中学受験の算数でよくある悩みの一つが、「うちの子、図を全然描かないんです…」というものです。
親としては「図を描けば解けるのに」「先生にも言われているのに」と、つい注意したくなりますよね。
しかし実は、図を描かない=怠けている・やる気がないとは限りません。
この記事では、
- なぜ子どもは図を描かないのか
- NGな声かけ・逆効果な指導
- 今日からできる具体的な改善策
を、中学受験算数専門の視点で解説します。
なぜ中学受験算数で「図」が重要なのか
図は「センス」ではなく「思考の補助装置」
中学受験算数の図は、きれいに描くためのものではありません。
- 条件を整理する
- 情報を見える化する
- 考え方を固定する
ための思考ツールです。
特に
- 速さ
- 割合
- 比
- 図形
- 規則性
では、図を描くかどうかで正答率が大きく変わります。
図を描かない子にありがちな4つの理由
① 図の描き方が分からない
「図を描け」と言われても
- 何を
- どこまで
- どう描くのか
が分からない子は非常に多いです。
👉 描かないのではなく、描けない状態です。
② 図を描くと時間がかかると思っている
特に計算力がある子ほど、「頭の中でやった方が早い」と感じがちです。
しかし本番では
- 条件の読み落とし
- 思い込み
によるミスが増えます。
③ 過去に「汚い」「違う」と否定された経験がある
図を描いたときに
- 「それじゃダメ」
- 「ちゃんと描きなさい」
と否定されると、描くこと自体が嫌になります。
④ 図を描かなくても「たまたま」解けてきた
低学年〜小5前半では、図を描かなくても解けてしまうケースがあります。
しかし小6になると一気に通用しなくなります。
絶対にやってはいけないNGアドバイス
❌「とにかく図を描きなさい」
これは最も逆効果です。
- 何を描けばいいか分からない
- 強制される
- 思考停止になる
という悪循環に陥ります。
❌ 見本の図を丸写しさせる
一見よさそうですが、「自分で考える図」になっていません。
結果として
- 初見問題で描けない
- 少し条件が変わると崩壊
します。
図を描けるようにするための正しいアプローチ
① 「全部描かなくていい」と伝える
まずは「線1本」「矢印1つ」でもOKと伝えましょう。
- 距離だけ
- 人の位置だけ
- 比の関係だけ
部分的な図で十分です。
② 「何を見える化したいか」を一緒に考える
声かけ例👇
- 「今、何が分かりにくい?」
- 「これを見えるようにするとしたら?」
👉 図は目的があって描くものだと理解させます。
③ 親が「ラフな図」を見せる
定規・コンパス不要です。
- ぐちゃっとした線
- 文字だらけの図
でも構いません。
「これで十分なんだ」と分かることが大切です。
家庭学習での具体的トレーニング方法
ステップ① 解説を見る前に「落書きOK」で描かせる
正解・不正解は問いません。
👉 「描こうとした」経験を積ませます。
ステップ② 図がある場合とない場合を比較する
- 図あり → なぜ分かりやすい?
- 図なし → どこで迷った?
を言語化させます。
ステップ③ 1日1問「図を描く問題」を決める
量は不要です。
毎日1回が継続のコツです。
よくある質問
Q1. 図を描かせるのは何年生から?
👉 小4後半〜小5がベストです。小6からでは修正が大変になります。
Q2. 図が汚くて見にくいのですが…
👉 全く問題ありません。図は「他人に見せるもの」ではなく自分の思考用です。
Q3. 塾では図を描くよう指導されません
👉 家庭で補えば十分です。全てを塾に任せる必要はありません。
まとめ|図を描かない子は「伸び代が大きい」
図を描かない子は、サボっているのではなく、やり方を知らないだけというケースが大半です。
- 強制しない
- 否定しない
- 小さく始める
この3つを意識するだけで、算数の理解度と安定感は大きく変わります。
