中学受験の算数|基本問題はできるのに応用問題ができない5つの理由と対策
「塾の基本問題は解けるのに、応用問題になると全く手が出ない」
「授業で解説を聞けば理解できるのに、テストになると解けない」
「何度も復習しているのに、少し問題が変わると間違えてしまう」
中学受験の算数で、このような悩みを抱えているご家庭は少なくありません。
特に小学4年生から5年生にかけては、割合・比・速さなどの学習が進み、一つの問題の中で複数の考え方を使う機会が増えていきます。
基本問題はできているのだから、もっと難しい問題を練習すれば応用問題も解けるようになるのではないか、と考える方もいるでしょう。
しかし、基本問題ができることと、応用問題で必要な考え方を自分で判断できることは、必ずしも同じではありません。
私はこれまで算数・数学専門の家庭教師として200名以上の生徒を指導してきました。
その経験から、応用問題ができないお子さんには、難しい問題の演習量を増やす前に確認しておきたいことがあると考えています。
この記事では、基本問題はできるのに応用問題になると解けなくなる理由と、家庭学習での具体的な対策について解説します。
中学受験の算数で基本問題はできるのに応用問題ができないのはなぜ?
最も大きな違いは、問題を見たときに、どの考え方を使えばよいのかを自分で判断する必要があることです。
基本問題では、学習したばかりの公式や解法を使えば答えを出せることが多くあります。
例えば、速さの単元で「道のりを求める問題」を練習しているときには、速さと時間を使えばよいと分かっています。
ところが、応用問題では、問題文を読んで必要な情報を整理し、どの考え方を組み合わせるかを判断しなければなりません。
そのため、公式を覚えていても、問題文から使うべき考え方を判断できなければ、解き始めることができないのです。
ただし、原因はそれだけではありません。
基本問題の理解が十分でない場合や、解説を読んで分かったつもりになっている場合もあります。
まずは、応用問題が解けない主な理由を5つに分けて確認していきましょう。
基本問題はできるのに応用問題ができない5つの理由
1.基本問題の解き方を覚えているだけになっている
基本問題が正解できていても、必ずしも考え方を理解しているとは限りません。
例えば、割合の問題で、
「120人の30%は何人ですか」
と聞かれれば、
120×0.3=36
と計算できるお子さんがいます。
しかし、
「ある人数の30%が36人でした。もとの人数は何人ですか」
という問題になると、式を立てられないことがあります。
どちらも割合の基本的な問題ですが、何をもとにして考えるのかを理解していなければ、問題文が変わっただけで解けなくなってしまいます。
大切なのは、計算方法を覚えていることではなく、その式を立てた理由を説明できることです。
基本問題が正解できたときにも、「どうしてその式になるの?」と確認してみると、理解の程度が分かることがあります。
2.問題文から必要な情報を整理できていない
応用問題では、問題文が長くなり、与えられる条件も増えます。
そのため、計算そのものは難しくなくても、何を求めればよいのか分からなくなるお子さんがいます。
例えば、速さの問題で、2人が異なる場所から出発する場合を考えてみましょう。
問題文には、それぞれの速さ、出発時刻、出発地点の距離など、複数の条件が書かれています。
これらの数字をすべて使おうとするだけでは、正しい式を立てられません。
まずは、
- 何を求める問題なのか
- 分かっている数量は何か
- どの数量同士に関係があるのか
- 図や表に整理できるか
を確認する必要があります。
特に速さ・割合・比などでは、線分図や表を使うことで数量の関係が見えやすくなります。
ただし、図を描くこと自体が目的ではありません。
問題文に書かれている数量の関係を、自分で整理できるようになることが重要です。
3.解説を読んで理解したことを「できる」と判断している
これは、私が指導する際にも特に注意していることです。
応用問題が解けなかったとき、解説を読んで、
「なるほど、そうやって解くのか」
と理解できることがあります。
しかし、その直後に解説を閉じてもう一度解こうとすると、途中で手が止まってしまうことがあります。
解説を読んで理解することと、自分の力で解法を思いつくことには違いがあるからです。
