計算ミスと言って良いのはたったこれだけ! 四則計算でミスが起きる原因とその対策

「計算ミス」と言って良いのはどんな場合か?

こんにちは。鈴木です。

今回は、計算ミスというものについて、その原因と対策を考えていきたいと思います。

そもそも計算ミスとは何か? ということを考えたときに、「計算ミス」という言葉の裏には、「公式や計算の仕方は知っているにもかかわらず、四則計算を間違えること」という意味があります。

このことから、計算ミスと言って良いのは、「四則計算」を行っているときにしたミスのみと言えます。

なぜこのような考え方が必要になってくるのかというと、これからまた別の記事でも書いていきますが、「計算ミス」と言える場合と、そうでない場合があるからです。

どういうことかというと、例えばお子さんが問題を解いてみて、答が違っていたとしますよね。

その際に、「どうして答が違ってしまったのか?」を、私からお子さんに聞くことがあるのですが、そもそもお子さんが計算の仕方を正確に知らないという状況があるにもかかわらず、お子さん自身そのことに全く気付くことなく、「ミスをしただけ」と思い込んでしまっていることがあるのです。

つまり、「計算の仕方を知っているのに、何かしらの理由で出した答が違う場合」と、「そもそも計算の仕方を知らない (知ったつもりになっている) 場合」があるので、お子さんがどちらの状況下にあるのかを把握できない限り、お子さんがいつまで経っても、問題演習の中で、正しい答を出せないままになってしまうのです。

こうした経緯が、私の指導においても実際にあったことから、この節では小学生の算数を中心に、計算ミス (四則計算由来のミス) の具体例を述べます。

中学以降の数学では、例えば「符号を書き間違えること」や、「符号を見落とすこと」が原因で計算した答が違っているという結果論もありますが、中学以降は「数の四則計算」のみをする場面はほとんどないため (1学期の正負の数の計算ぐらいしかないため) お子さんがミスをしたとき、計算ミスが原因といって良い場面はほぼ皆無です。

くわしくは、次の節の「書き間違いや見間違いなどのミス」で述べます。

それでは、以下では実際にあった「計算ミス」の具体例について述べます。

足し算や引き算のミス

足し算のミスとは、例えば「53+89=132」という風に、くりあがりが出てくる場面において、あとから自分が書いた答を見返してみたときに、「くりあがると分かっているにもかかわらず、計算しているまさにそのときは5+8しか見ていなかったこと」などが原因で起きるミスです。

他にも、小学生であれば、小数や分数の足し算での計算ミスがありますが、これから以下に述べるような「書き間違い」や「見間違い」などのミスを除いて、例えば通分して分母をそろえるまでは合っていたけれども、分子を足す場面において足し算をミスするといったことがあれば、それは足し算でのミスということになります。

嘘のような話かもしれませんが、九九は間違えないのに、足し算でなぜか間違ってしまうというタイプの生徒さんも、中にはいます。

逆に引き算についても同じで、「63-27=46」という風に、くりさがりが出てくる場面において、あとから自分が書いた答を見返してみたときに、「くりさがりがあると分かっているにもかかわらず、計算しているときには6-2しか見ていなかったこと」などが原因で起きるミスが、引き算由来のミスです。

また、割り算の筆算や小数、分数の計算をしていくプロセスにおいて

・「割り算をする際に、筆算するときの引き算を間違えた」

・「小数の引き算をするときに、くりさがりするところをしなかった」

・「分数の引き算をするときに、分子同士の引き算を間違った」

などといったミスは、引き算が原因のミスということになります。

ですので、「学年が上がるにつれて、計算ミスが増えてきたな・・・」と感じていらっしゃる親御さんは、お子さんのご様子を見て、具体的に何算をする場面でミスが起きているのか? といった視点も持っていただけると、計算ミスを防ぐヒントが得られます。

かけ算や割り算のミス

かけ算のミスとは、そもそもかけ算の九九を知っていることが前提となります。

例えば「7×8=63」というミスがあったときに、あとで自分の計算プロセスを振り返ってみて、「答が56であると知っているのにもかかわらず、頭では56という答が浮かんでいたのに、書きまちがえてしまった」ということなどが原因で起きるミスが、かけ算のミスです。

他にも、2けた×2けた、あるいはもっと3けた×3けたのかけ算になると、筆算においてくりあがりを忘れていたことや、数をそろえて書いていないことが原因で、結果としてかけ算の答が違うということがあります。

