算数の苦手のもとになる知識不足や勘違いをなくす「基本の身に付け方」

こんにちは。プロ家庭教師の鈴木です。

今回は、算数や数学の勉強法に、直接関わってくるお話です。

私は今まで、中学受験の模試で、平均点も取れないとお悩みの方や、「勉強しているはずなのに点数が取れない」というお子さんを見てきました。

お子さんに話を聴くと「とりあえず宿題はしている」「問題は解いている」という返答があったのですが、こうしたタイプのお子さんには、共通点がありました。

それは、「ただ問題集の空欄を埋めただけ」であるとか「同じ考え方で解ける類題を繰り返し解くような練習をしていない」ということだったのです。

結論から言うと、上に書いたような行動は、勉強している状態とは言えません。

お子さんがこのような状況下にある場合、各単元において知識不足となってしまった部分や「勘違いをしたまま何かを理解したつもりになっている部分」が、お子さんの中に作られてしまっています。

今回は、そのようなことにならないための「基礎学力の身につけ方」について、実例も交えながらお伝えしていきます。

これまでは、ミスを自分で見つけた上で、「何をすればミスを防げるのか」といったことについて、以下の記事でもお伝えしてきました。

https://sugaku1bann.com/2021/11/20/minaosinosikata/

ここからは、そもそも知識不足をどう補うのか、「勘違いしていることにいかにして気づくのか」について、その解決策をお伝えしていきます。

算数が苦手なお子さんは、主にどのようなことを、どんな風に勘違いしているのかについては、以下の記事で詳しく解説しております。

https://sugaku1bann.com/2021/10/31/misudewanakutisikibusokukanntigai/

算数・数学が得意だと言っている人であっても、以下に書くことができているかを聞くと、「そこまでやっていない」「当たり前のことだと分かっていても、実行するのは難しい」といった声が上がります。

ですので、日々の学習において、まずは意識的にこれからお話することができると、解ける問題も増え、成績アップにつながるはずです。

基本例題を解く

多くの算数・数学が苦手なお子さんに共通しているのは、どの教科書やどの問題集に載っているような「基本例題」を繰り返し解いた経験が少ないということです。

このことは特に、模試や定期テストで、平均よりも下の点数しか取れていないというお子さんにあてはまります。

「勉強しているのに点数がとれません」というお話を、親御さんから聴くことがありますが、さらにお話を聴いていくと、「基本例題」はそこそこに、いきなり「応用問題」を解いてしまっているという場合もあります。

それはつまり、基本例題を解くことで「問題を解くための考え方や見直しの仕方」を身につけていくところを、それらが身についていない状態で、応用問題を解いていることになります。

厳しい言い方になりますが、そのことは結果として、何も身についていないまま「勉強したつもりになっている」と言わざるを得ません。

ここで少し補足をしておくと、「基本例題」とは、以下に書く2つのことを身に付けるためにある「題材」のことです。

・与えられた問題 (基本から入試レベルのどのレベルにもあてはまる問題) に対して、「正解を出すためにどうすれば良いのか?」という疑問に対する一つの答としての「問題解決のための考え方」や「公式の使い方」

・自分が考えたこと、答として出したことが合っているかどうかを確かめるという意味での「見直しの仕方」

このように、分かりやすく言えば「学力を身に付けるための題材」としてあるのが「基本例題」です。

ですので、「基本例題」とは、決して簡単に理解できるものというわけではありません。

前に習った単元と結びつける (算数での具体例付き)

「基本例題を解く」というのは、具体的に何をすることかというと、はじめて見る基本例題は特に、解説を読みながら考え方を学び、その考え方やものの見方が正しいのかどうかを、自分で判断しつつ正解を導くということです。

基本例題を解くプロセスにおいて、「なぜこんな風に考えるのか」「なぜこういったものの見方をするのか」といった部分に、多くのお子さんは疑問を持てています。

しかし、疑問を持ったまま、解決できていないということがよくあります。

そのことが、基本例題を簡単には理解できない原因の一つでもあるのですが、理解するためにはどうすれば良いかというと、まず必ずやるべきことは、「前に習った単元を思い出す」ということです。

