こんにちは。数学専門家庭教師の鈴木です。
・勉強しているのに成績が伸びない
・少し前に習ったことは忘れがち
・テストではなかなか点数が取れない
この他にも・・・
・見直ししたはずなのにミスしている
・計算ミスやケアレスミスをしてしまう
・そもそも見直しの仕方が分からない
などなど、算数や数学に苦手意識を持つ生徒さんと接していると、このようなお悩みを持っている人が多くいます。
「算数の成績を上げて、より上の志望校を目指したい」「数学は大事だから、ある程度は得意にしていきたい」と思っている一方で、「どうすれば成績が伸びるのか分からない」という人も多いです。
しかし、そんな生徒さんでも、これから解説することを繰り返し実践することで、「テストで点数が取れるようになった」「ミスをしなくなってきた」という実感を持てるようになってきています。
今回の記事では、上に書いたようなお悩みを解消したい人に向けて、「成績を上げるために必要な勉強プロセス」について解説していきます。
当会の家庭教師指導では、以下で解説する「7つのステップ」に沿って、実際に授業を行っておりますので、ご興味がある方は、ぜひ一度お問合わせ下さいませ。
ステップ1.目標達成を見据えて「基礎基本」が何かを知る
算数・数学の問題を解けるようにするために必要なことは「基礎学力を身に付けること」です。
これより大事なことは、他にありません。
では、基礎学力とは何か?
それは「どの教科書、どの問題集にも載っている基本例題とその類題を、解説など何も見ずに正解できる力」です。
各学年で習う各分野単元や、自分の目標達成のために「何をすれば良いのか」によって、上に書いた「基本例題」とは何なのかが違ってくることも、確かにあります。
それはつまり、「基礎学力の基準は、各個人の目標によって変わる」ということでもあります。
しかし、「この目標を達成するには、こんな問題を解くことができるようにしておく必要がある」と心得ておくことは、目標が何であっても、変わりはありません。
後でも述べますが、実は上に出てきた意味での「基本例題」とは、「どんな問題を解く際にも出てくる共通のポイント (それを考え方と言います) を身に付けるための題材」のことです。
基本例題を題材として「見直しの仕方・図の捉え方、描き方・文章の読み方・計算の仕方」が身に付きます。
「この問題を解くことができるようにしておく必要がある」というのは、「こんな考え方を身に付ける必要がある」とも、言い換えることができます。
このような理由から「何を題材として、どんな考え方を身に付けるのか」を明確にしていくことが、基礎学力の獲得につながります。
ここまで述べたことが、算数・数学の力を伸ばすのに必要な、第一のステップとなります。
ステップ2.問題文を読み「条件と答えること」を把握する
考え方を身に付けるためには、まずは問題文において「どんな条件のもとに、何が問われているのか」を把握しておくことが大事です。
算数・数学では「何が問題となっていて、その問題を解決するためにどうするのか」という思考を辿って、正解を出していくことになります。
ですので、そもそも与えられた問題文を「どう読むのか」を学ぶ必要がありますが、「問題文の条件」と「答えること」の把握を通して、正しい問題文の読み方を学ぶことができます。
図形の問題も同様に、「どのような図形が与えられていて、どこの何がいくつなのか」という条件の把握をした上で、「何を答えるのか」を知る必要があります。
このときも、与えられた図形を「どう捉えるのか」を学ぶことが必須ですが、「図形に課された条件」と「答えること」の把握を通して、「図形の捉え方」「描き方」を知ることができます。
まずは問題文、図から「どんな条件のもとに、何が問われているのか」を把握し、「読み方・捉え方」を知ることが、第二のステップとなります。
ステップ3.解説を読みながら (聴きながら) 図を描く・計算する
「条件」と「答えること」を把握した上で、ここからは、考え方を身に付けるための「行動と思考」について書いていきます。
「勉強しているのに成績が上がらない」という生徒さんが多くいますが、よくお話を聴くと、「解説を読んで、それで終わり」の状態になっている人が多いことが分かっています。
そのような生徒さんのうち、「解説に書いてあることは分かる」「問題で何を聞かれているかは分かる」という人も、中にはいます。
しかし、解説に書いてあるようなことを、実際のテストの答案で書くことができるかと問われたら、ほぼみなさん「できない」と答えます。
こんな現象は、「解説を読むだけで、実際に図を描いていない、式を立てて計算をしていない」ということが原因で、起きてしまいます。
このようなことを防ぐためにも、解説中に描いてある図を「問題文の中に出てきているこの部分のこと」と認識し、実際に図を描いてみて、「問題文の視覚化」を受け入れていくことが大事です。
また、解説中に載っている計算式を見ながら、その計算式を実際に書き、式の変形をすることも重要です。
