中学受験算数では「比の文章題」が頻出します。
特に、ある人がお金やモノを別の人に渡した結果、比の関係が変わる問題は多くの受験生がつまずきやすい単元です。
今回の記事では、実際の例題「姉と妹の所持金の比が変化する問題」を題材に、どのように考え方を整理して式を立てるかを丁寧に解説します。
問題文を読んで混乱してしまうお子さんでも「比をそろえる」考え方を理解すれば、確実に正解にたどり着けるはずです。
問題文を整理する
まず問題文をしっかり整理しましょう。
ここでは、以下のような例題を考えます。
はじめ姉と妹の所持金の比は7:2でした。
姉が妹に500円をあげたところ、姉の所持金は妹の所持金の2倍になりました。
はじめに姉が持っていた金額を求めなさい。
文章題では「誰が」「どれだけ」変化したかを明確にすると、後の比の処理がスムーズになります。
解き方のポイント
合計金額が変わらないことに注目する
お金のやり取りがあっても、姉と妹を合わせた合計金額は変化しません。これに気づけるかどうかが第一のポイントです。
比を「前」と「後」で整理する
- 始め:姉:妹=7:2 → 合計=9
- 渡した後:姉:妹=2:1 → 合計=3
比の合計が異なるので、そのままでは比較できません。
比の合計を最小公倍数でそろえる
9と3の最小公倍数は9なので、比を「9」にそろえます。
- 始め:姉=7、妹=2(合計9)
- 後:姉=6、妹=3(合計9)
式を立てて計算する
姉は「7」から「6」に1減り、妹は「2」から「3」に1増えています。
つまり比の「1」にあたる金額が500円です。
したがって、姉が最初に持っていたお金は比の「7」にあたる金額=500×7=3500円となります。
まとめ
この問題のポイントは「合計金額は変わらない」という視点を持ち、比の合計を最小公倍数でそろえることです。
比の文章題では、ただ数字を当てはめるのではなく「変化前と変化後を比較して共通の土台を作る」ことが大切です。
何度も練習して「比をそろえる」考え方を体に染み込ませましょう。