例えば、中学受験の算数の基本例題として、和差算というものがありますが、これは2つの量 (例えばものの個数) を比べたときに、どちらが大きいか小さいかを、線分の長さを用いて表現するというものです。

詳しくはこちらの記事でも解説していますので、もし読者の方の中に、中学受験をされる方がおられましたら、ご一読いただければと思います。

https://sugaku1bann.com/2021/12/06/wasazannnotokikata/

和差算の例のように、大小2つの量を線分の長さに例えるというのは、一見すると新しいものの見方であるように思えますが、実はこの考え方は、小学2年生の算数で出てきます。

この他にも、「単位量あたりの大きさ」という単元を学ぶ過程で、「1平方キロメートルあたり何kgの作物が取れるのか?」という問題を解くことで、「〇〇あたりいくらか」といった考え方を身につけることがあります。

そして、「〇〇あたりいくらか」といった考え方を身に付けた後、速さを習うときに「1時間あたり何m進むのか?」を考えることの中にも「前に習ったこと (〇〇あたりいくらか) を思い出す」というプロセスが隠れています。

以下では「前の単元を思い出しながら、今習っていることを理解する場面」がどこにあるのかについて、高学年で習う算数の中でも代表的な実例を見ていきます。

0.1とは10回足して1になる数のこと

小数を習うときに、小数点がずれることや「10倍、100倍」になることなどの説明がありますが、そもそもここで出てくる「~倍」というのは、「~回足すこと、つまり×~」を表します。

ですので、難しいように聞こえるかもしれませんが、結果として今までに幾度となくしてきた「足し算、かけ算」しかしていないという見方もできます。

小数を理解する上で、例として挙げられるのは、定規で1㎝の長さを考えるときに、0と1を表す目盛りの中に、また更に10個の目盛りが入っているのを思い出すことです。

つまり「1㎜を0.1㎝と決めることで、それが10個集まったら1㎝になることが、小数の実例としてあること」を受け入れるプロセスは、「今までに習ったことをもとに、新しい考え方を学ぶ」ということをよく再現しています。

体積計算とは立方体の個数を数えること

長方形の面積を考えるときに、「その長方形の中に、1辺が1の正方形が何個あるのか」を数えたように、体積を求めるときには全く同じように、「1辺が1の立方体が何個あるのか」を数えることになります。

体積を求める際に、数を3回かけるという操作が出てきますが、立体の中に、「1という基準になるものが何個入っているのか」を考えるプロセスが、体積の考え方の根底にはあります。

「1が何個入っているのか」という考え方は、体積を習う前に出てきた「面積を求めること」とも関連しているので、「体積を求めることとは何か」を理解する上でも、前に習ったことを思い出す場面が必ずあります。

小数のかけ算割り算は必ず筆算する

小数点をずらすという操作が新しく加わるものの、小数のかけ算割り算は、前に習った筆算の式を書いて答を出す場面があります。

小数点がずれる理由については、問題を解きながら理解していくということでも問題ありません。

特に小数の割り算をするときに、「割り算の筆算を忘れている」といった声もあるので、計算問題は前の学年で習ったものも家庭学習に取り入れると、今習っていることや次の学年で習うことを、受け入れやすくなります。

「〇〇は・・・の~倍」とは「・・・が~個加わって〇〇になる」の意味

先にも少し出てきましたが、「倍」というのは、「なにが何個分あるのかを考えること」と、ほぼ全く同じことです。

例えば24kmが12kmの何倍かを考えるというのは、「12kmの道がいくつ分で24kmになるのか」を考えることです。

逆に12kmが24kmの何倍かを考える場面も出てきますが、このときは「24kmの道をいくつに分けたうちの何本分が12kmか」を考えるので、ここでも「何個分か」を考える場面が出てきます。

