中学受験の仕事算の解き方|基本から応用までのコツと注意点を解説

中学受験の算数で習う「仕事算」は、ある仕事を1人でする場合と、複数人で協力する場合に、仕事が終わるまでの時間や日数を求める問題です。

基本問題では解けていても、途中から作業する人数が変わったり、交代で仕事をしたりする問題になると、式の立て方が分からなくなるお子さんもいます。

仕事算で大切なのは、解き方を何種類も暗記することではありません。

「仕事全体の量」「1日あたりの仕事量」「仕事をした日数」の3つを区別することです。

この3つの関係を理解できれば、途中で作業する人が増えたり減ったりする問題にも対応しやすくなります。

この記事では、算数が苦手なお子さんにも分かりやすいように、仕事算の基本的な考え方から応用問題の解き方、間違えやすいポイント、家庭学習での練習方法まで解説します。

中学受験の仕事算は、何を理解すれば解けるようになる?

仕事算では3つの数量の関係を押さえる

仕事算で最初に理解しておきたいのは、次の関係です。

仕事算の基本公式

仕事量=「1日あたりの仕事量」×「日数」

この式を変形すると、次のようになります。

日数=「仕事量」÷「1日あたりの仕事量」

1日あたりの仕事量=「仕事量」÷「日数」

例えば、1日に4個ずつ部品を作る人が、5日間働いた場合を考えます。

4×5=20(個)

となり、全部で20個の部品を作ることができます。

仕事算では、このような数量の関係を使って考えます。

特に、1日あたりにどれだけ仕事が進むのかを正確に求めることが重要です。

仕事全体の量は「1」でも「最小公倍数」でもよい

仕事算には、仕事全体の量を「1」とする方法と、日数の最小公倍数にする方法があります。

例えば、次の問題を考えましょう。

例題1

ある仕事をAさんが1人ですると12日、Bさんが1人ですると18日かかります。2人で一緒に仕事をすると、何日で終わりますか。

解き方① 仕事全体を1とする方法

Aさんが1日に進める仕事量は、

1÷12=1/12

Bさんが1日に進める仕事量は、

1÷18=1/18

2人で1日に進める仕事量は、

1/12+1/18=5/36

したがって、

1÷(5/36)=36÷5

答えは、7と1/5日(つまり8日)です。

解き方② 仕事全体を最小公倍数にする方法

12と18の最小公倍数は36です。

仕事全体を36とすると、

  • Aさんの1日あたりの仕事量は、36÷12=3
  • Bさんの1日あたりの仕事量は、36÷18=2

2人で1日に進める仕事量は、

3+2=5

したがって、

36÷5=7と1/5(日)

となります。

どちらも正しい解き方ですが、分数計算に不安があるお子さんには、最小公倍数を使う方法が取り組みやすい場合があります。

最小公倍数を使うときに注意したいこと

最小公倍数を使う場合、仕事全体を36としたからといって、実際の仕事量が36個あるわけではありません。

計算しやすいように、仕事全体の量を仮に36と置いているだけです。

この点を理解しないまま計算手順だけを覚えてしまうと、問題の数字が変わったときに混乱することがあります。

また、仕事全体の量を途中で変更しないことも大切です。

一度36と決めたら、その問題では最後まで36を使って計算します。

仕事算の基本問題を解くコツは?

H3 1人でかかる日数から、1日あたりの仕事量を求める

仕事算の基本問題では、まず1人あたりの仕事量を求めます。

例えば、ある仕事をAさんが1人ですると20日、AさんとBさんが一緒にすると12日で終わるとします。

Bさんが1人ですると何日かかるでしょうか。

20と12の最小公倍数は60なので、仕事全体を60とします。

Aさんの1日あたりの仕事量は、

60÷20=3

2人で1日に進める仕事量は、

60÷12=5

したがって、Bさんの1日あたりの仕事量は、

5-3=2

Bさんだけで仕事をすると、

60÷2=30(日)

となります。

ここで重要なのは、2人の仕事量からAさんの仕事量を引くと、Bさんの仕事量が求められるという関係です。

日数と仕事量を混同しない

仕事算でよく見られる間違いの一つが、仕事にかかる日数と、1日あたりの仕事量を混同してしまうことです。

例えば、Aさんが12日、Bさんが18日で仕事を終える場合、

12+18=30

としてしまうのは間違いです。

12日と18日は、それぞれが1人で仕事をした場合にかかる日数です。

2人で協力するときに足し合わせるのは、日数ではなく、1日あたりの仕事量です。

計算を始める前に、今求めている数字が「日数」なのか「仕事量」なのかを確認する習慣をつけましょう。

途中から作業する人数が変わる仕事算はどう解く?

