こんにちは。数学学習コンサルタントの鈴木です。
「比の問題を得意にしたい!」
今回は、そんな気持ちに応えられる記事を、書いていきたいと思います。
比が苦手という方は、こちらの記事もご参考にしていただけると幸いです。
https://sugaku1bann.com/2022/03/07/higanigateninaruriyuutotaisaku/
・比の単元から苦手意識が出てきた
・問題の解説を読んでもよく分からない
・比ってそもそも何のことなのかが分かりづらい
・比の基本問題自体が難しいと感じる
・どんな問題を練習すれば良いのか知りたい
比や割合の問題は、解き方が分かっただけでは、比や割合の概念を正しく理解したとは言えないのです。
ここからは、比の基本例題を通して、比とはそもそも何なのかを理解できることを目的として、問題の解説を行っていきますね。
人数に関する比の問題
ほとんどどの問題集にも、人数の比に関する問題が載っています。
中学入試で問われる比の問題の考え方を理解するのに、適した題材ですので、比が苦手という方は、まずは人数に関する問題から解いてみて下さい。
例題.1 5年生の男子と女子の人数の比は5:4で、男子は45人います。5年生全体の人数を求めなさい。
比の表し方から「何人グループが何組なのか」を考える
男子は45人いるわけですが、これは比において5を意味します。
つまり、男子何人か集まってできた組が5組であることを意味します。
5組全員の人数が、45人であるというわけですので、次に考えることは、1組何人集まっているのかということです。
1組何人なのかを考える
1組分の人数を〇とすると、どんな式が立つのかお分かりでしょうか。
〇×5=45となりますよね。
つまり、1組分の人数は
〇=45÷5=9(人)
となるわけです。
9人グループが4組分で、今度は何が求められるでしょうか。
4組分の人数は、女子の人数にあたります。
つまり、女子は9×4=36(人)であることが分かります。
何を求める問題だったのか確認を!
ここで、女子36人とやってしまっては、不正解になってしまいます。
一つ一つ何かを求める度に
・今自分が出した答えは何か?
・そもそも問題文では、何を求めなさいと書いてあるのか?
を振り返るクセをつけて下さい。
この問題では、5年生全体の人数を聞いています。
というわけで、45+36=81(人)が正解となります。
金額に関する比の問題
人数に関する問題と、ほとんど同じ考え方で解ける問題で、金額に関する問題があります。
比の基本的な考え方である、「1にあたる量を求める」ことを身につけるためにも、こんな例題を解いておくと良いですね。
例題.2 お母さんからもらった1200円を、兄と弟で13:11になるようにわけます。弟は何円もらえるでしょうか。
何円入っているお財布がいくつ集まって1200円か?
人数の問題では、「何人グループが何組あるのか?」を考えました。
今度この問題では、「お金がいくら入ったお財布が、いくつ集まれば全体で1200円になるのか?」を考えます。
兄と弟で、1200円を13:11に分けるということは、同じ金額が入るお財布を、兄は13個、弟は11個持つことになるということです。
そして、お財布の中身を全部集めたら、1200円になっています。
お財布一つ分の金額を求める
お財布は、兄と弟の分全部で24個あることになります。
お財布一つ分の金額を求めるためには、その金額を□とでも置いて
□×24=1200
という式を作り
□=1200÷24=50(円)
と求めれば良いのです。
誰の金額を求めるのか確認する
お財布一つ分は、50円であることが分かりました。(50円しか入っていないお財布とか何やねん、とかは今は思わないで下さいね)
どんな問題でも、「何を求めるのか?」を必ず振り返ってみて下さい。
この問題では、弟の金額を求めます。
弟は、お財布11個分の金額をもらえますので
50×11=550(円)
もらえるわけです。
2つの量が等しいことから比を求める問題
次の問題は、逆比という考え方に関する問題です。
まずは、こんな問題を見てみます。
例題.3 Aさんの身長の3倍とBさんの身長の4倍が等しいとき、AさんとBさんの身長の比を求めなさい。
具体的な数値で考えてみる
Aさんの身長を、160cmとして考えてみましょう。
すると、問題文にはAさんの身長の3倍とありますので、まずは160×3=480という値が出てきます。
さて、この480という値と、Bさんの身長の4倍が等しいわけですので、Bさんの身長を□とおいたとき
□×4=480
という式が出てきます。
上の式から、□=120と出てきますよね。
というわけで、160:120=16:12=4:3
となりそうです。
もう一つ具体例を考えてみる
上の例では、Aさんの身長を160cmとして考えてみた結果、Aさんの身長とBさんの身長の比が4:3になったというだけで、Aさんの身長がいかなる場合でも、身長の比が4:3になったわけではないのです。
そこで、もう少し具体的な数で考えてみてから、いかなる場合でも身長の比は4:3になることを言っていきます。
Aさんの身長を、168cmとしてみます。
168×3=504
ですので、Bさんの身長を〇とすると
〇×4=504
となって
〇=126(cm)
となります。
AさんとBさんの身長の比は
168:126=84:63=12:9=4:3
となって、やはり4:3になるわけです。
全体を(テープ1本分)とする考え方
上の例を一般的に考えてみます。
Aさんの身長をA(cm)、Bさんの身長をB(cm)とします。
A×3=B×4
という式が出てきますよね。
上の例では、この式が480や、504という値になったのですが、比の問題においては、この具体的な数の値を、テープ1本分として考えます。
つまり
A×3=B×4=(テープ1本分)
と考えます。
すると、上の式からは
A=(テープ1/3本分)
B=(テープ1/4本分)
となることが分かります。
このことから、A:B=(1/3):(1/4)=4:3
となるのです。
まとめ
比の考え方においては、これまで見てきたように、何かがいくつか集まったものを一つと考えることがポイントです。
そうした意味では、ここで見てきた人数に関する問題や、料金などの問題は、1組あたり何人いるのか? 1人あたりいくらもらえるのか? を考える場面が出てきますので、良い具体例となっています。
比や割合は、とにかく、一方が他方の何倍になっているのかを考えることと、全く同じことです。
1組3人の男子グループが2組、1組3人の女子グループが3組あるとすれば、人数の比はすぐに2:3と分かりますが、これは女子の人数が男子の人数の1.5倍になっていることと同じです。
比を求めることは、こうした具体例からも分かる通り何かがいくつか集まったものが、一方ではいくつあって、もう一方ではいくつあるのか? を考えることなのです。
問題の解き方だけではなくて、問題を解くことで、役に立つ考え方を身につけることができると良いですね。