初めまして。算数・数学を主な指導科目として、プロ家庭教師をしております、鈴木稔です。
算数や数学に苦手意識のあるお子さんが、正しい勉強法を身に付けて、基礎学力の底上げを実現し、成績アップ、志望校合格を可能にすることで、皆様に喜んでいただけるような指導を行います。
これまでに、算数・数学を苦手科目とするお子さん計200名以上の指導を行ってきました。
その経験から、算数・数学に苦手意識のあるお子さんは、以下のような状況に陥ってしまっていることが多いと、私自身気がつきました。
お子さんのご様子を見て、このような心配はありませんか。
◆ 学校や塾の授業進度に、全くついていけていない
◆ 塾の授業内容が、子どもの現在の学力または目標に合っていない
◆ 塾に行っているけれど、全く成績が上がらない
◆ 毎日大量の宿題に追われて、復習ができない
◆ 模試などのテストを受けても、全く点数が取れない
◆ 基本的な計算問題でも、計算ミスが多い
◆ ケアレスミスが多く、防ぎ方も分からない
◆ 前に習ったことを忘れてしまう
◆ 毎回似たような間違いをしている
◆ 志望校合格に向けて、何を優先的に勉強すれば良いのか分からない
◆ 志望校の偏差値に届くような勉強法が分からない
◆ 普段学校のテストでは点数が取れるのに、模試では取れない
◆ 返ってきたテストを見て、勉強してたはずのところで落としている
中学受験をお考えであれば、算数の成績が特に気になるという方、高校受験をお考えであれば、数学をもっと早くから対策をしておけば良かったと思っていらっしゃる方などに向けて、苦手を作ってしまった原因を解明し、お子様が自分で問題を解けるように、ご家庭と連携しながら指導を行います。
算数・数学の問題を解くことができるようになった経験を通して、「鈴木先生が点数を作ってくれる」「鈴木先生が合格させてくれる」ではなく、お子さん自身が「テストの点数は自分で作る、合格は自分で勝ち取る」と思えるように、努めて参ります。
私は指導にあたって、上に書いたようなお悩み解消のために、以下の8つのことを大事にしております。
・勉強したつもりにならない
・「自分が理解できていること」に気付く
・間違いを自分で見つける
・正誤判断ができる
・「正解できた理由」を見つける
・基礎学力の定着
・テスト形式での問題演習
・目標を明確にする
■勉強したつもりにならない ■
お子さんが一生懸命勉強していたはずのに、模試や定期テストにて、点数がとれなかったという場合、そもそも勉強したことになっていなかった可能性があります。
例えば塾さんなどに通われていて、毎日ぼう大な量の宿題が出ている場合など、お子さんは以下のような行動パターンを取ってしまっていませんか。
・問題を解き、丸つけをしたあと、できなかった問題を解き直していない
・問題集の解説を読んだだけで、自分の手を動かして問題を解いていない
・テスト直前になって、問題集、プリント類の空欄を、ただ埋めただけ
もしお子さんが、上に書いたような方法で学習を行っていた (つもりになっていた) 場合、なぜそのような方法が悪いのかに気づき、何ができたら勉強したことにるのかを理解するために、解けなかった問題を自分で解けるようになるまで練習していく中で、指導においては必ず、以下の3つのポイントを振り返ります。
★どう考えれば正解を出せるようになったのか
★勘違いしたままになっていたところがないかどうか
★見直しのポイントがどこにあったのか
こうした振り返りを、まずは私と一緒にすることによって、今度はお子さんが自分一人で、問題の正解を出せるようにサポートしていきます。
具体的には、以下に書くことを意識して、お子さんの指導にあたります。
■「自分が理解できていること」に気付く■
集団塾の授業進度をはじめ、中高一貫校の授業進度などに沿って授業を受けているお子さんの中で、 最初は授業についていけていたけれど、気がついたら何も分からなくなっていたとお悩みの方はいませんか。
例えば、大手中学受験塾のカリキュラムに沿って授業を受けると、小学5年の2学期までに「小学6年で扱う内容」や、本来は「高校数学で扱う内容」まで、授業が一気に進んでしまいます。
もう一つ例を挙げると、私立中学入学後、中高一貫校のカリキュラムに沿って授業を受けると、中学3年生のときに既に、大学受験レベルの内容を習うことも、珍しくありません。
このように進度も速く、「その学年の生徒が理解するには多くの時間を必要とする内容」を習得する場合、 本来であれば、 以下の5つのポイントを意識した上で問題を解くことが求められます。
逆にこれらのことができていないまま問題を解くことは、授業内容の理解の妨げになる原因を作ります。
