【数学家庭教師の勉強部屋】横浜国立大学工学部平成8年度入試問題 円板が回転してできる立体の体積

こんにちは。算数・数学専門家庭教師の鈴木です。

「生徒に教えるだけじゃなくて、自分も勉強を続けていく」「いつでも難しい問題を解ける状態にしておく」という目的のもと、私も毎日、何かしら問題演習をしています。

これからは、自分が問題を解いたときに得た役に立つ考え方などを、このブログに掲載していきたいと思います。

このような理由もあり、「数学家庭教師の勉強部屋」というタイトルにしました。

というわけで、今日は横浜国立大学の、少し古い入試問題の解説を、このブログに載せていきたいと思います。

平面図形が軸を中心として回転するときに、その平面図形が動く範囲は、とある立体図形を描きますよね。

そんな立体図形の体積を求める問題は、昔も今も、多くの大学で出題されています。

ここでは、そんな問題を解くために必要な考え方を先にお伝えし、最後に問題の解説を載せることにしました。

この記事をお読みいただくことで、「なぜそのように考えるのか」が分かるようになると思います。

問題はこちらです。

➊ 対称性があればそれを使う

この問題の場合、中心が(0,0,1)の円板をx軸のまわりに回転させるので、できる立体はyz平面について対称となります。

ですので、x軸が正の範囲にある立体のみを考えて、その立体の体積を2倍したものが答となります。

➋ 「回転軸に垂直な平面」と「平面図形」との交線を把握する

平面図形を、ある直線のまわりに回転させるタイプの問題で大事なのは、その平面図形と「回転軸に垂直な平面」との交線を知ることです。

というのも、この問題を含めて「回転体の体積」を求める以上は、「回転体の断面となる円または円環」がどのようなものになるかを、知る必要があるからです。

この問題の場合、円板と「x軸に垂直な平面」との交線である「線分」をx軸のまわりに回転させてできる「円環領域」が、この問題における回転体の断面図となります。

➌ 交線の端点の座標を設定する

「x軸に垂直な平面」を、ここでは「x=t」とおきます。

そうすることで、交線の端点の座標を求めることができますが、「端点」としたのには理由があります。

➍ 「回転軸とそれに垂直な平面との交点の座標」と➋で得た交線との距離の「最大値・最小値」を求める

線分を直線のまわりに回転させるとき、線分の通過する領域は円環となりますが、その円環の「外側の円の半径」と「内側の円の半径」を知る必要があります。

この問題だと、「回転軸とそれに垂直な平面との交点の座標 (つまり(t,0,0)です) 」と、「交線の端点の座標」との距離が、上に書いた意味での「外側の半径」となります。

「内側の半径」がどうなるかは、良い問題なので考えてみて下さいね。

➎ 平面図形が軸のまわりに回転するとき、➋で得た交線を軸のまわりに回転させてできる円環が、できる立体の断面図となる

ここで再度、重要なことを述べておきます。

平面図形が軸のまわりに回転するときは、「その軸に垂直な平面と、与えられた平面図形との交線」を軸のまわりに回転させてできる円環が、「平面図形を回転させてできる立体」の断面図となります。

➏ 求めるべき体積は、➎で得られた断面の面積を積分して得られる

積分するとき、大事なのは「どこからどこまで積分するのか」ということです。

それはつまり、「軸に垂直な平面が、軸上そこからどこまで動くのか」を考えることなのです。

そう考えると、「平面x=t」は、t=0からt=1まで動くので、「0から1まで積分する」のが正解です。

これらの考え方をもとに、以下に解説を載せておきます。

➐ お次の問題では「媒介変数表示を自ら設定する」という視点が必要になる

次の (2) の問題では、これまで述べてきた➊から➏の考え方を、当然使うことにはなるのですが、回転軸がx軸ではないので、断面を積分する際に「x=・・・から、x=、、、まで」という捉え方ができません。

回転軸も、空間内の直線となるので、ここでは一度その直線を「ベクトル方程式」として表し、その直線上の点Pを媒介変数表示して、「その点Pを通り回転軸に垂直な平面」を、ここでは考えています。

そうすることで、「回転軸に垂直な平面」も媒介変数表示入りで表現できるので、先に述べた➊から➏の考え方が使えます。

ところが、今度は「回転軸に垂直な平面」が、座標でいうと (0,0,0) から (1,0,1) まで動くので、積分をする際に重要な「どの長さの分だけ積分変数が動くのか」が、簡単には分かりません。

このような理由から、再度、「回転軸をⅩ軸、Ⅹ軸に垂直なY軸」を設定し直し、それらが作る平面上で、「もともとどのような関数が描く曲線が、Ⅹ軸のまわりに回転して、円環領域を作るのか」を考える必要性が出てきます。

そのような考え方をもとに解いた解答を、以下に載せてあります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

「平面図形を回転させてできる立体図形の体積」の問題は、国立理系の2次試験では必須ですので、ぜひとも解けるようにしておきたい問題です。

再度、重要な考え方を、以下にまとめておきます。

➊ 対称性があればそれを使う

➋ 「回転軸に垂直な平面」と「平面図形」との交線を把握する

➌ 交線の端点の座標を設定する

➍ 「回転軸とそれに垂直な平面との交点の座標」と➋で得た交線との距離の「最大値・最小値」を求める

➎ 平面図形が軸のまわりに回転するとき、➋で得た交線を軸のまわりに回転させてできる円環が、できる立体の断面図となる

➏ 求めるべき体積は、➎で得られた断面の面積を積分して得られる

➐ 回転軸が空間内の座標軸以外の直線の場合、「媒介変数表示を自ら設定する」という視点が必要になる

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