中学受験の6年生になると、塾では総合問題や応用問題が増え、夏以降には志望校の過去問にも取り組むようになります。
その一方で、
・計算問題や逆算で何度も間違える
・食塩水や売買損益・旅人算の基本問題でも正解できないことがある
・解説を読めば分かるのに、数日後にもう一度やると解けない
・模試になると、習ったはずの問題で点数を落としてしまう
といった状態が続き、「このまま応用問題をやらせていて大丈夫なのだろうか」と感じるご家庭もあるでしょう。
特に6年生では、「今から基礎に戻ったら、過去問に取り組むのが遅れてしまうのではないか」という心配が出てきます。
しかし、中学受験の算数で6年生から基礎固めをすることは、4年生・5年生の内容を最初からすべてやり直すことではありません。
大切なのは、「できていない基礎を見つける 」「→ 優先順位をつける 」→ 「何も見ずに自力で正解できる状態まで練習する」という流れです。
また、私は「問題集を1冊終わらせた」「同じ問題を何度も解いた」ということだけでは、算数の基礎が固まったとは考えないほうがよいと思っています。
たとえば、割合の問題だけが並んだページなら解けるのに、割合と比の問題を混ぜると解けなくなることがあります。
この場合、「割合の計算方法を知らない」のではなく、問題を見て、自分で「割合を使う問題だ」と判断するところまで身についていない可能性があります。
入試では、「これは割合の問題です」「これはつるかめ算を使います」と教えてもらえるわけではありません。
そのため基礎固めでは、最終的に「問題を見て自分で解き方を考え、解説を見ずに正解できるか」まで確認することが重要です。
この記事では、中学受験の算数で6年生から基礎固めをする場合に、何を、どのような順番で、いつまで取り組めばよいのかを整理します。
さらに、6年生では避けて通れない過去問演習と基礎固めをどう両立するかについても考えていきます。
中学受験の算数は6年生から基礎固めをしても間に合う?
6年生からでも、算数の基礎固めをする意味は十分にあります。
ただし、入試までの時間には限りがあります。
そのため、すべての単元を最初から復習するのではなく、現在の失点につながっている基礎を見つけ、必要なところまで戻ることが重要です。
6年生でも基礎に戻ったほうがよいのはどんな子?
基本問題での失点が多く、解説を見れば理解できるものの、自力では解き方を思い出せない場合は、一度基礎に戻ったほうがよいでしょう。
特に確認したいのは、「難しい問題が解けないこと」ではありません。
たとえば、
・分数・小数を含む計算で間違える
・逆算になると正答率が下がる
・割合の「もとにする量」「比べる量」を区別できない
・比を使った基本的な文章題が安定しない
・速さ・時間・道のりの関係が曖昧
・面積や体積の基本的な公式を使えない
・一度解いた基本問題を、後日もう一度出すと解けない
といった状態です。
このような状態で応用問題を増やしても、解説を読む時間ばかりが増えてしまうことがあります。
ここで注意したいのが、「解説を読めば分かる=基礎ができている」ではないということです。
「解説を見ながらなら解ける」→「先生に最初の一手を教えてもらえば解ける」→「問題集の例題のすぐ下にある類題なら解ける」というのは「理解する」という段階では大切です。
しかし、入試では最終的に何も見ず、自分で正解を出す必要があります。
そのため、基礎ができているかを確認するときには、少し時間を空けて同じレベルの問題を出してみる方法が有効です。
そこで自力で正解できなければ、「一度習ったから大丈夫」と考えるのではなく、もう一度その単元を復習する余地があります。
実際に4年生の内容まで戻して偏差値40から60になった例
私が実際に指導した生徒にも、5年生の終わりの時点では首都圏模試の偏差値が40程度だったものの、6年生の7月には偏差値60まで上がった例があります。
この生徒に対して行ったのは、6年生だからといって難しい6年生向けの問題を増やすことではありませんでした。
4年生の内容まで戻り、基本問題を一つずつ確認しました。
そして、基本問題をほぼ自力で正解できる状態になってから、5年生の内容へ進みました。
もちろん、同じ方法を取れば誰でも同じように偏差値が上がるとは限りません。
しかし、この経験からも、6年生だからという理由だけで現在のカリキュラムを優先するのではなく、必要であれば4年生・5年生の内容まで戻り、「自力でできるところ」から積み上げ直すことが重要だと考えています。
基礎に戻る目的は、以前の教材をすべてやり直すことではありません。
現在の問題が解けない原因になっているところまで戻り、そこを自力で解ける状態にしてから先へ進むことです。
【6年生で基礎に戻る目安】
難問が解けるかではなく、「本来なら取っておきたい基本問題を、何も見ずに正解できているか」を確認します。
6年生では勉強できる時間が限られているからこそ、難しい問題を増やす前に、まず取れるはずの問題を確実に取れる状態を作ることが重要です。
6年生で基礎固めをすると入試に必要な勉強が遅れない?
基礎が不十分な状態で応用問題ばかりを増やすより、解けない原因になっている基礎を復習したほうが、その後の演習につながりやすくなります。
たとえば「速さの応用問題ができない」とします。
この場合、すぐに速さの応用問題を何十問も解かせるのではなく、「速さ・時間・道のりの関係は分かっているか」「単位換算はできるか」「比を使った処理はできるか」といった前提を確認してみます。
もしそこでつまずいているのであれば、応用問題そのものより、前提となる基本問題の復習を優先したほうがよいでしょう。
これは図形でも同じです。
複雑な図形問題ができない原因が、高度な発想力にあるとは限りません。
三角形や四角形の面積、角度、相似、比など、前提となる知識のどこかが曖昧なために、問題を最後まで処理できなくなっていることもあります。
したがって、6年生の基礎固めでは、「この問題ができない」→「もっと同じ問題を解かせる」と考えるだけでなく、「なぜできなかったのか」→「どの基礎まで戻れば自力で解けるようになるのか」と考えることが大切です。
もちろん、6年生ですから応用問題や入試問題をすべて中断して、何か月も基礎だけを勉強する必要はありません。
現在の塾の学習や志望校対策を進めながら、そこで見つかった弱点について基礎へ戻る方法もあります。
たとえば、過去問や模試で水量グラフの問題を間違えたのであれば、その問題の解説を覚えるだけで終わらせず、水量の基本問題まで戻って確認します。
そこで基本ができていれば、再び入試レベルの問題へ戻ります。
6年生の基礎固めで重要なのは、「前に戻ること」そのものではなく、「自力で解けなくなった地点まで戻り、そこからもう一度つなぎ直すこと」です。
この考え方であれば、基礎固めと応用問題・過去問演習を完全に分ける必要はありません。
むしろ、これから入試に向けて演習量が増える6年生だからこそ、演習で見つかった基礎の穴をそのままにしないことが、その後の学習を進めるうえで重要になります。
そもそも中学受験算数の「基礎固め」とは何をすること?
中学受験の算数における基礎固めとは、簡単な問題をたくさん解くことではなく、基本的な考え方を自分で選び、何も見ずに正解できる状態にすることです。
少し話は逸れますが、文部科学省の「小学校学習指導要領解説 算数編」でも、算数では計算方法や公式を覚えるだけでなく、問題を見いだして解決したり、その過程や結果を図や式などを使って表現したりする活動が重視されています。
もちろん、中学受験の基礎固めと学校教育は同じものではありません。
ただ、「習ったことを覚えている」だけでなく、それを使って自分で問題を解決できるようにすることが大切だという点は共通しています。
そのため私は、中学受験の算数でも「解説を読めば分かる」だけでは基礎が固まったとは判断せず、何も見ずに自分で正解できるところまで確認することを大切にしています。
特に6年生では、「この問題集を終わらせたから基礎は大丈夫」と教材の進み具合だけで判断しないことが重要です。
同じ問題でも、
・解説を見ながらなら解ける
・習った直後なら解ける
・同じ単元の問題が並んでいれば解ける
・何もヒントがなくても自力で解ける
では、身についている程度が違います。
6年生の基礎固めでは、最終的に「何も見ずに、自分で考えて正解できるか」まで確認する必要があります。
「基本問題をたくさん解く」だけでは基礎固めにならないのはなぜ?