・問題文に出てくる用語の意味を思い出す
・問題を解くときに、なぜそう考えるのかを説明できる
・一見抽象的で想像し難しいことも、具体例を持ち出して納得できる
・以前に、例題や類題を解いた経験を思い出す
・問題に対する解き方のうち、使えない解き方とその理由も分かる
算数・数学の問題と向き合う際には、前に習った知識のうち、自分が理解できていることを思い出すという姿勢が大切です。
なぜなら算数・数学はどちらも、既出単元をもとに、新たに習う単元を設定してあるからです。
上に書いた5つのポイントはどれも、「思い出すこと」「納得できること」が共通していますよね。
算数・数学という科目の性格上、理解できている既出単元に対して、新たな視点を付け加えた上で「どうすれば問題が解けるのか」を考えていくことになります。
実は、算数・数学の苦手意識を作ってしまう大きな原因の一つに、「今習っていることと、前に習ったこととの間にあるつながりを見出さない (つまり前に習った知識などの振り返りを意識しない) 」ということが挙げられます。
「気がついたら何も分からなくなっている」というお子さんにとっては、 進度の速い授業や、その学年で習う内容の割に非常に高度なことを扱っている授業において、「今の自分には何ができるのか」を見出せずにいるからこそ、授業の内容が分からなくなってしまっています。
お子さんがもし、そのような状況下にあるのであれば、算数・数学の苦手意識をなくすために、上に書いた5つのポイントを意識した上で、お子さん自身が、自分が理解できていることに気づけるように、私からは
「これはどんな意味ですか?」
「なぜここで、この考え方がでてきますか?」
といった質問を投げかけながら、授業を進めます。
そして、そのような質問に答えて頂くことで、お子さんには
「こんなことが分かってきた!」
「難しくて、分からないと思い込んでいたけど、全くそんなことはなかった!」
といった実感を持って頂くことを目的として、対話重視の指導を行い、お子さんの中にある「今の自分にできること」を引き出します。
こうしたプロセスを経て、お子さんが今までできなかった問題を、「できる問題」に変えていきます。
■間違いを自分で見つける■
冒頭でも書いたように、算数・数学に限らず、どの教科においても、問題を解いた後、丸つけをして、✖になった問題をそのままにしないことが大切です。
もし、お子さんのテストやノートを見て、毎回同じようなミスをしているとお悩みの方は、普段の家庭学習の中で、お子さんが「✖になった問題」をそのままにせずに、自分で正解を出せるまで解き直しができていたかどうかを、確かめていただく必要があります。
というのも、お子さん自身は「自分はなぜ間違ったのか」を振り返ることがないまま、その間違いの原因を正すことなく、同じタイプのミスをする可能性を抱えたまま、問題演習をすることになるからです。
お子さんがどういったタイプのミスをするのかについては、こちらに記事としてもまとめてありますので、ご一読いただますと幸いです。
https://sugaku1bann.com/2021/10/28/kearesumisunoshoutai/
多くのお子さんを見てきた中で感じるのは、自分で解き直しができるかそうでないかで、成績は大きく変わるということです。
算数・数学に苦手意識があるお子さんに関してお話をすると、自分で解き直しをする場面が極端に少ないことも分かっています。
私の指導においては、自分で解き直しをすることがほとんどないというお子さんに対して、まずは授業の中で問題を解いた後、お子さんが正解を出したはずなのに、✖がついてしまった場合、私からは
「その問題は、どんな方法で解きましたか?」
と聞きます。
理由は、お子さんがこの質問に答えて、自分の考え方や解き方を説明する過程において、間違った原因となるポイントを、自分で見つけやすくなるからです。
それと同時に、お子さん自身が「正しいと思い込んでいた考え」が、実は間違いだったということが明らかになる場合もあることから、「ミスの発見」だけではなく、「思い込みや勘違いの矯正」も可能になります。
こういったことは、指導の中ではよくあることなのですが、いわゆる「大人から見るとミスしているように見えるけれど、お子さんは正解したつもり」になっていることも多いです。
お心あたりある方は、それらのことについて、こちらの記事でも解説しておりますので、ぜひご参照下さい。
https://sugaku1bann.com/2021/10/26/misudewanakuseikaisitatumori/
私はどんなお子さんに対しても、お子さん自身が間違いを見つけ、どうすれば正解を出せたのかを見出せることを意識して、お声かけを行っております。
