中学受験の算数で、多くの子どもが最初につまずきやすい特殊算の一つが「つるかめ算」です。
つるかめ算には、「全部つるだと考えて……」という有名な解き方があります。
しかし、算数が苦手な子にいきなりこの方法を教えても、「どうして全部つるにするの?」「かめもいるのに、全部つるだと考えていいの?」となってしまうことがあります。
そこで私の指導では、いきなり解き方を覚えてもらうのではなく、まず「つるとかめでは何が違い、何が同じなのか」に気づいてもらうところから始めます。
つるかめ算では、まず「足の本数が違う」ことを確認する
たとえば、次の問題を考えてみましょう。
例題
つるとかめが合わせて10匹います。足の本数を合わせると28本です。
つるとかめは、それぞれ何匹いるでしょうか。
すぐに計算を始めるのではなく、最初に子どもへ、「つるとかめは、何が違う?」と聞いてみます。
つるの足は2本です。
一方、かめの足は4本です。
つまり、「つる……足が2本」「かめ……足が4本」という違いがあります。
ここでまず、「つるとかめでは、1匹あたりの足の本数が違う」ということを確認します。
つるかめ算では、この「1匹あたりの数の違い」が非常に重要です。
次に「頭の数は同じ」であることに気づかせる
しかし、違うところだけを見ていても、つるかめ算を理解することはできません。
次に、「では、つるとかめで同じところは何だろう?」と考えてもらいます。
つるは1匹につき頭が1つです。
かめも1匹につき頭が1つです。
つまり、つるもかめも「1匹につき頭が1つ」という点では同じなのです。
そのため、頭が全部で10個あるなら、つるとかめを合わせた数も10匹だと分かります。
ここが、つるかめ算を理解するための大切な出発点です。
「全部つるだったら?」と考えてみる
ここまで理解できたら、初めて、「もし10匹全部がつるだったら、足は何本になる?」と聞いてみます。
つるは1匹につき足が2本なので、「2×10=20本」です。
ところが、問題では足が全部で28本あると書かれています。
つまり、「28-20=8本」実際のほうが8本多くなっています。
ここで大切なのは、「なぜ全部つるだと考えていいのか」ということです。
全部つるに変えてしまっても、頭の数は変わりません。
つるもかめも1匹につき頭は1つだからです。
したがって、全部つるだと考えても、「全部で10匹いる」という条件はそのまま保つことができます。
だから、まず全部つるだと仮定して考えることができるのです。
つるを1匹かめにすると、足は何本増える?
次に、「つる1匹をかめ1匹に変えたら、足は何本増える?」と考えます。
つるの足は2本、かめの足は4本なので、「4-2=2本」増えます。
全部つるだとすると足は20本でした。
しかし、本当は28本です。
8本増やさなければいけません。
つるをかめに1匹変えるごとに2本ずつ増えるので、「8÷2=4匹」となります。
したがって、かめは4匹です。
全部で10匹なので、「10-4=6匹」となり、つるは6匹だと分かります。
つるかめ算は「差」に注目する問題
この考え方を整理すると、「全部つるの場合……20本」「実際の足の本数……28本」なので、差は8本です。
そして、「つる1匹……2本」「かめ1匹……4本」なので、1匹をつるからかめに変えたときの差は2本です。
したがって、「8÷2=4」となります。
つまり、つるかめ算では、「全体で生じている差」を「1匹入れ替えたときに生じる差」で割っているのです。
ここまで理解できれば、単なる公式ではなく、「なぜ引き算をするのか」「なぜ最後に割り算をするのか」まで理解できるようになります。
公式を先に覚えさせると、つるかめ算が苦手になることもある
つるかめ算では、「全部つるだと考える」「実際との差を求める」「足の本数の差で割る」という手順を覚えれば、ある程度は問題を解けます。
しかし、算数が苦手な子の場合、この手順だけを覚えてしまうと、数字や問題文が少し変わっただけで解けなくなることがあります。
たとえば、「全部つるにするの?全部かめにするの?」「どの数字からどの数字を引くの?」「最後はなぜ割り算なの?」と迷ってしまいます。
これは、計算方法を忘れたというよりも、その計算が何を表しているのかを理解していないことが原因です。
だからこそ、私は最初から公式を覚えてもらうのではなく、「同じものは何か」「違うものは何か」というところから考えてもらいます。
「全部つる」にする意味を理解することが大切
つるかめ算を教えるとき、特に大切にしたいのが、「なぜ全部つるだと考えるのか」を子ども自身が説明できるようにすることです。
「そういう解き方だから」ではありません。
つるとかめでは足の本数は違います。
しかし、どちらも1匹につき頭は1つです。
だから、かめをつるに変えても、「頭の数=匹数」は変わりません。
変わるのは足の本数だけです。
このように、変わらないものを残して、違うものだけを比較することで問題を簡単にしているのです。
これは、つるかめ算だけで使う考え方ではありません。
中学受験算数では、「何が変わって、何が変わらないのか」「2つのものには、どのような差があるのか」に注目することが非常に重要です。
つるかめ算は、その考え方を身につけるための良い練習にもなります。
つるかめ算ができないときは、式を書く前に質問してみる
お子さんがつるかめ算を苦手としている場合は、すぐに解き方を説明するのではなく、次のように質問してみてください。
・「つるの足は何本?」
・「かめの足は何本?」
・「つるとかめで違うところはどこ?」
・「では、同じところはどこ?」
・「全部つるだったら足は何本になる?」
・「本当の足の本数とは何本違う?」
・「つる1匹をかめ1匹にすると足は何本増える?」
・「では、何匹をかめに変えればいい?」
一つひとつ質問していけば、子ども自身がつるかめ算の仕組みに気づけることがあります。
大人が解き方をすべて説明するよりも、子ども自身に「そういうことか」と気づいてもらうことが大切です。
まとめ|つるかめ算は「公式」ではなく仕組みから教える
つるかめ算を初めて教えるときは、いきなり公式や解法を覚えさせる必要はありません。
まず、「つるとかめは足の本数が違う」ことを確認します。
次に、「でも、1匹につき頭が1つなのは同じ」ことに気づいてもらいます。
そのうえで、「全部つるだったら?」と考えます。
そして、「つるを1匹かめに変えると、足が2本増える」という変化を利用して、本当のかめの数を求めます。
この順番で考えると、「なぜ全部つるにするのか」「なぜ引き算をするのか」「なぜ最後に割り算をするのか」という一つひとつの計算に意味が生まれます。
算数が苦手な子ほど、解き方を覚えるだけではなく、目の前の数字が何を意味しているのかを理解することが重要です。
つるかめ算でつまずいている場合も、公式を何度も覚え直すのではなく、一度「つると、かめの何が同じで、何が違うのか」という最初のところまで戻ってみてください。
算数が苦手なお子さんの場合、「つるかめ算ができない」という一つの問題の背景に、割合・差・かけ算や割り算の意味など、別のつまずきが隠れていることもあります。
私は算数が苦手なお子さんを中心に、一人ひとりがどこで分からなくなったのかを確認しながら、必要なところまで戻って指導しています。
「解き方を教えても、少し問題が変わるとできなくなる」
「中学受験算数をどこからやり直せばいいのか分からない」
といったお悩みがありましたら、体験授業・学習相談からお気軽にご相談ください。
