5年生で習うの「比の利用」では、
・お金をあげる
・カードを渡す
・容器の水量
など、「何かを移動する問題」がたくさん出てきます。
この単元でつまずく子は、「比が変わってしまうので、何を基準に考えればいいのかわからない」という状態になっています。
しかし、このような問題には必ず共通する考え方があります。
それが「変わらない量(不変量)」に注目することです。
今回は、予習シリーズの例題を使って詳しく解説します。
例題
はじめ、兄と弟が持っているカードの枚数の比は7:3でした。兄が弟に10枚あげると、カードの枚数の比は8:7になりました。
はじめ、兄は何枚カードを持っていましたか。
多くの子が間違える理由
問題を見ると、「10枚あげた」という出来事ばかり気になってしまいます。
その結果、「兄は10枚減った」「弟は10枚増えた」だけを追いかけ始めます。
もちろん間違いではありません。
しかし、それだけでは比が変わってしまうため、式が立てにくくなります。
そこで考えるべきなのが、何が変わっていないのかです。
この問題で変わらないものは?
兄は10枚減りました。
弟は10枚増えました。
つまり、兄から弟へ移動しただけです。
カードが消えたわけでも、新しく増えたわけでもありません。
つまり、兄と弟が持っているカードの合計枚数はずっと同じです。
これが、この問題の「変わらない量」です。
はじめの合計を比で考える
はじめは、兄:弟=7:3です。
合計は「7+3=10」となります。
つまり、カード全体を「10」と考えることができます。
あげた後の合計も考える
カードをあげた後は8:7です。
合計は「8+7=15」になります。
つまり、同じカード全体を今度は「15」として表しています。
ここがこの問題のポイントです。
同じものなのに10と15になっている
どちらも兄と弟のカードの合計を表しています。
つまり、10も15も同じ数量を別々の比で表しているだけです。
そこで、比をそろえます。
10と15の最小公倍数は30です。
したがって、はじめは「7:3」だったのが「21:9」となり、あげた後「8:7」だったのは「16:14」となります。
実際の枚数を考える
兄は「21→16」となっています。
つまり、比では5減っています。
実際には10枚減っています。
したがって、比の1は「10÷5=2枚」になります。
はじめ兄は「21×2=42枚」となります。
答え:42枚
なぜ「変わらない量」に注目するのか
中学受験では、「変化」よりも「変わらないもの」を見つける問題がたくさんあります。
例えば、
お金のやり取り
兄がお小遣いを弟にあげた
→兄弟のお金の合計は変わらない
カードを渡す
カードを渡しただけ
→カード全体の枚数は変わらない
このように、「どこかへ移しただけ」という問題では、必ず全体の数量は変わりません。
「何が変わらない?」を最初に考える習慣をつけよう
算数が得意な子は、問題を読むと最初に「何が一定かな?」と考えています。
一方、苦手な子は「10枚あげた」「5人増えた」など、変化ばかり追いかけてしまいます。
この違いが、難しい比の問題を解けるかどうかの分かれ道になります。
問題を読んだらまず、「何が変わらない?」と考える習慣をつけましょう。
まとめ
「比の利用」の問題では、計算のテクニックを覚えることよりも、「変わらない量(不変量)」を見つけることが何より重要です。
今回の例題では、
・カードは移動しただけ
・合計枚数は変わらない
・同じ量なので比をそろえる
という流れで考えると、無理なく解くことができます。
「何が変わったか」ではなく、「何が変わっていないか」に目を向ける習慣を身につけることが、中学受験算数で比の利用を得意にする一番の近道です。
