複合図形の面積|中学受験で図形問題になると手が止まる子の対策
「三角形や台形の面積は求められるのに、図形が組み合わさった途端に手が止まってしまう」
「解説を読めば分かるのに、別の問題になると何をすればよいか分からない」
中学受験の複合図形の面積で、このような状態になるお子さんはいます。
長方形・正方形・三角形・台形・円などの面積の公式を覚えていても、複合図形の問題が解けるとは限りません。
複合図形では、公式を当てはめる前に、
- どこで図形を分けるか
- 全体から不要な部分を引けないか
- 図形を移動できないか
- 等積変形を使えないか
- 面積比を利用できないか
といったことを、問題の図を見ながら考える必要があるからです。
つまり、複合図形で手が止まる原因は、「面積の公式を知らない」ことだけではありません。どの考え方を使えばよいか、自分で判断できないところで止まっている場合があります。
ここは、家庭学習でも注意して見ておきたいところです。
解説を読んで、
「なるほど、ここで線を引けばいいのか」
「ここを移動すれば長方形になるのか」
と理解できても、次の問題を何も見ずに解けるとは限りません。
「解説を見れば分かる」と「問題を見て、自分で解き方を選べる」は別です。
この記事では、中学受験の複合図形の面積について、代表的な解き方だけでなく、
- 複合図形では何を見て解き方を決めるのか
- 図形問題になると手が止まる原因はどこにあるのか
- 小5・小6ではどのように練習すればよいのか
- 難しい面積問題へ進む前に何を確認すればよいのか
という順番で解説します。
お子さんが複合図形を苦手としている場合に、「もっと難しい問題を解かせるべきか」「基本まで戻った方がよいのか」を考える際の参考にしてください。
中学受験でよく出る複合図形の面積とは?なぜ難しくなる?
複合図形とは、三角形・長方形・正方形・台形・円など、複数の基本的な図形を組み合わせてできた図形です。
中学受験では、単純に一つの公式を使うだけでは面積を求められず、図形を分割したり、全体から一部分を引いたりする問題が多く出てきます。
そのため、基本的な面積の計算ができるようになった後に、もう一段階必要になります。
「どの公式を知っているか」だけでなく、「この図形をどのように見れば、知っている公式を使える形になるか」を考える力です。
複合図形とはどのような図形?
複合図形とは、三角形・長方形・正方形・台形・円・半円など、複数の基本図形が組み合わされた図形です。
たとえば、長方形の一部が欠けている図形を考えてみます。
その図形そのものに使える「複合図形の公式」があるわけではありません。
長方形をいくつかに分けて、
それぞれの面積を求めて足す
という方法が考えられます。
反対に、大きな長方形として考えて、
全体の面積-欠けている部分の面積
と求めることもできます。
円や半円が組み合わさった問題でも同じです。
円・半円・おうぎ形などの半径や直径を確認し、それぞれの面積を求めて足したり引いたりします。
つまり複合図形では、見た目が複雑であっても、
「自分が面積を求められる基本図形に直せないか」
と考えることが出発点になります。
この考え方が身についてくると、初めて見る図形でも、いきなり公式を探すのではなく、
「ここで分ければ三角形と長方形になる」
「全体を正方形として考えた方が早そうだ」
と、図形を見ることができるようになります。
なぜ面積の公式を覚えていても解けない?
複合図形では、公式を使う前に「この図形をどのように見るか」を自分で判断する必要があるからです。
たとえば、三角形の面積なら、
底辺×高さ÷2
と分かっていれば、底辺と高さを確認して計算できます。
台形なら、
(上底+下底)×高さ÷2
です。
ところが、複数の図形が組み合わさった複雑な図形の面積では、問題を見ただけでは「この公式を使えばよい」と決まらないことがあります。
同じ図形でも、
- 2つ、3つの図形に分割して足す
- 大きな図形から不要な部分を引く
- 一部分を移動して簡単な形にする
- 面積を変えずに形を変える等積変形を使う
など、複数の考え方ができます。
ここで手が止まるお子さんに対して、すぐに
「公式を覚えていないのではないか」
と判断するのは早い場合があります。
基本図形の面積を一つずつ確認すると、三角形も台形も円も正しく求められる。
それでも複合図形になると解けないのであれば、別のところを確認する必要があります。
たとえば、
① 基本図形の面積は求められるか
② 複雑な図形を基本図形に分けられるか
③ 分割・引き算・移動などから適切な方法を選べるか
④ 選んだ方法を使って最後まで計算できるか
というように、どの段階で止まっているのかを分けて見ていきます。
特に中学受験の算数では、解説を読んだ直後には解けても、数日後に似た問題を出すと再び手が止まることがあります。
その場合、解説の内容を理解できなかったとは限りません。
説明された解き方は理解できても、「この問題ではその考え方を使う」と自分で判断するところまでは身についていない可能性があります。
そのため、複合図形が苦手なお子さんには、難しい応用問題や入試問題を次々に解かせる前に、
「どの段階までは、何も見ずに自分でできるのか」
を確認することが大切です。
複合図形の学習では、正解したかどうかだけを見るのではなく、問題を見たときに自分で図形の見方を決め、使う方法を選べたかまで確認すると、次に何を練習すればよいのかが見えやすくなります。
複合図形の面積は、どんな順番で求めればいい?
複合図形の面積では、いきなり計算を始めるのではなく、「基本図形に分ける→全体から引く→移動する→等積変形を使う→面積比を考える」という順番で図を見ると、考え方を整理しやすくなります。

もちろん、すべての問題でこの順番どおりに解くわけではありません。
大切なのは、問題を見たときに何となく補助線を引いたり、覚えている公式を片っ端から試したりするのではなく、「この図形を、自分が面積を求められる形にできないか」と考えることです。
特に中学受験の複合図形の面積では、一見すると複雑な問題でも、図の見方を変えることで基本的な計算に直せることがあります。
① 基本図形に分割できないか?
最初に考えたいのは、複合図形を三角形・長方形・正方形・台形など、面積を求められる基本図形に分割できないかということです。
たとえば、L字型の図形であれば、縦または横に線を引くことで、2つの長方形に分けられる場合があります。
それぞれの長方形の面積を求め、
長方形Aの面積+長方形Bの面積
とすれば、全体の面積を求められます。
同じように、複雑に見える多角形でも、三角形・長方形・正方形・平行四辺形・台形などに分けられれば、それまでに学習した公式を使えます。
ここで重要なのは、「どこに線を引けばよいか」を丸暗記しないことです。
補助線を引く前に、
「この線を引くと、何の図形ができるのか」
を考えます。
たとえば、線を1本引いた結果、
- 長方形と三角形になる
- 2つの三角形になる
- 長方形と台形になる
のであれば、その後の面積計算ができるか確認します。
補助線は、何となく引くものではなく、自分が面積を求められる基本図形を作るために引くものです。
図形問題になると手が止まる場合は、補助線の場所だけを教えるのではなく、「なぜそこに線を引いたのか」を説明できるかまで確認しておくとよいでしょう。
② 全体の面積から不要な部分を引けないか?
細かく分割するよりも、大きな図形の面積から不要な部分を引いた方が簡単に求められる問題があります。
たとえば、正方形の一部分が切り取られたような図形なら、
正方形全体の面積-切り取られた部分の面積
と考えられます。
複雑な形をいくつもの三角形や長方形に分けて足していくよりも、外側に大きな正方形や長方形を作り、余分な部分を引いた方が計算量を減らせる場合があります。
ここでお子さんに確認したいのは、
「この図形を何個に分けられる?」
だけではありません。
あわせて、
「大きな長方形として見ることはできない?」
「全部の面積を出してから、いらない部分を引けない?」
と考えてみます。
同じ問題について、「分けて足す方法」と「全体から引く方法」の両方を考えてみるのもよい練習になります。
答えが同じになることを確認するだけでなく、
「今回はどちらの方が計算しやすいか」
まで考えることで、解き方を選ぶ練習になります。
複合図形では、解ける方法を一つ覚えるだけでなく、いくつかの方法から簡単なものを選べることも大切です。
③ 図形を移動すると簡単な形にならないか?
図形の一部分を移動することで、複雑な形を長方形や正方形などの求めやすい形に直せることがあります。
特に、同じ形の出っ張りとへこみがある図形や、円・半円を組み合わせた問題では、部分を移動して考えると見通しがよくなる場合があります。
たとえば、図形の右側にある部分を左側の空いているところへ移すことで、一つの長方形ができるのであれば、
移動後の長方形の縦×横
で面積を求められます。
このとき大切なのは、図形を移動しても、その部分の面積そのものは変わらないということです。
ただし、見た目だけで、
「ここを移せそう」
と判断するのではなく、
- 移動する部分はどこか
- 移動先にぴったり入るか
- 移動した後に何の図形になるか
- 必要な辺の長さが分かるか
を順番に確認します。
円や半円を含む問題でも、切り分けた部分を移動することで、複雑な曲線を含む図形が簡単な形になることがあります。
「移動した後に、面積を求められる図形になるか」を考えることが、移動を使うかどうかの基準になります。
④ 等積変形を使えないか?