仕事をした期間ごとに分けて考える

応用問題では、最初は1人で仕事をして、途中から2人になる場合があります。

例題2

ある仕事をAさんが1人ですると15日、Bさんが1人ですると10日かかります。

最初の3日間はAさんだけで仕事をし、その後は2人で一緒に仕事をしました。

仕事を始めてから何日で終わりますか。

15と10の最小公倍数は30なので、仕事全体を30とします。

Aさんの1日あたりの仕事量は、

30÷15=2

Bさんの1日あたりの仕事量は、

30÷10=3

最初の3日間にAさんが進めた仕事量は、

2×3=6

残りの仕事量は、

30-6=24

その後、2人で1日に進める仕事量は、

2+3=5

したがって、残りの仕事を終えるまでにかかる日数は、

24÷5=4と4/5(日)

仕事を始めてからの日数は、

3+4と4/5=7と4/5(日)

となります。

途中で人数が変わる問題は、表に整理する

文章だけでは分かりにくい場合は、次のような表を作ることをおすすめします。

作業期間作業する人1日あたりの仕事量
最初の3日間Aさん2
その後AさんとBさん5

このように整理すると、途中で仕事量が変わることを確認できます。

仕事の進み方を図で確認

仕事算が苦手なお子さんには、いきなり式を書かせるよりも、「最初にどれだけ進んだか」「残りはいくつか」を順番に確認することが効果的です。

最後に求めるのは「残りの日数」か「合計日数」か

途中で作業人数が変わる問題では、最後の計算にも注意が必要です。

「残りの仕事を終えるまでに何日かかるか」と聞かれている場合と、「仕事を始めてから何日かかるか」と聞かれている場合では、答えが異なります。

問題文の最後を確認し、最初に仕事をした日数を足す必要があるかどうかを判断しましょう。

交代で仕事をする問題はどう考える?

交互に作業する場合は、2日分をまとめて考える

AさんとBさんが1日ずつ交代で仕事をする場合は、2日間で進む仕事量を求めると計算しやすくなります。

例題3

ある仕事をAさんが1人ですると8日、Bさんが1人ですると12日かかります。

Aさんから始め、1日ずつ交代で仕事をします。仕事は何日目に終わりますか。

8と12の最小公倍数は24です。

仕事全体を24とすると、

  • Aさんの1日あたりの仕事量は3
  • Bさんの1日あたりの仕事量は2

となります。

2日間で進む仕事量は、

3+2=5

8日間では、

5×4=20

の仕事が終わります。

残りの仕事量は、

24-20=4

9日目はAさんが仕事をするので、3進みます。

10日目はBさんが残りの1を進めるため、仕事が終わるのは10日目です。

答え 10日目

最後の仕事が途中で終わる場合に注意する

交代で仕事をする問題では、2日分をまとめて計算した後、最後に残った仕事量を確認する必要があります。

特に注意したいのが、「何日目に終わるか」と「何日かかるか」の違いです。

例えば、9日目の途中で仕事が終わる場合、何日目に終わるかという問いには「9日目」と答えます。

一方、何日かかるかという問いでは、9日目に働いた時間まで計算する必要があります。

問題文に「1日ずつ交代する」と書いてあるからといって、最後も必ず1日働くとは限りません。

仕事量の比を使う問題はどう解く?

1日あたりの仕事量の比から考える

仕事算では、仕事を終えるまでの日数ではなく、仕事量の比が与えられる場合もあります。

例題4

AさんとBさんの1日あたりの仕事量の比は3:2です。

2人で一緒にすると12日で終わる仕事があります。

Aさんが1人ですると何日かかりますか。

Aさんの1日あたりの仕事量を3、Bさんを2とすると、2人で1日に進める仕事量は、

3+2=5

12日間で進む仕事量は、

5×12=60

したがって、Aさんが1人ですると、

60÷3=20(日)

となります。

答え 20日

仕事量の比と日数の比は逆になる

仕事算では、1日あたりの仕事量が多い人ほど、仕事を終えるまでの日数は短くなります。

例えば、AさんとBさんの1日あたりの仕事量の比が3:2なら、1人で同じ仕事を終えるまでの日数の比は2:3です。

これは、速さと時間の関係にも似ています。

同じ距離を進む場合、速い人ほど短い時間で到着します。

仕事算でも、同じ仕事をする場合には、

1日あたりの仕事量が多いほど、かかる日数は短くなる

という関係を押さえておきましょう。

3人以上で仕事をする応用問題のコツは?

2人ずつの組み合わせが分かる場合は、全部足して考える

例題5

ある仕事をAさんとBさんですると6日、BさんとCさんですると8日、CさんとAさんですると12日かかります。

3人で一緒に仕事をすると何日かかりますか。

6、8、12の最小公倍数は24です。

仕事全体を24とすると、

組み合わせ1日あたりの仕事量
Aさん+Bさん24÷6=4
Bさん+Cさん24÷8=3
Cさん+Aさん24÷12=2

これらを全部足すと、

4+3+2=9

となります。

ただし、この9は3人の1日あたりの仕事量ではありません。

Aさん、Bさん、Cさんがそれぞれ2回ずつ含まれているためです。

したがって、3人の1日あたりの仕事量は、

9÷2=4.5

3人で仕事を終えるまでの日数は、

24÷4.5=5と1/3(日)

となります。

答え 5と1/3日

同じ人の仕事量を何回数えているか確認する

この問題で注意したいのは、組み合わせをすべて足した後に、2で割る必要があることです。

単に計算手順を覚えるのではなく、

「Aさんの仕事量は何回含まれているか」

「BさんとCさんも同じか」

と確認すると、なぜ2で割るのか理解できます。

このように、応用問題では計算方法だけでなく、式の意味を説明できることが大切です。

仕事算でよくある間違いと注意点は?

