算数の偏差値を上げるには?難しい問題より先に「ミスをなくすこと」が大切な理由

「算数の偏差値がなかなか上がらない」

「家では解ける問題なのに、模試になると間違えてしまう」

「毎回ケアレスミスが多く、あと少しで目標の偏差値に届かない」

中学受験を目指すお子さんを持つ保護者の方から、このようなお悩みを聞くことがあります。

算数の偏差値を上げようとすると、つい難しい問題を解けるようにすることに目が向きがちです。

しかし、私が算数専門の家庭教師として指導する中で大切にしているのは、難しい問題を解けるようにする前に、今できる問題を確実に正解できるようにすることです。

特に、計算ミスや問題文の読み間違いなどで失点している場合は、まずその原因を取り除くことが重要です。

この記事では、算数の偏差値を上げるために、なぜミスを減らすことが大切なのか、そして家庭学習でどのように取り組めばよいのかを解説します。

算数の偏差値を上げるには、なぜミスを減らすことが大切なのか?

算数の偏差値を上げたいなら、まずは「解けるはずの問題で失点しないこと」を優先したいところです。

理由は、ミスの原因を放置したまま次の難しい内容を学んでも、せっかく身につけた知識をテストの得点につなげられないからです。

例えば、次のような経験はないでしょうか。

  • 計算の方法は分かっているのに、途中で計算を間違える
  • 問題文の条件を読み落として、違う答えを出してしまう
  • 面積を求める問題なのに、周りの長さを答えてしまう
  • 答えを出したところで安心して、確かめをしない
  • 家庭学習では正解できるのに、模試になると間違える

こうしたミスが重なると、本来得点できる問題を落としてしまいます。

もちろん、難しい問題を解く力も必要です。

しかし、基本問題や標準問題で失点が多い状態なら、応用問題の練習量を増やす前に、今の失点を減らすことを考えたいところです。

難しい問題を1問解くより、基本問題を確実に正解する

例えば、100点満点の算数のテストで、次のような失点があったとします。

失点の原因失点
計算ミス8点
問題文の読み間違い6点
答えの書き間違い4点
解き方が分からなかった問題22点
合計40点

この場合、得点は60点です。

ここで、難しい問題を解く練習を増やして10点分の問題を正解できるようにする方法もあります。

一方で、計算ミスや読み間違いなどによる18点分の失点を減らせれば、難しい問題を新しく解けるようにならなくても、得点は上がります。

もちろん、すべてのミスを一度になくせるわけではありません。

それでも、すでに解き方を理解している問題を正解できるようにすることは、得点を上げるための重要な取り組みです。

偏差値はテストの平均点や得点分布によって変わるため、得点が上がった分だけ必ず偏差値が上がるとは限りません。

しかし、取りこぼしを減らすことは、安定して得点するための土台になります。

算数のミスは「ケアレスミス」で片づけてはいけない

テストの答案を見ていると、間違えた問題について「これはケアレスミスだから大丈夫」と考えてしまうことがあります。

しかし、私は「ケアレスミスだから仕方がない」と片づけてしまうことには注意が必要だと考えています。

なぜなら、同じようなミスを繰り返している場合、そこには何らかの原因があるからです。

計算ミスには計算ミスの原因がある

例えば、分数の計算で間違えるお子さんがいたとします。

その場合、単に計算力が不足しているとは限りません。

途中式を省略しすぎているのかもしれませんし、通分したときに分子の計算を間違えているのかもしれません。

あるいは、整数と分数が混ざった計算で、計算の順序を正しく理解できていない可能性もあります。

このように、同じ計算ミスでも原因は異なります。

原因が違えば、必要な対策も変わります。

問題文の読み間違いは、算数の理解不足の場合もある

文章問題で間違えたときも同様です。

例えば、「AとBの差」を求める問題で、2つの数量を足してしまうお子さんがいたとします。

この場合、単純な読み間違いではなく、問題文に使われている言葉の意味を、算数の考え方と結びつけられていない可能性があります。

また、速さの問題で「出会う」と「追いつく」を取り違えている場合も、問題の状況を正しく整理できていないことがあります。

このような場合、問題文を丁寧に読むように伝えるだけでは十分ではありません。

どの言葉をどう解釈したのか、なぜその式を立てたのかを確認する必要があります。

算数のミスをなくすために、家庭学習では何をすればよい?