実際に計算式を立てることにより、「どの条件から式を立てられるのか」「何のためにこの式が必要なのか」を知ることができます。
同時に式変形を行うことで、自分の計算結果が「解説中にある計算結果と一致すること」を確かめることができ、「部分的にでも」自分で答を出す練習ができます。
こうした理由から、解説を読みながら、もしくは聴きながら、実際に「自分で書く」という行動が、とても大事なものになってきます。
ステップ4.正しいかどうかを判断する・前に習った単元を思い出す
解説を読みながら図を描くプロセスなどにおいて、そもそも「解説に書いてあることは正しいことかどうか」を判断することが大事です。
先に大事なことをお伝えしておくと、「解説を覚えるのではなく、解説が正しいかどうかを確かめる」という行動が重要となります。
例えば、「面積が分かっていて、辺の長さを求める問題」において、図形を描き、他の辺の長さなどをもとに、計算式を立てる場面があるかと思います。
この際、「図形を描いて式を立てるという流れ」を覚えるのではなく、「AからBの長さがこれだけだから、このような式になることは正しい」といった判断ができることが理想です。
このような思考を通して「見直しの仕方」も身に付きます。
一方で、正しいかどうかを確かめていくために、「今までに習ってきたことを思い出す」という思考が必要なときがあります。
それは、問題文に出てきた量を「量そのものではない別のもの」に例えるときです。
典型的な例は「父の年齢が子どもの年齢の3倍になるのはいつか」が問われる問題などにおいて、「年齢を線分の長さに例えるとき」です。
このとき、実際に生徒さんが疑問に思っていたことは、「年齢と線分の長さは全く別のものなのに、どうしてこんな例えができるのか」ということでした。
そこで私からは、「年齢って、1歳、2歳、3歳、・・・と数えるけど、他に単位をつけて1、2、3、・・・と数えるものって、何がある?」と、その生徒さんに聞いてみました。
するとその生徒さんは、「1㎝、2㎝、3㎝、・・・」と答えた瞬間、「㎝は長さの単位だから、1歳、2歳と歳が増えていくことが、線の長さが長くなっていくことと同じだ」と気付きました。
このことはまさに、「前に習ったことを思い出して、解説に書いてあることが正しいかどうかを判断する」という、一つのきっかけを与えてくれるものでした。
このように、「正しいかどうかを判断する」という行動と、「前に習ったことを思い出す」という思考プロセスが、次のstep5につながります。
ステップ5.「正解できたきっかけ」「解くプロセスにおける共通性」を見出す
「正しいかどうかを判断する」という行動は、それだけで「見直しの仕方の獲得」につながります。
それだけではなく、「正解できたきっかけの発見」も可能になります。
「正解できたきっかけ」とは「こう考えるからこそこの問題の正解を出せた」と思えるポイントのことです。
それは結局「どの問題を解くプロセスにも出てくるような、正解を出すきっかけとなる共通のポイント」というものになります。
それを「考え方」と言い、「考え方を身に付けるためにある題材」のことを「基本例題」と言います。
先程から、「考え方を身に付ける」と言っていますが、ここからは「身に付けるためにはどうすれば良いのか」「何ができたら身に付いたことになるのか」をお伝えします。
まず「身に付けるためにはどうすれば良いのか」についてですが、大事なことは2つあり、その1つ目は「なぜ正解を出せたのかを振り返ること」です。
先に出てきた「年齢に関する問題」を例にお話すると、問題文を図 (線分図) として表し、その次に、図から式を立てるというプロセスがあります。
生徒さんが問題を解き、正解を出した後に「解くプロセスの振り返り」を一緒に行いましたが、私から「図を描かないで、式を立てられる?」と生徒さんに聞いてみました。
生徒さんの答えは「NO」だったのですが、ここに「こう考えるからこそこの問題の正解を出せた」と思えるポイントがあります。
つまり、その生徒さんにとっては「図を描くからこそ式も立てられて、その結果正解を出せる」ということが分かり、正解を出せたきっかけは「図を描くこと」なのです。
さらに私からは「前にも同じような図を描いたことない?」と聞いてみました。
すると、その生徒さんは「持っているお金の問題で、線分図を描いた」と答えてくれたのです。
この対話を例として「解くプロセスにおける共通性を見つけること」が、「考え方を身に付けるために必要なこと」の2つ目であることが分かります。
考え方とは「どの問題を解くプロセスにも共通のポイント」のことなので、それを見つけようとしていくことは「考え方を身に付けるためには必須の行動」と言えます。
「どのような問題を解くプロセスにおいて、何が共通しているのか」を見つけていくことが大事なのですが、その際に注目すべきは「問題文中の最後の一文」と「条件を説明する一文」です。