さらに、解説を見ながら問題を解き直しても、考え方を自分で判断できるようになったとは限りません。
私の指導では、説明を聞いて理解できた後に、もう一度自分の力で問題を解いてもらいます。
そして、同じ問題や類題を家庭学習で練習し、次の指導日にも解けるかどうかを確認します。
解説を見ない状態で、問題文から考え方を判断し、式を立てられること。
ここまで確認して初めて、その内容が身についたと判断しています。
4.基本問題から応用問題へ進む間の練習が不足している
算数の問題集には、基本問題・練習問題・応用問題など、難易度の異なる問題が掲載されています。
基本問題を数問解いた後、すぐに難しい応用問題へ進んでしまうと、途中でつまずくことがあります。
例えば、比の基本問題であれば、与えられた比から数量を求めることが中心になります。
しかし、応用問題では、条件の変化によって比が変わったり、割合と組み合わせて考えたりする場合があります。
そのため、基本問題と応用問題の間にある典型的な問題を十分に練習することが大切です。
一つの問題が解けたら、数字や条件が少し異なる類題にも取り組みます。
そして、問題の形式が変わっても、自分で考え方を判断できるかを確認します。
難しい問題を次々に解くよりも、今の段階で解けそうな問題を確実に解けるようにすることが、応用問題への準備になります。
5.以前に学習した単元の理解が不十分になっている
応用問題には、複数の単元で学習した考え方を組み合わせるものがあります。
例えば、速さの問題を解く際に、比の考え方が必要になる場合があります。
また、割合の応用問題では、小学校で学習した小数や分数の計算、数量の関係を理解していることが前提になります。
現在学習している単元の基本問題は解けても、以前の単元の理解が不十分であれば、複数の考え方を使う問題では手が止まってしまいます。
この場合、今の単元の応用問題を何度も練習するだけでは、改善しないことがあります。
必要なのは、どの考え方が使えていないのかを確認し、その部分まで戻って学習することです。
小学5年生で学習している内容が理解できない場合でも、原因が小学4年生の割合や小数の計算にあることは考えられます。
学年にこだわらず、できるところまで戻ることも大切な学習方法です。
応用問題ができないときは、まず基本問題の理解度を確認する
応用問題が解けない場合、すぐに難しい問題を増やすのではなく、基本問題がどの程度できているのかを確認してみましょう。
ここで大切なのは、正解したかどうかだけで判断しないことです。
解き方を説明できるか確認する
基本問題を解いた後に、次のような質問をしてみてください。
「どうしてその式になるの?」
「この数字は何を表しているの?」
「別の数字になっても同じように解ける?」
正しい答えを出せていても、式の意味を説明できない場合があります。
そのようなときは、基本問題の考え方から確認する必要があります。
単元名を教えずに問題を出してみる
例えば、割合の学習直後に割合の問題を出せば、割合を使うと予想できます。
しかし、テストでは「これは割合の問題です」と教えてもらえるわけではありません。
そこで、割合・比・速さなど、すでに学習した単元の基本問題を混ぜて出してみます。
このとき、問題文を読んでどの考え方を使うのか、自分で判断できるかを確認します。
単元ごとに練習すれば解けるのに、混ぜると解けなくなる場合は、解法を選ぶ練習が必要かもしれません。
数日後にもう一度解いてみる
その日に正解できても、数日後には解き方を忘れてしまうことがあります。
そのため、時間を空けてもう一度問題を解くことも大切です。
解説を見ないで解けるか、式を立てる理由を説明できるかを確認しましょう。
基本問題を確実に自力で解けるようになってから、次の難易度へ進むことをおすすめします。
中学受験の算数で応用問題が解けるようになるための勉強法
ここからは、家庭学習で実践できる具体的な方法を紹介します。
ステップ1.解けなかった原因を確認する
応用問題が解けなかったときは、単に「難しかった」で終わらせないことが大切です。
例えば、
- 問題文の意味が分からなかった
- 何を求めればよいか分からなかった
- 使う考え方が思いつかなかった
- 式は立てられたが計算で間違えた
- 途中までは解けたが、その先が分からなかった
というように、つまずいた場所を具体的に確認します。