授業の中では、間違った問題をすぐにお子さんが解き直す場面を作ることで、実際に「こういったことに気をつけていれば、正解を出すことができた」と、お子さん自身が実感できるように、こちらからお声かけをするだけではなく、「解き直しの実践の場」を必ず設けております。
そうした実践の場を設けることで、お子さんが家庭学習の中でも、自ら解き直しができるように、私からは「一方的に伝えるだけではなく実践してもらうこと」を、教育的配慮として意識しております。
■正誤判断ができる (見直しの仕方の定着)■
正誤判断というのは、端的に言うと「見直しをする」ということです。
お子さんのテストを見て、こんなことにお心あたりはないでしょうか。
・答が書いてあるのに、✖になっているところが多い
・ケアレスミスが目立つ
・勉強していたところなのに、取れるはずの問題で失点している
特に、答が書いてあるのに✖になっているということにお心あたりある方は、そもそもお子さんが「見直しをしていたかどうか」を確かめていただく必要があります。
あるいは、もっと具体的なことをお伝えすると、お子さんは問題を解くプロセスにおいて、「どのタイミングで、何を確かめることが見直しをすることなのか」について把握できていたかどうか、把握できていたとしても、それが行動に移せていたかどうかを、確かめていく必要があります。
実はこれまでに、「ケアレスミスが多い」というタイプのお子さんを見てきて分かったのは、お子さんは「見直しの仕方 (合っているかそうでないかを判断する方法)」をそもそも習得できていないからこそ、ミスをしていることに気がつかず、正解を出したつもりになってしまっているという状況が、多くあるということだったのです。
こうした状況を改善していくために、私がお子さんと一緒に問題を解いていくプロセスにおいて、主に以下のタイミングで「振り返り」を行い、「自分が考えていることや、自分が書いたこと」などが正しいかどうかを確かめる場面を設けております。
・問題文を読み、どんな条件が書いてあったのかを振り返る
・問題文を図として表現する際に、書いた図が正しいかどうかを振り返る
・図の中に数値や記号を書き入れる際に、書き間違いなどがないかを振り返る
・図や文章を式として表現するときに、立てた式が正しいかどうかを振り返る
・式を計算していくプロセスにおいて、式変形が合っているかどうかを振り返る
・出てきた数値や答が、問題文において「求めなさい」と指示されたものだったかどうかを振り返る
問題演習をしていく中で、見直しのタイミングがどこにあるのかについては、こちらでより詳しく解説しておりますので、ご参考にしていただければと思います。
https://sugaku1bann.com/2021/11/10/minaosinotaiminngu/
このような振り返りを行い、各問題ごとに、「どんなタイミングで、何をすることが見直しをすることなのか」を把握した上で、また更にお子さんが自分一人で問題を解くときに、把握できたことを実践していくことにより、見直しの仕方の定着を図ります。
■「正解できた理由」を見つける■
算数・数学の成績を上げるために、「できなかった問題」の解き直しであるとか振り返りをすることは、もちろん大切なのですが、それよりも大切なことがあります。
それは、問題を解き、正解を導けたのであれば、「正解できた理由」を明確にすることです。
つまり、問題に対して、「何をどう考れば正解を出せるきっかけが生まれたのか」を把握していくことが大切です。
お子さんについて、「習ったはずなのに、すぐに忘れてしまう」「テストが終わったら、前のことはもう覚えていない」というご様子があるのであれば、お子さんは普段の学習面において、ただ問題とその解き方を覚えたつもりになっているだけで、正解できた理由が分かっていない可能性があります。
もう少し具体的に、例を使ってご説明します。
例えば同じ単元の問題が10問あったとき、お子さんが「10通りの解き方を覚える」というやり方か、あるいはそれに近いやり方で、問題を解けるようにしていこうとした場合、上に書いたように「すぐに忘れてしまう」といった状況が起きてきます。
というのも、本来同じ単元の問題であれば、お互いにつながりをもった「関連性の高い問題」として、テキストなどに載っています。
しかし、「10通りの解き方を覚える」という方法を採ってしまうと、同じ単元の問題であるにもかかわらず、「10問が独立した別々の問題だ」という認識でもって問題と向き合うことになるので、10問に共通する関連性を見出せないことも原因となって、記憶に残らない可能性の方が高くなります。
