こんにちは。数学学習コンサルタントの鈴木です。
今日のテーマは、単位量あたりの大きさということなのですが、この単元は、苦手とする生徒さんが、多くなってくるところです。
単位量あたりという言葉自体が、とっつきにくい、聞き慣れないという声も聞きますし、何より、単位量ってそもそも何? と感じている生徒さんも多いです。
単位量あたりというのは、一言で言うと
「一つの入れものの中に、何がどれだけ入っているのか?」
を考えることと、同じことなのです。
単位量あたりの単元においては
・重さ1kgあたりの値段を計算する問題
・人口密度の問題
・長さ1mあたりの重さを計算する問題
などが出題されます。
特に苦手意識が出てくるのは、例えば
「長さ1mあたりの重さが3kgの鉄の棒」
などと言われたときであることが多いです。
ここではこの棒に対して
「長さは何m、重さは何kg」
という風に、1つのものに対して、2通りの見方をする場面が出てきます。
単位量あたりの大きさを考える際には、こうして、1つのものに対して、2通りの見方を与えることが多くなります。
まずは典型的な、重さ1kgあたりの値段を計算する問題を例として、苦手が作られる理由とその対策について、書いていきます。
単位量あたりの大きさが苦手になる理由
単位量あたりの大きさが苦手になる理由を、例題の考え方と解き方とともに、解説していきますね。
例題 A、B2種類のふくろづめのさとうを売っています。Aは140円で1ふくろ1.75kg入っており、Bは1ふくろ1.5kg入りで125円です。お得なのはどちらですか。
こうした問題を見たとき、一瞬125円の方が安い気がしますよね。
ここでは、問題文には出ていませんが
「さとうをできるだけ多く使うことがあるなら」
どちらがお得なのかを聞かれています。
A、B2種類のさとうを買うとき、同じ重さで買うなら、どちらが安いのかを考えるのです。
苦手になる理由その1 状況を想像できない
上の問題では、「ふくろづめされたさとう」や、「できるだけ多く使うのなら・・・」といった具合に、実際にそんな品物を見たことがあるのか、または、さとうをそんなに多く使う場面があるのかなど、自分が経験したことを思い出せるかどうかが鍵です。
特に「~kgで何円」という表現に理解があるかどうかが、大事なポイントになってきます。
こうしたことが頭の中で思い出せないまま、ただ問題の解き方だけを覚えることをしても、なかなか理解できません。
苦手になる理由その2 絵や図が描けない
問題文を読んで、書いてあることが分かって、状況も分かっているのに、絵や図を描くのが苦手な生徒さんが多くいます。
この問題の場合、ふくろづめされたさとうを詳しく描くのは少し難しいですが、簡単に、ふくろの絵でも良いので描くことができると良いですね。
なぜ絵や図を描くことが大事なのかというと、特に図を描いて、それを計算式に直すことで、解くきっかけが得られる問題が、多くあるからです。
結局のところ、図が描けないと、計算式が立てられなくなり、問題が解けないので、苦手意識が生まれるという構図になります。
苦手になる理由その3 「わる数・わられる数」が分からない
図を描いてみて、「なるほど、この袋には、1.75kgのさとうが入っていて、その値段が140円なのね」ということが分かったら、次に考えることは、1kgあたりの値段です。
ところが、1kgあたりの値段を考えるときに、多くの生徒さんは、こんなところで悩みます。
・1.75×140で計算するのか?
・140÷1.75(?)
・1.75÷140(?)
この問題の場合、1kgあたりの値段を出すときに、少なくとも、わり算であることが分かっても、値段を重さでわるのか、重さを値段でわるのかで、悩む生徒さんは多いです。
また、重さが小数で表されていることも、分かりにくさが増すポイントと言えます。
実はこの問題は、1円あたりの重さを求める解き方でも解けるのですが、1kgあたりの値段を出すにしても、1円あたりの重さを出すにしても
「なぜそのわり算の式になるのか?」
といったことを、図と照らし合わせて理解していくことが大事です。
単位量あたりの大きさの苦手対策
これまで、苦手意識が出てくる理由を書いてきましたが、ここからは、苦手をなくしていくための対策について、考えていきます。
身のまわりの実例を思い出す
例えばいきなり1ふくろ1.75kgで140円と言われてピンと来なくても、「何個セットで何円」といった売り方で売られているものが、他にもあることを思い出してみましょう。
・キャラものの消しゴム5個入り200円
・えんぴつ12本650円
・ノート8冊入り300円
などなど、文房具に関する例は、生徒さんにとっても分かりやすいことが多いです。
できるだけ多く、「いくつセットで何円」ということが分かる例を挙げられると良いです。
自分にとって分かりやすい実例について考えてみる
例えばノート8冊で300円という実例が、分かりやすいと感じたら、このノート1冊いくらであれば、8冊で300円になるのかを考えてみましょう。
いきなり、問題集に出てきた問題が分からなくても、自分で思い出してみて、考えやすい問題から取り組むことが大事です。
まずはわり切れる計算から解く
上に出てきたノートの例では、1冊あたりの値段は、300÷8=37.5(円)と出てくるのですが、はじめは、簡単にわり切れる計算を使う問題からやってみることも、おすすめします。
というのも、例えば極端に、3冊600円なら、1冊200円、5本1000円なら、1本あたり200円といった具合に
「1冊あたり(1本あたり)の値段を出すのなら、全体の値段を冊数でわれば良い!」
といったことが、理解できてくるからです。
こうしたことからも、まずはわり算をしたときに、答が自然数として出てくるものから、やってみて下さい。
単位量あたりの苦手をなくす対策まとめ
一番最初に考えた問題の解説も交えて、苦手をなくすための対策をまとめていきますね。
単位量あたりの問題に限らずですが、問題文を読み、状況が理解できることが大事です。
値段や重さに関する問題は特に、そんな例が実際にあったなということが分かるところから、問題を解くことが始まります。
絵や図も描いて、何となく計算をするという感覚ではなく、「今はこれを求めなさいと言われているから、この式になる」といった理由を持った上で、計算式を立てられることが求められます。
はじめに考えたA、B2種類のさとうの問題では、1kgあたりの値段を求められれば、答が出るわけですが、生徒さんを見ていて、「理由を持った上で計算式を立てる」という部分に、苦手意識があることも多いです。
Aは1ふくろ1.75kgで140円、Bは1ふくろ1.5kgで125円と書いてあったとき、上で述べたように、まずは自然数の計算から考えてみると、あっさりと計算式の立て方が分かることもあります。
ふだんの授業でも、「2kgで140円だったら、1kgいくら?」
と聞くと、すぐに70円と答が返ってくることがあるわけです。
続けて、「3kg210円なら?」「5kg1000円なら?」と聞いてみて、答がちゃんと合っていることが分かったら、こんなことも聞いてみます。
「1kgあたりの値段を出すときは、(値段÷重さ)を計算する?それとも(重さ÷値段)?」
この質問に答えるときに、わり切れる計算の実例をたくさん思い出すことで、自分が今まで、値段÷重さを計算していたということに気がつき、140÷1.75と、125÷1.5を計算すれば良いことが理解できてきます。
この計算によれば、Aのふくろは1kgあたり80円、Bのふくろは1kgあたり83.33・・・円となって、Aの方が安いと言えます。
この記事において書いたことも参考に、苦手をなくすきっかけができればと思います。
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