中学受験の算数の中でも、つまずく子が多いのが「速さ」の単元。
・距離・時間・速さの関係があいまいなまま進んでしまう
・図が描けず文章題が崩壊する
・割合・比・単位換算でつまずく
こうした状況が重なると、速さの問題は一気に“苦手単元”になってしまいます。
しかし、安心してください。
速さは「正しい手順」と「図で考える習慣」をつければ、誰でも得意になります。
この記事では、
✔ 速さが苦手になる原因
✔ 今すぐ実践できる“正しい勉強ステップ”
✔ 得点につながる図の描き方
✔ 家庭学習でのチェックポイント
を全てまとめて解説します。
速さの問題が苦手になる3つの原因
①「距離・時間・速さ」の関係を“公式”で覚えてしまう
多くの子が
速さ=距離÷時間
距離=速さ×時間
時間=距離÷速さ
こうした公式を暗記だけで覚えています。
しかし、公式先行型の理解だと文章問題に弱くなるのが特徴です。
本当は、「速さは1時間(1秒)あたりに進む量」「時間は、同じ速さでどれくらい進み続けたか」という“意味の理解”が最重要です。
②図を描かずに頭の中で処理しようとする
速さは文章が長く、条件が多い問題が多い単元。
頭の中だけで処理しようとすると、ほぼ確実に混乱します。
特に、
・往復
・行きと帰り
・追いつく
・出会う
・旅人算
などは、図が描けないと手も足も出なくなります。
③単位換算・割合・比が弱い
速さの問題には必ず単位換算がついてきます。
・km ↔︎ m
・時間 ↔︎ 分 ↔︎ 秒
・秒速・分速・時速
・食塩水・割合・比との融合問題
これらのどれか1つでも“曖昧”だと、速さの理解が揺らぎます。
速さを得意にするための勉強ステップ
速さは「順番」に勉強すれば必ず得意になります。
ここでは、正しい4ステップを紹介します。
ステップ1:公式より先に“意味”を理解する
まず取り組むべきは、
✔ 「速さ」とは1あたり量
✔ 「距離」とは進んだ道のり
✔ 「時間」とは進み続けた長さ
これを「公式」ではなく “意味” で理解すること。
例:時速40km → 1時間で40km進む
この感覚をつかむと、文章題の読解が一気に楽になります。
ステップ2:かならず「線分図・速さの三兄弟図」を描く
速さの文章題は 図が描けたら8割解けます。
おすすめの図は2つ:
◎ 距離・時間・速さの三角形(=三兄弟図)
距離
速さ 時間
→ 求めたいところを隠すだけで関係が分かる
◎ 線分図
・出会う
・追いつく
・往復
・途中で追い抜かれる
などの理解が圧倒的に速くなります。
線分図を描く子ほど速さが得意です。
ステップ3:小問レベルで“反射的に”解けるまで習熟
いきなり文章題に進むより、まずは基本を固めます。
以下を反射的にできるまで練習:
✔ 単位換算
✔ 時速→分速→秒速
✔ 距離=速さ×時間の小問
✔ 旅人算の図を描く練習
これができるだけで、文章題が半分以上解けるようになります。
ステップ4:文章題は「図→式→答え」の3ステップを習慣化
文章題は必ず、
① 図を描く
② 式を作る
③ 計算する
この順で解かせてください。
図を省略してミス連発 → 苦手化
が速さの典型パターンです。
よく出る速さの問題別・攻略ポイント
① 旅人算(出会い・追いつき)
旅人算は “距離の差” を見るのがポイント。
・追いつく:距離の差を「速さの差」で割る
・出会う:距離の合計を「速さの合計」で割る
線分図に矢印を書くだけで劇的に理解が深まります。
② 行き帰りの問題
ポイントは2つ:
・速さは同じ?違う?
・時間は同じ?違う?
同じ部分と違う部分を線分図で整理できるかが決め手。
③ 平均の速さ
多くの子が混乱する単元ですが、結論はひとつ:
✔ 平均の速さ=全体の距離÷全体の時間
これ以外の方法はありません。
「平均」という言葉に惑わされないことが大切です。
家庭学習でやるべきこと(親向けチェックリスト)
✔ 図を描いているか?
図を描かない → 速さは絶対伸びません。
「図は?」と声をかけるだけでOKです。
✔ 単位をそろえているか?
・「時間」を分と時のまま混ぜる
・「距離」をmとkmのまま混ぜる、
これは速さの典型的ミスです。
✔ 考え方を説明できるか?
「どうしてその式になったの?」と聞くと、理解の深さがすぐに分かります。
✔ 図→式→答え の順番で解けているか?
速さの正解率は、ほぼこの順番で決まります。
よくある質問
Q1. 速さの勉強におすすめの問題集はありますか?
A.最初は「予習シリーズ」「塾技」などの基本レベルでOKです。苦手な子は「ベストチェック」や「練習帳」で基礎固めを。
Q2. 図を描くのに時間がかかってしまいます
A.最初は時間がかかって当たり前です。描き慣れると1〜2分で描けるようになり、むしろミスが減ります。
Q3. 速さが苦手でも、入試に間に合いますか?
A.間に合います。速さは正しい手順で練習すれば最も伸びやすい単元の1つです。
まとめ
速さは「暗記で解く単元」ではありません。図で整理し、関係を理解する単元 です。
だからこそ、
✔ 公式を覚える前に「意味」を理解する
✔ 図を描く習慣をつける
✔ 単位換算と小問を反射的に
✔ 文章題は「図→式→答え」
これを徹底すれば、どんな子でも速さの問題が得意になります。