こうしたことが、もしお子さんに当てはまるのであれば、私の授業においては、このような状況をなくすために、問題を1問解く毎に、「どういったことがきっかけで解けたのか」を振り返り、その振り返りを通して「正解できた理由」を見つけます。
そして、2問目、3問目と同じ行動をとっていく中で、「どの問題を解く際にも共通するポイント」を見つけ、そのポイントこそが「正解を出すための大切な考え方」だと認識できるようにしていくことにより、その考え方の定着を図り、記憶に残るように指導します。
そして、考え方が定着しているかどうかを、「お子さんが問題をどう解いたのかを説明する場面」を設けることや、実際に小テストなどを実施し、考え方をマネして使いながら問題を解いているかを見ていくことにより、確かめていきます。
■基礎学力の定着を図る■
「今の自分にできること」を引き出し、できることを出発点として問題演習をしていく中で、「見直しの仕方」を身に付けることや、「正解できた理由」を見出すことで「問題を解くのに必要な考え方」を身に付けることにより、基礎学力の定着を図ります。
そもそも基礎学力とは何かというと、上に書いたような「問題を解くのに必要な考え方」を身に付けるためにある重要な題材 (それを基本問題などと言います) を、解説など何も見ずに正解できる力のことです。
その意味で用いられる基本問題とは、中学受験の算数においては、大手の塾さんなどで配られるどんなテキストにも載っている「基本例題」とその類題のことや、中学以降の数学であれば、どの出版社さんの教科書にも載っている「基礎例題」とその類題のことを指します。
中学受験の模試で全く点数が取れないお子さんや、学校の定期テストで思うように点数が取れないお子さんは、 本来であれば「問題を解くための大切な考え方」や「見直しの仕方」を、基本問題を解くことを通して身に付けていくべきところを、そうしたプロセスを踏めていない傾向にあります。
このような傾向にあることはつまり、「基本問題」を解説など見ずに、自分で正解できるまで練習した経験が足りないことを意味します。
算数・数学の苦手克服のためには、「色んな問題を解けば良い」などと言われることもありますが、結論から言うと、これは間違いです。
上に書いたような経験不足を補うためにも、まずは基本問題を題材として授業を行い、お子さんができるようになった基本問題とその類題を家庭学習に取り入れることで、基礎学力の定着を図ります。
このような目的から、宿題には、今習っている単元の問題だけではなく、前に習った単元の問題もお出しすることが多いです。
■テスト形式の問題演習をして本番に備える
基本問題を題材として、「考え方」や「見直しの仕方」を身に付けることができてきたら、テスト前は必ず「テスト形式での問題演習」を実施しております。
「テスト形式での問題演習」とは、過去問演習とほぼ同じ意味を持ちますが、今まで学んできた問題をランダムに与えられたときに、「どれがどの単元の問題なのかを判断する練習」を含んだ問題演習のことです。
模試の直前であれば模試の過去問を、定期テストの直前であれば、定期テストの過去問や問題集の節末に載っている「定期テスト対策のページ」などを利用して、実際に時間を計って問題演習をします。
入試直前であれば、過去5年から10年分以上の過去問演習をすることも珍しくありません。
テスト前に必ず過去問演習をする理由は何かというと、「どれがどの単元の問題なのかを判断する力」がテストにおいて求められるからです。
「勉強しているのに点数が取れない」というご相談を受けることも多いですが、詳しくお話をお伺いすると、テスト直前に、過去問などを利用した「テスト形式での問題演習」ができていないことが多いです。
テストが返ってきたあとに、テストの振り返りをする場面において、お子さんが解説を見て「その解き方で良かったんだ」「この問題なら解けたのに・・・」「この問題知ってた」というような声があがることはないでしょうか。
お子さんからこのような声があがり、「基礎学力の定着」を目的としたやり方で勉強できているにもかかわらず、テストでは思うように点数が取れないのであれば、この「テスト形式での問題演習」ができていない可能性があります。
それを裏付ける理由と、なぜ「テスト形式での問題演習」が必要なのかについて、以下でご説明します。
例えば、中学受験の塾さんの模試を受けることになったとき、その模試の試験範囲があるかと思います。
そして、その模試の試験範囲に「つるかめ算」「比とその利用」「速さと割合の問題」が含まれているとしますよね。
ご家庭で勉強されているときに、お子さんがテキストを開いて、「つるかめ算」の単元を勉強することは、模試の対策としてはもちろん大事ですが、それだけでは本当の意味での模試の対策とは言えません。
