算数の授業が「ぜんぜん分からない」と言われたら?親が最初にすべき対処法

「今日の算数、どうだった?」

と聞いたとき、子どもから

「ぜんぜん分からなかった」

と言われると、不安になる保護者の方は多いと思います。

「このまま授業についていけなくなるのでは?」
「家で教え直したほうがいい?」
「塾や家庭教師を考えたほうがいい?」

いろいろなことが頭に浮かぶかもしれません。

しかし、ここで大切なのは、すぐに今日の授業をもう一度教え直そうとしないことです。

算数の場合、「今日習った内容が分からない」という現象の原因が、今日の授業にあるとは限りません。

むしろ私が算数を苦手とする子を指導していると、少し前に習った内容、場合によっては1年以上前に習った内容の理解不足が原因になっているケースをよく見ます。

今回は、子どもが「算数の授業がぜんぜん分からない」と言ったときに、家庭でどのように対応すればよいのかを解説します。

「ぜんぜん分からない」は重要なサイン

まず、「ぜんぜん分からない」という言葉を軽く考えないことが大切です。

算数では、一つの単元だけが独立して存在しているわけではありません。

たとえば、

・たし算が分かるから、ひき算を理解できる

・九九ができるから、わり算を学べる

・わり算が分かるから、分数を理解できる

・分数や小数が分かるから、割合を学べる

というように、それまでに学習した内容を使って新しい内容を学んでいきます。

そのため、前の内容が十分に理解できていない状態で授業が先に進むと、「先生が何を説明しているのか分からない」という状態になってしまいます。

そして、この状態をそのままにしておくと、分からない内容の上にさらに新しい内容が積み重なってしまいます。

ですから、「ぜんぜん分からなかった」という言葉が出てきたら、まずはどこから分からなくなっているのかを確認することが重要です。

まず「今日のどこが分からなかった?」と聞いてみる

子どもが「ぜんぜん分からない」と言ったとき、「ちゃんと先生の話を聞いていたの?」と聞くよりも、「どのへんから分からなくなった?」と聞いてみてください。

たとえば、「問題文の意味が分からなかった?」「先生が式を書いたところまでは分かった?」「計算のやり方が分からなかった?」「最初の例題は分かった?」など、少しずつ具体的に聞いていきます。