基本問題を繰り返すことは必要ですが、問題集を順番通りに解けるだけでは、入試で自分で解法を選べるかまでは確認できません。
たとえば、問題集の「分配算」のページを開いているとします。
そのページには分配算の問題が並んでいるので、子どもは問題を読む前から「線分図を使って解く問題だ」と分かっています。
「速さ」の単元なら速さを使う。
「つるかめ算」の単元ならつるかめ算を使う。
この状態で正解できても、問題を解くために必要な考え方を自分で選んだとは限りません。
ところが、実際の模試や入試では問題の上に、「これは割合の問題です」「ここではつるかめ算を使ってください」とは書かれていません。
問題文を読み、「何が分かっているのか」「何を求めるのか」「どの考え方を使えばよいのか」を自分で判断する必要があります。
そのため、単元ごとの基本問題を繰り返して正解できるようになったら、次は異なる単元の問題を混ぜて出してみることが大切です。
この状態でも正解できれば、単に問題集の並び方から解き方を予測しているのではなく、問題の内容から考え方を選べている可能性が高くなります。
基礎固めでは「何問解いたか」だけでなく、「問題の種類を教えられなくても解けるか」を確認することが重要です。
特に中学受験の算数で6年生の基礎固めを行う場合、時間には限りがあります。
基本問題を大量にこなすこと自体を目的にするのではなく、「この問題はもう自力で解ける」と確認できたものは卒業し、できないものに復習時間を使うほうが効率的です。
基礎が固まったかどうかは何を基準に判断する?
基礎が固まったかどうかは、解説や例題を見ず、問題の単元を教えられなくても、自分で考え方を選んで正解できるかを基準にします。
私は、次の3段階に分けて考えると分かりやすいと思います。
①理解できる
解説を読んだり、先生から説明を受けたりすれば、「なるほど、そうやって解くのか」と理解できる状態です。
もちろん、最初に新しい内容を学ぶときには必要な段階です。
しかし、ここで学習を終えてしまうと、テストでは解けないことがあります。
②自力で再現できる
一度理解した問題について、解説を閉じ、最初から自分だけで解き直して正解できる状態です。
ここまでできれば、単に「説明を聞いて分かった」状態から一歩進んでいます。
ただし、もう一つ確認しておきたいことがあります。
③問題を見て使う考え方を判断できる
割合、比、速さ、図形などを混ぜて出題しても、自分で使う考え方を選び、正解できる状態です。
中学受験の算数で目指したい基礎固めは、この「自分で判断して使える」ところまでです。
家庭学習で確認する場合も、特別なテストを用意する必要はありません。
一度できるようになった問題を数日空けてもう一度出したり、複数の単元から数問ずつ選んだりするだけでも確認できます。
そのときに、「これは何算?」「この公式を使うんじゃない?」と先に教えないことも大切です。
自分で何を使うか考えるところも含めて、算数の問題を解く力だからです。
【基礎固めの確認基準】
① 解説を読めば理解できる
↓
② 解説なしで自力で再現できる
↓
③ 単元を教えられなくても、自分で解き方を選んで正解できる
この③まで進んでいるかを見ると、「基礎ができているつもり」と「実際に使える基礎」を区別しやすくなります。
「同じ問題をすべて自力で正解できるか」を確認する
私の指導では、「授業中に理解できた」だけでは、その単元の基礎が固まったとは判断していません。
基本的には、「単元を学習する → 小テストをする → できなかった問題を復習する → 再テストをする」という流れで確認しています。
その際、一つの基準にしているのが、一度解いた問題と同じ問題をもう一度出したときに、すべて自力で正解できるかということです。
一度教わった問題ですから、「前に見たことがある」という状態ではあります。
それでも、解説を見たり先生からヒントをもらったりしなければ解けないのであれば、まだ自力で再現できる状態にはなっていません。
反対に、以前間違えた問題も含めて、何も見ずにすべて正解できるようになれば、少なくとも一度学習した基本的な解き方を自分で再現できる段階まで進んだと考え、次の単元へ移ります。
さらに、その後は単元名を示さず、別の単元の問題と混ぜて出題します。
例えば、ここでは「差集め算の問題だからこの解き方」というヒントがない状態でも、問題を読んで自分で使う考え方を判断できるかを確認します。
「教われば分かる」→「同じ問題なら自力で解ける」→「問題を混ぜても自分で解法を選べる」
私は、このように段階を分けて基礎の定着を確認しています。
「理解できる」と「自力で解ける」は何が違う?
解説を読んで理解できることと、何も見ずに自力で正解できることは別です。
入試で得点するためには、最終的に後者の状態まで持っていく必要があります。
算数を勉強していると、「解説を読んだら分かった」「先生に説明してもらったら理解できた」ということはよくあります。
ここで終わってしまうと、次に同じような問題が出たときに、
「これ、前にやった気がするけれど、どうやって解くんだっけ?」
となることがあります。
これは、理解していなかったというより、理解した内容を自分で取り出して使う練習が不足していると考えたほうがよいでしょう。
そのため、間違えた問題の復習では、解説を読むだけで終わらせないことが重要です。
たとえば、
・問題を解く
・間違えたら解説を読む
・どこで間違えたかを確認する
・解説を閉じる
・もう一度、最初から自力で解く
・数日後にもう一度確認する
という流れにします。
特に重要なのが、4から5です。
解説を読んだ直後は内容を覚えているため、「分かった」と感じやすくなります。
それでも、一度何も見ない状態にして、自分の力だけで正解までたどり着けるかを確認します。
さらに数日後にも正解できれば、定着している可能性は高くなります。
6年生になると、勉強時間を増やすことばかりに目が向きやすくなります。
しかし、同じ1時間でも、「分からない問題の解説をたくさん読む」のと、「一度理解した問題を、何も見ずに正解できるところまで練習する」のでは、学習の中身が異なります。
6年生の算数の基礎固めでは、「教わった問題を増やすこと」よりも、「教わったことを自力で使える問題を増やすこと」を重視します。
この状態を一つひとつの単元で作っていくことが、その後の応用問題や過去問演習につながっていきます。
6年生は算数のどこから基礎固めすればいい?