計算で間違えたお子さんと、最初の式を立てられなかったお子さんでは、必要な練習が異なります。
ステップ2.必要であれば基本問題まで戻る
応用問題で使われている考え方を確認し、その基本問題が解けるかを試します。
例えば、速さと比を組み合わせる問題でつまずいた場合、まずは速さと比の基本問題をそれぞれ確認します。
どちらかが不十分であれば、その単元の基本問題から復習します。
基本問題ができることを確認したうえで、少しずつ組み合わせた問題へ進みます。
ステップ3.典型問題を繰り返し練習する
応用問題を解けるようにするためには、よく出題される典型的な問題を身につけることが重要です。
例えば、速さであれば、旅人算や通過算など、代表的な問題の考え方を学習します。
ただし、解法を丸暗記するのではありません。
なぜその考え方を使うのか、どの条件に注目すればよいのかを確認します。
そのうえで、同じ考え方を使う類題を解きます。
ステップ4.解説を見ないで解き直す
間違えた問題の解説を読んだら、いったん解説を閉じます。
そして、最初から自分の力で解き直してみましょう。
途中で分からなくなった場合は、どこまで自分で考えられたのかを確認します。
もう一度説明を確認した後、再び解説を閉じて解き直します。
大切なのは、解説を見ながら答えを完成させるのではなく、自分の力で正解までたどり着くことです。
ステップ5.類題と小テストで定着を確認する
同じ問題が解けるようになったら、数字や条件が異なる類題にも取り組みます。
さらに、数日後に小テスト形式で出題し、解法を自分で判断できるか確認します。
このとき、問題の順番を変えたり、異なる単元の問題を混ぜたりすることも効果的です。
繰り返し解く中で、問題文から必要な考え方を判断する練習をしていきます。
応用問題はどこまで解けるようにすればよい?
中学受験では、塾の教材に掲載されている応用問題をすべて解けるようにしなければならないのでしょうか。
私は、必ずしもそうではないと考えています。
大切なのは、現在の学力と志望校の出題傾向に合わせて、優先する問題を選ぶことです。
偏差値30〜40台の場合
まずは、基本問題と標準的な典型問題を確実に解けるようにすることを優先します。
応用問題ができないからといって、難しい問題ばかりに時間を使う必要はありません。
基本問題の正答率を高め、解法を自分で判断できる問題を増やすことが重要です。
偏差値50台の場合
基本問題の定着を確認しながら、標準問題から応用問題へ少しずつ進めます。
この段階では、単元ごとには解けるのに、複数の単元を組み合わせた問題になると解けない場合があります。
そのため、典型問題の類題や複数単元を組み合わせた問題を使い、考え方を選ぶ練習をしていきます。
難関校を目指す場合
難関校を目指す場合は、基本問題や典型問題に加えて、初めて見る条件を整理する力も必要になります。
ただし、難しい問題を大量に解けばよいわけではありません。
基本的な考え方を確実に身につけたうえで、志望校の過去問や類題を使い、どのように考え方を組み合わせるかを練習することが大切です。
なお、偏差値は一つの目安にすぎません。同じ偏差値でも得意・不得意な単元は異なるため、実際に解ける問題を確認して学習内容を決める必要があります。
塾の応用問題が解けないとき、家庭で気をつけたいこと
解説を何度も読ませるだけにしない
解説を理解することは大切ですが、それだけでは自分で解けるようになったとは限りません。
必ず解説を閉じて、最初から自分の力で解く機会を作りましょう。
難しい問題を無理に続けない
応用問題が解けない状態で、同じ難易度の問題を大量に解いても、思うように成績が伸びない場合があります。
そのようなときは、少し易しい問題に戻り、解ける問題を増やしていきます。
親がすべて解き方を教えない
お子さんが問題を解けないと、保護者の方が最初から最後まで解き方を説明してしまうことがあります。
しかし、説明を聞いて解けることと、自分で考えて解けることは異なります。
まずは、どこまで理解できているのかを質問し、お子さん自身に考えてもらうことが大切です。
すぐに答えを教えるのではなく、自分で考える時間を確保してみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1.基本問題ができれば、応用問題も自然に解けるようになりますか?
