【中学受験】倍数と約数を得意単元にする勉強法

中学受験の算数では「倍数と約数」は小4〜小5で学習する“基礎・土台の単元”ですが、実は ここでつまずくと後の単元(規則性・場合の数・割合・整数問題)まで苦しくなる ほど重要な分野です。

逆にいえば、この単元を得意にしておくと…

  • 約数・倍数の処理が速くなる
  • 図形以外のほとんどすべての単元が安定する
  • 試験での“数字の見抜く力”が大きく向上する

といった“受験算数の体幹”が身につきます。

この記事では、算数専門家庭教師として多くの子を指導してきた経験から、倍数と約数を得意にするための最も効果的な勉強法をまとめました。

倍数と約数が苦手になる原因とは?

まずは、なぜこの単元でつまずくのかを理解しておきましょう。

①「定義」があいまいなまま進んでしまう

倍数と約数は、言葉の意味があいまいなまま問題だけ解いても伸びません。

特に多いのは以下のケース。

  • 「○の倍数ってどういう数?」が説明できない
  • 「約数を全部出す」手順が安定しない
  • “割り切れる”という概念が弱い

定義理解が曖昧だと、応用問題で止まってしまいます。

②素因数分解を「作業」で覚えてしまう

素因数分解を“丸暗記”していると応用が利きません。

本来は 「その数をつくる材料を分解する作業」 と理解することが重要です。

③ケアレスミスが多い

倍数・約数の問題は一見易しく、ミスしやすい傾向があります。

  • 約数を「抜け」させる
  • 数え間違い
  • 条件の見落とし
  • 和・積・最小公倍数・最大公約数の混同

処理が甘いと高確率で失点します。

倍数と約数を得意にするための勉強法

① まずは「定義と言葉」を正しく理解する

ここが最重要ポイントです。

子どもが説明できるか聞いてみてください。

  • 倍数とは?
  • 約数とは?
  • 公倍数とは?
  • 公約数とは?
  • 最小公倍数とは?
  • 最大公約数とは?

自分の言葉で説明できれば“本当に理解している”状態。

大人が説明するのではなく、“子ども自身に言わせる”ことが効果的です。

② 「約数の出し方」「倍数の見抜き方」を“型”で覚える

算数が得意な子は「型(テンプレ)」で処理しています。

●約数の出し方はこの型で統一

  1. 小さい数から順に割る
  2. ペアで書く(例:12 → 1と12 / 2と6 / 3と4)
  3. 同じ数字にぶつかったら終了

●倍数の見抜き方(頻出)

  • 偶数 → 2の倍数
  • 各位の和が3の倍数 → 3の倍数
  • 末尾2桁が4で割り切れる → 4の倍数
  • 末尾が5か0 → 5の倍数
  • 各位の和が9の倍数 → 9の倍数

これを覚えると計算スピードが一気に上がります。

③ 公倍数・公約数は“素因数分解で決める”のが基本

小学校の教科書では「倍数を並べる」「約数を並べる」という解き方が出ますが、
受験算数では 必ず素因数分解でやる ほうが速くて確実です。

  • 最小公倍数=全部の材料を“最大の個数”集める
  • 最大公約数=共通する材料の“最小の個数”を集める

この理解でミスが激減します。

④ 条件整理の練習で応用力をつける

倍数と約数は文章題でもよく出ます。

例:
「ある数は15の倍数で、18の約数でもある。いくつ?」

こういう問題は 条件を一つずつ書き出して“共通部分”を探す トレーニングが必要。

⑤ ミスを防ぐために「表にまとめる」クセをつける

倍数・約数の問題は、表・リスト化するだけで正答率が上がります。

例:36の約数を出す場合

1 36
2 18
3 12
4 9
6

この段階で“抜け”が防げます。

⑥ 小5後半〜小6の“規則性・整数問題”で一気に伸びる

実は、倍数と約数が得意だと最終的に伸びる単元はここです。

  • 周期性を見抜く
  • 条件の整理
  • 段階的に場合分け

整数分野は「倍数・約数の思考回路」ができている子が圧倒的に有利です。

効果がすぐ出る家庭学習メニュー(1日15分)

① 5問だけ“倍数・約数の基礎チェック”

毎日5問でOK。

小さな積み上げが最終的に大きな差になります。

② 素因数分解を2問だけ

難問でなくてよいので“材料化の感覚”を維持。

③ 図や表に整理する練習

丸つけより大事。

よくある質問

Q1. 倍数・約数はいつまでに得意にすべき?

A. 小5前半までに基礎完成、小5後半で応用に入るのが理想です。

Q2. 暗記に頼らず理解できる方法は?

A. 図・表・分解の“視覚化”を使うと理解が深まります。

Q3. 素因数分解はどのレベルまで必要?

A. 小6の整数問題に入ると「材料」を使った思考が必須です。
最低限、1000以下の整数ならサッと分解できるレベルが望ましいです。

まとめ

倍数と約数は、中学受験算数の「土台」「基礎体力」になる単元です。

✔ 定義を明確にする
✔ 型を覚える(約数の出し方・倍数判定)
✔ 素因数分解を“材料化”として理解
✔ 公倍数・公約数は素因数分解で処理
✔ 条件整理の練習を習慣化
✔ 表・図で視覚的に整理
✔ 毎日15分の積み上げ

この流れで学習すれば、誰でも得意単元にできます。

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