6年生の算数では、すべての単元を最初から復習するのではなく、「計算などの土台となる力」→「割合・比・速さなど重要度の高い単元」→「図形・文章題で条件を整理する力」の順に確認していくのがおすすめです。
6年生は入試までの時間が限られているため、4年生や5年生のテキストを最初のページからすべて解き直す方法では、時間が足りなくなる可能性があります。
だからこそ、「何年生の内容まで戻るか」ではなく、「どこから自力で解けなくなっているか」を確認することが大切です。
たとえば、速さの問題が苦手だからといって、速さだけを繰り返せばよいとは限りません。
小数・分数の計算で間違えている場合もあれば、割合や比の理解が曖昧なために速さの応用問題が解けなくなっている場合もあります。
中学受験の算数で6年生の基礎固めをするときには、現在解けない問題だけを見るのではなく、「なぜ解けないのか」を一つずつ確認していきます。
まず計算・逆算・単位換算を確認する
計算・逆算・単位換算で頻繁に失点している場合は、文章題や応用問題より先に修正しておきたいところです。
これらは単独で出題されるだけでなく、割合・比・速さ・図形など、多くの問題を解く途中でも必要になるからです。
たとえば、速さの考え方そのものは理解できていても、
・小数や分数の計算を間違える
・途中式を書かずに暗算して間違える
・逆算になると計算の順序が分からなくなる
・1時間30分を1.3時間と考えてしまう
・mとkm、分と時間などの単位換算を間違える
といった状態では、正解までたどり着けません。
この場合、速さの応用問題をさらに増やすよりも、まず計算や単位換算を安定させたほうがよいでしょう。
特に確認したいのは、「計算方法を知っているか」ではなく、「実際に正確に計算できているか」です。
九九を覚えているかどうかなら比較的簡単に確認できますが、小数や分数を含む計算では、
「やり方は知っているから大丈夫」と考えていても、実際には毎回どこかで計算ミスをしていることがあります。
6年生であれば、次のような内容を一度確認してみるとよいでしょう。
・整数・小数・分数の四則計算
・計算の順序
・逆算
・□を使った計算
・約分・通分
・単位換算
すべてを大量に練習する必要はありません。
何問か解いてみて、安定して正解できるものは先へ進みます。
一方、何度も間違える内容があれば、そこに復習時間を使います。
6年生では「全部やる」のではなく、「間違えるところを見つけて、そこを自力で正解できるようにする」ことが基礎固めの基本です。
また、計算ミスについては「注意すれば直る」と考えるだけでは改善しにくいことがあります。
途中式を書いているか、数字を正しく写しているか、分数の約分をどの段階で行っているかなど、どこで間違いが起きているのかまで確認することが大切です。
割合・比・速さなど「特殊算の基礎となる単元」の基本問題を確認する
計算がある程度安定しているなら、次に割合・比・速さなど、中学受験算数のさまざまな問題につながる単元の基本を確認します。
これらの単元は、それぞれ独立して出題されるだけではありません。
割合・比・速さを優先して確認したいのは、これらが互いに無関係な知識ではないからです。
私の指導でも、「速さが苦手だから速さだけを練習する」と考えるのではなく、その問題を解くために必要な前の内容まで確認することが大切だと考えています。
たとえば、中学受験では意外と扱われないのが
・単位量あたりの大きさ
・人口密度
・比例と反比例
などの単元なのですが、速さを理解しようと思ったら「単位量あたり・比例」は必須です。
この他、たとえば割合なら、「300円の20%はいくらか」という問題だけでなく、「ある数の20%が60です。ある数はいくつですか」と問われたときにも正しく求められるか確認します。
割合を求める問題はできても、もとにする量を求める問題になると、かけ算なのか割り算なのか分からなくなる子もいます。
比についても同様です。
「3:5を簡単にする」といった基本操作だけではなく、文章題の中で比を「分数として使えるかどうか」まで確認します。
ここで重要なのは、公式を覚えていることと、その公式を必要な場面で使えることを分けて考えることです。
6年生の基礎固めでは、「公式を言えるか」ではなく、「問題を見て、その公式や考え方を自分で選べるか」まで確認しておくと、その後の入試問題や過去問演習にもつながりやすくなります。
図形や文章題は「図を自分で描けるか」まで確認する
図形や文章題では、答えを出せるかだけでなく、問題の条件を自分で図に表して整理できるかまで確認することが大切です。
特に算数が苦手な子の場合、問題文を読んだだけで頭の中ですべてを処理しようとして、何を求めればよいのか分からなくなることがあります。
問題の内容を図や式に表して考えることは、小学校の算数教育でも重視されています。
図を描く目的は、きれいな図を完成させることではありません。
文章だけでは捉えにくい数量や図形の関係を、自分が考えられる形に整理することです。
そのため私は、図形や文章題が苦手な子ほど、最初からテキストにある図だけを見るのではなく、自分の手で簡単な図を描いて条件を整理する練習を取り入れることをおすすめしています。
たとえば速さの問題なら、登場する2人が、「どこから出発したのか」「同じ方向に進むのか、反対方向に進むのか」「どこで出会ったのか」を簡単な線分や図に表すだけでも、問題の状況を整理しやすくなります。
図形の問題では、さらに「自分で図を描く」という練習が重要です。
テキストに印刷された図を見るだけではなく、ノートに図を描き写してみます。
たとえば立体図形なら、立方体や直方体、角柱などを斜めから見た形で描いてみましょう。
平面図形なら、問題文に書かれている長さや角度を自分で図に書き込んでみましょう。
こうした作業をすると、「どの辺とどの辺が同じ長さなのか」「どこが直角なのか」「どの部分の面積を求めるのか」といった条件を確認しながら問題を読むようになります。
図を描くこと自体が目的なのではありません。
問題文に書かれた条件を、自分が考えやすい形に整理するために図を使うことが目的です。
そのため家庭学習では、文章題や図形問題で手が止まったときに、すぐ解き方を教えるのではなく、
「分かっていることを図に書ける?」
「どの長さが分かっている?」
「何を求める問題?」
と確認する方法もあります。
そこで自分で図を描き、条件を整理できるようになれば、単に一つの問題の解き方を覚えるよりも、別の問題に取り組むときにも使いやすくなります。
算数の基礎は、計算や公式だけではありません。
問題文から必要な情報を読み取り、図や式に整理して、自分で解き始められることも重要な基礎です。
「算数の基礎ができていない」と感じたときには、単純に4年生や5年生の問題集へ戻るのではなく、計算の正確さ、割合・比・速さなどの基本的な考え方、そして問題を図や式に整理する力のどこで止まっているのかを確認してみてください。
そこが分かれば、限られた時間の中でも、何を優先して基礎固めすればよいのかが見つけやすくなります。
中学受験算数の基礎固めはどうやる?6年生向けの進め方
6年生の算数の基礎固めは、「できない単元を見つける→基本問題まで戻る→解説なしで解き直す→単元を混ぜて確認する」という順番で進めます。
ここで重要なのは、問題集を最初から最後まで何周もすることではありません。
6年生には、塾の授業や宿題、模試、志望校対策などもあります。
すべての単元を同じ量だけ復習するのではなく、現在の得点を下げている原因を見つけ、必要なところへ戻ることを優先します。
具体的には、次の4段階で進めるとよいでしょう。
【6年生の基礎固めの進め方】
STEP1:模試やテストから「できない単元」を洗い出す
↓
STEP2:できない単元は基本問題まで戻る
↓
STEP3:解説を閉じて自力で解き直す
↓
STEP4:最後は単元を混ぜて出題する
順番に詳しく見ていきます。
STEP1|模試やテストから「できない単元」を洗い出す
新しい問題集を始める前に、これまでの模試やテストで間違えた問題を確認し、どの単元の基礎が不足しているのかを洗い出します。
6年生で基礎固めをしようとすると、「基礎用の問題集を買ったほうがいいのでは?」「4年生のテキストから全部やり直したほうがいいのでは?」と考えることがあります。
しかし、その前にやっておきたいのが現在の理解度の確認です。
すでにできている単元まで最初からやり直すと、本当に必要な復習に使える時間が少なくなってしまいます。
そこで、最近受けた模試や塾のテストを数回分並べて、間違えた問題を確認してみます。