高さが同じ三角形などでは、面積を変えずに形を変える「等積変形」を使うことで、面積を求めやすくなる場合があります。
中学受験では、単純に図形を切って別の場所へ移すだけではなく、頂点の位置を動かしても面積が変わらない性質を利用する問題があります。
たとえば、三角形の面積は、
底辺×高さ÷2
で求めます。
底辺の長さが同じで、高さも同じであれば、頂点の位置が横にずれて三角形の形が変わっても面積は同じです。
そのため、複雑な図形の中にある三角形を、そのまま計算しようとするのではなく、面積の等しい別の三角形として見ることで解きやすくなる場合があります。
ここでは、
「形が変わったのに、なぜ面積は同じなのか」
を説明できることが重要です。
単に、
「この問題は等積変形を使う」
と覚えるだけでは、少し図が変わった問題で使えなくなることがあります。
等積変形では、「底辺と高さがどうなっているから面積が変わらないのか」を図の中で確認することが大切です。
⑤ 面積比を使った方がよい問題ではないか?
辺の長さや高さの関係が分かっている問題では、面積を一つずつ計算するより、面積比を使った方が簡単に解ける場合があります。
たとえば、2つの三角形の高さが同じなら、面積の比は底辺の長さの比と同じになります。
底辺の比が、
2:3
なら、面積の比も、
2:3
です。
反対に、底辺が同じで高さの比が2:3なら、やはり面積比は2:3になります。
中学受験の応用問題や入試問題では、すべての辺の長さが与えられているとは限りません。
そのため、
「長さが分からないから面積を求められない」
と考えるのではなく、
「直接面積を計算できなくても、面積の比なら分からないか」
と考えることが必要になる問題もあります。
ただし、基本的な面積計算がまだ不安定な段階で、面積比を使った難しい問題ばかり練習する必要はありません。
複合図形が苦手な場合は、
基本図形の面積を求める
→ 分割して足す
→ 全体から不要な部分を引く
→ 移動や等積変形を考える
→ 必要に応じて面積比を利用する
というように、できることを一つずつ確認していきます。
複合図形で大切なのは、解法の名前をたくさん覚えることではありません。
問題を見たときに、「この図形なら、どの考え方を使えば基本的な形に直せるか」を自分で判断できるようにすることです。
その判断がまだ難しいのであれば、さらに難しい問題へ進む前に、どの段階から一人でできなくなっているのかを確認する必要があります。

円や半円を含む複雑な図形の面積はどう考える?
円や半円を含む複合図形では、最初に半径・直径・中心角を確認し、そのうえで「どの部分を足すか」「どの部分を引くか」を整理します。
円が入ると図が複雑に見えますが、基本となるのは、これまでに学習した円・半円・おうぎ形の面積です。
たとえば、色のついた部分の面積を求める問題でも、
- 円から正方形を引く
- 正方形から円の一部を引く
- 2つのおうぎ形を足す
- 重なっている部分を引く
- 図形の一部を移動して簡単な形にする
といった考え方に整理できます。
そのため、円を含む問題で手が止まったときも、すぐに「難しい図形が苦手」と考えるのではなく、円やおうぎ形の基本計算で止まっているのか、それとも複数の図形をどう組み合わせるかで止まっているのかを分けて確認することが大切です。
円・半円・おうぎ形では最初に何を確認する?
円・半円・おうぎ形を含む問題では、まず半径・直径・中心角のどれが分かっているかを確認します。
円の面積は、
半径×半径×3.14
で求めます。
ここで意外と多いのが、図に書かれている長さをそのまま半径として使ってしまう間違いです。
たとえば、円の端から端までの長さが10cmと書かれていれば、それは直径です。
したがって、
10÷2=5(cm)
として、半径5cmを使います。
円の面積は、
5×5×3.14=78.5(cm²)
です。
半円なら、その半分なので、
78.5÷2=39.25(cm²)
となります。
おうぎ形では、さらに中心角を確認します。
たとえば、中心角が90°なら円全体の4分の1なので、
円の面積×90÷360
と考えられます。
ここまでの計算が不安定な場合は、複雑な複合図形へ進む前に、まず円・半円・おうぎ形の基本問題を確認した方がよいでしょう。
一方、基本問題では正解できるのに、図形が組み合わさると手が止まるのであれば、次に確認するところが変わります。
たとえば、正方形の中に円が描かれていて、円以外の部分の面積を求める問題なら、
正方形の面積-円の面積
です。
円の中に正方形が入っている場合も、求めたい部分によっては、
円の面積-正方形の面積
と考えます。
つまり、公式を覚えているだけではなく、
「求めたい部分は、どの図形からどの図形を引けば作れるのか」
を見る必要があります。
円を含む複合図形でも、最初から特殊な解法を探すのではなく、基本図形の「足し算・引き算」として見られないかを確認することが基本です。
レンズ型やブーメラン型は丸暗記した方がいい?
レンズ型やブーメラン型は、形だけを見て解き方を丸暗記するより、「どの面積を足して、どの面積を引いているのか」を理解しておくことが大切です。
中学受験の複合図形の面積では、2つのおうぎ形が重なってできるレンズ型や、曲線に囲まれたブーメラン型などが出てくることがあります。
問題集や塾の授業では、
「この形はレンズ型」
「これはブーメラン型」
と、形の名前とセットで解き方を覚えることもあります。
典型問題を学習するうえで、形と解法を結びつけて覚えること自体が悪いわけではありません。
ただし、形だけで覚えていると、向きや大きさが変わったり、正方形や三角形と組み合わされたりしたときに、
「習った形と少し違うから分からない」
となることがあります。
そこで確認したいのが、その面積がどの図形の組み合わせでできているかです。
たとえばレンズ型の問題なら、単に、
「レンズ型だから、この式」
と覚えるのではなく、
「この部分は2つのおうぎ形が重なってできている」
「おうぎ形の面積から、どの三角形を引けばよいか」
というところまで図を見て考えます。
ブーメラン型でも同じです。
名前を知っていることより、
- どこがおうぎ形なのか
- 半径はどこなのか
- どの部分が重なっているのか
- 何を足せば求めたい部分になるのか
- 何を引けば求めたい部分だけが残るのか
を確認する方が重要です。
特に注意したいのは、解説を読んだ直後です。
解説に、
「おうぎ形2つの面積から正方形の面積を引く」
と書いてあれば、その計算をすること自体は難しくないかもしれません。
しかし、それだけで終わらせず、
「なぜ正方形を引くのか」
を自分で説明できるか確認します。
さらに、数値や図の向きを少し変えた類題でも、何も見ずに同じ考え方を使えるかを確かめます。
「レンズ型だからこの公式」と覚えるのではなく、「この部分を求めるには、何を足して何を引けばよいか」を考えられる状態を目指します。
これは、円や半円を含む複雑な図形の面積だけに必要な考え方ではありません。
三角形や台形を組み合わせた問題でも、図形の移動や等積変形を使う問題でも同じです。
形の名前から解法を思い出すだけではなく、図を見て自分で必要な考え方を選べるか。
円や半円を含む問題でも、そこまで確認することで、「解説では分かるのに、少し違う問題になると手が止まる」という状態を見つけやすくなります。
はい。ここでは、円・半円を含む複合図形で「何を足し、何を引くか」を実際に判断する例を1問入れると、前後の説明が理解しやすくなります。
「円・半円・おうぎ形では最初に何を確認する?」の後に、以下を追加するのが自然です。
具体例|正方形と4つのおうぎ形を組み合わせた面積問題
円やおうぎ形を含む複合図形でも、「求めたい部分を、知っている図形の足し算・引き算で表せないか」と考えるのが基本です。
次のような問題を考えてみましょう。

一辺10cmの正方形ABCDがあります。
A、B、C、Dをそれぞれ中心として、半径5cm、中心角90°のおうぎ形が正方形の内側に描かれています。
4つのおうぎ形以外の、中央に残った部分の面積を求めます。
① まず、何から何を引けばよいか考える
この問題では、中央部分だけに使える特別な面積の公式はありません。
そこで図全体を見ます。
中央部分は、
正方形全体から、四隅にある4つのおうぎ形を取り除いた部分
です。
したがって、
中央部分の面積=正方形の面積-4つのおうぎ形の面積
と考えられます。
ここまで判断できれば、あとは基本的な面積計算です。
② 正方形の面積を求める
一辺が10cmなので、
10×10=100(cm²)
です。
③ 4つのおうぎ形の面積を求める
1つのおうぎ形は、半径5cm、中心角90°です。
円全体の面積は、
5×5×3.14=78.5(cm²)
です。
中心角90°のおうぎ形は円の4分の1なので、
78.5÷4=19.625(cm²)
となります。
同じおうぎ形が4つあるため、
19.625×4=78.5(cm²)
です。
4つの90°のおうぎ形を合わせると、ちょうど半径5cmの円1個分になると考えてもかまいません。
④ 正方形から4つのおうぎ形を引く
したがって中央部分の面積は、
100-78.5=21.5(cm²)
です。
答えは、21.5cm²となります。
この問題で確認したいのは、計算ができたかどうかだけではありません。
特に重要なのは、
「中央の形の公式」を探すのではなく、「正方形全体から4つのおうぎ形を引けばよい」と自分で判断できたか
という点です。
円やおうぎ形が入った複合図形の面積では、見慣れない形の面積を直接求めようとして手が止まることがあります。
そのようなときは、
- 求めたい部分を含む大きな基本図形はないか
- そこから何を引けば求めたい部分だけが残るか
- 同じおうぎ形をまとめて考えられないか
と順番に確認します。
複雑な形そのものの公式を探すのではなく、「知っている図形をどう組み合わせれば、この部分になるか」と考えることが、円を含む複合図形を解く基本です。
複合図形になると手が止まる子は、どこでつまずいている?