ミスを減らすために大切なのは、問題をたくさん解くことだけではありません。

間違えた原因を見つけ、その原因に合わせた練習を繰り返すことです。

① 間違えた問題を原因別に分ける

まず、テストや家庭学習で間違えた問題を確認します。

その際、単に「できた」「できなかった」で分けるのではなく、何が原因で間違えたのかを整理します。

ミスの種類確認すること
計算ミスどの計算で間違えたのか
読み間違いどの条件を読み落としたのか
立式ミスなぜその式を立てたのか
書き間違い途中式と答えが一致しているか
解法の理解不足どの知識が不足しているのか

特に注意したいのは、解き方が分からなかった問題までケアレスミスとして扱わないことです。

例えば、割合の問題で「もとにする量」を正しく判断できなかった場合、それは単純な不注意ではなく、割合の理解に課題がある可能性があります。

この場合は、必要に応じて基本問題まで戻って学習することが大切です。

② 丸つけの前に、自分で確かめる習慣をつける

私が算数の指導で大切にしていることの一つが、丸つけをする前に、自分の答えを確かめることです。

問題を解いたらすぐに解答を見るのではなく、まず自分で確認します。

例えば、計算問題なら逆算で答えを確かめたり、文章問題なら求めた数値が問題文の条件に合っているかを確認したりします。

ここで重要なのは、単に最初から解き直すことではありません。

自分の答えが正しいと判断できる理由を確認することです。

最初は確かめ方が分からないお子さんもいます。

その場合は、問題の種類に応じた確かめ方を一つずつ身につけていくことが必要です。

③ 間違えた問題は、解説を見ないでもう一度解く

間違えた問題の解説を読んで、「なるほど、分かった」と感じることがあります。

しかし、解説を理解できたことと、自分の力で正解できることは同じではありません。

私の指導では、間違えた問題について必要な説明をした後、もう一度自分の力で解いてもらいます。

さらに、同じ考え方を使う類題にも取り組みます。

ここで確認したいのは、答えが合っているかだけではありません。

問題文を読んで、自分で解き方を判断し、正しい式を立てられるかという点です。

解説を見ながら正解できても、何も見ずに解けなければ、テストで得点できるとは限りません。

④ 同じミスを繰り返していないか、小テストで確認する

一度解き直して正解できても、それだけでミスがなくなったとは判断できません。

翌日や数日後、あるいは次の指導日に、もう一度同じような問題を解いて確認します。

例えば、分数の計算で通分のミスが多い場合は、通分が必要な問題を何問か用意します。

そこで正確に解けるようになったら、整数や小数が混ざった問題にも取り組みます。

このように、同じ考え方を使う問題を繰り返すことで、正しい手順を定着させていきます。

大切なのは、一度正解できたかどうかではなく、時間が経っても自分の力で正解できるかです。

算数の偏差値が上がらない子は、難しい問題を後回しにしてもよい?