たとえば、
・計算で毎回1~2問落としている
・割合の文章題を繰り返し間違えている
・速さになると式を作れない
・比の問題で途中から分からなくなる
・平面図形の面積で失点が多い
・立体図形になるとほとんど手が動かない
といった傾向が見えてくることがあります。
ここで大切なのは、単に「算数が苦手」とまとめないことです。
「算数ができない」を、「何ができないのか」まで細かく分けることで、初めて基礎固めの対象が明確になります。
さらに、同じ不正解でも原因は異なります。
割合の問題を間違えたとしても、「割合の意味そのものを理解していない場合」もあれば、「割合の考え方は分かっていたが、分数計算を間違えた場合」もあります。
あるいは、「解き方は分かっていたのに、問題文の数字を読み間違えた」ということもあります。
この3つでは、必要な対策は同じではありません。
そのため、間違えた問題を見るときには、「どの単元を間違えたか」だけでなく、「なぜ間違えたのか」まで確認することが重要です。
この作業をすると、6年生でも「全部やり直す」のではなく、本当に復習が必要な単元を絞って学習できるようになります。
不正解を「すべて同じもの」にしない
私が実際に生徒の答案を見るときには、「間違えた」という結果だけで判断せず、なぜ間違えたのかを確認しています。
算数の不正解には、たとえば次のようなものがあります。
・考え方そのものを誤解している
・問題文を読み違えている
・文章中の重要な語句を見落としている
・数字を見間違えたり、書き間違えたりしている
・計算で間違えている
・必要な公式や知識を覚えていない
・知識はあるものの、問題を見て使う解法を選べない
・必要な答えを書き忘れている
・図形を見た目だけで判断している
・何をもって正解になるのかを理解していない
特に注意したいのが、「図形を見た目で判断する」「何をもって正解なのかを知らない」といった間違いです。
たとえば、図を見ると2本の直線が平行に見えるという理由だけで、問題文や図形の性質による根拠がないまま「平行」と判断してしまう子がいます。
また、式や途中の考え方は合っていても、問題で聞かれているものとは違うものを答えていたり、単位を書き忘れたりすることもあります。
こうした間違いに対して、すべて「もっと問題を解こう」という対策をしても、同じ間違いが繰り返されることがあります。
考え方を誤解しているなら前の内容まで戻りましょう。
知識不足なら覚え直す。問題文の語句を見落とすなら、何を読み取るべきかを確認しましょう。
解法を選べないなら、単元を混ぜた問題で判断する練習をしましょう。
このように、私は間違いの種類によって次に行う学習を変えています。
基礎固めで大切なのは、間違えた問題の数を減らすことだけではなく、「なぜ間違えたのか」を特定し、その原因を一つずつ減らしていくことです。
STEP2|できない単元は基本問題まで戻って解き直す
苦手な単元が見つかったら、現在取り組んでいる問題と同じ難易度を繰り返すのではなく、自力で正解できる基本問題まで戻ります。
たとえば模試で「旅人算」の応用問題ができなかったとします。
その場合、いきなり同程度の応用問題を5問、10問と増やすのではなく、
・速さ・時間・道のりを求められるか
・単位を正しくそろえられるか
・旅人算の基本的な状況を図にできるか
・比を使った速さの処理ができるか
など、前提となる基本問題を確認します。
もし「速さ=道のり÷時間」の基本問題から不安定なのであれば、そこまで戻ります。
一方、基本問題にはすべて正解でき、旅人算だけができないのであれば、速さの最初から全部やり直す必要はありません。
「どこまで戻れば自力で正解できるか」を探し、そこを基礎固めの出発点にします。
割合でも同様です。
たとえば食塩水の問題ができないときに、食塩水だけを繰り返すのではなく、
「割合そのものは理解できているか」
「もとにする量を求められるか」
「百分率と小数を変換できるか」
といったところまで戻って確認します。
すると、「食塩水が苦手なのではなく、割合がまだ不安定だった」ということが分かる場合があります。
ここまで原因を絞れれば、やるべき学習も明確になります。
難しい問題ができないときほど、難しい問題を増やすのではなく、「最後に自力でできている地点」を探します。
これが、時間の限られた中学受験の算数で6年生が基礎固めをする際の重要な考え方です。
STEP3|解説を閉じてもう一度自力で解く
間違えた問題の解説を読んだら、そこで終わらせず、解説を閉じた状態でもう一度最初から自力で解きます。
算数の家庭学習で起こりやすいのが、
「間違える」
↓
「解説を読む」
↓
「分かったと言う」
↓
「次の問題へ進む」
という流れです。
これでは、理解できたことは確認できても、自分で正解できることまでは確認できません。
たとえば比の問題を間違え、解説を読んで、「合計の比をそろえればいいんだ」と理解したとします。
ここでそのまま次の問題へ進まず、一度解説を閉じます。
そして白紙の状態から、「何と何の比を比べるのか」「どの量が変わっていないのか」「なぜ比をそろえるのか」を自分で考えながら、もう一度解いてみます。
そこで正解できて初めて、解説で学んだ内容を自分で再現できたことになります。
さらに、翌日や数日後にも同じ問題、あるいは同じ考え方を使う類題を出してみます。
時間を空けても解説なしで正解できれば、学んだ内容が定着しているかをより確かめやすくなります。
反対に、数日後には再び解けなくなっているのであれば、まだ復習が必要です。
このとき、「前にも教えたのに」と考えるより、「まだ何も見ずに取り出せる状態にはなっていない」と考えたほうが、次に必要な学習が分かりやすくなります。
基礎固めでは「分かった」で終わらず、「何も見ないで正解できた」までを1セットにします。
問題数を増やすよりも、この確認を一問ずつ行うことが、6年生の限られた勉強時間を使ううえで重要です。
STEP4|単元を隠してランダムに出題する
基本問題を単元別に解けるようになったら、最後は割合・比・速さ・図形などの問題を混ぜ、どの考え方を使うのか自分で判断できるか確認します。
ここまでできて初めて、基礎固めが実際の模試や入試につながっていきます。
たとえば、割合の復習をした直後に割合の問題を出せば、「今は割合を勉強しているから、割合を使えばいい」と分かります。
しかし実際の入試では、問題を見ただけでは何を使うのか教えてもらえません。
そこで、ある程度単元別の復習が進んだら、
・特殊算
・平面図形
・立体図形
などから数問を選び、順番を混ぜて出します。
このとき、問題の上に「割合」「速さ」などの単元名を書かないことがポイントです。
子ども自身が問題文を読み、「これは割合で考えよう」「ここは比をそろえればよさそうだ」「まず図を描いたほうが分かりやすい」と判断する必要があります。
ここで解けなくなった場合は、知識をまったく知らないとは限りません。
知識は持っているものの、「どの場面で使えばよいのか」を判断する練習が不足している可能性があります。
その場合は再び基本問題へ戻り、考え方を確認したあと、また問題を混ぜて出してみます。
この、「単元別に学ぶ → 自力で解く → 問題を混ぜる → できなければ必要な基礎へ戻る」という流れを繰り返します。
6年生では、単元ごとの基礎問題だけでなく、総合問題や過去問にも取り組むことになります。
だからこそ、基礎固めの最終段階では「習った順番なら解ける」状態から、初めて見る順番でも、自分で必要な考え方を選んで解ける状態へ進めておくことが大切です。
6年生の算数の基礎固めは、問題集を終わらせることがゴールではありません。
何も見ず、単元を教えられなくても、自分で考え方を選んで正解できる状態を増やしていくことがゴールです。
中学受験の基礎固めはいつまで?過去問との両立はどうする?
中学受験の算数では、夏休みまでに主要単元の基礎を固められるのが理想ですが、「8月までに基礎を完全に終わらせ、9月からは基礎をやらない」と考える必要はありません。
6年生の秋以降は、志望校の過去問演習が本格的に始まります。
しかし、過去問を解いたことで新たに基礎の穴が見つかることもあります。
そのため、「基礎固め → 過去問」と完全に切り替えるのではなく、「基礎固め → 過去問 → 弱点発見 → 基礎に戻る → 再び過去問」という形で進めるほうが実際の学習には合っています。
6年生では残された時間を考え、秋以降になるほど「何を復習するか」を絞ることが重要です。
6年生の基礎固めは夏休みまでに終わらせるべき?