複合図形で手が止まる原因は、「図形が苦手だから」と一つにまとめることはできません。
基本的な面積の公式を覚えていない場合もあれば、公式は使えるけれど図形を分割できない場合、解説を読めば分かるけれど自分では解き方を選べない場合もあります。
そのため、中学受験の複合図形の面積が苦手なときは、難しい問題を追加する前に、
- 基本図形の面積を求められるか
- 複合図形を基本図形に分けられるか
- 複数の解き方から使う方法を選べるか
- 必要な補助線を考えられるか
- 最後まで正しく計算できるか
というように、どの段階で止まっているのかを確認します。
同じ「複合図形が解けない」という状態でも、つまずいている場所によって必要な練習は変わります。
面積の公式そのものを覚えていない
三角形・長方形・正方形・平行四辺形・台形・円などの面積がすぐに求められない場合は、複合図形より先に基本図形を復習します。
複合図形は、基本的な図形を組み合わせて考える問題です。
たとえば、図形を正しく三角形と台形に分割できたとしても、それぞれの面積の求め方が曖昧であれば、そこから先へ進めません。
まずは、
- 三角形:底辺×高さ÷2
- 長方形:縦×横
- 正方形:一辺×一辺
- 平行四辺形:底辺×高さ
- 台形:(上底+下底)×高さ÷2
- 円:半径×半径×3.14
といった基本的な面積の公式を、何も見ずに使えるか確認します。
ただし、公式を言えるだけでは十分ではありません。
たとえば三角形なら、図が傾いていても底辺と高さを正しく見つけられるかを確認します。
台形なら、上底・下底・高さがどこなのか。
円なら、与えられている長さが半径なのか直径なのか。
こうしたところで間違えている場合は、公式そのものを忘れているのではなく、図の中から公式に必要な情報を読み取るところでつまずいていることもあります。
そのため、
「公式は覚えている?」
だけでなく、
「この公式を使うために、図のどの長さが必要?」
と確認すると、どこで分からなくなっているのかを見つけやすくなります。
図形を基本図形に分けられない
基本図形の面積は求められるのに複合図形になると解けない場合は、複雑な形を「知っている図形」に分けて見るところで止まっている可能性があります。
たとえば、L字型の図形を見たときに、
「長方形の面積の公式は分かる」
と言えても、
「ここに線を引けば、2つの長方形になる」
と気づかなければ、公式を使うところまで進めません。
この場合に必要なのは、新しい公式を覚えることではありません。
複雑な図形を、すでに面積を求められる基本図形として見る練習です。
たとえば問題を解く前に、
「この図形の中に長方形はある?」
「三角形に分けることはできる?」
「大きな正方形として見ることはできない?」
と確認します。
最初は実際に線を書き込んでも構いません。
ここで注意したいのは、補助線の位置だけを覚えさせないことです。
「ここに線を引きなさい」
と教えれば、その問題は解けるようになります。
しかし、少し形が変わった類題では、また手が止まることがあります。
そこで、
「なぜそこに線を引いたの?」
と聞いてみます。
「ここで分ければ2つの長方形になって、それぞれの面積を出せるから」
と説明できれば、補助線の意味まで理解できています。
複合図形の分割では、線を引く場所を覚えるのではなく、「何の基本図形を作りたいのか」を考えられることが重要です。
解説を見れば分かるが、自分では解き方を選べない
解説を理解できることと、問題を見て解き方を自分で選べることは別です。
これは、中学受験の算数で複合図形を学習するときに、特に確認しておきたい点です。
たとえば解説に、
「全体の長方形から右上の長方形を引きます」
と書いてあれば、
「そうか、引けばよかったのか」
と理解できることがあります。
その直後に同じ問題を解けば、正解できるかもしれません。
しかし、数値や図の形を少し変えた問題になると、
「どこから始めればいいか分からない」
と再び手が止まる。
この場合、面積の計算ができないわけではありません。
「この問題では分割する」「この問題では全体から引く」「この問題では移動する」と、問題に応じて考え方を選ぶところがまだ定着していない可能性があります。
そのため、解説を読んだ後は、答えを写して終わりにせず、
- 解説を閉じる
- もう一度、最初から自分で解く
- 「なぜこの方法を使ったのか」を説明する
- 同じ考え方を使う類題を解く
- 時間を置いて、もう一度何も見ずに解く
という確認をすると、理解しただけなのか、自分で使えるようになったのかを見分けやすくなります。
特に確認したいのは、正解したかどうかだけではなく、問題を見た時点で解き方を自分で判断できたかです。
私は指導でも、一度説明して正解できただけでは、「できるようになった」とは判断していません。
説明した直後にもう一度解き、さらに同じ問題や類題を家庭学習で取り組んでもらいます。次の指導でも、その中から問題を選んで、何も見ずに解いてもらいます。
そこで、
問題文や図から必要な考え方を自分で判断し、式を立てて最後まで解けるか
を確認します。
複合図形では特に、この「自分で方法を選ぶ」という段階が抜けていると、解説を何度読んでも、初めて見る問題で手が止まりやすくなります。
補助線をどこに引けばいいか分からない
補助線は、闇雲に引くのではなく、「どんな基本図形を作りたいか」から考えます。
「図形問題では補助線が大切」と言われることがありますが、問題を見るたびに、
「どこかに線を引かなければ」
と考えるだけでは、なかなか補助線を見つけられるようにはなりません。
たとえば複合図形なら、
「ここに線を引けば長方形ができないか」
「三角形と台形に分けられないか」
「この線を延ばせば、大きな正方形として見られないか」
というように、補助線を引いた後に何ができるのかを考えます。
つまり、
補助線を探す → 解き方を考える
という順番ではなく、
作りたい基本図形を考える → そのために必要な補助線を引く
という順番です。
これは、図形の面積の難しい問題になっても同じです。
ただし、基本的な複合図形で分割ができていない段階から、難しい入試問題の補助線ばかり練習しても、自分で引けるようになるとは限りません。
まずは、
- 長方形を作る
- 三角形に分ける
- 台形に分ける
- 大きな図形を作って不要な部分を引く
といった比較的分かりやすい問題で、「何を作るための補助線なのか」を確認します。
そのうえで、円やおうぎ形、等積変形、面積比を使う問題へ進んでいきます。
複合図形で手が止まったときは、「補助線が思いつかない」という結果だけを見るのではなく、その前の「どんな図形を作れば解けるか」という発想まで確認することが大切です。
このように、複合図形が解けない原因は一つではありません。
公式 → 基本図形の認識 → 分割や補助線 → 解法の選択 → 計算
と段階を分けて確認すると、どこから学習し直せばよいのかが見つけやすくなります。
現在のH2「複合図形になると手が止まる子は、どこでつまずいている?」の中では、「補助線をどこに引けばいいか分からない」H3の後に、具体例として入れるのが自然です。
具体例|円の中心と円周上の点を結ぶ補助線を考えてみよう
補助線を使う図形問題では、「どこに線を引くか」を覚えるのではなく、補助線を引くことで何が分かるようになるのかを考えることが大切です。
たとえば、次の問題を考えてみましょう。

円Oの円周上に点A、B、Cがあり、線分OA、OBが引かれています。
∠CAO=15°、∠CBO=25°のとき、∠AOBの大きさを求めます。
最初の図を見ると、15°と25°は分かっていますが、そのままでは∠AOBを求めることができません。
ここで利用したいのが、円の中心Oから円周上の点までの長さは、すべて円の半径なので等しいという性質です。
点Cと円の中心Oを結ぶ補助線を引く
点Cと円の中心Oを結ぶ線分COを補助線として引きます。
すると、
OA=OC
となるため、三角形AOCは二等辺三角形になります。
同じように、
OB=OC
なので、三角形BOCも二等辺三角形です。
補助線を1本引いたことで、もとの図の中に2つの二等辺三角形ができました。
ここが、この問題で補助線を引く目的です。
二等辺三角形AOCから∠AOCを求める
三角形AOCでは、
OA=OC
なので、底角の大きさは等しくなります。
∠CAO=15°なので、∠ACOも15°です。
三角形の3つの角の和は180°ですから、
∠AOC=180°-15°×2=150°
となります。
二等辺三角形BOCから∠BOCを求める
三角形BOCも、
OB=OC
なので二等辺三角形です。
∠CBO=25°なので、∠BCOも25°になります。
したがって、
∠BOC=180°-25°×2=130°
です。
最後に∠AOBを求める
点Oのまわりの角度は、全部合わせると360°です。
すでに、
∠AOC=150°
∠BOC=130°
と分かっています。
したがって、
∠AOB=360°-(150°+130°)
=360°-280°
=80°
となります。
答えは、80°です。
この問題で重要なのは、二等辺三角形の角度計算そのものだけではありません。
もとの図には、三角形AOCや三角形BOCは完成した形では示されていません。
そこで、
「Oは円の中心だから、CとOを結べばOCも半径になる」
と考えて、線分COを自分で引けるかがポイントになります。
補助線COを引けば、
OA=OC、OB=OC
という円の半径の性質が使えるようになり、2つの二等辺三角形が見えてきます。
つまり、この問題では、
求めたい角度を見る
→ そのままでは求められない
→ 円の半径を利用できないか考える
→ 中心Oと円周上の点Cを結ぶ
→ 二等辺三角形を作る
という順番で考えています。
中学受験の図形問題で補助線が必要なときは、「どこに線を引けばいい?」だけで考えるのではなく、「その線を引くと、どんな図形の性質が使えるようになる?」と考えることが大切です。
今回なら、補助線COを引く理由は、線を増やすことではなく、円の半径を利用して二等辺三角形を作るためです。
このように補助線の目的まで理解しておくと、点の位置や角度が変わった類題でも、同じ考え方を使いやすくなります。
図の条件を文章でも詳しく示す複合図形の面積とのつながりを補う
複合図形が苦手な子は、どこまで戻って復習すればいい?