ただし、ここで注意したいことがあります。

算数を苦手としている子ほど、自分が何を分かっていないのかを説明できないことがあります。

そのため、「何が分からないの?」と聞いても、「全部」「分からないものは分からない」となってしまうことも珍しくありません。

これは、子どもが説明しようとしていないのではなく、本人にもつまずいている場所が分からない可能性があります。

その場合は、質問だけで原因を探そうとせず、実際に問題を解いてもらいましょう。

一番おすすめなのは「簡単な問題を解いてもらう」こと

私は、算数が分からなくなった原因を探すとき、説明をたくさんするよりも、まず問題を解いてもらうことを重視しています。

ポイントは、今習っている問題より少し簡単な問題を出すことです。

たとえば、小数のわり算で困っているなら、その問題だけを何度も練習させるのではなく、

「整数のわり算はできる?」

「小数のかけ算はできる?」

「小数点の意味は分かっている?」

と、前の段階に戻って確認していきます。

すると、

「小数のわり算が分からないと思っていたけれど、実は整数のわり算の筆算から怪しかった」

ということが見つかる場合があります。

算数の苦手克服では、この本当のつまずきを見つける作業が非常に重要です。

「今の単元をできるようにする」だけでは解決しないことがある

学校の授業が分からなくなると、「とりあえず今習っているところを練習させよう」と考えがちです。

もちろん、それで解決する場合もあります。

しかし、前の単元に原因がある場合、今の単元だけを繰り返してもなかなかできるようになりません。

たとえば「割合」が分からない子に、割合の問題を20問、30問と解かせても、

・小数の計算

・わり算

・「何倍」の意味

・文章から数量関係を読み取る力

などに問題があれば、なかなか安定して正解できません。

この状態で問題数だけを増やしてしまうと、「たくさん勉強しているのにできない」という経験を積ませてしまいます。

算数が嫌いになってしまう原因の一つです。

だからこそ、できない問題を繰り返すのではなく、「できなくなった場所」まで戻るという考え方が必要になります。

学年を戻って復習しても問題ありません

保護者の方から、「5年生なのに4年生の問題まで戻って大丈夫でしょうか?」と相談されることがあります。

私は、必要であれば戻ったほうがよいと考えています。

むしろ、分からないまま5年生の問題を繰り返すより、4年生の内容をきちんと理解してから5年生に戻ったほうが、結果として早く進めることがあります。

たとえば、

5年生の問題ができない

4年生の関連単元を確認する

簡単な問題ならできる

少しずつ難易度を上げる

5年生の問題に戻る

という進め方です。

大切なのは「何年生の問題をやっているか」ではありません。

今の子どもが自力で理解できる場所から学習を再スタートすることです。

親がすべて教えようとしなくても大丈夫

子どもが「授業が分からない」と言うと、「じゃあ、お母さんが教えるから」と家庭で授業を再現しようとすることがあります。

しかし、必ずしもすべてを親御さんが説明する必要はありません。

むしろ最初にしてほしいのは、「どこまでなら一人でできるのか」を探すことです。

簡単な問題を1問解かせてみます。

できたら、少し難しくします。

それもできたら、さらに次へ進みます。

反対に、できなかったら少し戻ります。

こうしていくと、「ここまではできる。でも、ここから急にできなくなる」という境目が見えてきます。

この境目こそが、これから復習すべき場所です。

「分からない」と言えたこと自体を大切にする

もう一つ、保護者の方に大切にしていただきたいことがあります。

それは、子どもが「分からない」と言えたことです。

算数が苦手になっている子の中には、分からないことを隠すようになる子もいます。

「分からないと言ったら怒られる」

「また勉強させられる」

「自分だけできないのが恥ずかしい」

と思うようになると、

「分かった」

「大丈夫」

と言うようになってしまいます。

そうなると、つまずきを発見するのがさらに難しくなります。

そのため、「ぜんぜん分からなかった」と言われたら、

「じゃあ、どこから分からなくなったか一緒に探してみよう」

くらいの対応でよいと思います。

分からないことを責めるのではなく、分からなくなった場所を見つける。

これが算数の苦手克服ではとても大切です。

「説明を聞けば分かる」だけでは不十分

復習するときに、もう一つ確認してほしいことがあります。

それは、「説明を聞いたあと、自分一人で問題を解けるか」ということです。

親や先生の説明を聞いて、「分かった!」と言っていても、翌日同じような問題を出すと解けないことがあります。

算数では、説明を聞いて分かることと、自分で解けることは別です。

そのため、説明した後は必ず、「じゃあ、これは一人でやってみよう」と類題を解かせてみてください。

そこで自力で正解できれば、理解が進んでいると判断できます。

できなければ、もう一度確認します。

私はこのように、インプットだけで終わらず、必ずアウトプットで確認することをおすすめしています。

翌日や数日後にも、もう一度確認する

その日にできたからといって、完全に定着したとは限りません。

特に算数を苦手としている子の場合、「昨日はできたのに、今日はできない」ということはよくあります。

そこで、

当日できる
→翌日もう一度解く
→数日後にもう一度解く

というように、少し時間を空けて確認しましょう。

同じ問題を覚えてしまっている場合は、数字を変えた類題でも構いません。

「教えてもらった直後だからできた」のではなく、時間が経っても自分の力で解ける状態を目指すことが重要です。

算数の授業が分からないときの対処法

子どもが「今日の算数、ぜんぜん分からなかった」と言ったら、次の順番で対応してみてください。

・まずは「どこから分からなくなった?」と聞く

・今習っている問題を1問解いてもらう

・できなければ、関連する少し簡単な問題に戻る

・「ここまではできる」という地点を探す

・その地点から少しずつ復習する

・説明した後は、自力で類題を解いてもらう

・翌日・数日後にももう一度確認する

    重要なのは、できないところを何度もやらせることではありません。

    「なぜできないのか」を見つけ、必要であれば前の単元まで戻ることです。

    「ぜんぜん分からない」は、苦手克服のスタート地点にもなる

    子どもから「算数がぜんぜん分からない」と言われると、保護者の方は心配になると思います。

    しかし、分からなくなった場所を正しく見つけることができれば、そこから学び直すことができます。

    算数が苦手な子の場合、現在の授業についていくことだけを考えるのではなく、どこまで戻れば自力で解けるのかを見つけることが重要です。

    私自身、算数を苦手とする子を指導するときには、いきなり難しい問題の解き方を教えるのではなく、まず「どこまでならできるのか」を確認します。

    そして、できるところから少しずつ積み上げ、最後は解説やヒントなしでも自分で正解できる状態を目指します。

    算数が「どこから分からないのか分からない」という場合はご相談ください

    「前の学年まで戻ったほうがいいのか分からない」

    「家で復習させているけれど、なかなかできるようにならない」

    「塾や学校の授業についていけなくなってきた」

    という場合には、単に現在の単元を教えるだけではなく、どこにつまずきがあるのかを確認することから始める必要があります。

    算数が苦手なお子さんの場合、一人ひとり「分からなくなった場所」は違います。

    現在の理解度を確認したうえで、必要なところまで戻り、そこから学習内容を組み直すことで、算数の苦手克服につながることがあります。

    お子さんの算数についてお困りの場合は、まずはお気軽にご相談ください。

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