割合・比・速さ・図形などの主要単元は夏休みまでに一通り確認できるのが理想ですが、基礎固めそのものに「ここまでで終了」という期限を設ける必要はありません。
6年生になると、多くの塾では夏までに中学受験算数の主要な内容を一通り学び、その後は総合演習や志望校対策へ移っていきます。
そのため、夏休みはそれまでに習った内容をまとめて復習しやすい時期です。
ここで注意したいのは、「夏休みまでに基礎を固める」ことと「夏休みが終わったら基礎の勉強をやめる」ことは別だということです。
たとえば9月に過去問を解いてみて、速さの大問がほとんどできなかったとします。
原因を確認したところ、「速さと比を組み合わせた基本問題から分かっていない」のであれば、9月であってもその基本問題まで戻る必要があります。
「もう秋だから基礎には戻らない」と決めてしまい、理解できていないまま過去問の解説だけを読み続けても、同じような問題が出たときに再び解けない可能性があります。
反対に、すでに安定して解ける単元については、秋になっても基本問題を大量に繰り返す必要はありません。
基礎固めをいつまで続けるかは、カレンダーだけで決めるのではなく、「その単元の基本問題を自力で解けるか」で判断します。
つまり、夏休みは基礎固めの大きな区切りにはなりますが、基礎学習そのものの終了時期ではありません。
中学受験の算数で6年生が基礎固めをする場合は、秋以降も必要な単元だけ基礎へ戻るという考え方を持っておくと、過去問との両立がしやすくなります。
基礎が不十分でも過去問を始めていい?
基礎に不安が残っていても、塾の方針や志望校対策の時期に合わせて過去問を始めることはできます。
ただし、点数だけを見るのではなく、過去問を「基礎の穴を見つける材料」としても使うことが重要です。
6年生の保護者からすると、「基礎が全部終わってから過去問を始めたほうがいいのでは?」と考えたくなるところです。
しかし、算数のすべての単元について「完全に基礎が固まった」と確認してから過去問へ進もうとすると、志望校対策を始める時期が遅くなることがあります。
一方で、基礎が不十分なまま過去問ばかりを解いても、「また30点だった」「今回も合格最低点に届かなかった」と点数だけを確認する学習になりかねません。
そこで重要になるのが、過去問で間違えた問題を分類することです。
たとえば間違えた問題について、
・そもそも基本事項を理解していなかった
・基本は分かるが、問題の条件を整理できなかった
・解き方は分かっていたが計算を間違えた
・考え方は合っていたが時間が足りなかった
・現時点では難度が高く、優先順位の低い問題だった
というように分けてみます。
このうち、「基本事項を理解していなかった」のであれば、過去問の解説を覚えるだけではなく、その単元の基本問題へ戻ります。
たとえば、過去問の食塩水の問題を間違えたとします。
その原因が複雑な条件整理ではなく、「食塩の重さ=食塩水の重さ×濃度」という基本的な関係を正しく使えていなかったことなら、まず食塩水の基本問題へ戻ります。
そこで何問か解き、何も見ずに正解できることを確認してから、もう一度過去問や類題へ戻ります。
つまり「過去問を解く → 間違えた原因を確認する → 必要なら基礎まで戻る → 基礎問題を自力で解く → 入試問題へ戻る」という流れです。
この方法であれば、基礎固めと過去問演習を二者択一にする必要はありません。
むしろ過去問に取り組むことで、
「割合が弱いと思っていたけれど、本当は比の理解が曖昧だった」
「図形全般が苦手なのではなく、相似を使う問題で止まっている」
といった具体的な弱点が見つかることがあります。
6年生後半の過去問は、合格可能性を確認するためだけでなく、残された期間に何を復習すべきかを見つけるためにも活用できます。
秋以降も基礎固めを続けるなら何を優先する?
秋以降はすべての苦手を均等に復習するのではなく、「志望校で必要になる」「基本レベルなのに失点している」「他の単元にも影響する」という問題を優先します。
6年生の春や夏と、秋以降では、同じ基礎固めでも考え方を変える必要があります。
入試が近づくほど勉強できる時間は限られるためです。
たとえば10月になって、
「立体図形も苦手」
「速さも苦手」
「場合の数も苦手」
「割合も間違える」
という状態だったとしても、すべてを同じ時間かけて最初からやり直すのは現実的ではありません。
そこで、優先順位をつけます。
一つ目は、志望校の入試で必要性が高い単元です。
過去問を数年分確認すると、毎年のように出題される単元や、頻繁に大問として扱われる内容が見えてくることがあります。
その単元の基礎が不足しているなら、優先して復習する必要があります。
二つ目は、本来なら正解しておきたい基本問題で失点している単元です。
難関問題を1問解けるようにすることより、計算問題や基本的な一行問題で繰り返し落としている点を減らしたほうが、得点につながる場合があります。
三つ目は、他の単元にもつながる基礎です。
たとえば割合や比は、割合・比そのものの問題だけでなく、速さ、図形、食塩水などでも使われます。
そのため、複数の問題で同じ基礎知識が原因となって失点しているのであれば、優先度は高くなります。
家庭では、次の3点で整理すると分かりやすいでしょう。
【秋以降に基礎へ戻る優先順位】
① 志望校でよく出るか
② 基本問題なのに繰り返し落としているか
③ その基礎が他の単元にも影響しているか
反対に、非常に難度が高く、志望校でもほとんど出題されない問題に多くの時間を使う必要があるとは限りません。
6年生後半では「できない問題を全部なくす」のではなく、「入試までにできるようにする問題を選ぶ」ことが重要になります。
これは基礎を軽視するという意味ではありません。
限られた時間の中で、合格するために必要な基礎から優先して固めるということです。
過去問を解くことで弱点を見つけ、必要なところだけ基本に戻り、自力で解けるようになったら再び入試レベルの問題へ進む。
この往復を続けることで、秋以降も過去問演習と算数の基礎固めを並行して進めることができます。
6年生の基礎固めに問題集は何冊必要?
6年生の算数の基礎固めでは、問題集を何冊も増やす必要はありません。
すでに使っている塾の教材や問題集に必要な基本問題がそろっているなら、まずは1冊を中心に「自力で解けない問題」をできるようにすることを優先します。
6年生になると、塾の教材だけでもかなりの量があります。
さらに市販の問題集を何冊も追加すると、
「どの教材も途中までしか終わらない」
「一度間違えた問題を復習する時間がない」
「毎日新しい問題を解くだけになっている」
という状態になることがあります。
大切なのは、教材の冊数ではありません。
問題集を何冊終わらせたかではなく、その中の基本問題を何も見ずに自力で正解できるようになったかを確認することが、6年生の基礎固めでは重要です。
中学受験算数の基礎固めにおすすめなのはどんな問題集?
中学受験算数の基礎固めには、難問が多く掲載されている問題集よりも、基本から標準レベルの問題を繰り返し確認しやすい教材が向いています。
「6年生だから、入試問題がたくさん載っている問題集のほうがよい」とは限りません。
基礎固めが目的であれば、まず見るべきなのは問題の難しさではなく、今の子どもの理解度に合っているかです。
たとえば、問題集を開いたときに基本問題からほとんど自力で解けず、毎回解説を読みながら進めているのであれば、その教材は現在の基礎固めには難しすぎる可能性があります。
反対に、ほとんどの問題が簡単に解けてしまうのであれば、最初から最後まですべて解く必要はないでしょう。
基礎固めに使う問題集を選ぶ際には、次のような点を確認します。
・計算や一行問題などの基本問題がある
・割合・比・速さ・図形など主要単元を確認できる
・基本から標準へ段階的に進められる
・解説が子ども自身でも確認できる
・問題数が多すぎず、復習する時間を確保できる
・現在の子どもが「少し考えれば自力で解ける」問題が中心になっている
特に重要なのが、最後の点です。
基礎固めでは、解けない問題を大量に集めることより、一度学んだ内容を自分の力で再現する練習が必要です。
そのため、「有名な問題集だから」「難関校向けだから」という理由だけで教材を選ぶのではなく、今の子どもが基礎を確認するために使えるかを見ることが大切です。
また、市販の問題集を選ぶ場合でも、必ずしも全ページを順番に解く必要はありません。
すでに安定してできている単元は確認程度にして、模試やテストで繰り返し失点している単元に時間を使います。
基礎固めの問題集は「全部終わらせるための教材」ではなく、「できないところを見つけ、自力でできるようにするための教材」と考えると使いやすくなります。
これは、入試までの時間が限られている中学受験の算数で6年生が基礎固めをする場合には、特に重要です。
新しい問題集を買うより塾の教材を復習したほうがいい?