複合図形が苦手な場合は、「今解いている問題より何学年戻るか」ではなく、「何も見ずに自分で解けるところはどこまでか」を確認して、そこまで戻ります。
たとえば、難しい複合図形の面積が解けないからといって、必ずしも図形の学習を最初からやり直す必要はありません。
反対に、塾で小6の入試問題を扱っているからといって、同じレベルの問題を繰り返すことが適切とも限りません。
確認したいのは、次のような順番です。
- 基本図形の面積の公式を使えるか
- 三角形や台形の底辺・高さを正しく見つけられるか
- 単純な複合図形を分割できるか
- 「分けて足す」「全体から引く」を使い分けられるか
- 移動や等積変形を使えるか
- 問題を見て、どの方法を使うか自分で判断できるか
途中のどこかで一人ではできなくなるのであれば、その一段階前が復習の出発点です。
まず基本図形の面積を何も見ずに求められるか確認する
最初に、三角形・長方形・正方形・平行四辺形・台形・円などの基本図形の面積を、解説や公式表を見ずに求められるか確認します。
たとえば、三角形の問題なら「底辺×高さ÷2」と言えるだけでなく、図の中から底辺と高さを正しく見つけられることが必要です。
図が傾いていても高さを判断できるか。
台形なら、上底・下底・高さを区別できるか。
円なら、半径と直径を取り違えていないか。
こうした基本部分が不安定な状態で、複雑な図形の応用問題を増やしても、途中で計算や図形の見方に迷いやすくなります。
家庭で確認する場合は、基本問題を数問解かせてみます。
このとき、
「前に習ったからできるはず」
ではなく、実際に何も見ずに解けるかを確認します。
たとえば、
・「台形の公式は言えるけれど、高さを間違える」
・「円の面積は出せるけれど、直径をそのまま半径として計算する」
のであれば、まだその部分に戻って確認する必要があります。
一方、基本図形については迷わず正解できるのであれば、同じ問題を何十問も繰り返す必要はありません。
次の段階へ進みます。
復習する場所は、学年や単元名だけで決めるのではなく、「一人で正しくできるか」で判断します。
次に「分けて足す」「全体から引く」を練習する
基本図形の面積が求められるようになったら、次は単純な複合図形で「分けて足す」「全体から引く」を練習します。
ここでは、いきなり難しい中学受験の面積問題へ戻る必要はありません。
たとえばL字型の図形なら、
2つの長方形に分けて足す
という方法があります。
同じ図形を、
大きな長方形-欠けている長方形
として求めることもできます。
この程度の問題であれば計算自体はそれほど難しくありません。
そのため、確認したいのは答えだけではなく、
「なぜここで分けたの?」
「別の求め方はできる?」
「分ける方法と引く方法なら、今回はどちらが簡単?」
といった部分です。
小5で複雑な図形の面積の求め方を学習するときも、最初から難しい補助線を考えるのではなく、基本図形に分けるところから練習することが大切です。
小6になって入試問題を解いている場合でも、この部分で迷うのであれば戻って構いません。
学年が上がっているからといって、
「今さら簡単な問題に戻れない」
と考える必要はありません。
たとえば、難しい問題では手が止まる子に、少し簡単な複合図形を出してみます。
そこで、
「これは2つに分ければいい」
「これは全体からここを引けばいい」
とすぐに判断できるなら、その段階はできています。
反対に、簡単な問題でも、
「何をすればいいか分からない」
となるのであれば、難問の解説を読み続けるより、まずこの段階を練習します。
難しい問題で手が止まったときほど、簡単な類題を使って「どこから一人でできなくなるのか」を確認することが重要です。
最後に「どの方法を使うか」を自分で判断する問題へ進む
「分割する」「全体から引く」「移動する」など、それぞれの方法を使う問題が解けるようになったら、最後に解き方が指定されていない問題へ進みます。
ここが、中学受験の複合図形の面積で手が止まりやすいところです。
たとえば、
「この問題は分割して求めなさい」
と書かれていれば解ける。
「等積変形を使いなさい」
と指示されれば解ける。
ところが、普通の入試問題のように、
「色のついた部分の面積を求めなさい」
とだけ書かれると、何をすればよいか分からなくなることがあります。
これは、それぞれの解法を知らないというより、問題を見て使う方法を選ぶ練習が不足している状態です。
そこで、解法を指定しない類題を使って、
- 基本図形に分けられないか
- 全体から引けないか
- 一部分を移動できないか
- 等積変形が使えないか
- 面積比で考えた方が簡単ではないか
と自分で検討してもらいます。
すぐに正解できなくても、最初から解説を見せる必要はありません。
「この図形の中に、面積を求められる形はない?」
「全体から引くとしたら、何を引けばいい?」
「補助線を引くと、どんな図形ができそう?」
というように、考える方向を確認します。
そして一度解説を確認した問題は、その場で分かっただけで終わらせず、もう一度何も見ずに解きます。
さらに類題を解き、時間を置いて再度確認します。
ここで、
「前の問題と同じように、今回は全体から引けばよい」
などと自分で判断できれば、解き方が少しずつ使える状態になっています。
反対に、解説を読むたびに、
「そうやるのか」
とは分かるものの、次の問題ではまた最初から手が止まるのであれば、まだ難しい問題を増やす段階ではないかもしれません。
複合図形の復習で目指したいのは、解説を覚えることではなく、初めて見る問題でも「まず何を試すか」を自分で判断できる状態です。
そのため、復習の順番は、
基本図形の面積
→ 単純な複合図形の分割
→ 全体から引く・移動する・等積変形する
→ 複数の方法から自分で選ぶ
と段階を踏んで考えます。
「小5だからここ」「小6だからここ」と決めるのではなく、何も見ずに自分でできる最後の地点を見つけ、その少し先からやり直すことが、複合図形の復習では大切です。
この具体例は、直前の「次に『分けて足す』『全体から引く』を練習する」の中に、「どちらの方法を選ぶか」という判断そのものを教えるH3として入れるのがよいです。
「分けて足す」か「全体から引く」かは、どう判断する?
