【中学受験】「過去問との相性」を正しく見極める方法

中学受験の準備が進むにつれて、多くのご家庭が悩むのが「過去問が全然解けない…うちの子、この学校と相性悪いの?」という問題です。

実は、過去問の出来=学校との相性ではありません。

むしろ「相性が良い学校なのに過去問で苦戦している」ケースも少なくありません。

この記事では、

  • 「相性の良い学校」とは何か?
  • 過去問の出来と相性を混同しないポイント
  • 相性を見極めるチェックリスト
  • 相性が良くても点数が伸びない理由
  • 相性が悪い学校を受けても合格するケース

を、家庭教師として多くの合格者を見てきた視点から、具体的に解説します。

中学受験でいう「相性」とは何か?

相性=「子どもの思考スタイル」と「学校の出題傾向」の一致度

学校ごとに、算数の問題の“クセ”は大きく異なります。

そのため、子どもの得意・不得意によって相性は明確に分かれます。

相性を決める主な要素

  • 図形が多いか/文章題が多いか
  • スピード勝負か/じっくり思考型か
  • 処理力型(典型パターン)か/ひらめき型か
  • 問題文が長いか/短いか
  • 部分点が取りやすいか/一発正解型か
  • 誘導が丁寧か/自分で読み取る必要が強いか

これらの“出題スタイル”が、子どもの思考の癖と合致することが「相性が良い」という状態です。

「過去問の点数=相性」ではない理由

理由①:初見では学校の“クセ”に慣れていないから

最初の2〜3年分は、学校独自の形式に慣れていないだけで低得点が普通です。

これは相性の問題ではなく“情報不足”の段階です。

理由②:まだ塾テキストの基礎が仕上がっていない

相性以前に、計算・割合・比・図形の基礎処理力が不足していると、どの学校でも点が伸びません。

理由③:解法暗記型の子は「初見に弱い」

塾の演習で「パターンで解ける子」ほど、初見の学校問題に苦戦しがちです。

これは相性ではなく“本番形式への弱さ”です。

相性を見極めるチェックリスト(算数)

以下に当てはまるほど“相性が良い”学校です。

【相性チェックリスト】

  • □ 問題文を読んでイメージしやすい
  • □ 図や表が多いと解きやすい(または出題校がそういう傾向)
  • □ 大問の前半で確実に点を取れる
  • □ 思考問題が「考えていて楽しい」と感じる
  • □ 制限時間のプレッシャーが強すぎない
  • □ 誘導が丁寧で、迷いにくい
  • □ 途中点(部分点)が拾える
  • □ ケアレスミスが致命傷になりにくい
  • □ 過去3年分のうち、1〜2年は手応えを感じた

逆に、

  • 誘導が少なく迷子になる
  • 複雑な図形が続くと手が止まる
  • スピードが必要な構成だと焦る

などが多い場合は、相性が良くない可能性が高まります。

相性が「良いのに点数が出ない」代表的な理由

① 時間配分の失敗

相性が良い学校は「問題の質が得意」というだけで、量(時間配分)が得意とは限らないためです。

② 力の出し方が分からない(実戦経験不足)

塾や家庭学習では「部分点の取り方」を実戦的に教わりません。

過去問演習で急に必要になります。

③ 難度の乱高下に慣れていない

中学受験の算数は年度ごとに難度が大きく違うため、相性よりも“年度運”が結果に影響することがあります。

相性が悪くても「合格」するケースがある理由

相性が良くなくても、以下の条件が揃っていると合格は届きます。

● 条件①:他科目が伸び切っている

特に国語・理科・社会との総合バランス。

● 条件②:算数で“失点を最小化する戦略”が取れる

  • 取れる大問は確実に取る
  • 手を出す問題と捨て問を一瞬で判断
  • 途中点を徹底的に拾う

● 条件③:過去問研究(分析)が徹底されている

相性が良くない場合ほど、問題構成の研究が効きます。

● 条件④:本人が「嫌いじゃない」

実は大きなポイント。

相性が多少悪くても“その学校の問題が好き”なら、伸びます。

どの学校が相性が良いか調べる手順(家庭でできる)

① 過去問の形式をざっくり10分で確認

(子が得意な問題が多いか?真逆が多いか?)

② 1年分だけ時間無制限で解かせる

→ 解法が理解できるかを確認
→ 点数は参考にしない

③ 次に同じ年度で制限時間内で解かせる

→ 時間配分の適性を確認

④ 2〜3年分の傾向を眺める

→ 「毎年似ている」「年度によってバラバラ」を見極める

⑤ 相性を総合判断

「好き・得意・戦いやすい」か?

志望校の相性は“早い段階で決めつけない”ことが重要

  • 小6の夏までは「相性」が見えにくい
  • 小6の秋頃から伸びる子も多い
  • 最初の過去問の点数で志望校を下げてしまうのは早すぎる

相性の判断は、最低でも3年分を見てからでも遅くありません。

よくある質問

Q1. 過去問の点が全然取れません。志望校を変えるべきですか?

まだ早いです。最初の3年分は慣れの問題が大きいので、早期判断は禁物です。

Q2. 相性が悪い学校を受けるのは無謀ですか?

戦略次第で十分合格できます。得点源科目でカバーし、算数は「減点を最小化」する戦い方があります。

Q3. 相性の良い学校はどうやって見つける?

→「問題を読んだときのやりやすさ」と「大問構成の相性」で判断できます。

まとめ:相性は「点数」ではなく「スタイル」で判断する

過去問の点数が低い=相性が悪いではありません。

本当に見るべきは、

  • 出題スタイル
  • 思考スタイル
  • 時間配分の相性
  • 問題の“好き嫌い”
  • 伸びしろ

です。

過去問を通して「相性が良い学校」が見つかると、その後の勉強も伸びやすくなり、当日のメンタルも安定します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です