現在使っている塾の教材に十分な基本問題が載っているのであれば、新しい問題集を増やす前に、その教材で間違えた問題を復習することをおすすめします。
新しい問題集を買うと、それまでとは違う問題に取り組めるため、勉強が進んでいるように感じることがあります。
しかし、「塾のテキストで一度間違えた問題」「宿題では解説を見ながら解いた問題」「先生に教えてもらって、その場では理解できた問題」がそのままになっているのであれば、新しい問題集へ進む前に確認したいところです。
たとえば、塾の教材で割合の基本問題を10問勉強し、そのうち4問を間違えたとします。
その4問の解説を読んで丸をつけ、その後一度も解き直していないのであれば、まずその4問を何も見ずに解いてみます。
そこで正解できなければ、新しい割合の問題を20問追加するよりも、一度習った4問を自力で解けるようにすることを優先します。
この方法には、もう一つ利点があります。
すでに使用している教材であれば、「どこを間違えたのか」「先生から何を教わったのか」「以前どこでつまずいたのか」といった学習の履歴が残っています。
新しい教材では、この情報がいったんリセットされてしまいます。
そのため、塾の教材を使っている場合には、
新しい問題集を買う
↓
また最初から解く
という流れだけでなく、
これまでの教材から間違えた問題を選ぶ
↓
何も見ずに解き直す
↓
できなければ解説を確認する
↓
再び自力で解く
という復習を先に検討します。
ただし、塾の教材が現在の子どもには難しすぎて、基本問題そのものが少ない場合は別です。
その場合には、より基本的なレベルの問題集を補助的に使う方法があります。
つまり、「市販の問題集を買うか、塾教材を使うか」ではなく、「自力で基礎を練習できる教材が手元にあるか」で判断することが大切です。
問題集は何周すれば基礎が固まる?
「問題集を3周すれば基礎が固まる」というように回数だけで決めるのではなく、何も見ずに正解できるようになったかで判断します。
もちろん、同じ問題を繰り返す反復学習には意味があります。
一度目にはできなかった問題でも、二度、三度と解くことで、考え方や計算方法が定着することがあります。
ただし、「1冊を3周することそのものを目標にしてしまうと、必要のない問題まで何度も解くことになります。
たとえば、1周目から正解し、数日後に出しても問題なく解ける計算問題を3回、4回と繰り返す必要性は高くありません。
その一方で、3回解いても毎回間違える割合の問題があれば、その問題にはもう一度取り組む必要があります。
つまり、
・1回で安定してできる問題 → 確認後は優先度を下げる
・一度間違えたが、解き直しでできた問題 → 数日後に再確認する
・繰り返し間違える問題 → 前の基礎まで戻って確認する
というように、問題ごとに扱いを変えます。
ここで注意したいのが、答えや解き方を覚えて正解しているだけではないかという点です。
同じ問題を短期間に何度も解くと、「この問題は最初に60÷3をする」というように、問題の内容ではなく手順そのものを覚えてしまうことがあります。
そこで、同じ問題だけを繰り返すのではなく、数日空けて類題を出したり、別の単元の問題と混ぜたりして確認します。
それでも自力で正解できれば、単純に答えを覚えたのではなく、考え方が身についている可能性が高くなります。
問題集の「周回数」は基礎完成の基準ではありません。初めて見る順番で出題されても、解説なしで自力で正解できるかを基準にします。
したがって、6年生の算数の基礎固めでは、「1冊を何周したか」より「できなかった問題が、どれだけ自力でできるようになったか」を記録したほうが、学習の進み具合を把握しやすくなります。
入試までの時間が限られている6年生だからこそ、教材を次々と増やすのではなく、必要な問題を選び、それを自力で正解できる状態まで仕上げることを優先したいところです。
6年生の家庭学習で親はどこまで関わればいい?
6年生の家庭学習では、親が問題の解き方をすべて教えるのではなく、「何ができていて、何ができていないのか」を確認する役割を担うのがおすすめです。
特に中学受験の算数で6年生の基礎固めをするときには、家庭での復習が重要になります。
しかし、親が毎日のようにつきっきりになり、「ここはこの公式を使うの」「最初にこの数字で割って」「前にも同じ問題をやったでしょう」と教え続けてしまうと、その場では宿題が終わっても、子どもだけで同じ問題を解けるようになったのかが分かりにくくなります。
入試本番では、当然ながら一人で問題を解かなければなりません。
そのため家庭学習でも、最終的には「親と一緒なら解ける」ではなく、「何も見ず、誰にも教えてもらわず、自力で正解できる」という状態を目指します。
親がすべきなのは、必ずしも算数そのものを教えることではありません。
問題を解くのは子ども、学習が自力でできる状態になっているかを確認するのが親と役割を分けて考えると、家庭での基礎固めを進めやすくなります。
親が問題の解き方まで教えたほうがいい?
親が毎回問題の解き方まで教える必要はありません。むしろ、教えたあとは必ず子ども一人でも正解できるかを確認することが重要です。
家庭学習では、子どもが問題の前で止まっていると、親としては教えたくなることがあります。
もちろん、まったく理解できていない内容について説明すること自体が問題なのではありません。
注意したいのは、「教えたことで宿題が終わった」ことと、「子どもができるようになった」ことを同じにしないことです。
たとえば割合の問題で、子どもが式を作れなかったとします。
そこで親が、「これはもとにする量を求める問題だから、割合で割ればいいよ」と教えたところ、子どもが正解できたとします。
この時点で確認できたのは、親から解き方を教えてもらえば計算できるというところまでです。
翌日、似たような問題を何も言わずに出したときにも、「これはもとにする量を求める問題だから、割り算を使えばよい」と自分で判断できるかどうかは別です。
ここを確認しないまま次の問題へ進むと、「家ではできているのに、模試になるとできない」という状態につながることがあります。
そのため、家庭で教えた場合には、
教えて一緒に解く
↓
解説やノートを閉じる
↓
子どもだけでもう一度解く
↓
数日後に類題を出す
というところまでを一つの復習として考えます。
親が教えることをゴールにするのではなく、「親がいなくても解ける状態を作ること」をゴールにすることが大切です。
「分からない」と言うたびに親御さんが教えていた生徒の例
私が指導した5年生の生徒にも、家庭学習で子どもが「分からない」と言うたびに、親御さんがすぐに解き方を説明していたケースがありました。
この生徒の場合、小学校で習う基礎的な内容についても、最初から自力で解くことが難しい状態でした。
そのため、単純に「親御さんは教えないでください」「分からなくても自分で考えさせてください」としたわけではありません。
家庭学習を、
①問題を解く前に解説を読む
②解き方を確認したら解説を伏せる
③覚えたことを、何も見ずに実際に書いて問題を解く
という流れに変えました。
最初に解説を見ること自体を問題にしたのではなく、解説を見たあとに「何も見ないで自分で正解を出す時間」を必ず作るようにしたのです。
その後、親御さんから、日能研の模試で初めて偏差値50になったと連絡をいただきました。
もちろん、この学習方法だけが偏差値上昇の原因だったと断定することはできません。
ただ、この事例からも、家庭学習では「最初から一人で解けるか」だけを見るのではなく、教わったことや解説で理解したことを、その後一人で再現する練習ができているかを見ることが大切だと考えています。
「分からない」と言われたら、すぐ解説していい?