複合図形では、「分けて足す」「全体から引く」のどちらか一方を覚えるのではなく、図を見て計算しやすい方法を選ぶことが大切です。
たとえば、次のL字型の複合図形の面積を考えてみましょう。

この問題は、どちらの方法でも答えを求めることができます。
「分けて足す」と考える場合
L字型の図形に補助線を引くと、2つの長方形に分割できます。
左側の長方形は、
4×6=24(cm²)
右側の長方形も、
6×4=24(cm²)
です。
したがって、
24+24=48(cm²)
となります。
この方法では、「自分が面積を求められる基本図形に分けられるか」を見ることがポイントです。
図を見たときに、
「ここに線を引けば、2つとも長方形になる」
と気づけるのであれば、「分けて足す」方法が使えます。
「全体から引く」と考える場合
同じL字型の図形を、今度は縦6cm、横10cmの大きな長方形の一部が欠けた図形として見ます。
大きな長方形の面積は、
6×10=60(cm²)
です。
右上の欠けている長方形は、横6cm、縦2cmなので、
6×2=12(cm²)
です。
したがって、
60-12=48(cm²)
となります。
こちらでは、
「欠けているところを埋めれば、簡単な長方形になる」
と気づけるかがポイントです。
では、どちらを使えばいい?
「分けて足す」か「全体から引く」かは、必要な長さが分かりやすく、計算する図形の数が少なくなる方を選ぶのが一つの基準です。
問題を見たら、次の2つを比べます。
- 補助線を1本引けば、長方形や三角形などに簡単に分けられるか
- 欠けた部分を埋めれば、大きな長方形や正方形として見られるか
今回の問題は、どちらでも比較的簡単に求められます。
そのため、家庭学習では最初から、
「この問題は分けて解きなさい」
と方法を指定するより、
「分けて足す方法と、全体から引く方法の両方でできない?」
と考えてみるのもよい練習です。
2通りで解いた後に、
「どちらの方が分かりやすかった?」
「どちらの方が計算が少なかった?」
と確認します。
こうした比較を繰り返すことで、問題を見たときに解き方を自分で選ぶ練習になります。
「方法を知っている」と「方法を選べる」は違う
ここは、中学受験の複合図形の面積で特に確認しておきたいところです。
「分けて足す問題」を何問も続けて解いていると、子どもは問題を見て判断しなくても、
「今は分けて足す単元だから、分ければいい」
と解けてしまうことがあります。
「全体から引く問題」だけを続けた場合も同じです。
しかし、実際の入試問題では、
「分けて足しなさい」「全体から引きなさい」
とは書かれていません。
図を見て、自分で方法を選ぶ必要があります。
そのため、両方の方法を学習した後は、解き方を指定しない問題を混ぜて、
「分けた方が簡単か、それとも全体から引いた方が簡単か」
を最初に考える練習をします。
複合図形で手が止まる子の場合、解き方そのものを知らないのではなく、「どの解き方を使う問題なのか」を判断するところで止まっていることがあります。
今回のように同じ問題を2通りで解いて比較すると、その違いを確認しやすくなります。
小5・小6では複合図形をどこまでできればいい?
小5では、基本的な面積の公式を使いながら「分けて足す」「全体から引く」といった考え方を自分で使えること、小6では、それらの方法から問題に合った解き方を自分で選べることを一つの目安にします。
ただし、「小5ならここまで」「小6ならこの難問まで」と、学年だけで一律に判断する必要はありません。
同じ小6でも、
- 基本図形の面積の公式で間違える
- 単純な複合図形なら解ける
- 等積変形になると分からなくなる
- 解法を指定されれば解けるが、初めて見る問題では手が止まる
など、できている段階はそれぞれ違います。
特に中学受験では、塾のカリキュラムに合わせて難しい応用問題まで進んでいても、その前の内容が十分に身についていないことがあります。
そのため、学年だけでなく、「解説を見ずに、どのレベルまで自分で考えて解けるか」を確認することが大切です。
小5では何をできるようにしたい?
中学受験を目指すのであれば、小5のうちに、面積の公式を覚えるだけでなく、円・三角形・多角形などの基本的な性質を問題に応じて正しく使えるようにしておきたいところです。
複合図形は、いくつもの図形の知識を組み合わせて解く問題です。
そのため、「長方形の面積を求められる」「三角形の公式を言える」という段階から、もう一歩進めておく必要があります。
特に小5では、次の内容を確認しておきます。
- 円周の長さと円の面積の公式を区別して使える
- 三角形の底辺と高さの関係を正しく判断できる
- 鈍角三角形でも底辺に対応する高さを見つけられる
- 多角形の内角の和・外角の和を使って角度を求められる
- 単純な複合図形を「分けて足す」「全体から引く」のどちらで解くか考えられる
一つずつ見ていきましょう。
円周の長さと円の面積を使い分けられるか
円では、「長さを求めているのか」「面積を求めているのか」を判断して、円周と面積の公式を使い分けられることが大切です。
円が苦手な子を見ていると、公式そのものを忘れているとは限りません。
円周の長さを求める問題なのに面積の公式を使ったり、面積を求める問題で円周の公式を使ったりすることがあります。
また、半径と直径を取り違える場合もあります。
複合図形では、円や半円、おうぎ形が長方形や正方形などと組み合わされます。
そのため、
「これは円周の一部の長さを求める問題なのか」
「色のついた部分の面積を求める問題なのか」
を問題文と図から判断する必要があります。
公式を暗記しているかだけでなく、「何を求めるから、この公式を使う」と説明できるところまで確認します。
三角形では底辺と高さの関係を正しく判断できるか
三角形の面積では、底辺と高さが垂直になる関係を正しく理解していることが重要です。
三角形の面積は、
底辺×高さ÷2
で求めます。
ただし、図の下側にある辺が必ず底辺になるわけではありません。
どの辺を底辺として考えるかによって、それに対応する高さも変わります。
特に確認しておきたいのが、鈍角三角形の面積です。
鈍角三角形では、底辺として選んだ辺によっては、高さを表す垂線が三角形の外側に出ます。
そのため、
「高さは三角形の中にあるもの」
と覚えていると、どこを高さとして使えばよいか分からなくなることがあります。
ここでは、
底辺を決める
→ その底辺と垂直になる高さを探す
という順番で判断できるようにします。
この理解は、後に等積変形や三角形の面積比を学習するときにも必要になります。
多角形の内角の和・外角の和を使えるか
複合図形では面積だけでなく角度を求める必要があることもあるため、多角形の内角・外角についても使える状態にしておきます。
たとえば、多角形の内角の和は、
(頂点の数-2)×180°
として求められます。
また、多角形の外角の和は360°です。
ここでも、公式を覚えるだけで終わらせません。
「五角形だから内角の和は540°」
と計算できるだけでなく、図形の一部分の角度が分からない問題で、どの性質を使えば求められるかを判断できることが大切です。
中学受験の図形問題では、面積・辺の長さ・角度の知識が別々に出てくるとは限りません。
複合図形の中で必要な角度を求め、それを次の計算に使う問題もあります。
そのため小5では、面積だけを切り離して学習するのではなく、こうした図形の基本的な性質もあわせて固めておきたいところです。
少し難しい問題まで進むなら、三角形の面積比を理解する
基本的な面積問題ができている子は、「底辺が同じ三角形では、面積比は高さの比になる」という関係まで理解しておくと、応用問題につながります。
たとえば、2つの三角形の底辺が同じで、高さの比が、
2:3
なら、面積の比も、
2:3
です。
反対に、高さが同じ三角形なら、面積比は底辺の比と同じになります。
ここで大切なのは、
「底辺が同じなら高さの比」
という言葉だけを覚えることではありません。
三角形の面積が、
底辺×高さ÷2
で決まることから、
「底辺が同じなら、面積の違いを決めるのは高さ」
と理解していることが大切です。
この考え方が分かってくると、すべての長さが書かれていない中学受験の面積問題でも、比を使って考えられるようになります。
相似な図形では、対応する辺の比を正しく見つけられるか
さらに進めるのであれば、相似な図形を見つけ、対応する辺と辺の比を正しく判断できるようにしておきたいところです。
相似の問題でつまずきやすいのは、「相似な三角形を見つけた後」です。
どの辺とどの辺が対応しているのかを取り違えると、その後の比の計算も合わなくなります。
そのため、
- どの三角形とどの三角形が相似なのか
- 対応する頂点はどこか
- 対応する辺はどれか
- 辺の比をどの順番で書くか
を確認します。
相似と辺の比を使えるようになると、直接書かれていない辺の長さを求め、それを複合図形の面積の計算につなげることもできます。
ただし、ここまで進んでいても、基本的な三角形の高さや円の公式で間違えるのであれば、そちらを先に確認します。
小5で目指したいのは「公式を覚えた」より一段先
小5の図形学習では、
円周と円の面積を使い分ける
→ 三角形の底辺と高さを正しく判断する
→ 多角形の角度を求める
→ 複合図形を分割したり全体から引いたりする
という基本をまず固めます。
そのうえで、学習が順調であれば、
三角形の面積比
→ 相似な図形と対応する辺の比
まで理解を広げていきます。
中学受験を目指す小5では、「公式を覚えているか」だけでなく、図を見て必要な性質や公式を自分で選び、使えるかどうかを確認することが大切です。
ここまでできるようになっていると、小6で等積変形・面積比・相似・複雑な複合図形・入試問題へ進んだときにも、それぞれの解き方を単なる暗記ではなく、基本的な図形の性質と結びつけて考えやすくなります。
小6では難問をたくさん解くべき?