仕事算で間違えた場合、計算ミスだけでなく、問題文の読み取り方や数量の区別に原因があることもあります。

よくある間違い確認したいこと
12日+18日と計算する足すのは日数ではなく1日あたりの仕事量
仕事量を求めるときにかけ算をする全体の仕事量÷日数になっているか
途中で仕事全体の量が変わる最初に決めた全体量で統一しているか
途中で人数が変わると式が立てられない期間ごとに仕事量を分けているか
交代する問題で答えがずれる最後に誰が作業するか
答えの日数が合わない合計日数か残りの日数か

特に気をつけたいのが、仕事量を求めた後の計算です。

仕事算は、正しい方法で計算していても、最後に足し算を忘れたり、単位を間違えたりすると正解になりません。

そのため、答えを出した後に、求めた日数を使って仕事全体が終わるかを確かめることをおすすめします。

仕事算が苦手な子は、どのように練習すればよい?

まずは基本問題を自分の力で解けるようにする

仕事算が苦手なお子さんには、最初から応用問題をたくさん解かせるのではなく、基本的な考え方を確実に身につけることをおすすめします。

次の順番で練習するとよいでしょう。

  1. 仕事全体を最小公倍数に設定する問題
  2. 2人で協力する問題
  3. 途中で作業人数が変わる問題
  4. 交代で作業する問題
  5. 仕事量の比や3人の組み合わせを使う問題

基本問題でつまずく場合は、応用問題を進める前に、1日あたりの仕事量を正しく求められるか確認します。

解説を読んだ後は、何も見ずに解き直す

解説を読んで理解できたとしても、次に同じような問題を自分で解けるとは限りません。

そのため、解説を読んだ後は、いったん解答を閉じて、何も見ずに最初から解き直すことが大切です。

その際、次の点を確認します。

  • なぜ仕事全体をその数字にしたのか
  • 1日あたりの仕事量をどのように求めたのか
  • どの期間に誰が仕事をしたのか
  • 最後に何を求める必要があるのか

これらを自分の言葉で説明できれば、考え方が整理されていると考えられます。

類題を繰り返してから、テスト形式で確認する

仕事算では、解き方を理解した後の練習も重要です。

例えば、2人で協力する問題が解けたら、数字を変えた類題に取り組みます。

その後、途中で人数が変わる問題や交代する問題を混ぜて、小テスト形式で確認します。

このように練習すると、問題文を読んだときに、どのように考えればよいかを自分で判断する練習になります。

単に同じ問題の答えを覚えるのではなく、数字や条件が変わっても、考え方を再現できることを目標にしましょう。

仕事算についてよくある質問

仕事算では必ず最小公倍数を使わなければいけませんか?

いいえ。仕事全体を1として分数で計算しても構いません。

ただし、分数計算に不安がある場合は、最小公倍数を使った方が計算しやすいことがあります。

大切なのは、どちらの方法でも仕事量の関係を正しく理解することです。

仕事算とニュートン算は同じですか?

どちらも一定時間あたりの仕事量を使いますが、ニュートン算では仕事が新たに増える場合などを考えます。

まず仕事算で、全体の仕事量と1日あたりの仕事量の関係を理解してから、ニュートン算に進むとよいでしょう。

仕事算の問題が解けない場合、どの単元まで戻ればよいですか?

最小公倍数、分数の計算、割合などの理解を確認しましょう。

特に、全体の仕事量を1とする考え方が分からない場合は、割合の基本に戻ることも有効です。

ただし、すべての単元を最初からやり直す必要はありません。どの計算や考え方で止まっているかを確認し、必要な部分から復習することが大切です。

まとめ|仕事算は「1日あたりの仕事量」を正しく求めることが大切

中学受験の仕事算では、問題の種類によって解き方が大きく変わるように見えるかもしれません。

しかし、基本となる考え方は共通しています。

まず仕事全体の量を決め、1日あたりの仕事量を求めます。そして、誰が何日間働いたのかを整理し、残りの仕事量を計算します。

途中で作業人数が変わる問題や、交代で作業する問題でも、この基本を押さえていれば対応しやすくなります。

仕事算が苦手な場合は、解法を次々と暗記するのではなく、一つひとつの式が何を表しているのかを確認しながら練習することが大切です。

算数の文章問題が苦手なお子さんへ

中学受験の算数では、仕事算に限らず、割合・比・速さなどの文章問題でつまずくお子さんもいます。

算数専門の家庭教師として、問題が解けない原因を確認し、必要に応じて基本問題まで戻りながら、自分の力で式を立てて解けるようになることを大切にしています。

塾の授業を受けていても文章問題が解けない、解説を読めば分かるのに一人では解けないという場合は、現在の学習状況を整理するところからご相談いただけます。

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