「ノートはとてもきれいに書いているんです」
「色分けもして、丁寧にまとめています」
算数の成績が伸びないお子さんについて、保護者の方からよく聞く言葉です。
一見すると「これだけ頑張っているのに、なぜ?」と感じますよね。
ですが、算数指導の現場ではノートがきれいな子ほど、成績が伸び悩むというケースは決して珍しくありません。
今回はその理由を、算数が苦手な子の実態に即して、分かりやすく解説します。
結論:算数の成績と「ノートのきれいさ」は、ほぼ関係ありません
少し厳しい言い方になりますが、結論はシンプルです。
算数の成績は「どんなノートを書いたか」ではなく「何を考えながら問題を解いたか」で決まります。
ノートがきれい=
- 頭を使っている
- 理解できている
- 実力がついている
とは限らないのです。
理由① ノート作りが「作業」になっている
ノートがきれいな子の多くは、こんな状態です。
- 先生の板書をそのまま写す
- 見本通りに色ペンで整理する
- 解説を書き写して満足する
これは一見「勉強」に見えますが、実態は…
✖ 考えていない
✖ 自分で解いていない
✖ 間違えた理由を分析していない
つまり、頭を使う前に手が動いている状態です。
算数は「写す教科」ではなく「考える教科」。
ノートが完成した瞬間に達成感が出てしまい、肝心の思考トレーニングが抜け落ちていることが非常に多いのです。
理由②「途中式」を書いているだけで、考えていない
よくある誤解がこちらです。
「途中式もちゃんと書いているから大丈夫」
ところが実際は、
- 先生に言われた通りの形で式を書く
- 意味を理解せず、パターン暗記で書く
- なぜその式になるのか説明できない
というケースがほとんど。
算数で大切なのは式の形ではなく、その式を立てた理由です。
ノートが整っているほど「分かったつもり」になりやすいのも落とし穴です。
理由③ 間違い直しが「写経」になっている
成績が伸びない子のノートを見ると、間違い直しがこうなっています。
- 正しい解答を赤で書き直す
- 解説をそのまま書き写す
- どこで間違えたか書いていない
これでは、次に同じ問題が出てもまた間違えます。
本当に必要なのは、
- なぜその考え方をしたのか
- どこでズレたのか
- 次は何に注意するか
という思考の振り返りです。
きれいなノートほど、この「痛い作業」を避けてしまう傾向があります。
理由④ ノートをきれいにすることで「安心」してしまう
これはとても大事なポイントです。
ノートがきれいだと、
- 親から注意されにくい
- 頑張っている気分になる
- 「やっている感」が出る
結果として、本当は理解できていなくてもそのまま次に進んでしまう。
算数は積み上げ教科です。
分からないまま進むほど、後で必ず崩れます。
算数の成績が伸びる子の「ノートの特徴」
では、成績が伸びる子は、どんなノートを書いているのでしょうか。
実は、とてもシンプルです。
汚くてもいい
- 消しゴムの跡が多い
- 試行錯誤の跡が残っている
自分で書いた式・自分で描いた図が多い
- 「筆算を必ずしている」
- 「テキストの図を描き写しできている」
途中の考えが中心
- きれいにまとめていない
- 後から見返す前提ではない
つまり、ノートは「提出物」ではなく「思考のゴミ箱」くらいの感覚の方が、算数の力は伸びます。
まとめ:算数は「きれいに書く教科」ではない
最後に、いちばん大切なことをまとめます。
- ノートのきれいさと算数の成績は無関係
- きれいなノートほど、考えていない場合がある
- 算数は「頭を使った量」で伸びる
- ノートは思考の痕跡であれば十分
もしお子さんが「きれいにやっているのに伸びない」状態なら、ノートを変えるのではなく、勉強の中身(考え方)を変えることが、成績アップへの道です。