上の対話例に出てきた「年齢の問題とお金に関する問題」では、問題文の最後の一文には「2人の年齢を求めなさい」「2人の金額を求めなさい」とありました。
このことから「年齢や金額を求める際には、線分図を描くかもしれない」という仮説を立てることができます。
「仮説」としたのは、実は文章問題を解く際には「線分図」以外にも「面積図」など「量を図形に例える」という場面があるので、「最後の一文」のみでは、どんな図を描けば良いのかは分からないからです。
そこで重要なのが「条件を説明する一文」に気付くことなのです。
「年齢の問題」と「お金の問題」においては、実は問題文の中にこそ「線分図を描くきっかけとなる共通の一文」があります。
その一文とは「父は子どもより・・・だけ年上」「AさんはBさんより〜円多い」というような「一方が他方より多い (少ない) ことを条件として説明する一文」です。
この他にも「個数の3倍」「1/4だけ売れ残った」など、「ものの個数を比較する表現」が問題文中にある場合に、線分図を描くことがあります。
このように「どんな問題でも、問題文中にこんな一文があるときは、共通してこう考える」という捉え方ができると、算数・数学においては、どんな問題でも正解できるきっかけに気付くことができます。
ステップ6.考え方をマネして使う・ヒントなど何も見ずに正解を出す
「どんな問題でも正解を出すことができるきっかけ (考え方) 」に気付くということは、それだけで考え方を身に付けるための思考プロセスを踏むことになります。
ここからは「何ができたら、考え方を身に付けることができたと言えるのか」について、お話します。
考え方に気付くだけではまだ、「どの問題も、こう考えて正解を出せる」ということが分かっただけです。
大事なのは、実際にその考え方を「マネして使って、ヒントなど何も見ずに正解を出すこと」です。
先程の「年齢の問題」であれば、線分図を描くという考え方を、生徒さんは「解説を読んだ問題と全く同じ問題」で実際に使い、今度は「解説を読むことなく正解を出す」というプロセスを踏む必要があります。
もし、「解説を読んだ問題と全く同じ問題」に正解できる自信があるのであれば、その問題と「文章の構成が同じで、数値の違う問題」で、同じことをすれば良いのです。
また、前に習った問題も「同じ考え方が使える」と気付いたのであれば、実際にその問題の類題で同じ考え方を使い、解説など何も見ずに正解を出せば良いのです。
このように「考え方をマネして使って正解できる類題」に「解説を読まず正解できること」「たまたま正解ではなく、気づいた考え方をマネして使って正解できること」を確かめる必要があります。
ここまでできてひとまず、「勉強した」「考え方が身に付いた」(かもしれない) と言うことができます。
ステップ7.テスト形式の問題演習
さて、[step1,] から [step6,] までは、「本当の意味での勉強の仕方・思考の仕方」とも言えることについて、解説してきました。
[step7,] では最後に、「[step6,] までしているのに、テストでは点数が取れなくて悲しい」という方への処方箋について、解説していきます。
テストで点数が取れない原因として一つあるのは、「テスト形式の問題演習ができていない」ということです。
具体的には、問題をランダムに与えられたときに「どの問題がどの単元で出てきたものなのかを判断する練習」が足りていないということです。
というのも、テストにおいては「これは線分図を使う問題」「これはグラフを描いて考える問題」などと、それぞれの問題に「どの単元に属する問題なのか」が書いていません。
だからこそ、テストのときは自ら「これはあの単元の問題」などと判断していく必要があります。
家庭学習の際、[step6,] において「考え方をマネする」と書きました。
実は基本例題のすぐあとにある類題を、基本例題と同じように考えられるのは「このページの問題は、基本例題と同じ考え方でできる」というバイアスがかかっているからでもあるのです。
「線分図を使ってできる例題」のすぐあとに出題される「線分図を使ってできる類題」を正解できてから1週間後、他の全く違う考え方でできる問題と共に、その類題が再び出題されたとします。
その際に、1週間前と同じように、「線分図を使って解く」と認識できれば、そして正解できれば、「間違いなく考え方が身に付いた」と言えます。
しかし、「どこかで見たことはあるけれど、どう解くのか分からない」などと感じてしまうのであれば、「テストに対応できるほどのレベルで、考え方が身に付いていない」ことになってしまうのです。
このようなことにならないためにも、定期的に「今まで習った問題をランダムに解く練習」が必要なのです。
この方法を取り入れて、それまで30点台しか取れなかった生徒さんが、65点取れたときには、私は「テスト形式の問題演習」の凄さを再認識しました。
当会では、算数・数学の成績アップを目指して、以上の7つのステップを踏むことで、算数・数学の力を伸ばしていくサポートを行います。