もとにする量と比べられる量が分かるような割合の教え方

こんにちは。世田谷区のプロ家庭教師、数学専門の鈴木です。

先日とある方とお話していて、こんなお声がありました。

「割合って、どうやって教えたら良いですか?」

割合とはつまり、小学5年生で習う、あの割合です。

小6以降、算数ができるかできないか、中学以降数学ができるかできないかが決まってしまう、あの割合です。

交わした会話をもとに、割合の教え方について、どんなところに難しさがあるのか、そして、具体的にどんな風に教えれば良いのかを、書いていくことにします。

もとにする数を1とする?

持ってきていただいたワークを見ると、一番初めに、こう書いてあります。

「もとにする量を1とするとき、比べる量はどのくらいかを表す数を割合という」

私「この説明、初めて勉強する生徒さんに、分かりますかね?(苦笑)」

相談者「・・・いや、少し難しいと思います」

私「そうですね・・・。そもそも、もとにする量とか、比べる量が何か、生徒さんに判断してもらう必要があるわけですが、その辺り、どういった指導の仕方が良いと思いますか?」

相談者「えーと、問題文を読んで、これはもとにする量?それとも比べる量?ということを聞きながらやっていくのが良いと思うのですが、どうでしょうか?」

私「それは良いですね。私もそれが良いと思います。ただ、いつでも問題文から直接判断できるものとは限らないときもあるわけです。私も少し考えてみますね」

もとにする量とは〇〇しない数

ワークに載っている問題を見ると、こんな問題がありました。

50台の車を駐車できる駐車場Aに、30台の車が駐車してあります。一方で、20台の車を駐車できる駐車場Bに、16台の車が駐車してあります。A、Bどちらの駐車場の方が混んでいると言えるでしょうか。

この問題の意図は、混み具合を割合でもって算出して、1スペースあたり何台駐車してあるのかを考えてみましょうということなのです。

このとき、割合の式を使うとなったら、もとにする量と比べる量を決めなければいけないのですが、さて、その見分け方が問題です。

もし授業でこの問題をやるとなると

「Aの駐車場の方は、どっちの数字がもとにする量にあたるかな?」

といったやりとりをしながら、授業を進めていくのですが、そもそも、その見分け方が問題なわけです。

「分からない!」

と言われてしまったら、50台の方だと教えるのも一つやり方としては正しいですが、このとき、少し会話を続けましょう。

先生「この駐車場ってさ、50台よりも多い車を駐車できる?」

生徒「いや、できない」

先生「そうだね!ということは、この駐車場では、"50台まで"っていう駐車数は、変えられる?それとも変えられない?」

生徒「変えられない!」

先生「良いね。この、"変えられない数字"こそが、もとにする量になるんだ。Bの駐車場ではどうかな?"変えられない数字"はどっちかな?」

生徒「Bの方だと、20台の方だね」

先生「そうそう。つまり、20っていうのは・・・」

生徒「もとにする量だね」

といった具合に、変えることができない数がもとにする量になるという視点も考えていくことで、判断していけると良いですね。

比べられる量とは〇〇する数

この駐車場の例でいうと、Aの駐車場においては、今駐車してある車の台数は30台とありますが、この30台という数字は、変わる可能性があるわけです。

どういうことかというと、今日は30台しかとまっていなかったけれど、明日はどうかな?といった具合に、明日も駐車台数が30台とは限らないのです。

しかし、50台という駐車スペースはどうかというと、工事でもされない限り、変えることはできないわけです。

こうした視点で見ると、変えられない数はもとにする量、変わってしまう数は比べる量ということになります。

他にも、こんな例があります。

列車の定員と実際に乗っているお客さんの数

参加定員と実際に参加する人の人数

などなど、変わる量と変わらない量という視点で見ると、あっさりと分かりそうなものが、まだまだたくさんありそうです。

ぜひとも試してみてはいかがでしょうか。

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