中学受験の「場合の数」が苦手な子へ|「選び方」と「並べ方」の違いを確認しよう
中学受験の算数で「場合の数」が苦手なお子さんは少なくありません。
問題を読んでも何から考えればよいのか分からない、樹形図を書いても途中で数え間違える、解説を読めば分かるのに自分では解けない、といった様子が見られることがあります。
このようなとき、すぐに樹形図や計算方法を練習するのではなく、「選び方」と「並べ方」の違いを理解できているかを確かめることをおすすめします。
場合の数では、何を1通りとして数えるのかを理解することが大切です。
例えば、3人の中から2人を選ぶ問題と、3人の中から2人を選んで順番に並べる問題では、答えが異なります。
この記事では、算数専門の家庭教師の視点から、場合の数が苦手なお子さんに確認してほしい基本的な考え方と、家庭での練習方法を解説します。
場合の数が苦手な子は「何を数えるのか」が分かっていないことがある
場合の数の問題では、樹形図、表、計算など、さまざまな方法を使います。
しかし、それらの方法を覚えていても、問題によって正しく使い分けられるとは限りません。
特に確認したいのが、「何が違えば、別の1通りとして数えるのか」という点です。
例えば、Aさん、Bさん、Cさんの3人がいるとします。
この3人の中から2人を選ぶ場合、AさんとBさんを選ぶことと、BさんとAさんを選ぶことは同じです。
一方、3人の中から委員長と副委員長を1人ずつ決める場合、Aさんが委員長でBさんが副委員長になることと、Bさんが委員長でAさんが副委員長になることは異なります。
どちらも3人の中から2人を決める問題ですが、数え方は違います。
この違いが分からないまま問題を解いていると、同じ場合を重複して数えたり、必要な場合を数え忘れたりします。
場合の数でつまずいているお子さんには、まず、この違いを具体例で説明できるか確かめてみてください。
「選び方」と「並べ方」の違いを具体例で確認する
選び方は、順番が違っても同じ組み合わせとして数える
次の問題を考えます。
問題1
Aさん、Bさん、Cさんの3人の中から、掃除当番を2人選びます。選び方は何通りありますか。
選び方をすべて書き出すと、
- AさんとBさん
- AさんとCさん
- BさんとCさん
の3通りです。
ここで、AさんとBさんを選ぶことと、BさんとAさんを選ぶことは同じです。
掃除当番として選ばれた2人が同じだからです。
したがって、答えは3通りになります。
このように、選ぶ順番を変えても同じものとして扱う場合には、重複して数えないようにします。
並べ方は、順番が変わると別の場合として数える
次の問題を考えます。
問題2
Aさん、Bさん、Cさんの3人の中から2人を選び、前後に1人ずつ並べます。並べ方は何通りありますか。
すべて書き出すと、
- Aさん → Bさん
- Aさん → Cさん
- Bさん → Aさん
- Bさん → Cさん
- Cさん → Aさん
- Cさん → Bさん
の6通りです。
この問題では、Aさんが前でBさんが後ろの場合と、Bさんが前でAさんが後ろの場合は異なります。
順番が変わると、別の並べ方になるからです。
したがって、答えは6通りになります。
同じ3人から2人を決める問題でも答えは異なる
ここまでの2つの問題を比較すると、次のようになります。
| 問題 | 数え方 | 答え |
|---|---|---|
| 掃除当番を2人選ぶ | ABとBAは同じ | 3通り |
| 2人を前後に並べる | ABとBAは別 | 6通り |
この違いを、お子さんが自分の言葉で説明できるか確かめてみましょう。
「選ぶときは順番を気にしないけれど、並べるときは順番が違えば別になる」
と説明できれば、基本的な違いを理解し始めていると考えられます。
ただし、問題文に「選ぶ」と書かれていても、選んだ人に異なる役割を割り当てる場合などは区別が必要です。
言葉だけで判断するのではなく、順番や役割を入れ替えたときに、同じ場合になるのかを考えることが大切です。
場合の数が分からないときに家庭で確認してほしい3つのこと