小6だからといって、複合図形の難問をたくさん解けばよいとは限りません。まず、標準的な問題で解き方を自分で選べるかを確認します。
受験学年になると、塾の教材や模試、志望校の過去問などで難しい図形問題に触れる機会が増えてきます。
そのため、
「もう小6だから難問をやらなければ」
「入試問題をたくさん解けば図形に強くなるのでは」
と考えることもあるでしょう。
もちろん、基本ができている子にとっては、入試問題や応用問題を使って経験を増やすことも必要です。
一方で、標準的な複合図形を見たときに、
「何をすればいいか分からない」
と手が止まるのであれば、難しい問題の数を増やす前に確認したいことがあります。
たとえば、
- 分割すれば求められる問題
- 全体から不要な部分を引く問題
- 図形を移動する問題
- 等積変形を利用する問題
- 円やおうぎ形を組み合わせた問題
- 面積比を利用する問題
について、それぞれ解き方を指定されなくても使えるかを確認します。
ここで重要なのは、
「等積変形の問題だけを集めたページなら解ける」
という状態と、
「いろいろな問題が混ざっていても、この問題では等積変形を使うと判断できる」
という状態を分けて考えることです。
実際の中学受験の面積問題では、問題文に、
「この問題は分割して解きなさい」
「ここでは等積変形を使いなさい」
とは書かれていません。
自分で図を見て、
「ここに補助線を引けば二等辺三角形ができる」
「この三角形は高さが同じだから、面積の関係を使えそうだ」
「細かく分けるより、全体から引いた方が簡単そうだ」
と判断する必要があります。
そのため、小6で難問に取り組む前に、解法が混ざった標準問題を何問か出して、何も見ずに方法を選べるかを確認すると、現在の状態が分かりやすくなります。
小6で難問に進む前に確認したいこと
次のような状態であれば、より難しい問題へ進む前に、標準問題や基本問題へ戻ることも考えます。
- 解説を読めば理解できるが、自分では最初の式を立てられない
- 補助線を示されれば解けるが、自分では引けない
- 「等積変形を使う」と言われれば解けるが、自分では気づかない
- 同じ問題の解き直しはできるが、類題になると手が止まる
- 面積の考え方は合っているが、基本的な長さや高さを取り違える
このような場合は、入試問題をやめてすべて最初からやり直す、ということではありません。
たとえば、等積変形だけができていないのであれば、そこまで戻ります。
「分けて足す」と「全体から引く」の判断で止まっているのであれば、そのレベルの複合図形に戻ります。
基本的な面積計算そのものが不安定なら、さらにその前まで戻ります。
小6の復習でも、「今どの単元を習っているか」ではなく、「どこから一人でできなくなるか」を基準に戻る場所を決めます。
そして、一度できなかった問題について説明を確認したら、その場で解き直すだけでなく、類題でも同じ考え方を使えるかを確認します。
さらに時間を置いて、もう一度何も見ずに解きます。
小6で目指したいのは、難しい問題集を何冊終えたかではありません。
基本的な複合図形を確実に解けることを土台にして、分割・引き算・移動・等積変形・面積比などから、その問題に必要な考え方を自分で選べることです。
その状態ができてから、志望校の過去問や難しい入試問題を使って、初めて見る図形への対応力を高めていきます。
中学受験の面積問題は、難問をたくさん解けばできるようになる?
中学受験の面積問題は、難問をたくさん解くだけでできるようになるとは限りません。
標準的な問題で使った考え方を、解説を見ずに類題でも使える状態にすることが先です。
複合図形の面積には、分割、全体から引く、移動、等積変形、面積比、相似など、さまざまな考え方が使われます。
難しい問題では、これらを複数組み合わせることもあります。
そのため、難問の解説を読めば、
「こんなところに補助線を引くのか」
「ここを移動するのか」
「この三角形とこの三角形の面積比を使うのか」
と、新しい発見は増えていきます。
しかし、解説を読んで納得することと、別の問題でその考え方を自分から使えることは同じではありません。
特に、難しい問題を次々に解いているのに図形問題になると毎回最初の一手で止まるのであれば、問題数を増やす前に学習の進め方を確認した方がよいでしょう。
難しい問題を増やす前に確認したいことは?
難問へ進む前に確認したいのは、標準的な問題で使った考え方を、類題でも自分で再現できるかどうかです。
たとえば、ある問題の解説で、
「大きな長方形から不要な部分を引く」
という解き方を学んだとします。
その問題を解き直せるだけでは、まだ十分とは限りません。
図の形や数値を少し変えた類題でも、
「これは全体から引いた方が簡単そうだ」
と自分で判断できるかを確認します。
等積変形でも同じです。
解説に補助線が書き込まれていれば理解できても、何も書かれていない図を見たときに、
「この2つの三角形は高さが同じだから、面積の関係を使えそうだ」
と考えられなければ、まだ自分で使えるところまでは定着していません。
難しい問題に取り組む前には、少なくとも次のような点を確認します。
- 基本的な面積の公式を迷わず使える
- 三角形の底辺と高さを正しく判断できる
- 単純な複合図形を分割できる
- 「分けて足す」と「全体から引く」を使い分けられる
- 円やおうぎ形では、半径や中心角を正しく読み取れる
- 補助線を引く目的を説明できる
- 移動や等積変形を使う理由が分かる
- 面積比や相似を使う基本問題を解ける
この中に不安定なところがあれば、そこを残したまま難問だけを増やしても、解説を読む時間が長くなることがあります。
「難しい問題が解けないから、さらに難しい問題で鍛える」のではなく、どの考え方までは自分で使えているのかを先に確認します。
「解説を見ないで正解できるか」を確認する
一度解説を読んだ問題は、解説を閉じて最初から解き直し、さらに時間を置いてもう一度解くことで、本当に自分で解けるようになったかを確認できます。
たとえば、中学受験の面積の難問に取り組み、途中で分からなくなって解説を読んだとします。
そのとき、
「なるほど」
で終わらせないことが大切です。
まず、解説を閉じます。
そして問題だけを見て、
「最初にどこを見るのか」
「なぜこの補助線を引くのか」
「なぜここで面積比を使うのか」
というところから、もう一度自分で考えます。
途中の式まで覚えてしまっている場合は、数値や図の形が少し違う類題も使います。
さらに、翌日や数日後など時間を置いてから、同じ問題をもう一度解いてみます。
ここで確認するのは、答えだけではありません。
問題を見たときに、自分で考え方を判断し、必要な式を立てて最後まで解けるかを見ます。
私の指導でも、一度説明を聞いて正解できただけでは、その内容ができるようになったとは判断していません。
説明した後にもう一度解き、同じ問題や類題を家庭学習でも取り組んでもらいます。
次の指導では、その中からこちらで問題を選び、再び何も見ずに解いてもらいます。
そこで同じ考え方を自分で使えるかを確認します。
アウトプットして分からないところを確認する→必要な考え方を理解する→もう一度アウトプットする、という流れを繰り返すことが重要です。
難問を10問解いて、そのたびに解説を読んで終わるよりも、必要な問題を絞って、
自力で解く → 解説で確認する → 解説を閉じて解き直す → 類題を解く → 後日もう一度解く
と進めた方が、「自分で使える考え方」になっているかを確認しやすくなります。
入試問題・模試では何を確認する?
入試問題や模試では、正解・不正解だけでなく、「どの段階で手が止まったのか」を確認することが大切です。
たとえば、同じ0点だったとしても、原因は同じとは限りません。
ある子は、問題を見た時点で何をすればよいか分からなかった。
別の子は、正しく補助線を引き、考え方も合っていたものの、途中の計算で間違えた。
また別の子は、面積比を使うところまでは分かったものの、対応する底辺や高さを取り違えた。
この3つでは、次に取り組む内容が変わります。
そのため、入試問題や模試の復習では、たとえば次のように整理します。
① 問題文や図から必要な情報を読み取れたか
② 最初に使う考え方を選べたか
③ 必要な補助線を引けたか
④ 面積の公式・面積比・相似などを正しく使えたか
⑤ 式を立てた後の計算を正確にできたか
②で止まったのであれば、解法を選ぶ練習が必要です。
③で止まったのであれば、「何の図形を作るための補助線なのか」を確認します。
⑤だけで間違えたのであれば、図形の考え方そのものを最初からやり直す必要はないでしょう。
また、志望校の過去問で難しい面積問題が出てきた場合も、その問題だけを何度も覚えるように解き直すのではなく、
「この問題では、これまでに学習したどの考え方が使われていたのか」
まで確認します。
たとえば、
「前半は相似を使って辺の長さを求め、後半は同じ高さの三角形の面積比を使っている」
と整理できれば、その問題を単独の特殊な難問としてではなく、これまで学んだ内容の組み合わせとして見ることができます。
中学受験の図形の難問で必要なのは、特殊な解き方を際限なく覚えることではなく、基本から標準問題で身につけた考え方を、必要に応じて組み合わせて使うことです。
そのため、難問を増やすかどうかは問題数だけで決めず、一度学習した考え方を、解説なしで別の問題にも使えているかを確認してから判断します。
家庭で複合図形を練習するときは、どう進めればいい?