公倍数や公約数は九九の復習

倍数や約数を考えることは、九九をアウトプットすることであり、特に約数を考える際には、「その数が何の倍数だったのか」を思い出すことが大切になります。

同時に、例えば「12と36の最大公約数」「24と96の最大公約数」など、2けた以上の数の組合わせが出てきたときに大切なのは、「2けた÷2けた」の割り算において、「割りきることができた数の組合わせ」を思い出すことです。

分数の足し算や引き算は最小公倍数がカギ

通分をするというのは、言い換えると最小公倍数を考えることなので、これはまさに「すぐ前の単元で習ったことが、今まさに出てきている」ということを意識させる典型的な例の一つです。

ここでも、いわゆる「よく出てくる数の組合わせ」を覚えているかどうかが、すぐに理解できるかそうでないかの一つの分かれ道です。

(例えば12と15、16と24、14と21などの最小公倍数がすぐに答えられるかどうかが大切です)

「単位量あたり」は「一人分は何個か」を考えることがモデル

混み具合を考える問題が、この単元ではよく出てきます。

例えば「10平方メートルの土地Aにチューリップが90本、15平方メートルの土地Bにチューリップが120本植えてある。どちらの土地の方がチューリップで混んでいるか」という問題があります。

実はこの問題と、「折り紙を同じ枚数ずつ10人に配ったら合計90枚だった。一人何枚もらったか」という問題は、もちろん違うところもありますが、考え方はこの2題とも、全く変わりはありません。

それは「1平方メートルあたり何本のチューリップが植えてある(と考えられる)のか」を計算することと、「1人何枚の折り紙をもらえるのか」を計算することに、相異がないからです。

単位量あたりという単元は、「一人あたりいくつもらえるのか」という問題がモデルになっていると捉えて、全く差し支えありません。

割合とは「何倍か」を言い換えたもの

「去年の5年2組の人数は30人、今年の5年2組の人数は40人です。去年の人数は今年の人数の何パーセントか」という問題があったとき、この問題は実は「去年の人数は今年の人数の何倍か」を考えることと、全く変わりません。

ただ何が変わるかというと、「何倍か」ときかれたら「30÷40=0.75」となって「0.75倍」と答えるのが、割合の問題だと、100をかけて「75%」であるとか「7割5分」と答えることになるところが違うだけです。

使う言葉についても、「〇〇は✖✖の何倍か」という表現において、「✖✖をもとにしたときの〇〇の割合はいくらか」と言い換えられているという、ただそれだけの話なのです。

図形の拡大・縮小は正三角形や正方形がモデル

図形を拡大させることなどを習うときに、「形は同じだけれども大きさが違う」という考え方を学ぶかと思いますが、ここでも「以前そんな具体例があったかどうか」を考える場面が出てきます。

つまり、前の単元で出てきたことと結びつけて考えることがあります。

例えば1辺が2㎝の正三角形もあれば、1辺が6㎝の正三角形があることを思い出してみると、そのことだけで、「形は同じだけれども、大きさが違う」という図形の具体例を思い浮かべることができます。

実際にそうした2つの正三角形を描いてみると、大きい正三角形の底辺の長さが、小さい方のそれの3倍になっていること、底辺と60°の角度をなす他の1辺も、大き方の長さが小さい方の3倍になっていることが分かります。

結果として全ての辺の長さについて、「大きい正三角形の辺の長さは、小さい正三角形の辺の長さの3倍」になっているということに、気づくことができます。

こうした気づきを、前の単元で出てきた実例と結びつけて得ることができ、お互いに拡大・縮小の関係にある図形を描くときには「角度を変えずに、辺の長さを同じ割合だけ伸ばしたり縮めれば良い」ということも分かります。