というのも、お子さんがテキスト中の「つるかめ算」のページを開き、そのページに載っている問題Aを見て「つるかめ算のページなのだから、つるかめ算の解き方で解く」ということは、理解できているかもしれません。
しかし、その問題Aが他の単元の問題と混ぜて出題されたときに、「つるかめ算の問題」だと認識できることが、模試の対策としては大切になるのですが、模試で点数が取れないタイプのお子さんは、ここまでの視点を持って勉強できていないことも多いのです。
つるかめ算の例に限らず、多くのお子さんが家庭学習において「この問題はこの単元のページに載っているのだから、解き方はすぐ分かる」という状態にはあります。
しかし、テスト本番のときは、テストに出題されている問題に「これはこの単元の問題です」というようなことは書かれていないからこそ、お子さんは自分でその問題が「どの単元のものなのか」を判断することが大事になりますが、そうした判断を行う練習が不足してしまうと、テストで点数が取れません。
このことはまさに、テストで点数が取れない理由として、「テスト形式での問題演習」ができていない可能性があることを裏付ける理由です。
このような理由から、テスト形式での問題演習をしておくことで、「家では問題が解けても、テストでは解けない」という状態を防ぐことができ、テストが返ってきたときに「この問題ならできたのに・・・」と後悔をすることもなくなります。
こうした背景も踏まえて、テスト前の指導においては「どの単元の問題が、どのような出題形式で出題されるのか」を分析した上で、「出題される問題がどの単元の問題なのか」をお子さんが把握できているかどうかを確かめていきます。
■目標を明確にして入試に対応できる力を付ける■
基礎学力が身に付いてきたら、次は自分の目標を明確にし、入試問題を解けるようにしていくための指導を行っていきます。
入試に向けた指導においては、具体的に「この中学、高校に入りたい」「この大学に行きたい」という目標を達成させるために、過去問から逆算した問題演習がメインとなります。
その際に必要なのは、これまでお話してきた意味での「基礎学力」をベースとした「毎年必ずどこかの学校で出題されるような典型的な入試問題を正解できる力」です。
先に大切なことをお伝えすると、入試問題とは多くの場合、問題文を言い換えることや、文章を図に描き起こすことなどを通して、「基本問題に帰着させることができる問題」のことです。
もしお子さんが定期テストでは点数が取れるのに、模試や過去問で点数が取れないのであれば、典型的な入試問題を題材として、「基本問題への帰着のさせ方」を身に付けていく必要があります。
そのために何をするかというと、例えば中学受験対策であれば、テキストに載っている「基本問題」以外にも「練習問題」「標準問題」というカテゴリーに属する問題を題材として、上に書いたような力を身に付けていきます。
「練習問題」「標準問題」を解いているのに、なかなか成績が伸びないというお子さんもいますが、「基本問題をできるようにするためのプロセス」と同様のプロセスを踏めていないことが多いです。
つまり「練習問題」の正解を出すために必要な「基本問題への帰着のさせ方」を身に付けられないまま、ただ問題を解いたつもりになっているという可能性があります。
そうした可能性をなくしてくためにも、練習問題とその類題を、解説など何も見ずに正解できるようになるまで指導を行います。
高校入試の対策であれば、中高一貫の進学校でも用いられる教科書などに載っている「基本問題」「節末問題」「演習問題」に属する問題を題材として、上に書いたような力を身に付けます。
■指導において大切にしていること■
「”勉強する”の定義」にあてはまるまで見守ります
塾や学校で、その日はじめて習うことがあるかと思います。
もちろん、こちらでカリキュラムをお作りして、それに沿って指導を行っていく中で、私から直接的に、はじめて習うこともあるかもしれません。
小中学生であれば、新しい問題とその解き方などが、その日はじめて習うことに該当します。
そのような、はじめて習うことに関して、お子さんは、解説など何も見ずに、自分一人の力だけで、その問題の正解を出せるようになっていますか。
またはその問題の類題についても同様で、類題の正解を出せますか。
結論から言うと、勉強するの定義は、以下のものであると、私は確信しています。
「はじめて習う問題、あるいは今までできなかった問題を、解説など何も見ずに、自分一人の力だけで、解けるようにすること」
この定義にあてはまるように (つまり、本当の意味で勉強できたことになるように) 日々お子さんと向き合っております。