家庭で複合図形を練習するときは、「基本図形→単純な複合図形→解き方を自分で選ぶ問題→入試問題」の順に進め、間違えた問題は時間を置いて何も見ずに解き直します。
中学受験の複合図形の面積が苦手だからといって、難しい問題を毎日たくさん解く必要はありません。
むしろ家庭学習では、
- どこまでは一人で解けるのか
- どの段階で手が止まるのか
- 解説を読んだ後に自力で再現できるか
- 類題でも同じ考え方を使えるか
を確認しながら進めることが大切です。
特に複合図形では、問題集の解説を読んで「分かった」と感じても、次の日に同じ問題を出すと補助線を引けないことがあります。
家庭学習の目的は、解説を理解するところで終わらせず、最終的に何も見ずに自分で解き方を選べる状態にすることです。
問題集やプリントはどの順番で使う?
問題集やプリントは、基本図形の確認から始め、単純な複合図形、解法が混ざった問題、最後に入試問題へ進むと、どこでつまずいているのかを確認しやすくなります。
たとえば、次のような4段階に分けます。
① 基本図形の問題
最初に、
- 三角形
- 長方形・正方形
- 平行四辺形
- 台形
- 円・半円・おうぎ形
などの面積の公式を正しく使えるか確認します。
ここでは公式を言えるかだけでなく、三角形なら底辺と高さを正しく判断できるか、円なら半径と直径を区別できるかまで見ます。
基本問題で間違えるのであれば、複合図形へ急いで進まず、その部分を先に復習します。
② 単純な複合図形
基本図形ができたら、
「分けて足す」「全体から引く」
といった考え方を使う問題へ進みます。
たとえば、先ほど扱ったL字型の図形なら、
「2つの長方形に分割する」
「大きな長方形から欠けている部分を引く」
という2つの見方ができます。
ここでは、計算だけでなく、
「なぜ今回は分けたのか」「全体から引く方法でもできないか」
まで考えます。
③ 解き方が混ざった問題
次に、分割・全体から引く・移動・等積変形・面積比など、複数の考え方を混ぜた問題に取り組みます。
ここが重要です。
「等積変形」という単元のページを開いて問題を解けば、子どもは問題を見る前から、
「このページだから等積変形を使う」
と分かってしまいます。
しかし、実際の模試や入試問題では、使う方法は書かれていません。
そこで家庭学習でも、
「これは何を使う問題?」
と最初から教えず、まず自分で考えてもらいます。
解法が混ざった問題でも、自分で「分割する」「全体から引く」「補助線を引く」「等積変形を使う」と判断できるかを確認します。
④ 入試問題・過去問
標準的な複合図形で解き方を選べるようになったら、志望校の入試問題や過去問へ進みます。
ここでは、正解できたかだけでなく、
「どの知識を組み合わせて解いたのか」
を確認します。
たとえば、
相似を使って辺の長さを求める→三角形の面積比を使う
という問題なら、それぞれの段階に分けます。
途中で分からなくなった場合も、「この過去問ができなかった」で終わらせず、どの考え方まで戻れば類題を解けるのかを確認します。
間違えた問題は、いつ解き直せばいい?
間違えた問題は、解説を確認した直後に一度解き直し、さらに時間を置いて、もう一度何も見ずに解くことが大切です。
解説を読んだ直後は、解き方を覚えています。
そのため、すぐに正解できても、
「もうできるようになった」
とは限りません。
家庭学習では、たとえば次のように進めます。
① まず何も見ずに解く
↓
② 分からなかったところだけ解説を確認する
↓
③ 解説を閉じて、最初からもう一度解く
↓
④ 同じ考え方を使う類題を解く
↓
⑤ 翌日や数日後に、もう一度何も見ずに解く
特に③が大切です。
解説を横に置いたまま式を書き写してしまうと、
「理解した」
のか、
「解説の手順を写した」
のかが分かりにくくなります。
たとえば、補助線を使う問題であれば、解説を閉じた状態で、
「どこに補助線を引くのか」
「なぜそこに引くのか」
から再現します。
円の中心と円周上の点を結ぶ問題なら、
「半径が等しいことを利用して二等辺三角形を作りたいから、この補助線を引く」
というところまで説明できれば、単に線の位置を覚えている状態とは違います。
さらに類題でも同じ発想が出てくるかを確認します。
解き直しでは、答えを覚えているかではなく、最初の考え方から自分で再現できるかを見ることが重要です。
何度練習しても手が止まる場合はどうする?
何度練習しても同じところで手が止まる場合は、同じ難易度の問題を繰り返すだけでなく、一段階前の「自分でできる問題」まで戻って確認します。
たとえば、図形の面積の難しい問題を何度やっても補助線が引けないとします。
この場合、
「補助線の問題をもっとたくさん解かせよう」
と考える前に、その前の段階を確認します。
たとえば、
- 基本図形の面積は求められるか
- 三角形の底辺と高さを判断できるか
- 単純な図形を分割できるか
- 「分けて足す」「全体から引く」を選べるか
- 円の半径が等しいことを使えるか
- 二等辺三角形や相似など、補助線を引いた後に使う性質を理解しているか
を見ます。
補助線を引いた後に何をするのか分かっていなければ、自分からその補助線を思いつくことも難しくなります。
同じように、等積変形が何度やってもできない場合は、
「等積変形の問題をさらに10問」
と増やす前に、三角形の底辺と高さの関係を確認します。
面積比ができないのであれば、
「底辺が同じ三角形では、なぜ面積比が高さの比になるのか」
まで戻ります。
相似を使った複合図形で止まるのであれば、相似な図形の対応する辺を正しく見つけられるかを確認します。
このように、できない問題そのものを繰り返すのではなく、その問題を解くために必要な一つ前の知識や考え方まで戻ることが大切です。
家庭では、同じ問題で何度も間違えると、
「前にもやったでしょう」
となりやすいところです。
しかし、同じ問題を繰り返しても改善しないのであれば、本人が覚えていないというより、その問題を解くために必要な前提が十分につながっていない場合があります。
そのときは問題の難易度を一度下げ、
「ここまでは一人でできる」
というところを見つけます。
そこから一段ずつ、
基本問題 → 類題 → 解法を自分で選ぶ問題
と戻していきます。
家庭での複合図形の練習では、「今日は何問解いたか」だけでなく、「どこまで何も見ずに自分で判断して解けたか」を確認することが、次に取り組む問題を決める基準になります。
複合図形が苦手なときは「できない場所」を特定する
複合図形が苦手なときは、「図形が苦手」とまとめて考えるのではなく、問題を解く途中のどこで手が止まっているのかを特定することが大切です。
中学受験の複合図形の面積では、一つの問題を解くために複数の知識を使います。
たとえば、
図から必要な情報を読み取る
→ 基本図形を見つける
→ 解き方を選ぶ
→ 必要なら補助線を引く
→ 辺の長さや角度を求める
→ 面積の公式や面積比を使う
→ 計算する
というように、いくつもの段階があります。
したがって、最終的な答えが間違っていたとしても、原因が「複合図形そのもの」にあるとは限りません。
三角形の高さを取り違えていることもあれば、半径と直径を混同していることもあります。
相似には気づいているものの対応する辺を取り違えている場合や、考え方は正しいのに最後の計算だけで間違えている場合もあります。
どこで止まっているかによって、次に練習する内容は変わります。
「図形が苦手」でまとめず、どこで止まったかを見る
間違えた問題を見るときは、「できなかった」で終わらせず、最初にできなくなったところを確認します。
たとえば、ある複合図形の面積の問題で正解できなかったとします。
そのときは、次のように順番に見ていきます。
① 問題文と図から、必要な長さや角度を読み取れたか
↓
② 三角形・長方形・台形・円など、基本となる図形を見つけられたか
↓
③ 「分割」「全体から引く」「移動」「等積変形」「面積比」などから、使う考え方を選べたか
↓
④ 必要な補助線を自分で引けたか
↓
⑤ 必要な辺の長さや角度を求められたか
↓
⑥ 面積の公式や比を正しく使えたか
↓
⑦ 最後まで正確に計算できたか
たとえば③までできていて、最後の計算だけで間違えたのであれば、図形の考え方そのものを最初からやり直す必要はありません。
一方、
「大きな長方形から不要な部分を引けばよい」
ということ自体に気づかなかったのであれば、複雑な入試問題へ進む前に、単純な複合図形を「分けて足す」「全体から引く」練習へ戻ることを考えます。
また、補助線を引けなかった場合も、