算数の偏差値がなかなか上がらない場合、難しい問題を一時的に減らし、基本問題や標準問題の正答率を高めることは有効な選択肢です。

ただし、すべてのお子さんが応用問題を後回しにすべきというわけではありません。

基本問題で失点しているなら、まず正答率を上げる

例えば、塾のクラス分けテストや模試で、基本問題を何問も落としている場合です。

このようなお子さんが難しい応用問題ばかり練習しても、基本問題の失点が減らなければ、得点は安定しません。

まずは、今まで学習した内容の中から、正解できるはずなのに間違えている問題を探します。

そして、間違えた原因を確認し、確実に正解できるようになるまで練習します。

「解ける問題を増やすこと」と「解ける問題を落とさないこと」は、どちらも重要です。

特に基本問題の取りこぼしが多い段階では、後者を優先した方がよい場合があります。

基本問題が安定しているなら、応用問題にも取り組む

一方で、基本問題や標準問題を安定して正解できているお子さんの場合は、応用問題への対応力を高める必要があります。

この場合、ミスを減らすことだけに集中していても、目標の偏差値に届かない可能性があります。

大切なのは、現在の得点状況を確認し、どこに改善の余地があるかを判断することです。

難しい問題が解けないことが課題なのか、それとも解ける問題で失点していることが課題なのか。

その違いによって、優先すべき学習内容は変わります。

子どもに「ミスをしないように」と言うだけでは改善しない理由

算数のミスが多いお子さんに対して、保護者の方が「もっと丁寧に解きなさい」「ちゃんと見直しなさい」と声をかけることがあります。

もちろん、丁寧に解くことや見直しをすることは大切です。

しかし、それだけではミスが改善しないこともあります。

なぜなら、お子さん自身がどこを、どのように確かめればよいのか分かっていない場合があるからです。

例えば、計算の途中で符号を間違えるお子さんに「見直しなさい」と伝えても、同じ計算をもう一度繰り返すだけでは、同じ間違いをするかもしれません。

この場合は、符号が変わる箇所を確認する、逆算するなど、具体的な確かめ方を教える必要があります。

また、問題文の読み間違いが多い場合は、重要な条件に印をつけたり、数量の関係を図に表したりする方法を身につけることが有効です。

保護者の方には、ミスを責めるのではなく、

「どこで間違えたと思う?」

「次に同じ問題が出たら、どこを確かめればよいかな?」

と問いかけていただきたいと思います。

ミスをしたことよりも、次に同じミスをしないための方法を見つけることが大切です。

算数の偏差値を上げるために、家庭で何から始めればよい?

まずは、直近の模試や塾のテストを1回分用意してください。

そして、間違えた問題を一つずつ確認してみましょう。

このとき、すべての問題を解き直す必要はありません。

最初に取り組みたいのは、次のような問題です。

  • 解き方は分かっていたのに、計算を間違えた問題
  • 問題文の条件を見落としていた問題
  • 時間をかければ自分で解けた問題
  • 解き直したら、解説を見ずに正解できた問題

これらの問題について、なぜテストでは正解できなかったのかを確認します。

そのうえで、同じミスをしないための方法を決め、類題を使って練習します。

一度にすべてのミスを直そうとする必要はありません。

例えば、今週は計算の途中式を省略しないこと、来週は問題文の条件を確認することなど、課題を絞って取り組んでもよいでしょう。

こうした小さな改善を積み重ねることが、テストでの得点力につながります。

まとめ|算数の偏差値を上げるなら、まず「解ける問題を落とさないこと」から

算数の偏差値を上げるためには、難しい問題を解けるようにすることも必要です。

しかし、基本問題や標準問題でミスが多い場合は、難しい問題の練習量を増やす前に、今ある失点を減らすことを優先したいところです。

特に大切なのは、ミスを単なる不注意として片づけないことです。

計算の手順、問題文の理解、式の立て方、確かめ方など、どこに原因があるのかを確認する必要があります。

そして、間違えた問題は解説を読んで終わりにするのではなく、解説を見ずにもう一度解き、類題でも正解できるかを確認します。

算数の成績を上げるために必要なのは、難しい問題を次々と解くことだけではありません。今まで解けていたはずの問題を、確実に得点できるようにすることも大切なのです。

算数のミスが減らず、偏差値が上がらないとお悩みの保護者の方へ

「毎回同じようなミスを繰り返している」

「塾の宿題はできているのに、模試になると点数が取れない」

「基本問題をやり直した方がよいのか、応用問題を増やした方がよいのか分からない」

このような場合は、まずお子さんがどこで失点しているのかを整理することが大切です。

私は算数・数学専門の家庭教師として、これまで200名以上の生徒を指導してきました。

指導では、単に間違えた問題の解き方を説明するだけではなく、なぜ間違えたのかを一緒に確認し、必要に応じて前の学年や基本単元まで戻って学習します。

また、解説を理解しただけでは終わりにせず、類題や小テストを通して、自分の力で正しい考え方を使い、最後まで正解できることを大切にしています。

算数のミスがなかなか減らない、塾に通っていても偏差値が上がらないという場合は、現在の学習状況を整理するところからご相談いただけます。