子どもが「分からない」と言ったときは、すぐに最初から最後まで解説するのではなく、まず「どこまで分かっているのか」を確認します。
「分からない」という言葉が表している状態は一つではありません。
たとえば、
・問題文の意味が分からない
・何を求めればよいか分からない
・使う公式が分からない
・式は作れたが計算できない
・図の描き方が分からない
・途中まではできたが、その先が分からない
・そもそも問題に取り組む前から「分からない」と言っている
など、さまざまです。
これらをすべて同じ「分からない」と考えて解き方を最初から説明すると、本来は自分でできる部分まで親が代わりに考えることになります。
そこで、「何を求める問題?」「分かっている数字はどれ?」「ここまでは自分でできそう?」「図に書けるところはある?」などと確認します。
たとえば、速さの問題で式が作れない場合でも、図を描かせてみると状況を整理でき、その後は自分で進められることがあります。
この場合、必要だったのは「速さの解き方を全部教えること」ではなく、問題を整理するきっかけだったことになります。
一方、割合そのものを理解していないのであれば、質問だけを続けても解決しません。その場合には、基本的な内容をもう一度学び直す必要があります。
つまり、自分で考えれば進められるのか、それとも前提となる基礎そのものを理解していないのかを見分けることが重要です。
前提となる内容が不足しているなら、現在の問題を何とか解かせることよりも、自力で解ける基本問題まで戻るほうがよいでしょう。
このようにすると、「分からない」と言うたびに親が解説する家庭学習から、子ども自身がどこで困っているのかを確認する学習へ変えていくことができます。
基礎固めが進んでいるか家庭でどう確認する?
以前間違えた問題や同じレベルの類題を、数日後に何も見せずに出し、自力で正解できるかを確認するのが分かりやすい方法です。
基礎固めの進み具合を確認するときに、「今日は2ページやった」「問題集を20問進めた」という学習量だけを見る必要はありません。
むしろ確認したいのは、「以前できなかった問題が、今はできるようになっているか」です。
たとえば月曜日に比の問題を5問解き、2問間違えたとします。
その場で解説を読み、解き直して終わりにするのではなく、水曜日や木曜日にその2問、あるいは同じ考え方を使う類題をもう一度出します。
このとき、
・解説を見せない
・前回のノートを見せない
・「これは比の問題だよ」と教えない
・最初の式を親が教えない
という状態で解いてもらいます。
そこで正解できれば、少なくとも以前より自力で使える状態に近づいています。
反対に、また同じところで止まるのであれば、もう一度復習します。
さらに、単元別の問題がある程度できるようになったら、
「割合1問、速さ1問、比1問、図形1問」
というように問題を混ぜてみます。
これまでの記事で触れてきたように、単元名を教えられなくても、自分で使う考え方を選べるかを見るためです。
家庭では、次の3点を確認すると分かりやすいでしょう。
【家庭で確認したい3つのこと】
① 一度間違えた基本問題を、数日後にも解けるか
② 解説やヒントなしでも最初から最後まで解けるか
③ 単元を混ぜても、使う考え方を自分で判断できるか
この確認であれば、親自身が難しい中学受験算数の問題をすべて教えられなくても行えます。
6年生になると、親も「入試までに間に合わせなければ」と考え、家庭学習に関わる時間が増えることがあります。
しかし、家庭での役割を「問題を教えること」に限定する必要はありません。
子どもが一人でも正解できる問題が少しずつ増えているかを確認し、できていないところだけ必要な復習へ戻すことも、6年生の基礎固めにおける重要な関わり方です。
入試に間に合わせるために大切なこと
6年生から算数を入試に間に合わせるために大切なのは、「すべての問題をできるようにすること」ではなく、「入試で取るべき問題を確実に正解できる状態にすること」です。
6年生になると、残された時間が気になり、「もっと難しい問題をやらなければ」「過去問を何年分も解かなければ」「苦手単元を全部なくさなければ」と、取り組む内容を増やしたくなることがあります。
しかし、勉強する内容を増やしすぎると、一つひとつの問題を十分に復習できなくなることがあります。
特に算数が苦手な子の場合は、難しい問題に挑戦すること以上に、
・計算問題を確実に取る
・基本的な一行問題を取る
・一度勉強した典型問題を取る
・解けるはずの問題で同じ間違いを繰り返さない
ことが重要です。
中学受験の算数で6年生の基礎固めをする目的は、基礎問題だけを勉強し続けることではありません。
基礎を入試で得点できる力につなげることです。
難しい問題より「取るべき問題」を確実にする
入試までの時間が限られている6年生では、難問を1問解けるようにすることより、基本・標準レベルの「取るべき問題」での失点を減らすことを優先します。
たとえば模試で100点満点中50点だったとします。
結果を見ると、どうしても最後の難しい大問に目が向きます。
「この図形問題が解ければ、あと10点取れた」
と考えたくなりますが、その前に確認したいことがあります。
それは、前半の問題で何点落としているかです。
仮に、
・計算ミスで4点
・基本的な割合の問題で5点
・速さの一行問題で5点
・一度習った図形問題で5点
を落としていたとします。
この場合、最後の難問だけが得点を伸ばせない原因ではありません。
むしろ、本来なら正解できる可能性が高い問題だけで19点を失っていることになります。
このような場合には、難問対策よりも、まず前半の失点を減らすことを考えます。
もちろん、志望校によって必要な問題の難易度は違います。難関校を目指すのであれば、最終的には難度の高い入試問題への対応も必要になります。
それでも、基礎・標準問題で安定して得点できないまま難問ばかり練習するのは効率的とはいえません。
過去問でも同じです。
間違えた問題をすべて「次は解けるようにしなければ」と考えるのではなく、
この問題は合格するために取る必要があるのか?