その場合は「かけ算九九でミスをしたというよりは、足し算をする場面でミスをしている」ということになるので、足し算での注意が必要です。

一方で、割り算のミスとはどういうものかを考察したときに、まずは割り算の計算プロセスそのものを考えてみる必要があります。

割り算の計算プロセスにおいては、自分で「商」を立てて、かけ算をする場面があります。

ですので、多くの場合かけ算九九を考える場面でミスが起きていることや、割り算の筆算だと特に「3けた÷2けた」の計算をする際に、「2けた×1けたのかけ算」をする場面でミスをするといったことがよくあります。

あるいは、筆算の際の引き算をミスするという場面も多く見られます。

(例1) 28÷4=6 としてしまう (7と書くと分かっていても、書き間違えて6と書いてしまう)

(例2) 528÷16の筆算をする際に、「528」の2の上に商として3を書いているにもかかわらず、16×3=38と書いてしまう

(例3) 528÷16をする際に、16×3=48までは出ているのに、筆算で52-48をする場面で、その答を4ではなく14としてしまう

などが具体例として挙げられます。

ですので、割り算のミスとは多くの場合、かけ算や引き算をミスしていることに由来するものだと考えられます。

分数の計算ミス

分数の計算ミスは、その計算プロセスから考えて、ほぼほぼ「四則計算」を行う過程でミスが起きています。

例えば通分をする際には、最小公倍数を求める場面がありますが、「最小公倍数」を求める際に、かけ算をミスするということがあれば、それは「通分の計算方法を知らない」などということではなく「最小公倍数を求める際のかけ算によるミス」です。

他にも、約分を行う際に、「分母・分子どちらも同じ数で割る」というときに、その場面において割り算を間違えるのであれば、それは割り算によるミスです。

約分をするときには、分母分子の最大公約数を求める場面がありますが、お子さんによっては、そもそも最大公約数が思いつかないこともあります。

例えば「22と55の最大公約数が分からない」ということが実際にあったのですが、生徒さんの話を聴くと「1から9の中にないから分からない」ということだったのです。

つまり、その生徒さんにとっては、決して「約分の仕方が分からない」ということではなく、「最大公約数を求めるためにどんな考え方をすれば良いのか」が分からないということだったのです。

もっとくわしく言うと、最大公約数を求める際に、かけ算九九の枠を超えて、与えられた数が「何の倍数なのか」を考えること に課題が残っていたわけです。

小数の計算ミス

小数のかけ算や割り算では特に、「小数点の位置がどこなのか」を正確に把握できずにいることが、間違った計算結果を招く原因となります。

小数のかけ算と割り算は、筆算の仕方が整数のそれとほぼ同じなので、小数のかけ算と割り算の計算ミスを考えていく上では、「整数のかけ算や割り算」の方法を知っていることが前提となります。

それを前提とした上で、小数の計算ミスとは、何に由来するものなのかを考察したときに、小数のかけ算における計算ミスとは、「かけ算の筆算をする過程で九九や足し算を間違えること」が、まずは可能性として考えられます。

その次にミスの可能性として考えられるのが、先に述べた「小数点の位置がどこなのかを正確に把握できていない」ということです。

例えば 3.56×2.7 という計算では、「356×27」と見立てて「3けた×2けた」のかけ算を行い、最後に小数点が 「もともと1の位の数のとなりにあったと考えた上で、左にどれだけずれるのか?」 を考える場面があります。

このときに、「小数点が左に3つずれる」ことが分かっているのに、「小数点が来る位置を見間違えた」ということが原因でミスをしたのであれば、それは正確には計算ミスではなく、あとで述べる「見間違いによるミス」のカテゴリーに含まれます。

小数の割り算についても全く同じことが言えて、小数の割り算では特に、「割る数が小数の場合に、割る数を整数に直す際に、小数点をどれだけずらすか?」を考えるときに、ミスが起きていることも多いです。

もっと言えば、例えば「割る数」を整数に直すために、小数点を左に2つずらしたのに、「割られる数は、小数点がずれてさえいない!」といったことが原因で、ミスが起きることもあります。

このとき、「割られる数も小数点をずらす」ことを知らないのであれば、それはそもそも「ミス」とは言えず、単に「知識不足」なのです。

逆に「小数点をずらすこと」を知っているのであれば、「小数点がずれているかどうかを目で見て確かめること」「小数点がずれた跡を書くこと」などが、ミスを防ぐ対策になります。

四則混合計算のミス

四則混合計算では、計算の仕方を知っているにもかかわらず、「足し算や引き算、かけ算・割り算」を間違ったのであれば、その場合に限り「計算ミス」が原因で答が違っています。

