと、親がどのタイミングでサポートすべきかが明確になります。
では、1つひとつの段階を詳しく見ていきましょう。
3年生までは「できる!楽しい!」の成功体験期
3年生までの算数は、「九九」「わり算」「長さ・重さ」など、身の回りの感覚と直結した内容です。
問題を解くたびに「わかった!」「できた!」と感じられるため、算数=楽しい教科として好きになる子が多い時期です。
保護者の関わり方ポイント
- 「できたね!」「速くなったね!」と小さな達成を言葉でほめる
- 計算ドリルを“ゲーム感覚”で進める
- 家の中で「これ何cmかな?」など日常に算数を混ぜる
この時期の「算数は楽しい」という感情が、4年生以降の学習モチベーションの土台になります。
4年生前半で抽象的な単元が増える
4年生になると、算数の内容が一気に難しくなります。
「角度」「小数」「分数」「割合」「速さ」など、目に見えない量を扱う学習が増えるからです。
たとえば、「1/2 × 3/4」などの分数計算は、感覚では理解しづらいですよね。
この時期は、“考える算数”の入口に立った段階。
子どもが「急に難しくなった」と感じるのは自然なことなのです。
保護者のサポート例
- 「難しいね。でもこれは“考える練習”なんだね」と共感する
- 答えよりも「どう考えたか」を聞いてあげる
- 図を一緒に描いて「こういう関係かな?」と考え方を可視化する
このような関わり方をすると、子どもは「難しいけど、自分で考えるのも楽しい」と感じられるようになります。
4年生後半で「理解」と「定着」のギャップが生まれる
4年生後半になると、塾や学校では「応用問題」「文章題」の比率が急増します。
つまり、「授業で理解したつもり」→「実際に自分で解けない」→「できない自分にがっかり」という流れが起こりやすいのです。
よくあるつまずきパターン:
- 授業中はわかったつもりになっている
- 家で解くと、どこから手をつけてよいか分からない
- 解けないまま放置する
- 次の単元に進む → 苦手が積み上がる
この「理解できたのに解けない」段階で適切にフォローできるかが分岐点です。
保護者の声かけ例
- 「授業ではどんなやり方だった?」と聞き、子どもに説明させる
- 「自分の言葉で説明できる=本当に理解できている」と確認
- 解けなかったときも、「もう一回やってみようか?」と前向きに促す
ここで焦らず「復習の仕組み」を作ってあげることが、苦手克服の第一歩です。
自信をなくす → 苦手意識 → 勉強を避ける
この時期に最も注意が必要なのが、「自信喪失による回避行動」です。
つまり、「わからない=嫌い」「難しい=やらない」となってしまうパターンです。
中学受験を意識するご家庭ほど、「できない」ことへの焦りが強くなり、親が叱責・指摘中心になってしまうケースも少なくありません。
しかし、ここで必要なのは「励まし」ではなく、「安心感」です。
保護者の具体的アクション:
- 間違えても「いいチャレンジだったね」と声をかける
- テストの点よりも「考え方」や「工夫」を認める
- 一緒に解き方を調べる姿を見せ、「親も勉強中」であることを伝える
子どもが「失敗しても大丈夫」と思える環境が整うと、再び自ら学ぼうとする姿勢が戻ってきます。
ここで家庭教師を導入する意味
家庭教師は、この「苦手意識が芽生えた時期」にこそ最も効果を発揮します。
一人ひとりの理解度を丁寧に見取り、
- 「何が分かっていて、何が分かっていないか」
- 「どんな順番で復習すべきか」
を整理してくれるため、無駄なく立て直せるのです。
家庭教師導入のベストタイミング:
- 4年生の秋〜冬(苦手が固定化する前)
- 「宿題の量が増えてきた」「時間が足りない」と感じ始めた頃
ここで基礎を再構築できれば、5年生以降の応用単元にもスムーズに進めます。
家庭教師を上手に活用する3つのポイント
「わかる」より「自分でできる」を重視した指導
家庭教師は、説明だけでなく「自分で考えさせる時間」を作ってくれます。
特に4年生では、考えるプロセスを見てもらうことが大切です。
家庭学習のペースを整えてくれる
家庭教師が入ると、「何を・どの順番で・どれくらい」やるかが明確になります。
塾の宿題も整理され、無理のない学習リズムが作れます。
▼図:家庭教師活用イメージ
塾授業 → 家庭教師フォロー → 家庭復習
(理解) (定着) (習慣化)
親子の距離を守りながらサポートできる
親が教えると「ついイライラしてしまう」のは自然なこと。
家庭教師が“間”に入ることで、「親は応援する人」「子どもは学ぶ人」という良い関係が保てます。
声かけ+家庭教師で“算数好き”を取り戻そう
算数が苦手になりかけている4年生ほど、ちょっとした成功体験で大きく変わります。
- 「図を描いたらわかった!」
- 「1問自分でできた!」
- 「先生にほめられた!」
その瞬間を一緒に見つけ、親が認めてあげることで、「算数ってできるかも」という前向きな気持ちが生まれます。
家庭教師の力を借りながら、「できた!」の積み重ねを増やしていきましょう。
よくある質問
Q1. 家庭教師はどのくらいの頻度で利用するのが効果的ですか?
A. 週1〜2回が最も効果的です。定期的に復習サイクルを作ることで、「苦手が定着する前」に修正できます。
Q2. 塾と家庭教師のどちらを選ぶべき?
A. 「基礎を固めたい」「本人の理解度を丁寧に見たい」なら家庭教師。
「演習量を増やしたい」「競争意識を高めたい」なら塾が向いています。併用もおすすめです。
Q3. 苦手克服にどのくらい時間がかかりますか?
A. 子どもによりますが、明確な計画と適切なサポートがあれば3か月程度で変化が見えるケースが多いです。
まとめ
小学4年生の算数は、「抽象的思考への転換期」です。
この時期に苦手意識を放置すると、5・6年での応用単元に大きな影響が出ます。
大切なのは、
- 小さな成功体験を積み重ねる
- つまずきを早く特定する
- 家庭教師など専門的なサポートを取り入れる
という3ステップで、「算数=できる教科」に変えることです。
今の小さな“苦手”を、未来の“大きな得意”につなげましょう。
