こんにちは。算数・数学専門家庭教師の鈴木です。
中学生のお子さんで「定期テストでは点数が取れるのに、模試ではなかなか取れない・・・」とお悩みの方も多いですよね。
このまま本当に志望校に受かるのか、心配になってしまうこともあるかと思います。
この記事では、模試で点数が取れない理由と「どうすれば点数が取れるようになるのか」について、書いていきたいと思います。
定期テストと模試の違い
そもそも定期テストと模試とでは、何が違うのかについてご説明しますね。
定期テストはあくまで「授業の理解度」を測るもの
定期テストというのは「その授業の理解度を確かめるためのもの」です。
もう少し具体的にいうと、例えば授業担当の先生からの「答案でこれを書かないといけません」などの指示に従って、その指示通りに答が記述できるかどうかなどが、点数に影響します。
「先生の話を聞いていたかどうか」が大きく影響するテストだと言えます。
模試は例外を除き「志望校への合格可能性」を測るもの
一方で模試は例外を除き、不特定多数の生徒が受けることで「この模試を受けたあなたは、模試を受けた全ての人と比べて、このくらいの学力を持っています」という判定性が得られるものです。
学力の判定性が得られるので「あなたの他にもこの高校に行きたい人がこれくらいますので、この学力であれば、あなたはその人達と比べて受かる確率はこれくらいです」ということまで分かってしまうのです。
このように「定期テスト」と「模試」とでは、テストを実施する目的がまるで違います。
定期テストだと点数が取れる理由
両者のテストの違いが分かったので、まずは定期テストだと点数が取れる理由について考えてみたいと思います。
「問題の出題元」が既に分かっている
定期テストはもう一度言いますが「授業の理解度」を見るテストです。
つまり「その授業で扱った教科書の説明」「その授業で解いたプリントの問題」「課題として出した問題集の問題」がそのままテストに出るか、あるいはそういった問題の類題がテストに出ます。
このように「問題がどこから出題されるのか」が分かっているので「ちゃんと勉強していれば取れる‼」というわけです。
「直近で習ったもの」が出題のメインになっている
中間テストから期末テストまでの間は、ほぼ1か月程度の期間になっています。
定期テストでは「この1か月の間」に習ったものが、出題のメインとなります。
最近では公立中学でも高校受験を見据えて、例えば「中学2年の2学期の期末テストから、1年生で習ったことも出題する」というスタンスで定期テストを実施することもあります。
しかし、そうした例外を除き、定期テストでは「前の定期テスト後から授業で扱った単元」が主な出題範囲となります。
ですので「直近で習ったものであれば、覚えていることも多い」という理由も、定期テストで点数が取れる理由の一つです。
たまたま「授業担当の先生」と「テスト作成の先生」が同じ
自分の授業を担当していた先生がテスト問題を作ることで「その先生の言葉の使い方、文章の書き方のクセ」がテスト問題に反映されることも「点数の取りやすさ」に影響します。
例えば穴埋め問題などがあれば「❏なので、よって〇になる」のような言い回しが、授業中の説明そのままになっていることも、珍しくないことです。
このような理由からも、問題作成の先生が普段の授業を教えてくれていれば「テスト問題自体がその先生の説明」になっていることもあり得るので、テストで点数を取れるというわけなのです。
模試になると点数が取れない理由
今まで「定期テストでは点数が取れる理由」をお話してきましたが、ここからは逆に「模試で点数が取れない理由」をお伝えします。
定期テストで点数が取れるお子さんは今まで書いてきた理由のうち、どれか一つには納得してもらえると思うのですが、いかがでしょうか。
以下で書くことは、これまで書いてきたことの「真逆」ですので、模試で取れないお子さんは「真逆」のことに課題があると考えられます。
「問題の出題元」が分からない
当然「教育関係者」であれば「この問題はあの問題集の標準レベルの問題」などということはすぐに分かるのですが、それがすぐに分かるお子さんは稀だと思います。
模試に出ている問題は、もちろん「特定の問題集に載っている例題」をもとに作られますが、そういった事情が生徒さんに伝えられることは、ほぼないです。
このような理由から、お子さんとしては「模試で点数を取りたいけれど、どの問題集で勉強すれば良いか分からない」という状況になってしまうことで、模試で点数を取れなくなってしまいます。
「昔習ったこと」も出るが「何がどう出題されるのか」は分かりづらい
模試は定期テストと違い「模試の実施日までに、日本全国の生徒さんが習ったこと」の中から「どの単元のどのようなレベルの問題が出題されるのか」が、お子さんにとっては分かりづらいのです。
例えば模試によっては「中学2年で習った1次関数が出題されること」が分かっていたとしますよね。
ただこのときに「1次関数のグラフと図形の問題」が出るのか「1次関数の日常生活への応用問題」が出るのかは、模試本番まで分からないというのが実情です。
定期テストであれば「1次関数のグラフと図形の問題を必ず出します!」というアナウンスもあるかと思いますが、模試ではそれがありません。
このように「何が出るか分からない」という状況が、勉強のしづらさを助長していることも事実です。
模試で点数を取るための対策
これまで「模試で点数が取れない理由」をお伝えしてきましたが、以下では模試で点数を取るためにどうすれば良いのかについて書いていきます。
結局「過去問演習」に尽きる
先ほど「何がどう出題されるのか分からない」と書きましたが、この問題を解決するには、結局のところ「模試の過去問を分析する」という方法が一番役に立ちます。
というのも、例えば高校受験のための模試であれば「V模擬」「都立W模擬」「私立V模擬」という具合に、模試の種類が分けられていますよね。
模試の種類が違えば、それぞれの模試で同じ単元の問題が出題されていたとしても「出題の仕方」が違いますし、何より「模試ごとの出題傾向」というものも確かにあります。
「こっちの模試ではこんな問題が出る傾向にある」のに対して「そっちの模試ではそんな問題が出る傾向にある」ということに気付けると、模試の過去問分析ができたことになります。
「どの単元から、どのような問題が出るのか」を知りたいときは、過去問を遡って調べることをお勧めします。
過去問が手に入らなければ「まずは基礎優先」
とはいえ、過去問を入手するのは意外と大変です。
お子さんによっては「過去問以前にやることがたくさんある」という人もいますよね。
そのようなときは、まずは「どの問題集にも載っている基礎問題」をできるようにしておくことが大事です。
模試でも入試本番でも、大事なのは出題された問題に対して「これが基礎問題だ!」と認識できることです。
よく模試の振り返りをして「この問題ならできた」と言うお子さんもいますが、そのようなお子さんは「テストのときに、どれがどの単元の基礎問題なのかを判断する練習」が足りていません。
そのような練習を取り入れた「基礎問題の演習」をしておくことも、模試の対策になります。
「典型的な入試問題」を解けるようにする
基礎問題ができている人は、更に点数を取れるように「入試問題集」を手に取り、「典型的な、毎年どの高校入試でも出題されるような問題」をできるようにすることが大事です。
実は模試の問題を見ると、上に書いたような意味での「典型的な入試問題」の類題であることも多いです。
この傾向は、当然のことながら「中学3年の2学期」のような「入試に近い月」の模試であれば分かりやすい形で出てきます。
「典型的な入試問題」を学べるおすすめの問題集に「新中学問題集」「体系数学」「チャート式」があります。
まとめ
定期テストと模試は、その目的自体違うことから、対策も当然変わってきます。
定期テストは「学校の先生の授業を聞く」が一番大事なこと、模試は「自分の目的に合わせて、できるようにすることを明確にする」が大事なことです。