「最近まで算数の成績が上がってきていたのに、模試やテストで急に下がった」
中学受験をしているご家庭から、非常によく聞く悩みです。
しかし結論から言うと、これは失敗でも後退でもありません。
むしろ、成績が本格的に伸びる前に多くの子が必ず通る“成長過程”であることがほとんどです。
この記事では、
- なぜ算数の成績は一度下がることがあるのか
- それが「危険な下がり方」か「成長途中の下がり方」か
- 今、親がやるべき正しい対応
を、算数に特化して分かりやすく解説します。
なぜ算数は「伸びたあとに下がる」ことがあるのか?
① 解ける問題のレベルが上がっている
成績が伸びてきた時期というのは、
- 基本問題が安定してきた
- 解き方を覚え始めた
- スピードが少し上がってきた
こうした「土台」ができ始めた段階です。
すると次に出てくるのが、思考力が必要な問題・条件整理が難しい問題です。
この段階で一時的に正答率が落ちるのは、ごく自然なことです。
② 「分かったつもり」が増える時期
成績上昇期のあとに起こりやすいのが、
- 解説を読んで「分かった気になる」
- 同じパターンだと思い込んでミスをする
- 図や式を省略し始める
つまり、理解が浅いまま演習量だけ増えてしまう状態です。
算数は特に、「本当に理解しているかどうか」が点数に直結します。
③ 模試・テストの質が変わっている
学年が上がるにつれて、
- 問題文が長くなる
- 複数条件を同時に処理させる
- 計算+思考を同時に求められる
といった問題が増えます。
これは能力が下がったのではなく、求められる力が変わっただけです。
要注意!「危険な成績低下」と「成長途中の低下」の違い
成長途中の低下(心配しすぎなくてOK)
- 基礎問題はほぼ正解できている
- 解説を読めば理解できる
- ケアレスミスが原因の失点が多い
👉 この場合は学習の方向性は合っています。
危険な低下(見直しが必要)
- 基本問題でも失点が増えた
- なぜ間違えたか説明できない
- 解説を見ても「???」となる
👉 この場合は、一度立ち止まる必要があります。
成績が下がったときに「やってはいけない親の対応」
① 問題集・教材を増やす
「演習量が足りないのでは?」と
問題集を増やすのは逆効果になりがちです。
👉 必要なのは「量」ではなく「理解の深さ」。
② すぐに結果を求める
「また下がったの?」「前はできてたのに」
この声かけは、子どもにとって算数=怖いものに変えてしまいます。
今やるべき正しい算数対策
① 間違い直しを“1問ずつ言語化”
- なぜこの式になったのか
- どこで勘違いしたのか
- 次に同じ問題が出たらどうするか
👉 言葉で説明できれば、理解は本物です。
② 「解けた問題」を雑に扱わない
実は成績が伸び悩む子ほど、
- 解けた問題を見直さない
- 正解=理解したと思っている
正解した問題こそ、
- 別の聞かれ方
- 数字だけ変えた問題
で再確認することが重要です。
③ 単元を一段階戻す勇気
- 比が怪しいなら割合に戻る
- 速さが不安なら「道のり・時間・速さ」の整理から
一度戻る=遠回りではありません。最短ルートです。
成績が下がる時期は「伸びる直前」であることが多い
算数は、「分からない → 少し分かる → できる → 崩れる → 本当にできる」という階段状の成長をします。
今の「下がった」という状態は、次の大きな成長の直前かもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q. どれくらい成績が下がったら危険ですか?
A. 1回の模試やテストだけでは判断できません。2〜3回の推移を見ることが大切です。
Q. 塾のクラスが下がりました。不利になりますか?
A. 一時的なクラスよりも、理解度の方がはるかに重要です。
Q. 家庭で教えるのが難しいです
A. 無理に教える必要はありません。「どこが分からないか」を一緒に整理するだけで十分です。
まとめ
- 成績が「伸びてから下がる」のは珍しくない
- 多くは成長過程で起こる自然な現象
- 焦って量を増やすのは逆効果
- 理解の深さを丁寧に確認することが最優先
算数は、正しい時期に正しい手当てをすれば、必ず伸び直します。