ここでは具体的に、上に書いた定義にあてはまるように何をすれば良いのかについて、「納得する」「まねすることができる」という2つのキーワードを軸として、お伝えします。
「納得できる状態」を作る
はじめて習うような新しい問題に対しては、「何が問題として問われているのか」を把握し、「この問題の正解を出すためにどうすれば良いのか」という疑問を持ちながら、その疑問に答えていくことを意識しつつ、先生の解説を聴くことや問題集の解答を読み進めていくことが大切です。
正解を出すために「どうすれば良いのか、どう考えることが正しいのか」「そもそもなぜ、そのように考えて、この問題の答を出すことが正しいと言えるのか」といった疑問を持ち、それらに自分で答えることで、問題を解く際に必要な、「考え方」を身につけるきっかけが生まれます。
まとめると、新しく習うことに対しては特に、「何が問われているのか」「その問題の正解を出すためにどうすれば良いのか」という疑問を持ち、それらに自分で答えていくことで、問題を解く際に大切な「考え方」を身につけるきっかけが生まれ、そのきっかけを自分の中に生むことこそが、「分かった」という感覚を作ることなのです。
ここまでの思考プロセスにおいては特に、「先生の言っていることは正しいのか」「解説に書いてあることは正しいことなのか」という問いかけに対して、自分で答えていくことが求められるので、「正しい」であるとか「合っている」と思える気持ちを、自分の中に作ることが大事です。
そうした気持ちを、自分の中に作ることが、「納得する」ということであり、よく言われるように、「分かる」という言葉で表現される、一つの感情であると考えられます。
「まねすることができる状態」を作る
上に書いた意味での、「納得できる状態」を作ることができたら、今度は「まね」をする段階へと移ります。
先生が解説してくれたことや、解答に載っている解説文に対して納得できたら、まずは納得できた理由を振り返ることが大事です。
この、「納得できる理由」を振り返ることこそ、問題の正解を出すために必要な「考え方」を身につけることでもあります。
「何が問われているのか」を把握し、「正解を出すためにどうすれば良いのか」という疑問に対して、納得できる答を与えて、納得できた理由を振り返ることで、「なぜこの問題の正解を出すことができるのか」が分かります。
それはつまり、問題を解く際に大切な「考え方」に納得ができるという状態にあるということです。
この状態まで来ることができたら、解説など何も見ずに問題の正解を出せるように、「まねをする」ということが大事になってきます。
ここでお伝えしている「まねをする」というのは、はじめて習った問題 (先生から解説されたり、解答を読み進めてきた問題など) を、解説など何も見ずに自分でもう一度解くときや、はじめて習った問題の類題を解く際に、「考え方をまねして使う」ということなのです。
はじめて習った問題とその類題が、「それぞれ解き方の違う全く別の問題同士の関係にある」と認識するのではなくて、「どちらも問題としては同じことを問われているから、解説を読んで (あるいは聴いて) 納得できた考え方を使って正解を出せる」と認識できた上で、実際にその考え方を使って、間違いなく類題の正解が出せるという一つの状態を作ることが大事です。
まとめると、解説などを読み進めていく中で、「なぜこの問題の正解が出せたのか」を振り返ることで、問題を解く際に大切な「考え方」に納得できるきっかけが生まれ、今度は類題を解く際に、その考え方を「まね」して使うというプロセスを経て、間違いなく正解を出せるようになったときはじめて、「理解ができた」「考え方が身に付いた」「勉強した」と言うことができます。
発想力ではなく基礎学力を重視
さて、これまで「納得できる」「まねをする」という2つのキーワードを使って「勉強するとは何か?」についてお話してきました。
私が指導の中で大切にしていることは、上に書いたような意味での「勉強の仕方を身に付ける」ということなのですが、もう一つ意識していることがあります。
それは、「基礎学力の重視」です。
ここでもう一度、入試問題を解く上で大切なのは、発想力などではなく「基礎学力」であるということについてお伝えしていきます。
これまで、「納得できる」「まねをする」という2つのキーワードが、勉強する上で大事だとお伝えしてきましたが、「何を題材としてその2つを実行するのか」という視点が、基礎学力の定着に直接結び付いてきます。
私は常に「基礎が大事」と何度もお子さんとご家庭の方にお伝えしていますが、実は基礎学力というワードについては、多面性を持つものだと、私は認識しています。
