親御さんから見ると「計算ミス」 お子さんは「正解したつもり」 

こんにちは。算数数学専門家庭教師の鈴木です。

前回の記事で、計算ミスというものの正体について書きました。

まだお読みになっていない方は、こちらからお読みになれます。

https://sugaku1bann.com/2021/10/25/keisannmisunogenninntotaisaku/

前回の記事では、記事の最後に「ミス」と言える場合もあれば、そうでない場合もあるというお話をしております。

簡単に、それは何を意味するのかを最初にお伝えしておくと、「そもそもお子さんは、計算の仕方をよく知らないまま、間違った答を出しているにもかかわらず、正解したつもりになってしまっている」という状況があるのです。

ここからは、実際にあった例をもとに、「そもそもミスとは言えない場合もある」といった考え方と、いかにしてそうしたことが分かるのかについてお話ししていきます。

3けた÷1けたの割り算を正解したつもり

お子さんによっては、例えば「3けた÷1けたの割り算」になると「189÷6=29あまり15」といった答を出してしまう例などがあります。

上の「189÷6=29あまり15」という答を、お子さんが出してしまった例について考察してみます。

このとき、仮にお子さんが割り算の「商」とは何かを知っていたとして、あとから自分が出した答を見たときに、「そういえば18÷6の部分は、3で良かった」ということに気づけるのであれば、それはお子さんの「ミス」であるととらえることができます。

しかし、そもそも上の計算例に対して、「何がいけないのか分からない」ということであれば、それはお子さんの中で、「正解を出したつもり」になってしまっています。

そのときに、「大人から見るとミスしているように見えるけれど、子どもから見ると正しいことをやっているつもり」という構図が生まれている可能性があります。

ですので、結論から言うと上の例は、正確には計算ミスの範疇には入らないことがあります。

上に書いたような、割り算の計算結果が違ってくる原因の一つは何かというと、「余る数が割る数よりも大きいことは、あってはいけない」という、割り算のルールを知らないことです。

あるいは、189÷6という計算において、「1の中に6は入らない、18の中に6は最大で何個入るのか、・・・」という考え方をせずに、18の中に6がいくつ入るのかだけを考えてしまっていたことも考えられます。

ちなみに、上のミス (とは言えないもの) の例は、私の指導の中で実際にあったことで、お子さんに聞くと、はじめはやはり、余りが割る数よりも大きいことが、悪いことだとは思っていなかったそうです。

四則計算を正解したつもり

前の節でも少しお話しましたが、お子さんが四則計算をして、答として出てきた結果が違っていたときに、「計算ミス」ではなく「お子さんとしては正解したつもり」になってしまっている実例について、お話していきます。

27÷9÷3という式のように、割り算が続く式は、原則として左から順番に計算するというルールがありますが、お子さんがそのルールを知らなかった上で計算をした結果、出てきた答が違っていたとします。

その際に、お子さん自身、「何がいけないのか分からない」ということであれば、お子さんは「ミスをしている」のではなく、「どういう風に計算しても良いと勘違いしているせいで、正解を出したつもりになってしまっている」という可能性が、大いに考えられます。

正解したつもりになっていることがいかにして分かるのか

上に書いたような状況になっていると、どうやって分かるのかというと、実際にお子さんに計算の進め方を説明してもらうことで、分かることが多いです。

先に出てきた3けた÷1けたの割り算の例だと、「余りが割る数よりも大きくなっているのは、良いことなんだっけ?」と私から聞いたときに、そのお子さんは「良いと思う」と答えていたことから、そもそも正しい計算のルールを知らないまま、計算練習をしていたことが分かりました。

四則計算の例だと、この場合もお子さんに、どういったやり方で計算したのかを私から聞いたときに、お子さんが「まず9÷3から計算して・・・」と答えていたのですが、その後私から「割り算が続いているときは、その部分 (9÷3) からして良いの?」と聞いて、お子さんが「え?ダメなの?」と逆に聞いてきたことから、お子さんは正解を出したつもりになっていたことが分かりました。

四則計算の例で言えば、お子さんが自分の行った計算プロセスを振り返る場面において、「27÷9から計算することは分かっていたんだけれども、そのときは27÷9をしたつもりになっていて、間違えて9÷3をしてしまった」などということが明らかになった場合に限り、「計算ミスをした」と言うことができます。

