こんにちは。数学学習コンサルタントの鈴木です。
円周と弧の長さの問題について、疑問が残るという生徒さんがいます。
円周はとりあえず、直径×円周率(3.14)で良いのですが、弧の長さとなると、そのあとに中心角÷360°を計算した値をかけなければいけません。
それで、この値をかける理由について疑問が残るという人が、けっこうよくいます。
・何となく公式を覚えて、何となく解いてきた
・塾などで覚えれば良いと言われたけれど、何でそうなるのかが分からない
・そもそも何を言っているのか分からない
など、生徒さんにとっては分かりづらさもある単元です。
今日は円の弧の求め方について、解説をしていきますので、ご家庭での学習にも役立てて下さい。
弧の長さの求め方
弧とはそもそも、何のことだったでしょうか。
弧とは、円周上にある2点と中心を結ぶ線で作られる図形(これをおうぎ形といいます)のうち、もともと円周だった部分のことです。
弧の長さを求めるためには、直径×円周率を計算してから、この値に
(おうぎ形の中心角)÷360°
の値をかけてあげることで求められます。
なぜ(中心角)÷360°の値をかけるのか(具体例で考える)
弧の長さを求める際に、円周の長さに「(中心角)÷360°」をかける場面がありますが、この理由についてお話しますね。
360°というのは、円1周分の角度を表します。
つまり、コンパスで円を描きはじめてから、コンパスのえんぴつ部分が、描きはじめたところまで戻ってくるときの角度です。
例えば、おうぎ形の中心角を30°として考えてみます。
このおうぎ形を描くには、コンパスで円を描きはじめたときの点Pと、描きおわったときの点Qと、円の中心Oをそれぞれ結び、線分POと線分QOが作る角度が30°になるようにすればいいのです。
ここで考えておきたいのが、こうして描くことができた弧を、合計で何個描けば円1周ができあがるのか ということです。
この問題に対する答を出すためのヒントになるのが中心角なのです。
いま考えているおうぎ形の中心角は30°ですから、このおうぎ形を集めて円1周分の360°を作るためには、中心角が30°のおうぎ形は、12個あればいいのです。
このことは言い換えれば、中心角30°のおうぎ形の円の弧の長さは、円1周の1/12の長さになっている ということなのです。
この1/12という数字はどうやって作るのかというと、30÷360(つまり中心角÷360°)を計算してあげれば良いのです。
割合の考え方がここで出てきて、「弧の長さは円1周分の1/12」といわれたら、弧の長さを出すために「円1周分の長さ×1/12」を計算することになります。
この具体例はまさに、「弧の長さ=円周の長さ×(おうぎ形の中心角÷360°)」を表しています。
この式に、いまいち納得がいかないという生徒さんは、割合の考え方を使うことや、割合の式を立てるというところに、もしかしたら課題が残っているかもしれません。
こちらの記事も参考にしていただけると幸です。
https://sugaku1bann.com/2022/03/07/wariainonigatetaisaku/
なぜ(中心角)÷360°をかけるのか(理由のまとめ)
あらためて、30°のおうぎ形の具体例で説明したことをふまえて、弧の長さを出すとき、円周の長さに(中心角÷360°)の値をかける理由をまとめます。
・おうぎ形を描き、中心角を□°とするとき、□°が何個あれば360°になるのかを考える
・上で考えたことはつまり、おうぎ形の弧を何個集めれば円1周分ができあがるのかを考えることと同じ
・その具体的な個数を求めるためには、360°÷□°を計算すればいい(ただし、この値は分数になることもある)
・円1周分を作るために、おうぎ形が何個いるのかが分かったら(例えば〇個いることが分かったら)、おうぎ形の弧の長さは、円1周の1/〇であることが分かったことになる
・割合の考え方で、円1周の1/〇という長さはつまり、「円周×(1/〇)」のこと
・「円周×(1/〇)」とはつまり、「円周×(おうぎ形の中心角÷360°)」のこと
・つまり、「弧の長さ=円周×(おうぎ形の中心角÷360°)」
いかがだったでしょうか。
割合で、円グラフも出てきたことを思い出すと、中心角や弧の長さの出し方が割合の考え方に似ていることは、お分かりいただけると思います。
まとめ
この記事で書いたことは、円の弧の長さは、角度に比例するという、少し高度な考え方に通じるお話です。
弧の長さを求める問題以外にも、弧の長さと半径が分かっていて、中心角を求める問題などもありますので、問題を解くときには、以下の3つに注意して、やってみることをおすすめします。
・具体的におうぎ形を描いてみること
・描いた図と数値、立てた式が合っているかどうかを確かめること
・計算した答を出したら、図や問題文にあるどの部分を求めたのかについて振り返ること
どんな分野でもそうですが、なぜそうなるのかが分かったら、理解できた考え方をどんどん使ってみることが、算数や数学を得意にするためには大事です。