小学校高学年(小4・小5・小6)になると、算数の内容は一気に難しくなります。
「急に文章題が解けなくなった」「図形問題が苦手になった」という声も多く聞かれます。
実はこの時期に必要なのは、“テクニック”ではなく、算数の基礎力と考える力です。
それらを身につけておくことで、中学受験や定期テスト、さらには中学数学にも強くなります。
この記事では、算数が得意な子に共通する「高学年で身につけておきたい5つの力」と、家庭で実践できる学習法を具体的に紹介します。
保護者の方が今日からできるサポート法もまとめました。
正確で速い「計算力」 ― 算数のすべての基礎
高学年で最も重要なのは、計算力(計算の正確さとスピード)です。
どんな応用問題も、基本は計算の積み重ねです。
分数・小数・割合・比など、内容が複雑になるほど、計算の精度が結果を左右します。
家庭でのトレーニング法
- 毎朝5分の「計算練習」を固定化する
- タイムを測って2回解く(正確さ+スピードの両立)
- ミスの傾向を記録(符号ミス・位取り・約分ミスなど)
「できた」で終わらせず、「正解できたきっかけ」を考えることが、本当の算数力を育てます。
図形問題を得意にする「空間認識力」 ― イメージできる力が差をつける
立体図形・角度・体積などの単元では、図形を頭の中でイメージする力(空間認識力)が必要になります。
高学年になると、図形が「見えない部分」を考える力が求められます。
鍛え方のコツ
- 自分で図を描く習慣をつける(補助線やメモを多く書く)
- 方眼ノート・立体パズル・工作で“立体を感じる”
- 図形問題を言葉で説明する(「この角度とこの線は平行」など)
“図が描ける子”は、中学受験の図形問題や応用問題にも強くなります。
「筋道を立てて考える力」 ― 論理的思考力を育てる
高学年の算数では、「なぜそうなるのか」を説明できる力が欠かせません。
比例・速さ・割合・単位量あたりなどの単元では、順序立てて考える力が得点の決め手になります。
- 「どうしてそう思ったの?」と問いかける
- 式や途中式の意味を説明させる
- 家庭学習ノートに「考え方メモ」を書く
“考える過程”を言語化できる子は、文章題・記述問題・中学受験問題にも対応できます。
「数の感覚」を育てる ― ミスを防ぐ算数センス
高学年で差がつくのは、「数の感覚(概算・見当をつける力)」です。
正しい答えを導くだけでなく、おかしいと気づける感覚がある子は強いです。
具体的な鍛え方
- 買い物・料理など日常生活で数を扱う経験を増やす
- 答えを出したあと「この答え、合ってそう?」と感覚チェック
- 小数・分数の大小関係を言葉で説明する
“おおよそ”を判断できる力は、中学数学の関数・グラフ・データ分析にもつながります。
「条件を整理する力」 ― 文章題を読み解く基礎
高学年になると、文章題の中に複数の条件が登場します。
ここで必要なのが、情報を整理して使う力(読解力+算数力)です。
家庭でのトレーニング法
- 問題文を音読して、「分かったこと」と「聞かれていること」を分ける
- 条件を表や図にまとめる
- 答えを出す前に「整理した条件だけで解けるか?」を確認する
この「条件整理力」が身につくと、速さ・仕事算・割合・比の文章題なども得意になります。
家庭学習で算数力を伸ばす3つのポイント
算数は“家庭学習で伸びる教科”です。
保護者のサポート次第で、理解度と定着度が大きく変わります。
家庭で意識したい3つの習慣
- 丸つけの前に見直しをさせる
- 解説を一緒に読み、「なぜそうなるか」を話す
- できた問題ももう一度解く(再演習)
親が“教える”のではなく、“考えさせる”環境を作ることが大切です。
たとえ10分でも、毎日続ける家庭学習のリズムが算数力を底上げします。
中学受験を意識するなら、今が「基礎固めの時期」
小6で受験を控える子はもちろん、小4・小5でも、中学受験を意識した家庭学習を始める価値はあります。
中学受験の算数は、「基礎+思考力+表現力」の総合問題。
高学年のうちに次の3点を意識して学ぶと、後々の伸びが全く違います。
- 計算を正確に(スピードよりも精度)
- 問題の意味を図や言葉で説明する
- 解けなかった問題を「自分で解き直す」
この3つが習慣化している子は、受験直前に焦ることがありません。
よくある質問
Q1. 高学年になってから算数が苦手になりました。今からでも挽回できますか?
A. 十分に間に合います。苦手単元を「分数」「速さ」「割合」などテーマごとに小分けにして復習を。毎日10〜15分の短時間でも継続がカギです。
Q2. 塾に通っていますが、家庭学習では何をすべきですか?
A. 塾の宿題を「やりっぱなし」にせず、「なぜその答えになるのか」を確認する時間を設けましょう。解説を読む習慣が最も重要です。
Q3. どんな問題集を選べばよいですか?
A. 「例題→類題→応用→まとめ」の流れがある問題集が理想です。
市販では『トップクラス問題集』などが人気です。
まとめ:高学年の算数力は“思考の土台”になる
高学年で身につけたい算数の力は、次の5つです。
- 正確で速い計算力
- 図形をイメージする空間認識力
- 筋道立てて考える論理的思考力
- 感覚的に数をとらえる数のセンス
- 条件を整理する読解力
これらは「受験のため」だけでなく、中学以降の数学・理科・情報科目の理解にも直結します。
算数が得意になることは、考える力そのものを育てること。
今日から少しずつ、家庭でできる範囲から始めてみましょう。