そもそも27÷9から計算しなければいけないことを知らなかったのであれば、それは「ミス」とは言えません。

まずはお子さんがどんなやり方で答を出したのかを聴く

ここで出てきた割り算と四則計算のミスの例はそもそも、「ミスというよりかはむしろ、計算のルールを知らないがゆえの勘違い」であると言えます。

その勘違いを、お子さんは「特に問題にはならないこと」と思い込んでいる結果、お子さんは「ミスをしている」のではなく「正解を出したつもりになっている」ということが、この実例から分かります。

よく「子どもが何度も同じミスをする」というご相談も受けますが、ここに書いたこととも関連していて、お子さん自身は「間違った知識を正しいと思い込んだまま問題を解いてしまっている結果、自分では正解を出したつもりになっていること」が原因で、いつまで経っても正解できていないと捉えた方が正しいこともあります。

その状況が、親御さんからは、子どもが何度も同じミスをしているように見えるのです。

お子さんが正解したつもりになっているかどうかは、まずはお子さんに、どう考えて問題を解いたのかを聴いてみると分かることも多いので、親御さんの方で、「この子はこれを、そんな風に覚えていたんだ・・・」ということがもし分かれば、そのことがそもそも正しい答を出せなかった原因の一つであるとも考えられます。

お子さんは、「大人から見るとミスだと分かることであっても、お子さん本人は正しいことをしているつもり」になっている部分も、どこかにあるのかもしれません。

この記事でお伝えしてきたことを、動画でも解説しております。

https://youtu.be/UK9gXyjUHVU

まとめ (「正解したつもり」をなくすためのワンポイントアドバイス)

いかがだったでしょうか。

特に、お子さんが何度も同じミスをしてしまうということに、思い当たることがある方は、まずは以下の3点のみ、お子さんができているかどうかを確かめていただき、改善につなげていただければと思います。

正しい考え方で正解できているかどうかをチェックする

この記事でも出てきた例をもとにお話すると、例えばお子さんが、10問ほどの「3けた÷1けたの計算問題」を解き、正解できている問題があったとしても、できていたりできていなかったりといった状況なのであれば、まずは正解できている問題について、どういった方法で計算したのかを、お子さんに聞いてみることをおすすめします。

正解できているように見えても、「たまたま答が合っているだけ」といったことが、十分に考えられる場合もありますので、「余りが割る数よりも小さくないといけない」という答が、お子さんの口から出てこない限りは、お子さんは「正解を出すべくして出せた」とは言えません。

できなかった問題のみならず、できている (ように見える) 問題にも目をつけて、本当に正しい計算の仕方でできているかどうかを、確かめる必要があります。

解き直しができているかどうかをチェックする

お子さんの様子を見て、問題を解いて丸付けをして、✖がついた問題を、普段から解き直しているかどうかを見て下さい。

もし、問題を解いて丸つけをして、間違った答のすぐそばに、赤色で正解を書いているだけというような状況がありましたら、今からすぐにその行動パターンを改善する必要があります。

丸つけをして、間違った答のすぐそばに赤色で正解を書くだけで、その後解き直しをしないお子さんがいますが、こうした行動をとってしまうと、結局「どうすれば正解できたのか」を考える機会がなくなってしまいます。

それどころか、自分が正解したつもりになっていたところがあったとしても、そのことに気が付かないままになってしまうのです。

こうしたことを防ぐためにも、「解き直し」ができているかどうかを、チェックされることをおすすめします。

同じ考え方で解ける問題を繰り返し練習しているかどうかをチェックする

同じ間違いを繰り返したり、正解したつもりになっている部分をなくすためにも、「同じ考え方」を使って解ける問題を、自分一人の力で、正解できるまで練習することが大事です。

四則計算の例でいうと、例えば「27÷9÷3」という計算問題を最初に解いたときに、間違えて「9」と答えてしまったとしますよね。

そのあと幸いにも、「かけ算や割り算の記号でつながれた式は、必ず左から計算する」というルールを、お子さんが改めて知ったにもかかわらず、「知っただけでそのルールを使う場面がない」ということであれば、またお子さんは同じ間違いをしてしまう可能性があります。

つまり、正しい計算の方法を知ったのであれば、その方法をマネして使って解けるような、いわゆる「同じ考え方で解ける問題」を、解説など何も見ずに、お子さん自身が正解を出せるまで練習する必要があります。

つまり、「27÷9÷3」をもう一度計算して、そのあとにまた「72÷6÷2」などの計算問題を解くという流れを作ることが大事です。

そうしたプロセスを経て、「考え方が身に付いた」「理解ができた」と言えるのです。

「子どもが何度も同じミスをする」お困りの方は、この記事も参考に、お子さんの勉強方法の改善につなげていただければと思います。

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