というのも、いわゆる「どの教科書にも載っている内容を理解するための基礎学力」と、「どの入試問題を解く際にも必要となる基礎学力」とは、意味合いが異なってくるからです。
私の指導では「どの教科書にも載っている内容を理解するための基礎学力」を、以下のものとして定義します。
・問題を解くための重要な「考え方を身に付けるための題材」 (それを基本問題と言います) を、解説など何も見ずに正解できる力のこと
この定義をもとに考えていくと、中学受験の模試などで、平均点もなかなか取れないお子さんに必要なのは、どのテキストにも載っている「基本例題」を、まずは自力で正解できるようにしていくことです。
というのも、例えば中学受験の模試は、各大手塾さんの模試とそのときどきの平均点にもよりますが、一般的には上に書いたような意味での「基本問題とその類題」を正解できると、偏差値50は簡単に超えられるからです。
中学受験の算数を例としてお話すると、入試問題を正解できるためにも、お子さんに必要なのは、中学受験特有の算数における「問題の正解を出すための重要な考え方」を、基本問題を題材として身に付けることなのです。
このような考えは、中学以降の数学にもあてはまり、まずは「どの教科書にも載っている基本問題」を題材として、「問題の正解を出すために必要な考え方」を身に付けていくことが大事になってきます。
それができてはじめて、「入試問題を正解できる力」を身に付けていく段階に入ります。
「入試問題こそ発想力が必要なのでは?」と思う方もおられると思いますが、実はそうではありません。
入試問題で問われるのは「与えられた問題を、どのテキスト、どの問題集にも載っているような基本問題に帰着させる力」なのです。
時間をかけて待つ、見守る
このように、私の指導においては「基礎学力」を重視している以上、以下のようなご要望にはお応えできません。
・「時間をかけずに点数を上げさせて下さい」
・「効率よく教えて下さい」
・「この先生がしているように教えて下さい」
・「家では勉強しないので先生の指導だけで成績を上げて下さい」
・「周りより遅れているので厳しく教えて下さい」
私がここまでお伝えしてきたように、「算数には算数の、数学には数学の学び方」があります。
多くのお子さんを見てきましたが、算数・数学に苦手意識があるお子さんは、基礎学力を身に付けるために時間をかけるべきところを、時間をかけてこなかった過去が、間違いなくあります。
結論から言うと、そのように「時間をかけるべきところに、時間をかけてこなかったこと」がそもそも、学力を身に付けるための道筋から、遠回りをしてしまっていることになります。
時間をかけるべきところとは、間違いなく「基本問題を、ヒントなど何も見ずに正解できるようにするプロセス」のことです。
逆にいうと、「基礎学力定着のために、時間をかけるべきところに時間をかけること」がそのまま、学力を伸ばすための近道になるのだと、私は考えています。
なぜなら、どんなに難しい算数・数学の入試問題であっても、結局「基礎問題に帰着できる問題」だからです。
時間をかけて、お子さんが自分で問題を正解できるまで、指導者は待つこと、親御さんはそれを見守ることができて、はじめて「基礎学力の定着」「入試レベルの学力の定着」が可能になると、私は自信を持ってお伝えできます。
何より「できたこと」を喜ぶ
「基礎学力」「勉強とは何か」など、堅く感じるお話を今までしてきました。
ここまでお読みいただいた方は、「授業中も、堅く、まじめな雰囲気なのだろうか」とお考えの方も、いらっしゃるかと思います。
確かに、多くの方から、私の見た目は「堅い感じがする」と、何度か言われてきたこともあります。
ただ、そのような見た目とは関係なく、私はお子さんが「今までできなかったことができるようになったこと」を、嬉しく思うのです。
私の指導スタンスとして「最後は自分で答を出す」ということを大事にしているからこそ、お子さんが自分で答を出せたときは、そのことに対して本当に良かったと感じます。
お子さんに自信を持っていただくためにも、私は常に「お子さんと一緒に学ぶ姿勢」を大切にして、できたことを共に喜び合いたいと考えております。
まずは無料相談から
家庭教師指導のご依頼、無料学習相談のお申し込み等は、以下のフォームよりお気軽にお問合わせ下さい。
中学受験から大学受験、院試や数学検定などの専門的な数学全般についての知識と合格実績を兼ね備えておりますので、お困り事がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
お問合わせをいただいてから、2営業日以内にメールでご返信させていただきます。