いかがだったでしょうか。

そもそも算数自体、「前に習った内容の上に、今の単元がある」という見方を意識しながら勉強することが求められる科目です。

前の単元とのつながりを意識できない以上は、例えいくら先に進もうと思っても、必ずどこかで理解できなくなる部分が出てきてしまいます。

そのことは、特に「単位量あたり」や「割合」の単元で顕著になってきます。

算数を例にお話ししましたが、中学高校 (もっと言えば大学) の数学においても、各分野単元を見ると、前に習った考え方を使って問題を解くことしか、ほぼしていません。

基本例題であっても「なぜこんなことを考えるのか」といった疑問が出てきたときに、自分なりの答を出すことはもちろん大切です。

しかし、その際に「今まで習ってきた中で、似たような考え方をしたことがなかったかどうか」を思い出しながら、ものの見方・考え方を受け入れることが、算数・数学を学ぶ上ではよく出てきます。

少し後に出てくる「なぜ正しいかどうか分からなくなるのか」という節で、前に習ったことを思い出すことの重要性について、更に深くお話していきます。

類題を「基本例題の考え方のマネ」をして解く

よく「理解する」と言いますが、「何ができたら理解できたことになるのか?」について考えていきたいと思います。

この疑問への答として1つあるのが、基本例題と同じ考え方で解ける類題を「基本例題を解くときに出てきた考え方をマネして使って解けること」が、理解できたという意味にふさわしいと言えます。

前に習った単元を思い出し、今学んでいることと過去の知識を結びつけ、ものの見方・考え方を受け入れることができたら、「受け入れた考え方を積極的にアウトプットする」という場面が、算数・数学の理解には必須です。

その場面を作るために、家庭学習があると言って間違いはありません。

ここで大切なのは、「基本例題を解く際に出てきた考え方をマネする」ということです。

算数・数学の問題集を見ると、基本例題のすぐあとに「類題」が載っていますが、その類題は「基本例題を解く際に出てきた考え方と同じ考え方で解ける問題」です。

算数・数学に苦手意識があるお子さんを見ていると、そういったことに気付けていない場面が多々あります。

つまり、基本例題と、そのすぐあとに載っている類題が、全く別のやり方で解ける問題だと捉えていることが多いです。

和差算を例にお話しすると、基本例題では「線分図を使って解くこと」が解説として載っているにもかかわらず、類題では線分図を使わずに、なにか数を当てはめて答を出そうとしていたお子さんもいました。

類題を「基本例題の考え方をマネして解く」というのは、「過去に問題を解いたときは、どんな風に考えて解いたのかを思い出す姿勢」を身につけることにもつながります。

それはつまり、問題を解くときに「何をどう考えることが正しかったのか」を思い出すことにもつながるので、各問題の解き方や見直しの仕方が正しいかどうかを判断するということを、並行して行うこともできます。

問題を解くことで「考え方」を身に付ける

例題をただ解くだけではなく、例題を解くことによって「問題解決のための考え方」や、与えられた式や図形に対して、どんな視点を持てると問題が解けるのかにつながる「ものの見方・捉え方」を身につけることが大切です。

中学受験の算数や、中学以降の数学を学んでいく上では「問題を解くことで考え方を身につける」という姿勢は、欠かせないものになってきます。

算数でも欠かせないものですので、お子さんには常に「どうすれば (どう考えれば) 問題が解けるきっかけを見つけることができたか?」を振り返ってもらうことで、そうした姿勢を身につけることにもつながります。

ここからは「考え方を身に付けるためにはどうすれば良いのか」「そもそも考え方とは何か」について、詳しく解説していきます。

解説を読むだけで済ませない

問題をどう解くのかが分からないとき、解説を読むことは悪いことではないのですが、その解説を自分で再現できるかどうかを確かめることが大切です。

「解説を読む」「解説を再現する」というのは、ただ解説に書いてあることを暗記して書き出すのではなく、以下に書いてあるような「思考のアウトプット」を行うことです。

・解説の文頭を読む際に、「なぜこの文頭からはじまるのか」について疑問を持ちながら解説を読み進めていき、「解説中のこの量を求めたいからこそ、最初にこれをやる」というような、疑問に対する一つの答を見つける。