そもそも四則混合計算の仕方を知らないのであれば、それは計算ミスではなく知識不足です。

また、お子さんによっては、「かけ算・割り算、カッコの中から計算する」といった具合に、口頭では計算の仕方を答えることができても、実際の計算問題を解く際にミスをすることもあります。

というのも、例えば25+(18-28÷7÷2) という実例を使って、ミスの原因を考察します。

お子さんがこの問題を見て、「カッコの中から計算する」と答えられれば、どういった計算プロセスをたどるのかが、知識としてはあるように見えます。

ところが、実際に手を動かして計算してもらう場面で、もし「7÷2」から先に計算してしまったら、それが「ミス」なのか「知識不足」なのかを、確かめる必要があります。

同時に、「カッコの中の割り算を先にやる」とは言ったものの、「式の中のどこからどこまでが割り算の部分なのか」を、見間違えたりはしていないかどうかも気になります。

上に書いたような計算は原則として、「かけ算や割り算は左から順番に計算する」という考え方があります。

お子さんがもしそのことを知らないのであれば、それは「計算ミスやケアレスミス」とは言えません。

答が違っていたときに、「左から順番に計算すること」を思い出したのであれば、「割り算が連続しているかどうかを見て確かめる」ということが、ミスを防ぐ対策につながります。

まとめ (計算ミスを防ぐための具体策)

いかがだったでしょうか。

他にもたくさんミスの例はありますが、ここまで読んでいただいた方は、あることにお気付きかもしれません。

それは、「ミス」と言えることもあれば、「知識不足」「勘違い」と言った方が正しい場合もあるのです。

実をいうと、「子どもがミスをしている」というのは「大人から見るとミスしているように見える」という場合を指していることも多いのです。

ここで述べてきたように、「計算の仕方」であるとか、「その計算を進めていく上で、どこを見れば良いのか」といったことを知っているにもかかわらず、「見まちがい」や「書きまちがい」などが原因で、答が違っていたのだとしたら、それは計算ミスと言えます。

ですので、そうした場合に限り、以下に書いてあることを意識しながら、ミスを防ぐという視点が大事になってきます。

大きく書く

自分が書いた数字などを見間違えないようにするために、まず数字は大きく書くというのが基本的です。

具体的には、マス目の入ったノートをお使いの場合、マス目1つ分に入る数字の中で、一番大きいものを書けると良いです。

揃えて書く

字の大きさを揃えて書くのが基本的です。

お子さんに、「きれいに書いて」と言うよりも、具体的に、「字の大きさを揃えて書いて」と伝えてあげる方が、お子さんにとって、「どう書けば良いのか」ということが、より良く伝わります。

1行空ける

マス目や行が入ったノートを使うとき、1行目に計算式や文章を書いて、そのあとまた別の式などを、下の行を使って書いていくときは、1行空けて書くのがおすすめです。

お子さんが、今まさに書いていることを目で追っていく際に、上の行で書いたことが目に入って、何かを書き間違ったという事例がありますが、1行空けて書くことで、そうしたミスが減ってきた経緯もあります。

振り返る

一つ一つの数字を書いていくときに、「自分が書いたことは、本当に合っているかどうか」を確かめるという行動が、実はとても大事なことなのですが、ミスをしてしまうお子さんは、そうした行動が足りていないこともよくあります。

「合っているかどうか」を確かめるために、自分が書いたことや、もっと言えば問題文に書いてあることまで含めて振り返るということが大事です。

よく見る

自分が書いたこと、問題文に書いてあったことを振り返り、具体的に、何が書いてあったのか、よく見ることが大事です。

具体的には、数字だけではなくて、「−」の記号で式がつながれているにもかかわらず、「+」の記号だと見間違えていないかなど、書いてあること一つ一つに対して、見間違いや見落としなどがないかどうかを確かめるという意味で、「よく見る」ということが大事です。

納得する

見間違いなどがないかどうかを確かめた上で、「確実にこれで合っている」「この計算はこういった仕方でできるからこそ、それが正解になる」と思えるまで、いわゆる「心の中で自分と対話する」ということが大事です。

自問自答するとも言いますが、上に書いたような振り返りを通して、「自分が書いたこと、見てきたこと、考えてきたこと」が、合っていると納得できるようにすることが、計算問題のみならず、問題演習においては重要な、答を出す直前の最後のプロセスとなります。

次の記事では、「大人から見るとミスしているように見える」という具体例について、解説しています。

続きをお読みになりたい方は、以下のリンクからご覧になれますので、ご一読下さいませ。

親御さんから見ると「ミス」 お子さんは「正解したつもり」

この記事にてお伝えしてきたことを、動画でも解説しておりますので、ぜひご覧下さい。

https://youtu.be/jtdfZZgzSGg

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