家庭で算数を教えるとき、多くの親御さんは「すぐに正しい解き方を説明すること」が子どものためになると思いがちです。
しかし実際には、間違いをただ指摘するのではなく、まずは子ども自身に「どこが間違っているのか」を考えさせることが学力の定着につながります。
本記事では、算数の家庭学習で「間違いを自分で見つける」ことを大切にする理由と、具体的な指導の工夫について解説します。
なぜ「間違いを見つける力」が大切なのか
算数は「考え方の積み重ね」で理解が深まる教科です。
もし親がすぐに解き方を示してしまうと、子どもは「正解にたどり着く経験」を失ってしまいます。
一方で、自分の間違いに気づく過程は「思考の軌道修正」のトレーニングになり、論理的思考力や自己解決力を高める効果があります。
間違いを見つけさせる具体的な声かけ
子どもが解答を間違えたとき、次のような質問で気づきを促すのがおすすめです。
- 「どの計算のところが不安かな?」
- 「この図の書き方、もう一度見直してみようか」
- 「もし別の方法で解いたら、答えは同じになるかな?」
すぐに「違うよ」と言うのではなく、問いかけを通じて「自分で間違いを探す習慣」をつけさせましょう。
親がすぐに解説してはいけない理由
そもそも、親と子どもとでは「考えていること」が大きく異なります。
ですので「親はこう考えて解く」ということを最初に示したところで、子どもにはその考え方や解き方を、必ずしも理解できるとは限りません。
大事なのは、まずは「子どもがどう考えて、その結果どう間違ってしまったのか」について、子ども自身に気づいてもらうことです。
特に受験やテストでは「自分で間違いに気づき修正する力」が問われるため、日常の学習でその力を育てることが大切です。
家庭学習に取り入れたい工夫
- 時間を区切る:「5分だけ自分で考えてみよう」と伝える
- 見直しノートを作る:間違えた問題を写し、自分の言葉で解き直す
- 正解より過程を大切にする:丸つけのときに「どうやって考えたか」を聞く
こうした工夫により、ただ答えを出す学習ではなく「思考を深める学習」へと変わります。
よくある質問集
Q1. 子どもが間違いに気づかずにイライラしてしまう場合は?
A1. ヒントを小出しに与えましょう。「計算の最初の部分だけ確認してみて」など部分的に気づかせるのが効果的です。
Q2. 毎回間違いを見つけさせるのは時間がかかりませんか?
A2. すべての問題で行う必要はありません。特に重要な単元や苦手分野で実践するだけでも効果はあります。
Q3. 正しい解き方を全く教えない方がいいのですか?
A3. いいえ。最終的には正しい方法を伝える必要があります。ただし「子どもが自分で考え尽くした後」に解説することが重要です。
まとめ
算数を家庭で教えるときは「親が解説すること」よりも「子どもが自分で間違いを発見すること」を優先する姿勢が大切です。
この習慣がつくことで、子どもは自ら学び、自ら修正する力を育てられます。
親は「答えを教える人」ではなく「気づきを促すサポーター」として関わることを意識しましょう。