・「この量を求めたいからこそ、これをやる」という一つの「疑問に対する答」に対して、前に習った知識を思い出しながら、「疑問に対する答が正しいかどうか」を振り返り、正誤判断をする

・上に書いたような読み方を経て解説を読み終えたら、今度は何も見ずに自分で解説を書き出し、書き出すプロセスにおいて「疑問に対する答」と「その答が正しいと言える理由」を常に振り返りながら、正解を導く

解説を読む際に必要なのは、「なぜこの解説文からはじまるのか」という疑問に対して、「それを求めるために、最初にこれをやる」というような一つの答を、自分で与えていくことです。

それがいわゆる「自問自答する」という思考プロセスです。

「それを求めるために最初にこれをやる」という答が自分の中に出てこない場合、「前に習った基本例題とそれを解くための考え方」が身に付いていない可能性があります。

なぜなら、問題の解説中に出てくるプロセスはほとんど全て、既出知識とそれらを組み合わせた考え方を使って説明されているからです。

「考え方」や「見直しの仕方」を身につけられていないのであれば、まずは基本例題の解説を読み、読んだあとに同じ問題を何も見ずに、「問題を解くための考え方をマネして解けるかどうか」を確かめることが必須です。

そしてそのあとに、「基本例題の類題を解説などを読まずに解く練習」を繰り返すことが大切です。

そうしたことが当たり前にできるようになってきたら、今度は「問題文を言い換えると基本例題の類題に帰着される問題」や、「問題文を図に描き起こすことで、基本例題やその類題に帰着される問題」に手をつけます。

そのような問題は「標準問題」という扱いになりますが、標準問題を解けるようにするためにも、「解説を読んだあとに、自分でその解説を再現できるかどうか」を確かめる必要があります。

こうして、解ける問題を増やしていくのです。

はじめは、どんなに算数や数学ができる人であっても、上に書いたプロセスを踏まないと、解ける問題のレパートリーを増やすことはできません。

「解説を読むだけではなく、再現する」というプロセスを経て、なぜこういった考え方をしているのか、なぜそんな式の立て方をしているのかを知ることができます。

また一方で、自分が勘違いしていたことがもしあれば、それに気づくきっかけも生まれます。

解き方の共通性を見つける

そもそもこの記事だけでなく、さまざまなところで「考え方」という言葉を使っていますが、それは何かというと、どんな問題を解くときにも共通して出てくる「問題を解くことができるきっかけとなるポイント」のことです。

もちろん、「数の性質」や「図形の面積」などというように、お互いに別々の分野単元があり、問題を解くにあたり別々のアプローチがあることもあります。

ただ、「数の性質を調べるためにはどうすれば良いのか」「面積を求めるためにはどうすれば良いのか」といった問いかけに対しては、実はそれぞれ一定の答が浮き掘りになることが多くあります。

そのことはつまり、各分野単元ごとに見ていくと、問題解決のための考え方というのは、どんなにレベルが異なる問題であっても、大きく変わることはないということです。

そうしたことは、以下の流れを意識して算数・数学の問題を解き、正解を出せるようになることで分かってきます。

・ どの問題集にも載っているような基本例題とその類題を解ける力が付いてきたら、「分野単元が共通してはいるものの、一見すると問題文や条件が異なる問題」を解く (そういった問題がすでに、例えば「発展レベルの典型例題」となっていることも多い)

・ 上に書いたような問題を解く際に、問題文の最後の一文 (例えば「〇〇を求めなさい」であるとか「✖✖はいくつか」といった文) に注目し、「問題では何が問われているのか?」を把握する

・ 「何が問われているのか、問題解決のためにどうするのか?」といった疑問に答えていくために、基本例題の解き方などと比較して「そもそもなぜ正解を出せたのか」「正解を導き出せたきっかけは何か」を振り返る