基本問題ができることは重要ですが、それだけで応用問題が解けるようになるとは限りません。
基本問題の考え方を理解したうえで、典型問題や類題を通して、どの考え方を使うのかを判断する練習が必要です。
Q2.応用問題ができない場合、基本問題だけを繰り返してもよいですか?
基本問題の理解が不十分な場合は、基本問題の復習を優先して構いません。
ただし、基本問題が十分にできるようになったら、少しずつ標準問題や典型問題へ進む必要があります。
同じ基本問題だけを繰り返すのではなく、理解度に合わせて難易度を上げていきましょう。
Q3.応用問題は何回くらい解き直せばよいですか?
一律に何回と決める必要はありません。
解説を見ないで解けるようになった後、類題や数日後の小テストでも解けるかを確認します。
回数よりも、自分で考え方を判断できるようになっているかが大切です。
Q4.小学5年生から応用問題ができなくなりました。今からでも間に合いますか?
小学5年生から算数の難易度が上がり、応用問題でつまずくお子さんはいます。
まずは、どの単元の理解が不十分なのかを確認することが大切です。
必要に応じて小学4年生の内容まで戻り、基本問題から学習し直すことで、改善につながる場合があります。
ただし、志望校や現在の学力、残された期間によって優先すべき内容は異なります。
Q5.応用問題が苦手な場合、家庭教師をつけた方がよいですか?
基本問題はできているのに応用問題が解けない場合、原因を正確に見つけることが重要です。
家庭学習で原因を特定でき、必要な練習を進められるのであれば、必ずしも家庭教師が必要なわけではありません。
一方で、どこまで戻ればよいのか分からない場合や、塾の授業についていけなくなっている場合には、個別に理解度を確認してもらうことが役立つ場合があります。
まとめ|応用問題ができないときは、難しい問題を増やす前に原因を確認しよう
中学受験の算数で基本問題はできるのに応用問題ができない場合、単に演習量が足りないとは限りません。
基本問題の考え方を十分に理解していないことや、問題文から解法を判断できないこと、以前に学習した単元の理解が不十分になっていることなど、さまざまな原因が考えられます。
そのため、まずは基本問題を自分の力で解けるか確認し、必要に応じて以前の単元まで戻ることが大切です。
そして、典型問題や類題を使いながら、解説を見ずに考え方を判断できるようにしていきます。
応用問題ができないからといって、難しい問題を増やすことだけが解決策ではありません。
今できていることと、できていないことを整理し、お子さんに必要な問題を一つずつ解けるようにしていくことが、算数の成績を伸ばすための大切な一歩になります。
算数の応用問題が解けず、お困りの保護者の方へ
「基本問題はできるのに、塾のテストになると点数が取れない」
「応用問題の解説を読んでも、一人では解けるようにならない」
「どの単元まで戻って学習すればよいのか分からない」
このようなお悩みはありませんか。
私は算数・数学専門の家庭教師として、これまで200名以上のお子さんを指導してきました。
指導では、現在の学年や塾の進度だけで判断するのではなく、どこから分からなくなっているのかを確認し、必要であれば以前の学年や基本問題まで戻って学習します。
そして、説明を聞いて理解するだけでなく、類題や小テストを通して、解説を見ないで自分の力で解けるところまで確認します。
現在お使いの塾の教材や模試の結果、家庭学習の状況などをもとに、何を優先して取り組むべきかを一緒に整理していきます。
算数の応用問題が解けず、家庭学習の進め方にお困りの方は、体験授業・ご相談をご利用ください。
まずは、お子さんが今どこまで理解できているのかを確認するところから始めましょう。