1. ABとBAを同じものとして数えるか
最初に確認したいのは、同じ2人を選んだときに、順番を入れ替えても同じものになるかという点です。
例えば、
「AさんとBさんを掃除当番にする場合、BさんとAさんも別に数える必要がある?」
と聞いてみてください。
お子さんが「同じ2人だから数えなくてよい」と説明できれば、選び方の基本を理解している可能性があります。
次に、前後に並ぶ問題についても質問します。
「Aさんが前、Bさんが後ろの場合と、Bさんが前、Aさんが後ろの場合は同じ?」
この質問に対して、位置が違うから別に数えると説明できるかを確認します。
正解を言えるだけでなく、理由を説明できることが大切です。
2. すべての場合を自分で書き出せるか
選び方と並べ方の違いが分かったら、実際にすべての場合を書き出してもらいます。
この段階では、いきなり計算で答えを求める必要はありません。
まずは3人から2人を選ぶ問題など、数が少ない問題を使います。
その際、次のことを確認してください。
- 同じ場合を2回数えていないか
- 数え忘れがないか
- どのような順番で書き出したのか
例えば、並べ方の問題なら、最初にAさんが来る場合をすべて書き、次にBさん、最後にCさんが来る場合を書くようにすると整理しやすくなります。
思いついた順番に書くのではなく、一定の規則に従って書き出す練習をしましょう。
3. 問題文が変わっても数え方を判断できるか
同じ問題を繰り返して正解できても、数え方を理解したとは限りません。
そこで、問題の条件を少し変えてみます。
例えば、次のような問題です。
問題3
4種類のカードから2枚を選びます。選び方は何通りありますか。
問題4
4種類のカードから異なる2枚を選び、左から右へ1枚ずつ並べます。並べ方は何通りありますか。
問題3は選び方なので、
AB、AC、AD、BC、BD、CD
の6通りです。
問題4は並べ方なので、
4×3=12
より12通りです。
ここで大切なのは、答えが合っているかだけではありません。
「なぜ問題3では順番を区別せず、問題4では区別するのか」を説明できるか確認してください。
場合の数が苦手な子に、いきなり公式を覚えさせない方がよい理由
場合の数では、計算を使って答えを求めることがあります。
例えば、4種類のカードから異なる2枚を選んで並べる場合は、
4×3=12(通り)
と計算できます。
一方、4種類のカードから2枚を選ぶだけなら、
4×3÷2=6(通り)
となります。
しかし、選び方と並べ方の違いを理解していないお子さんに、これらの計算方法だけを教えても、問題に応じて使い分けることが難しくなります。
特に、
「選び方だから2で割る」
という方法だけを覚えてしまうと、人数が増えたり、条件が変わったりしたときに対応できないことがあります。
本来、4種類から異なる2枚を選ぶ問題で2で割るのは、ABとBAのように、同じ組み合わせを2回ずつ数えているからです。
この理由を理解していれば、計算の意味も分かります。
場合の数が苦手なお子さんには、まず具体的に書き出すことから始め、その後に計算との関係を確認することをおすすめします。
「選び方」と「並べ方」が分かったら樹形図の練習へ進む
選び方と並べ方の違いを理解できたら、次は樹形図を使って整理する練習に進みます。
例えば、A、B、C、Dの4人から2人を選んで順番に並べる問題を考えます。
最初にAを選んだ場合、次に選べるのはB、C、Dの3人です。
同様に、最初にB、C、Dを選んだ場合も、それぞれ3通りあります。
したがって、
3+3+3+3=12(通り)
となります。
一方、4人から2人を選ぶだけなら、ABとBAのような重複を取り除く必要があります。
樹形図を書くときも、単に枝を増やすのではなく、何を区別して数えているのかを意識することが大切です。
また、樹形図はすべての場合を書き出すための手段です。
樹形図を書くこと自体が目的にならないようにしましょう。
場合の数が苦手な子におすすめする学習の順番
場合の数の学習では、最初から複雑な条件の問題に取り組む必要はありません。