もちろん、各問題においては条件が異なるので、どの問題も全く同じやり方で解くわけではありません。

しかし「何に注目しているのか?」「なぜそこに目をつけるのか?」といった疑問に対する答を見出せると、問題を解くプロセスにおける共通性を見つけることができます。

以下では各分野ごとに、問題を解くプロセスにおいて共通する「問題を解けるきっかけとなるポイント (考え方) 」について簡単に、一つ一つ書いていきます。

これらはどれも、「これをやったおかげで、問題の正解を出せるようになった」という実例です。

解き方の共通性を示す実例

・逆算をするときは、カッコの中の式や、かけ算・わり算の記号でつながれた部分は、「一つの数」と見ること (動画URLはこちら)

https://youtu.be/eFhABBXARGQ

・食塩水の問題では、水を加える問題や蒸発させる問題であっても、「食塩の重さ」が変わらないことに注目すること (動画URLはこちら)

https://youtu.be/Vpa2hXZkKOg

・比の問題では、必ず線分図を描き、比の値を揃えてその「和や差」に注目すること (動画URLはこちら)

https://youtu.be/RfZK7s57h2k

・平均の問題では、(平均)×(個数) が全体量を表すという式を作ること (動画URLはこちら)

https://youtu.be/NwxTLvP4I58

・登場人物が2人の速さの問題では、「2人の移動時間が同じ」であれば、「2人の速さの比」=「2人が進んだ距離の比」となることに注目すること (動画URLはこちら)

https://youtu.be/9mxdtqGvMXY

・同じく「2人の移動距離が同じ」であれば、「2人の移動時間の比」=「2人の速さの逆比」となることに注目すること (動画URLはこちら)

https://youtu.be/_ccsBPBITpU

・円が関係する角度の問題では、円の半径を2辺とする二等辺三角形を見つけること (動画URLはこちら)

https://youtu.be/wDNb9_D-vKk

・割合の問題では線分図を描き、割合を「比の値」と見ること

https://youtu.be/YMdLKKR1TOM

・三角形や平行四辺形の辺を内分する点同士を結ぶ問題で、線分の長さの比を求めるときには、お互いに相似な三角形を見つけること

・数が規則的に並ぶ「数列」の問題では、隣合う数同士の差を取ることで、並び方の規則性を見つけること

・水槽に水が入る問題で、水中に物体を入れるときは、「物体の体積=水位が上がった分の体積」に注目すること

・三角錐の体積を求めるときは、まずはじめに底面に垂直な辺を探すこと

・多面体の体積を求めるときは、見たことがある立体に分割するか、もともと三角錐かなにかだったと仮定すること

基礎基本を身に付けるためにするべきことのまとめ

算数・数学に苦手意識を持っているお子さんは、今まで書いてきたように「基本例題を何も見ずに解く練習が不足している」「前に習ったことを思い出しながら問題と向き合えていない」という傾向にあることが多いです。

問題と向き合うとは、何が問われているのかを把握し、「正解を出すためにはどうすれば良いのか」という疑問に対して、自ら答えていくことです。

「何が問われているのか」を正しく把握するためには、「基本例題」を題材として、問題文の読み方や図の描き方を身に付けていくことが大事です。

それらを身に付けるためには、「以前似たようなことをした経験があるかどうか」「ここでこんなことをするのは正しいのか」という疑問を持ち、「このような理由で正しい」という一つの答を、自分で与えていく必要があります。

「正解を出すためにはどうすれば良いのか」という問いに対する答でもある「問題解決のための考え方」を身に付けるためには、問題をただ解くだけではなく「正解を出せたきっかけは何か」を振り返ることが大事です。

基本例題とその類題を解くプロセスにおいて「正解を出せたきっかけ」を振り返ることで、問題を解くプロセスにおいて「共通していること」も見つけやすくなります。

結果として、「共通していること」こそが大事な「考え方」であるということにも、気付ける場面が出てきます。

算数が苦手でお悩みの方は、この記事で私が解説してきた視点も、ぜひご参考にしていただき、日々の学習に役立てていただけると嬉しいです。

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