「補助線が苦手」
だけでは原因は分かりません。
補助線を引いた後にできる三角形の性質を理解していなければ、自分からその線を引こうとは考えにくいからです。
たとえば円の中心と円周上の点を結ぶ補助線であれば、
半径が等しい
→ 二等辺三角形ができる
→ 角度を求められる
というつながりを理解しているか確認します。
同様に、三角形の面積比で止まるのであれば、
底辺が同じときは高さの比が面積比になる
という関係まで戻って確認します。
このように見ていくと、「図形が全部できない」のではなく、
「基本の面積はできるが、解法を選ぶところで止まっている」
「分割はできるが、相似を使って必要な長さを求めるところで止まっている」
と、できている部分とできていない部分を分けられます。
できない場所を細かく特定できれば、必要のないところまで全部やり直さず、今必要な練習に戻りやすくなります。
難問より前の段階に戻ることも必要
入試レベルの難問で手が止まる場合でも、必要であれば基本問題や標準問題まで戻って確認します。
小6になると、塾では入試問題や難問を扱う機会が増えます。
志望校の過去問を始めれば、これまで習った複数の内容を組み合わせる問題も出てきます。
そのため、
「もう小6なのに、簡単な問題へ戻ってよいのだろうか」
と感じることもあるかもしれません。
しかし、戻る目的は簡単な問題を最初から全部やり直すことではありません。
難しい問題を解くために必要な考え方のうち、どこが抜けているのかを確認するために戻ります。
たとえば、中学受験の面積の難問で相似を利用する必要があるのに、
- 相似な三角形を見つけられない
- 対応する辺が分からない
- 辺の比を正しく作れない
のであれば、まず相似の基本問題に戻ります。
等積変形で止まっているのであれば、
- 三角形の底辺と高さを正しく判断できるか
- 同じ底辺を持つ三角形を見つけられるか
- 高さが等しいことを図から判断できるか
を確認します。
円を含む複雑な図形の面積で止まっているのであれば、
- 円周と円の面積の公式を使い分けられるか
- 半径と直径を区別できるか
- 半円やおうぎ形の面積を単独で求められるか
まで戻る場合もあります。
ここで大切なのは、戻った問題を解けたところで終わらないことです。
たとえば、
基本問題 → 類題 → 標準的な複合図形 → 元の入試問題
というように、もう一度つなげていきます。
基本問題では解けても、複合図形になった途端に使えないのであれば、まだ知識同士が十分につながっていない可能性があります。
その場合は、同じ考え方を使う類題を挟みながら少しずつ難易度を戻していきます。
そして最後に、最初にできなかった問題をもう一度、解説を見ずに解きます。
そこで、
「なぜこの補助線を引くのか」
「なぜこの2つの三角形の面積比を見るのか」
「なぜ分割ではなく全体から引くのか」
まで自分で判断できるかを確認します。
複合図形が苦手なときに必要なのは、難問を繰り返すことでも、図形分野をすべて最初からやり直すことでもありません。
「どこまでは一人ででき、どこからできなくなるのか」を見つけ、その一段前からつなぎ直すことです。
複合図形の面積についてよくある質問
Q1. 複合図形の面積では、公式を何種類くらい覚える必要がある?
特殊な複合図形ごとに新しい公式を覚える必要はありません。まずは三角形・四角形・円・おうぎ形など、基本図形の公式を正確に使えることが重要です。
複雑に見える図形でも、実際には三角形、長方形、台形、円などを組み合わせてできていることが多くあります。
「この形専用の公式」を増やすよりも、知っている基本図形を図の中から見つけられることを優先します。
レンズ型やブーメラン型なども、式だけを丸暗記するのではなく、どの基本図形を組み合わせて求めているのか確認しておくと、形が少し変わった問題にも対応しやすくなります。
Q2. 複合図形の問題では、途中式や図への書き込みもした方がいい?
途中式だけでなく、分かった長さ・等しい辺・角度・補助線などを図に書き込むことをおすすめします。
中学受験の面積問題では、問題文に書かれている数値だけで最後まで解けるとは限りません。
たとえば、
- 全体の長さから一部分を引いて求めた長さ
- 同じ半径なので等しいと分かった辺
- 相似から求めた辺の長さ
- 計算によって求めた角度
などが途中で分かることがあります。
それらを頭の中だけで処理すると、複雑になるほど情報を取り違えやすくなります。
分かった情報をその都度図に書き込み、「今分かっていること」を見える状態にしておくことも、図形問題を解くための大切な作業です。
Q3. 複合図形では、1つの問題に複数の解き方があることもある?
あります。同じ面積でも、分割して求める方法と、全体から不要な部分を引いて求める方法など、複数の解き方ができる問題があります。
たとえばL字型の図形なら、2つの長方形に分割して足す方法と、大きな長方形から欠けた部分を引く方法の両方が考えられます。
どちらでも正しく求められるのであれば、一方だけが正解というわけではありません。
家庭学習では正解した後に、
「ほかの求め方はないかな?」
と考えてみるのもよい練習になります。
複数の見方ができるようになると、計算する図形が少なくなる方法や、必要な長さを求めやすい方法を選びやすくなります。
Q4. 複合図形の問題で計算ミスが多い場合も、図形を復習した方がいい?
考え方が合っていて計算だけを間違えているのであれば、図形分野をすべてやり直す必要はありません。
たとえば、
- 正しく図形を分割できた
- 必要な長さも求められた
- 面積の式も正しく立てられた
- 最後の小数計算で間違えた
という場合は、図形の理解よりも計算に課題があります。
特に円やおうぎ形を含む問題では、小数の掛け算・割り算が増えるため、考え方は合っているのに計算で失点することがあります。
間違えたときは、答えだけを見るのではなく、「考え方の間違いなのか、計算の間違いなのか」まで分けて確認することが大切です。
Q5. 中学受験の複合図形では、図をきれいに描き直した方がいい?
すべて描き直す必要はありませんが、図が小さい、書き込みが多い、必要な図形が見えにくい場合は、必要な部分だけ描き直すと考えやすくなります。
特に、複数の三角形が重なっている問題や、相似・面積比を利用する問題では、注目している三角形だけを別に描き出すと対応する辺が見つけやすくなることがあります。
一方、元の図をそのまま利用した方が位置関係を把握しやすい問題もあります。
「図をきれいに描くこと」自体を目的にせず、必要な関係を見つけやすくするために描き直すと考えるとよいでしょう。
Q6. 志望校によって複合図形の面積の対策は変えた方がいい?
基本・標準問題を固めた後は、志望校の過去問を確認し、実際に出題されている図形問題に合わせて練習内容を調整します。
同じ中学受験の算数でも、学校によって図形問題の出し方は同じではありません。
複雑な面積問題が頻繁に出る学校もあれば、速さや比など別の分野との複合問題として出題されることもあります。
過去問を見るときは、単に「図形が何問出たか」だけでなく、
どの知識が使われているか、どの程度まで自分で補助線や解法を判断する必要があるか
まで確認します。
そのうえで、現在できていない内容と志望校で必要な内容を照らし合わせると、優先して復習する単元を決めやすくなります。
まとめ|複合図形は「どの解き方を使うか」を自分で選べるところまで練習する
中学受験の複合図形の面積では、公式を覚えたり難問をたくさん解いたりするだけではなく、図を見て必要な考え方を自分で選べる状態にすることが大切です。
この記事のポイントを整理します。
・基本図形に分割する→全体から引く→移動→等積変形→面積比という順に、使える方法を考える
・円やおうぎ形でも、知っている図形の足し算・引き算で表せないかを考える
・小5では基本的な面積に加え、円、三角形の底辺と高さ、多角形の角度などを固め、可能なら面積比や相似まで理解を広げる
・小6で難問が解けない場合は、問題数を増やす前に、解説を見ずに標準問題の解法を選べるかを確認する
・何度練習しても手が止まる場合は、「図形が苦手」でまとめず、最初にできなくなる場所を特定し、その一段前まで戻る
・特に確認してほしいのは、「解説を読めば分かる」ことと、「何も見ずに自分で解ける」ことは違うという点です。
お子さんが複合図形で手を止めている場合は、まず一問解いてもらい、公式・図の読み取り・分割・補助線・解法の選択・計算のどこで止まっているのかを見てみてください。
難問を増やすかどうかは、その後で判断できます。