次の順番で進めることをおすすめします。
ステップ1 3人から2人を選ぶ問題を解く
最初は3人から2人を選ぶ問題を使い、順番を区別しないことを確認します。
すべての場合を書き出し、重複がないか確認してください。
ステップ2 3人から2人を並べる問題を解く
次に、同じ3人から2人を選び、前後に並べる問題を解きます。
選び方の問題と比較し、答えが異なる理由を説明してもらいます。
ステップ3 4人、5人へと数を増やす
基本的な違いを理解できたら、人数を増やします。
数が増えることで、規則的に書き出す必要性も理解しやすくなります。
ステップ4 樹形図や計算で求める
すべての場合を書き出せるようになったら、樹形図や計算を使って効率よく求める方法を学びます。
計算方法を覚えるだけでなく、なぜその計算で答えが求められるのかを確認します。
ステップ5 条件のある問題へ進む
最後に、「特定の2人が隣り合う」「同じ色が続かない」など、条件が加わった問題へ進みます。
条件付きの問題でも、最初に何を区別して数えるのかを確認する習慣をつけましょう。
場合の数についてよくある質問
Q. 樹形図は書けるのに答えが間違ってしまうのはなぜですか?
樹形図の枝を書き忘れている場合もあれば、同じ場合を重複して数えている場合もあります。
まずは、間違えた樹形図を確認し、どこで数え忘れや重複が起きているかを調べましょう。
特に選び方の問題では、順番を入れ替えただけのものを別々に数えていないか確認することが大切です。
Q. 場合の数では、樹形図と計算のどちらを優先すればよいですか?
基本を学んでいる段階では、すべての場合を書き出して確認することを優先してよいでしょう。
その後、樹形図や計算を使って効率よく求める方法へ進みます。
ただし、問題によって適した方法は異なります。樹形図だけ、計算だけに限定せず、問題に応じて使い分ける練習が必要です。
Q. 場合の数は何年生から復習すればよいですか?
学年だけで決めるのではなく、現在どこまで理解できているかを確認することが大切です。
小学5年生や6年生でも、選び方と並べ方の違いが曖昧であれば、3人から2人を選ぶような簡単な問題まで戻って構いません。
基本的な問題を自分の力で解き、理由を説明できるようになってから、次の問題へ進みましょう。
Q. 場合の数の問題を解くのに時間がかかる場合はどうすればよいですか?
最初から速く解くことを目標にする必要はありません。
まずは、重複や数え忘れがないように、正確に書き出すことを優先します。
正しく数えられるようになったら、規則的な書き方や計算を利用して、少しずつ解く時間を短くしていきましょう。
まとめ|場合の数が分からないときは「選び方」と「並べ方」に戻って確認する
場合の数が苦手なお子さんには、樹形図や計算方法を繰り返し練習する前に、「選び方」と「並べ方」の違いを理解できているか確かめることをおすすめします。
特に大切なのは、次の3点です。
- 順番を入れ替えたとき、同じ場合になるのか説明できる
- 同じ場合を重複させず、すべての場合を書き出せる
- 問題文が変わっても、順番を区別する必要があるか考えられる
場合の数ができない原因は、必ずしも難しい問題を解く練習が不足していることだけではありません。
基本的な数え方の理解が曖昧なまま、複雑な問題へ進んでいることもあります。
そのような場合は、簡単な問題まで戻り、何を1通りとして数えているのかを確認することが大切です。
中学受験の算数でお困りの保護者の方へ
算数の家庭学習では、間違えた問題を解き直していても、どこまで戻って復習すればよいのか分からないことがあります。
私は算数専門の家庭教師として、お子さんがどの段階でつまずいているのかを確認し、必要に応じて基本問題まで戻りながら指導しています。
場合の数についても、樹形図や計算方法を教えるだけでなく、問題の意味を理解し、自分で数え方を考えられることを大切にしています。
中学受験の算数でお困りの場合は、現在取り組んでいる教材やテストの状況をもとに、学習方法をご相談いただけます。