という視点で確認します。
志望校の受験者の多くが解けないような難問と、基本事項を使えば解ける問題では、同じ不正解でも優先順位が違います。
小6の10月に過去問42点だった生徒が入試本番で74点を取った例
私が実際に指導した小学6年生にも、10月に志望校の算数の過去問を解いた時点では42点だったものの、実際の入試本番では74点を取った生徒がいます。
この生徒に対して行ったのは、間違えた過去問を何度も解き直すことだけではありませんでした。
過去問を分析して、その問題と同じ考え方・解き方を使って解ける類題を私から提示し、その問題を使って演習することを繰り返しました。
たとえば、過去問である問題が解けなかったとき、その1問の答えを覚えることが目的ではありません。
「この問題では何を使えば解けるのか」
「同じ考え方を使う別の問題でも解けるのか」
というところまで確認します。
また、この時期には難しい問題をすべて解けるようにすることより、まず自分が取れる可能性の高い問題を確実に正解することを優先しました。
そのため、志望校の過去問だけではなく、他の中学校の過去問にも取り組みました。
その中から、現在の力であれば解けそうな問題を選び、実際に自分の力で正解する練習も行いました。
こうして、単に「過去問を何年分解いたか」を増やすのではなく、過去問で見つかった課題に対して類題演習を行い、「自力で正解できる問題」を増やしていったことが、この生徒の入試までの学習の大きな特徴でした。
10月の42点から本番の74点まで32点上がっていますが、すべての難問を解けるようにしたわけではありません。
入試までの時間が限られている6年生だからこそ、「できない問題を全部できるようにする」のではなく、「今の力から考えて、次に取れるようにすべき問題はどれか」を選ぶことが重要です。
6年生後半ほど、「できない問題」を集めるのではなく、「できるようにすべき問題」を選ぶことが重要になります。
基礎問題で同じ間違いを繰り返していないか確認する
基礎固めを進めるうえでは、「新しく何ができるようになったか」と同時に、「以前間違えた基本問題をもう間違えなくなったか」を確認します。
たとえば、割合の問題を3週間前にも間違え、今週の模試でも同じような問題を間違えているのであれば、一度解説を読んだだけでは十分に定着していなかった可能性があります。
この場合、「また割合を間違えた」で終わらせず、前回と同じ原因で間違えているのかまで確認します。
たとえば、
・もとにする量と比べる量を反対にしている
・割合を求めるときの式を毎回迷っている
・百分率を小数へ直すところで間違えている
・式は正しいが分数計算で間違えている
など、同じ「割合の不正解」でも原因は異なります。
もし毎回同じところで間違えているのであれば、その部分の基本問題まで戻ります。
そして、「解説を読む → 自力で解き直す → 数日後にもう一度解く」ところまで行います。
算数が伸び悩んでいると、新しい教材や新しい問題へ進むことに意識が向きやすくなります。
しかし、6年生では新しい問題を100問解くこと以上に、これまで何度も失点している問題を次のテストでは取れるようにすることが重要になる場合があります。
そのため、模試や塾のテストを返却されたら、点数だけではなく、「これは初めての間違いか」「以前にも似た間違いをしていないか」を確認してみてください。
同じ間違いが繰り返されているところは、今後の得点につながる復習の優先順位が高い場所だと考えられます。
「できない問題を減らす」より「できる問題を増やす」
入試までに目指したいのは、すべての苦手をなくすことではなく、「このレベルの問題なら自分で正解できる」という範囲を少しずつ広げることです。
算数の問題には非常に多くの種類があります。
6年生の秋や冬になっても、「この問題は解けない」「この図形は分からない」という問題が残ることはあります。
そのたびに、「まだできない問題がこんなにある」と考えてしまうと、勉強する範囲が際限なく広がってしまいます。
そこで、見方を変えます。
たとえば以前は割合の基本問題でも正答率が安定しなかった子が、「割合の基本問題なら自力で解ける」ようになったとします。
次に、「食塩水の基本問題も解ける」「売買損益も解ける」と増えていく。
速さでも、「速さ・時間・道のりを求める問題ならできる」ところから、「旅人算の基本問題もできる」という状態へ進めていきます。
このように、自力で正解できる範囲を一段ずつ広げることが基礎固めの積み上げです。
そのうえで、志望校の過去問を使って、「今できる問題で何点取れるのか」「次にできるようにすべき問題はどれか」を確認します。
できなかった問題すべてを同じように復習するのではありません。
現在の力から考えて、少し復習すれば得点につながりそうな問題を選び、その前提となる基礎へ戻ります。
【入試までの学習で確認すること】
「まだ何ができないか」だけを見る
↓
「今できる問題は何か」「次にできるようにする問題は何か」を決める
この考え方であれば、基礎固めと入試対策を別々に進める必要はありません。
基礎問題を自力で解けるようにする。その力を過去問で試す。できなかった原因を確認して、必要な基礎へ戻る。
この繰り返しによって、基礎学習を実際の得点へつなげていきます。
6年生からの算数では、残された時間が限られているからこそ、学習量を増やすだけではなく、「入試までに、どの問題を自力で正解できるようにするのか」を絞り、一つずつ確実にできる状態にすることが大切です。
よくある質問
Q1. 中学受験は6年生から基礎固めを始めても間に合う?
6年生からでも、できていない内容を絞って取り組めば基礎固めをする意味は十分にあります。
ただし、4年生や5年生の教材を最初からすべてやり直すのではなく、模試やテストの間違いを分析して、自力で解けなくなっているところまで戻ることが重要です。
計算、割合、比、速さ、図形などを確認し、できている単元は繰り返さず、基本問題でも間違える単元を優先して復習します。
Q2. 中学受験の基礎固めはいつまでに終わらせればいい?
主要単元は夏休みまでに一通り確認できるのが理想ですが、基礎固め自体を夏で完全に終わらせる必要はありません。
秋以降に過去問を解いて基礎の不足が見つかった場合は、その都度基本問題へ戻ります。
そのため、「夏まで基礎、秋から過去問」と完全に分けるのではなく、過去問と基礎の復習を並行して進めると考えたほうがよいでしょう。
Q3. 中学受験算数の基礎固めにはどんな問題集がおすすめ?
基本から標準レベルの問題を、子どもが自力で解ける問題集がおすすめです。
難しい問題がたくさん載っていることよりも、計算・割合・比・速さ・図形などの基本問題を確認でき、間違えた問題を繰り返しやすいことを重視します。
すでに使っている塾教材に必要な問題がそろっている場合は、新しい問題集を購入せず、まず塾教材の解き直しから始めても構いません。
問題集の知名度ではなく、「今の子どもが基礎固めに使える難易度か」で選ぶことが大切です。
Q4. 6年生の基礎固めでは問題集を何冊やればいい?
何冊も増やす必要はなく、まず1冊または現在の塾教材を中心に取り組む方法で十分です。
問題集を3冊終わらせても、一度間違えた問題を再び間違えるのであれば、基礎が定着しているとはいえません。
反対に、1冊でも間違えた問題を繰り返し復習し、数日後や単元を混ぜた状態でも自力で正解できるのであれば、基礎固めは進んでいます。
「何冊やったか」より、「できなかった問題を自力でできるようにしたか」を確認します。
Q5. 基礎が固まっていなくても過去問を始めていい?
基礎に不安が残っていても、必要な時期になったら過去問を始め、基礎固めと並行して進めることができます。
過去問で間違えたら、まず原因を確認します。
基本事項そのものが分かっていなければ、その単元の基礎問題へ戻ります。基本はできていて入試問題への応用ができなかったのであれば、そのレベルの類題を練習します。
過去問を「点数を測るもの」だけではなく、「入試までに復習すべき内容を見つけるもの」として使うことがポイントです。
Q6. 6年生の算数の家庭学習で親はどこまで教えればいい?
親がすべての解き方を教える必要はなく、子どもが自力で正解できる状態になっているかを確認することが重要です。
分からない問題を一緒に確認することはできますが、親が解き方を教えて正解しただけでは、その問題が身についたとは判断できません。
解説した後は、ノートや解説を閉じてもう一度解かせます。さらに数日後、同じ考え方を使う問題を一人で解けるか確認します。
家庭学習では、「親と一緒ならできる」から「一人でもできる」へ移っているかを見ることが大切です。
まとめ|6年生の基礎固めは「自力で解ける問題」を増やす
中学受験の算数で6年生から基礎固めをする場合、重要なのは勉強する範囲をむやみに広げることではありません。入試で必要な問題を、自力で確実に正解できる状態へ変えていくことです。
この記事でお伝えしてきたポイントを整理します。
・基礎が固まった基準は「解説を読めば分かる」ではなく、「何も見ずに自力で正解できる」こと
・計算を確認したうえで、割合・比・速さなど他の単元にもつながる内容を優先する
・問題集を何冊も増やすより、間違えた基本問題を自力で解けるまで復習する
・夏以降も基礎学習をやめるのではなく、過去問→弱点発見→基礎へ戻る→再び過去問を繰り返す
・6年生後半は、すべての苦手をなくすのではなく、志望校で「取るべき問題」を確実に取れるようにする
6年生になると、「今から基礎に戻って間に合うのか」という心配が出てきます。
しかし、基礎に戻ることは、4年生・5年生の教材をすべて最初からやり直すことではありません。
まずは直近の模試やテストを2~3回分用意して、基本レベルなのに繰り返し間違えている問題を3~5問程度選んでみてください。
そして、「なぜ間違えたのか」「どこまで戻れば自力で解けるのか」「数日後にも一人で正解できるのか」を確認します。
ここから始めれば、今必要な基礎固めが具体的になります。
6年生から入試に間に合わせるために必要なのは、できない問題を際限なく増やしていくことではなく、「昨日までできなかったけれど、今日は自力でできる問題」を一つずつ増やすことです。
家庭だけでは「どの単元まで戻ればよいのか」「何を優先すればよいのか」の判断が難しい場合は、現在の模試やテスト、志望校の過去問をもとに学習内容を整理する方法もあります。
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